Oracle Enterprise Manager Grid Controlアドバンスト・インストレーションおよび構成ガイド 11gリリース1(11.1.0.1.0) B61023-01 |
|
![]() 戻る |
![]() 次へ |
この章では、既存の管理エージェントの共有Oracleホームを使用してインストールされたOracle Management Agent(管理エージェント)をアップグレードする方法について説明します。特に、次の内容について説明します。
共有Oracle Management Agentとは、共有エージェント・デプロイ・ウィザードまたはnfsagentinstall
スクリプトを使用してインストールされたOracle Management Agentのことです。通常、このいずれかのインストール方法を使用して管理エージェントをインストールすると、既存の管理エージェントの共有Oracleホームからのソフトウェア・バイナリが使用され、各リモート・ホスト上でEMSTATE
ディレクトリが構成されます。
ここでは、ソフトウェア・バイナリを共有する管理エージェントはマスター・エージェントと呼ばれ、リモート・ホスト上でEMSTATE
ディレクトリとともに構成される管理エージェントは共有エージェントまたはNFSエージェントと呼ばれます。
共有エージェントをアップグレードするには、まず、ソフトウェア・バイナリを共有するマスター・エージェントをアップグレードする必要があります。マスター・エージェントをアップグレードすると、それに関連付けられている共有エージェントも自動的にアップグレードされます。
マスター・エージェントは、第V部「Enterprise Managerシステムのアップグレード」および第VI部「Oracle Management Agentのアップグレード」で説明されているいずれかのアップグレード方法を使用してアップグレードできます。
マスター・エージェントのアップグレード・プロセスは、アウトオブプレース・アップグレードです。すなわち、新しいOracleホームのagent11g
が作成されます。これに対し、共有エージェントのアップグレード・プロセスは、インプレース・アップグレードです。すなわち、新しいディレクトリは作成されずにEMSTATE
ディレクトリのみがアップグレードされます。
EMSTATE
ディレクトリの詳細は、「EMSTATEディレクトリとは」を参照してください。
マスター・エージェントをアップグレードする前に、次の前提条件を満たしていることを確認してください。
マスター・エージェントのアップグレードに使用するように選択したアップグレード方法に対して説明されている前提条件を満たしていることを確認します。
エージェントのアップグレード・ウィザードを使用してマスター・エージェントをアップグレードするように選択した場合は、第24章「エージェントのアップグレード・ウィザードを使用したOracle Management Agentのアップグレード」で説明されている前提条件を満たしていることを確認します。
レスポンス・ファイルを使用してマスター・エージェントをアップグレードするように選択した場合は、第25章「レスポンス・ファイルを使用したOracle Management Agentのアップグレード」で説明されている前提条件を満たしていることを確認します。
agentDownload
スクリプトを使用してマスター・エージェントをアップグレードするように選択した場合は、第26章「agentDownloadスクリプトを使用したOracle Management Agentのアップグレード」で説明されている前提条件を満たしていることを確認します。
アップグレードされるマスター・エージェントのインストール・ベース・ディレクトリ(agent11g
)がマウントされていて、すべてのリモート・ホストから認識されることを確認します。インストール・ベース・ディレクトリの詳細は、「インストール・ベース・ディレクトリとは」を参照してください。
マスター・エージェントのインベントリ・ディレクトリが共有エージェントのインベントリ・ディレクトリとしても保守されていることを確認します。たとえば、マスター・エージェントのインベントリ・ディレクトリが/scratch/oraInventory
の場合、共有エージェントのインベントリ・ディレクトリも/scratch/oraInventory
であることを確認します。
oraInst.loc
が、EMSTATE
ディレクトリ、中央インベントリ(/etc/oraInst.loc
)またはユーザーのホーム・ディレクトリのいずれかに含まれていることを確認します。
マスター・エージェントは、第V部「Enterprise Managerシステムのアップグレード」および第VI部「Oracle Management Agentのアップグレード」で説明されているアップグレード手順を使用してアップグレードできます。
マスター・エージェントをアップグレードすると、マスター・エージェントのOracleホームが完全に構成され、他の共有エージェントとの間でバイナリが共有されます。
通常、マスター・エージェントをアップグレードすると、それに関連付けられている共有エージェントも自動的にアップグレードされます。しかし、すべての共有エージェントが正常にアップグレードされているかどうかを確認することをお薦めします。これを行うには、各共有エージェントのEMSTATE
ディレクトリにナビゲートし、次のコマンドを実行して各共有エージェントを確認します。
<EMSTATE>/bin/emctl status agent
ステータスがUPであり、これがアップグレード済の管理エージェントが実行中であることを示している場合は、2つのEMSTATE
ディレクトリ(主に<EMSTATE>
および<EMSTATE>_<timestamp>
)が表示されます。前者はアップグレードされた共有エージェントを表し、後者は古い<EMSTATE>
ディレクトリのバックアップを表しています。
アップグレードされた共有エージェントの<EMSTATE>ディレクトリに移動し、次のログ・ファイルを参照します。
<EMSTATE>/nfslog/NFSAgentUpgrade_<timestamp>.log
<EMSTATE>/nfslog/NFSAgentUpgrade_API_<timestamp>.log
<EMSTATE>/nfslog/NFSAgentUpgrade_CfmLogger_<timestamp>.log
注意: アップグレードを確認した後は、<EMSTATE>_<timestamp>ディレクトリを削除してもかまいません。 |
ステータスがDOWNであり、これが以前のリリースの管理エージェントが実行中であることを示している場合は、2つのEMSTATE
ディレクトリ(主に<EMSTATE>
および<EMSTATE>_<timestamp>.Upgrade_Failed
)が表示されます。前者は古い<EMSTATE>
ディレクトリを表し、後者は共有エージェントのアップグレードが失敗した新しい<EMSTATE>
ディレクトリを表しています。
<EMSTATE>_<timestamp>.Upgrade_Failed
ディレクトリに移動し、次のログ・ファイルを参照します。
<EMSTATE>_<timestamp>.Upgrade_Failed/nfslog/NFSAgentUpgrade_<timestamp>.log
<EMSTATE>_<timestamp>.Upgrade_Failed/nfslog/NFSAgentUpgrade_API_<timestamp>.log
<EMSTATE>_<timestamp>.Upgrade_Failed/nfslog/NFSAgentUpgrade_CfmLogger_<timestamp>.log
ログ・ファイル内に示されている問題を修正します。
<EMSTATE>ディレクトリに移動し、次のファイルを削除します。
<EMSTATE>/agentpatch/6867392
<EMSTATE>
ディレクトリに移動し、次のコマンドを実行して共有エージェントを停止します。
<EMSTATE>/bin/emctl stop agent
次のコマンドを実行して、共有エージェントを再起動します。
<EMSTATE>/bin/emctl start agent
注意: 共有エージェントをアップグレードした後は、<EMSTATE>_<timestamp>.Upgrade_Failedディレクトリを削除してもかまいません。 |