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Oracle Enterprise Manager Grid Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド
11gリリース1(11.1.0.1.0)
B61023-01
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15 nfsagentinstallスクリプトによる共有Oracleホームを使用したOracle Management Agentのインストール

この章では、nfsagentinstallスクリプトにより、既存の管理エージェントの中央の共有Oracleホームを使用してOracle Management Agent(管理エージェント)をインストールする方法について説明します。特に、次の内容について説明します。

概要

管理エージェントがすでにインストールされているマウント済のドライブを共有するホスト上に追加管理エージェントをインストールする場合、最善のオプションは、マウント済のドライブから共有Oracleホームのソフトウェア・バイナリを使用し、その管理エージェントにより管理されるようにリモート・ホストを構成することです。これにより、NFSの可視性を活用し、リモート・ホスト上のハード・ディスク領域を節約できます。これは、サイレント・モードとGUIモードのいずれでも実行できます。

このような管理エージェントをGUIモードでインストールする場合は、共有エージェント・デプロイ・ウィザードを使用できます。サイレント・モードでインストールする場合は、nfsagentinstallスクリプトを使用できます。

nfsagentinstallでも、共有エージェント・デプロイ・ウィザードと同様に、共有Oracleホームからソフトウェア・バイナリを使用し、リモートの各宛先ホスト上にemd.propertiestargets.xmllog filesなどの構成ファイルを格納するためのEMSTATEディレクトリを構成します。EMSTATEディレクトリの詳細は、「EMSTATEディレクトリとは」を参照してください。

ここでは、ソフトウェア・バイナリを共有する管理エージェントはマスター・エージェントと呼ばれ、リモート・ホスト上でEMSTATEディレクトリとともに構成される管理エージェントは共有エージェントまたはNFSエージェントと呼ばれます。厳密には、nfsagentinstallスクリプトは管理エージェントをインストールするわけではなく、共有Oracleホームからソフトウェア・バイナリを使用して、各リモート・ホスト上にEMSTATEディレクトリを構成するのみです。

ただし、共有エージェント・デプロイ・ウィザードは異なり、nfsagentinstallスクリプトは宛先ホストからしか実行できません。また、一度に1つの管理エージェントしかインストールできません。このため、少数の管理エージェントのみをインストールする場合は、nfsagentinstallスクリプトを使用してください。

開始前

開始する前に、「開始前」で説明されている事項に注意してください。

前提条件

管理エージェントをインストールする前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。

必要に応じてこの項を印刷し、各前提条件に対して○または×を記入してください。こうすることで、すでに満たされている前提条件と満たされていない前提条件を追跡できます。

表15-1 nfsagentinstallスクリプトを使用してOracle Management Agentをインストールするための前提条件

要件 説明 ○/×

ハードウェアの要件

付録A「ハードウェア要件の確認」に示されているハード・ディスク領域および物理メモリーの要件を満たしていることを確認します。


オペレーティング・システムの要件

管理エージェントのインストール先が、My Oracle Supportノート412431.1に示されている動作保証済のオペレーティング・システムであることを確認します。


ユーザーおよびオペレーティング・システム・グループの要件

管理エージェントをインストールする宛先ホストに対して適切なユーザーおよびオペレーティング・システム・グループが作成されていることを確認します。

オペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成の詳細については、付録C「オペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成の要件」を参照してください。


一時ディレクトリ領域の要件

実行可能ファイルをコピーできる一時ディレクトリに400 MBの領域が割り当てられていることを確認します。たとえば、UNIXホストの場合は/tmpで、Microsoft Windowsホストの場合はc:\Tempです。


中央インベントリの要件

中央インベントリ・ディレクトリに100 MBの領域が割り当てられていることを確認します。

また、中央インベントリ・ディレクトリが共有ファイル・システム上にないことも確認します。中央インベントリがすでに共有ファイル・システム上に存在する場合は、My Oracle Supportノート1092645.1に示されている手順に従って、非共有ファイル・システムに切り替えてください。


EMSTATEディレクトリの要件

指定するインストール・ベース・ディレクトリが空であり、書込み権限を持っていることを確認します。


既存の管理エージェント・ソフトウェアの要件

管理エージェント(マスター・エージェント)は必ず、マウント済の共有場所にインストールします。

管理エージェントをマウント済の共有場所にインストールする際は、このガイドで説明されているその他任意の管理エージェントのデプロイ方法を使用できます。


既存の管理エージェントのステータスの要件

マウント済の共有場所にある既存の管理エージェント(マスター・エージェント)が常に停止され、いずれのターゲットの監視にも使用されていないことを確認します。このインストールは、単に共有エージェントとソフトウェア・バイナリを共有するためのものです。


oraInst.locの場所の要件

共有管理エージェントは最初のOracle製品インストールではないが、そのOracleホームが共有されている場合は、/etcディレクトリの下のoraInst.locの場所を確認する必要があります。

oraInst.locinventory_locがホーム・ディレクトリ内にある場合は、このエントリ・ポイントを非共有場所に変更する必要があります。oraInst.locエントリは次のようになっています。

inventory_loc=/<any location other than the home directory>/oraInventory

inst_group=<group to which the user belongs>


ソフトウェア可用性の要件

インストールが実際には別のホスト上で実行されているインストール済管理エージェントの共有Oracleホームを使用して行われる場合でも、nfsagentinstallスクリプトでは、管理エージェント・ソフトウェア・パッケージ内で使用可能なファイルが使用されます。このため、必要なプラットフォーム用の管理エージェント・ソフトウェアのコピーをOMSホスト上で保守する必要があります。

デフォルトでは、Oracle Management Service 11gリリースが実行されているホスト上では、Oracle Management Agent 11gリリース1用のソフトウェアが使用可能です。この管理エージェント・ソフトウェアは、OMSが実行されているプラットフォーム用のものです。

したがって、OMSが実行されているプラットフォームと同じプラットフォームにOracle Management Agent 11gリリース1をインストールする場合は、すでにこの前提条件を満たしていることになり、何も処理は必要ありません。

しかし、OMSが実行されているプラットフォームとは異なるプラットフォームにOracle Management Agent 11gリリース1をインストールする場合は、必ずそのプラットフォーム用の管理エージェント・ソフトウェアをダウンロードしてください。

管理エージェント・ソフトウェアのダウンロードの詳細は、「Oracle Management Agentソフトウェアの入手」を参照してください。


マウント済の共有場所の要件

マウント済の共有場所が、追加管理エージェントをインストールするすべての宛先ホストからアクセス可能であることを確認します。


宛先ホストの資格証明の要件

次のような、すべての宛先ホストのオペレーティング・システム資格証明およびファイル・システム構造が同一であることを確認します。

  • 同じユーザー名およびグループ名

  • 同じユーザー識別子(UID)およびグループ識別子(GUID)


/etc/hostsファイルの要件

宛先ホストとOMSが実行されているホストが別々のネットワーク・ドメインに属する場合、宛先ホスト上の/etc/hostsファイルを更新して、そのホストのIPアドレス、そのホストの完全修飾名、およびホストの短縮名を含む行を追加します。

たとえば、完全修飾ホスト名がmypc.cn.company.comであり、短縮名がmypcの場合は、/etc/hostsファイル内に次の行を追加します。

12.123.123.12 mypc.cn.company.com mypc


インストール・ユーザーの要件

中央インベントリ所有者と管理エージェントをインストールするユーザーが異なる場合、両者が同じグループに属していることを確認します。

また、インベントリ所有者と所有者が属するグループが、インベントリ・ディレクトリに対する読取り権限と書込み権限を持つことも確認します。

たとえば、インベントリ所有者がuser1で、管理エージェントをインストールするユーザーがuser2の場合、user1とuser2が同じグループに属し、インベントリに対する読取りアクセスと書込みアクセスを持つことを確認します。


権限の要件

  • すべてのリモート・ホスト上のoraInventoryに対して読取り権限、書込み権限および実行権限があることを確認します。リモート・ホスト上のデフォルト・インベントリ(通常は/etc/oraInst.loc)に対してこれらの権限がない場合、「追加パラメータ」セクションで-i <location>オプションを使用して、別のインベントリの場所のパスを指定できます。

    oraInventory権限の詳細は、「Oracleインベントリ・ディレクトリとは」を参照してください。

  • インストール・ベース・ディレクトリおよび実行可能ファイルのコピー先の一時ディレクトリに対して書込み権限があることを確認します。たとえば、/tmpc:\Tempなどです。


SUDO権限の要件

root.shおよび/bin/shを実行するためのSUDO権限があることを確認します(UNIXプラットフォームのみ)。このときに、起動するユーザーのパスワードを指定する必要があります。

これらのファイルを実行するためのSUDO権限があるかどうかを確認するには、/etc/sudoersファイルにアクセスし、次に示すようなエントリがあるかどうかを確認します。このようなエントリがない場合は、追加してください。

<user> <hostname>=PASSWD: /home/em/agent11010/agent11g/root.sh, /bin/sh


SUDOERSファイル構成の要件

SUDOを使用してコマンドを実行するときには常にパスワードの入力を要求されるように、/etc/sudoersファイルを構成します。

SUDOでパスワードの入力が要求されないように/etc/sudoersファイルが構成されている場合、ホスト・パスワードがタイトルのディレクトリが、起動するユーザーのホーム・ディレクトリ内に作成されます。


デフォルトのSSHポートの要件

SSHデーモンがすべての宛先ホストのデフォルト・ポート(22)で実行されていることを確認します。

デフォルト以外(22以外)のポートを使用している場合は、OMSインスタンス・ベースの場所にある次のファイル内のSSH_PORTプロパティを更新します。

<INSTANCE_HOME>/sysman/prov/resources/Paths.properties


PubkeyAuthenticationパラメータの要件

sshd_configファイル内でPubkeyAuthenticationパラメータが有効になっていることを確認します。

このパラメータの値を確認するには、次のコマンドを実行します。

grep PubkeyAuthentication <SSH_Install_Location>/sshd_config

次に例を示します。

grep PubkeyAuthentication /etc/ssh/sshd_config

このコマンドの結果はYesになります。結果がNoの場合は、sshd_configファイルを編集し、PubkeyAuthenticationの値をYesに設定して、SSHデーモンを再起動します。



インストール手順

nfsagentinstallスクリプトを使用して管理エージェントをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. いずれかの宛先ホストで、次のディレクトリ(この宛先ホスト上で認識される共有Oracleホーム)に移動します。

    <ORACLE_HOME>/sysman/install/

  2. 次のコマンドを実行します。

    ./nfsagentinstall -s <absolute_path_to_EMSTATE_directory_location> -p <port_number>

    ./nfsagentinstall -s <absolute_path_to_EMSTATE_directory_location> [ -p <customized_port_number>] [ -i <invPtrLoc> inventory_pointer_location] [-t Skip discovery]


    注意:

    このコマンドの-p-iおよび-tは、オプションの引数です。

  3. nfsagentinstallスクリプト内にAGENT_INSTALL_PASSWORDパラメータが設定されていない場合、管理エージェントを保護するためのエージェント登録パスワードを指定するように要求されます。

  4. (UNIXオペレーティング・システムのみ)この管理エージェント・インストールがこのホストへの最初のOracle製品インストールである場合は、nfsagentinstallスクリプトにより、次のスクリプトを手動で実行するように要求されます。

    • これがホストにインストールした最初のOracle製品である場合は、管理エージェントのOracleホームにあるoraInst.locファイル内に指定されているインベントリの場所から、oraInstRoot.shスクリプトを実行します。

      たとえば、oraInst.locファイル内に指定されているインベントリの場所が$HOME/oraInventoryであれば、次のコマンドを実行します。

      $HOME/oraInventory/oraInstRoot.sh

      rootユーザーでない場合は、SUDOを使用してrootユーザーに変更します。たとえば、次のコマンドを実行します。

      /usr/local/bin/sudo $HOME/oraInventory/oraInstRoot.sh

    • 管理エージェントのOracleホームから、root.shスクリプトを実行します。

      <Oracle_Home>/root.sh

      rootユーザーでない場合は、SUDOを使用してrootユーザーに変更します。たとえば、次のコマンドを実行します。

      /usr/local/bin/sudo /scratch/OracleHomes/agent11g/root.sh

  5. 管理エージェントをインストールするその他のホスト上で、手順(1)〜(3)を繰り返します。


注意:

インストールに失敗した場合は、付録L「インストール・ログ・ファイルと構成ログ・ファイル」に示されているログ・ファイルを参照してください。

インストール後

管理エージェントのインストール後は、「インストール後」に示されている手順に従ってください。