この章では、Sun Cluster サーバーに Sun Cluster HA for Apache をインストールして構成する手順について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Sun Cluster HA for Apache は、フェイルオーバーサービスまたはスケーラブルサービスとして構成することができます。各サービスの概念については、第 1 章「Sun Cluster データサービスの計画」および『Sun Cluster 3.0 の概念』を参照してください。
Sun Cluster HA for Apache をインストールする前に、Apache 構成ファイル (httpd.conf) の以下の情報を更新する必要があります。
ホスト名を含む ServerName 命令。Sun Cluster HA for Apache の高可用性を実現するには、サーバーのアクセスに使用されるネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) の名前を、この命令に設定します。論理ホスト名または共有アドレスは、クラスタのインストール時に設定されています。設定されていない場合は、『Sun Cluster 3.0 ソフトウェアのインストール』の論理ホスト名と共有アドレスの設定に関する情報を参照して設定してください。
BindAddress 命令。論理ホストまたは共有アドレスをこの命令に設定する必要があります。Apache は、INADDR_ANY にバインドするように設定できるため、Apache データサービスまたは複数のデータサービスの複数のインスタンスを同一ノード上で実行する場合は、各インスタンスを一意のネットワークリソースとポート番号にバインドする必要があります。
ServerType 命令。デフォルトの standalone に設定する必要があります。
ServerRoot 命令。サーバーの conf および log サブディレクトリが通常配置されるディレクトリツリーの最上位を指定します。この命令にはデフォルト値はありません。
クラスタファイルシステムをサーバールートの場所として使用する場合は、Apache ソフトウェアのみを単一のファイルシステムにインストールし、データサービスを実行するすべてのノードが Apache にアクセスできるように設定する必要があります。バイナリファイルの配置については、「アプリケーションバイナリの格納先の決定」を参照してください。
単一の Apache バイナリを使用する複数のインスタンスを持つことができます。構成ファイルの場所は、Confdir_list リソースプロパティで指定します。次の例を参照してください。
(Apache バイナリの場所 -- Bin_dir プロパティの値) /global/apache/bin (構成ファイルの場所 -- Confdir_list プロパティ) /global/websites/dev/conf /global/websites/sqa/conf (httpd.conf ファイルの場所) /global/websites/dev/conf/httpd.conf /global/websites/sqa/conf/httpd.conf |
設定を確認するときなどに、手作業でインスタンスを起動するには、次のコマンドを使用します。Resource Group Manager (RGM) の指示に従う場合は、該当するデータサービスは次のコマンドを発行し、インスタンスを起動します。
# /global/apache/bin/httpd ¥ -f /global/websites/dev/conf/httpd.conf # /global/apache/bin/httpd ¥ -f /global/websites/sqa/conf/httpd.conf |
DocumentRoot 命令。文書ルートディレクトリの場所を指定します。HTML 文書がインストールされる、クラスタファイルシステム上の場所を示します。
ScriptAlias 命令。cgi-bin ディレクトリのクラスタファイルシステム上の場所を含みます。cgi-bin ファイルがインストールされるクラスタファイルシステム上の場所を示します。
Web サーバーに対する URL マッピングの設定では、いくつかの規則に従う必要があります。たとえば、CGI ディレクトリを設定する場合、可用性を維持するには、マップしたディレクトリをクラスタファイルシステムに配置する必要があります。たとえば、CGI ディレクトリを /global/disk-device-group/ServerRoot/cgi-bin にマップします。ここで、disk-device-group は、Apache ソフトウェアを含むディスクデバイスグループを示します。CGI プログラムが、RDBMS などのバックエンドサーバーにアクセスするような状況では、バックエンドサーバーも Sun Cluster によって制御されていることを確認してください。そのサーバーが、Sun Cluster がサポートする RDBMS の場合は、高可用性 RDBMS パッケージを使用してください。サポートしていない場合は、API を使用してサーバーを Sun Cluster の制御下に配置できます。詳細は、『Sun Cluster 3.0 データサービス開発ガイド』を参照してください。
ロックファイルを使用している場合は、httpd.conf ファイルの LockFile 命令の値をローカルファイルに設定してください。
PidFile 命令を使用してローカルファイルを指定します。次に例を示します。
PidFile /usr/local/apache/log/httpd.pid |
サーバーポートまたは複数のポートからアクセスされる Port 命令設定。デフォルト値は、各ノードの httpd.conf ファイルで設定されます。Port_list リソースプロパティは、各 httpd.conf ファイルに指定されているすべてのポートを含む必要があります。
Port_list は、Network_resources_used で定義されているネットワークリソースの、ポートと IP アドレスのすべての組み合わせを Web サーバーが提供することを想定しています。次に例を示します。
Port_list="80/tcp,443/tcp,8080/tcp" |
ホスト |
ポート | プロトコル |
host-1 |
80 |
tcp |
host-1 |
443 |
tcp |
host-2 |
8080 |
tcp |
host-2 |
80 |
tcp |
host-2 |
443 |
tcp |
host-2 |
8080 |
tcp |
ただし、host-1 がポート 80 と 443 のみにサービスを提供し、host-2 はポート 80 と 8080 のみにサービスを提供する場合は、Apache の Port_list は次のように構成できます。
Port_list=host-1:80/tcp,host-1:443/tcp,host-2:80/tcp,host-2:8080/tcp |
また、次の規則が適用されます。
host-1 および host-2 のホスト名と IP アドレス (ネットワークリソース名ではない) を指定する必要があります。
Apache が、Network_resources_used 内の各 host-n ごとに host-n/port を提供する場合、host-1/port-1、host-2/port-2、のような組み合わせの代わりに短い形式を使用できます。次に例を示します。
例 1 ::
Port_list="80/tcp,host-1:443/tcp,host-2:8080/tcp" Network_resources_used=host-1,host-2 |
ホスト |
ポート | プリトコル |
host-1 |
80 |
tcp |
host-1 |
443 |
tcp |
host-2 |
80 |
tcp |
host-2 |
8080 |
tcp |
例 2 ::
Port_list="host-1:80/tcp,host-2:80/tcp" Network_resources_used=net-1,net-2 #net-1 contains host-1. #net-2 contains host-2 and host-3. |
ホスト |
ポート | プロトコル |
host-1 |
80 |
tcp |
host-2 |
80 |
tcp |
Port_list で指定されたすべてのホスト名 (IP アドレス) は、他のスケーラブルリソースの Network_resources_used プロパティで指定されているネットワークリソースに属してはなりません。スケーラブルサービスが、別のスケーラブルリソースによって使用されている IP アドレスを検出すると、Apache リソースの作成に失敗します。
Sun Cluster HA for Apache データサービスと別の HTTP サーバーを実行している場合は、HTTP サーバーがそれぞれ異なるポートで待機するように構成してください。異なるポートで待機するように構成しないと、2 つのサーバーの間でポートの衝突が発生します。
Sun Cluster HA for Apache を登録して構成するには、次の情報を検討し指定する必要があります。
Sun Cluster HA for Apache をフェイルオーバーサービスとして使用するのか、スケーラブルサービスとして使用するのかを決定する。
設定する障害モニターリソースプロパティを決定する (たとえば、Thorough_probe_interval または Probe_timeout など)。ほとんどの場合はデフォルト値で十分です。これらのプロパティについては、「Sun Cluster HA for Apache の拡張プロパティの構成」を参照してください。
Sun Cluster HA for Apache のリソースタイプの名前を指定する。この名前は、SUNW.apache です。
データサービスをマスターするクラスタノードの名前を指定する。
データサービスへのアクセスにクライアントが使用する論理ホスト名 (フェイルオーバーサービスの場合) または共有アドレス (スケーラブルサービスの場合) を指定する。通常、この IP アドレスは、クラスタのインストール時に設定されます。ネットワークアドレスの設定については、『Sun Cluster 3.0 ソフトウェアのインストール』のネットワークアドレスの設定に関する説明を参照してください。
アプリケーションバイナリへのパスを指定する。バイナリは、ローカルディスクまたはクラスタファイルシステムにインストールできます。各場所にインストールした場合の長所と短所については、「アプリケーションバイナリの格納先の決定」を参照してください。
conf ディレクトリのパスを指定する。
Load_balancing_policy が LB_STICKY または LB_STICKY_WILD に設定されているオンラインスケーラブルサービスの場合、Load_balancing_weights を変更するには注意が必要です。サービスがオンラインのときにこれらのプロパティを変更すると、既存のクライアントとの関連がリセットされます。したがって、そのクライアントが以前にクラスタ内の別のノードからサービスを受けていても、異なるノードがそのクライアントの要求を処理します。
同様に、サービスの新しいインスタンスがクラスタで起動された場合は、既存のクライアントとの関連がリセットされることがあります。
スケーラブルプロキシが、スケーラブル Web リソースに LB_STICKY ポリシーを提供する場合は、そのプロキシにも LB_STICKY ポリシーを設定してください。
Confdir_list および Port_list プロパティのエントリを決定する。フェイルオーバーサービスの場合、Confdir_list に登録できるエントリは、1 つだけです。Port_list には複数のエントリを登録できます。スケーラブルサービスの場合は、この 2 つのプロパティに、それぞれ複数のエントリを登録できます。詳細は、「Sun Cluster HA for Apache を登録して構成する」を参照してください。
表 5-1 に、インストールと構成作業について説明している節を示します。
表 5-1 作業マップ: Sun Cluster HA for Apache のインストールと構成
作業 |
参照個所 |
---|---|
Apache のインストール | |
Sun Cluster HA for Apache データサービスパッケージのインストール | |
Sun Cluster HA for Apache データサービスの構成と起動 | |
リソース拡張プロパティの構成 |
この節では、Apache サーバーのインストール手順と、それを Sun Cluster HA for Apache データサービスとして実行する方法について説明します。
Sun Cluster HA for Apache は、Web サーバーまたはプロキシサーバーとして構成された Apache で動作します。
一般的なインストール手順については、Apache の Web サイト (http://www.apache.org) を参照してください。Sun Cluster でサポートされている Apache リリースの一覧については、『Sun Cluster 3.0 ご使用にあたって』を参照してください。
クラスタ内のノードでスーパーユーザーになります。
Apache のマニュアルに記述されている手順に従って Apache をインストールします。
Apache ソフトウェアに付属のマニュアル、または Apache の Web サイト (http://www.apache.org) を参照してください。
httpd.conf 構成ファイルを更新します。
ServerName 命令を設定する。
BindAddress 命令を設定する (任意)。
ServerType、ServerRoot、DocumentRoot、ScriptAlias、LockFile 命令を設定する。
Port 命令を Port_list 標準リソースプロパティと同じ番号に設定する。詳細は、次に説明する手順を参照してください。
Apache をプロキシサーバーとして実行する場合は、プロキシサーバーとして実行するための変更を行う。詳細は、Apache のマニュアルを参照してください。Apache をプロキシサーバーとして実行する場合は、CacheRoot 設定で、クラスタファイルシステム上の場所を示す必要があります。
httpd.conf 内のポート番号が、Port_list 標準リソースプロパティのポート番号と一致していることを確認します。
httpd.conf 構成ファイルを編集し、標準の Sun Cluster リソースプロパティのデフォルト (ポート 80) と一致するようにポート番号を変更できます。または、Sun Cluster HA for Apache を構成するときに、httpd.conf 内の設定と一致するように Port_list を設定できます。
(任意) Apache の起動/停止スクリプトの Bin_dir/apachectl を使用する場合は、スクリプトファイルのパスを更新します。
Apache のデフォルトのパスを変更し、Apache のディレクトリ構造と一致させてください。
構成の変更内容を確認します。
apachectl configtest を実行し、Apache の httpd.conf ファイルが正しい構文になっているかどうかを確認してください。
Apache が使用する論理ホスト名または共有アドレスが、正しく構成されておりオンラインになっていることを確認してください。
apachectl start を実行することによって、Apache サーバーを手作業で起動します。Apache が正しく起動しない場合は、問題を修正してください。
Apache の起動後、次の手順に移行する前に停止します。
Apache のデータサービスパッケージが Sun Cluster データサービス CD からインストールされていない場合は、「Sun Cluster HA for Apache パッケージのインストール」へ進みます。パッケージがインストールされている場合は、「Sun Cluster HA for Apache の登録と構成」へ進みます。
scinstall(1M) ユーティリィティにより、Sun Cluster HA for Apache データサービスパッケージ (SUNWscapc) をクラスタにインストールします。対話型の scinstall を使用すると、Sun Cluster データサービス CD から特定のデータサービスパッケージをインストールすることができます。また、scinstall に -s オプションを指定して非対話型で使用することで、CD 内のすべてのデータサービスパッケージをインストールすることもできます。scinstall は、以下の手順に従って対話型で使用することをお勧めします。
データサービスパッケージは、Sun Cluster の初期インストール時にインストールされます。インストールされていない場合は、ここで説明する手順を使用してインストールしてください。
この手順を実行するには、Sun Cluster データサービス CD が必要です。Sun Cluster HA for Apache をマスターできるすべてのクラスタメンバーで、この手順を実行してください。
データサービス CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
オプションは指定せずに、scinstall を実行します。
scinstall が対話型モードで起動します。
「Add support for new data service to this cluster node.」メニューオプションを選択します。
CD 内にある任意のデータサービスのソフトウェアを読み込むことができます。
scinstall を終了し、ドライブから CD を取り出します。
Sun Cluster HA for Apache を登録し、データサービス用にクラスタを構成するには、「Sun Cluster HA for Apache を登録して構成する」を参照してください。
Sun Cluster HA for Apache データサービスを登録して構成するには、Sun Management Center のクラスタモジュールを使用するか、以下の手順を使用します。
Apache は、フェイルオーバーサービスまたはスケーラブルサービスとして構成できます。
フェイルオーバーサービスとして Apache を構成する場合は、Apache アプリケーションリソースとネットワークリソースは単一のリソースグループに配置します。
スケーラブルサービスとして Apache を構成する場合は、Apache アプリケーションリソースとネットワークリソースのフェイルオーバーリソースグループに、それぞれ 1 つずつスケーラブルリソースグループを作成します。
スケーラブルリソースグループはフェイルオーバーリソースグループに依存します。Apache をスケーラブルサービスとして構成する場合には、追加の手順が必要になります。スケーラブルサービスのみに必要な追加手順については、各手順の先頭に「スケーラブルサービスのみ」と示しています。Apache をスケーラブルサービスとして構成しない場合は、これらの手順を省略してください。
任意のクラスタメンバーでこの手順を実行してください。
クラスタ内のノードでスーパーユーザーになります。
データサービスのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.apache |
データサービスのリソースタイプを追加します。
データサービス用に事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
ネットワークリソースとアプリケーションリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。
このリソースグループは、フェイルオーバーサービスとスケーラブルサービスの両方に必要です。フェイルオーバーサービスの場合、このリソースグループはネットワークリソースとフェイルオーバーアプリケーションリソースの両方を含みます。スケーラブルサービスの場合、ネットワークリソースのみを含みます。このグループとアプリケーションリソースを含むリソースグループとの間に、依存性が作成されます。
必要に応じて、-h オプションを指定してデータサービスを実行できる一群のノードを選択することもできます。
# scrgadm -a -g fo-resource-group-name [-h nodelist] |
新しい構成を追加します。
追加するフェイルオーバーリソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループにする必要があります。
潜在的マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (任意)。フェイルオーバー時は、この順序で主ノードが決まります。
-h を使用してノードリストの順序を指定します。クラスタ内のすべてのノードが潜在的マスターの場合、-h オプションを使用する必要はありません。
使用しているすべてのネットワークアドレスが、ネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。
Sun Cluster のインストールの一部として、この確認を行います。詳細は、『Sun Cluster 3.0 ソフトウェアのインストール』の計画に関する章を参照してください。
ネームサービスの検索が原因で障害が発生するのを防ぐために、すべてのクラスタノードの /etc/hosts ファイルに、すべてのネットワークアドレスが登録されていることを確認してください。サーバーの /etc/nsswitch.conf のネームサービスマッピングは、NIS、NIS+、DNS にアクセスする前に、最初にローカルファイルを検査するように構成してください。
ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) を、手順 3 で作成したフェイルオーバーリソースグループに追加します。
# scrgadm -a {-S | -L} -g fo-resource-group-name ¥ -l hostname, ... [-j resource-name] ¥ [-X auxnodelist=nodeid, ...] [-n network-interface-id-list] |
共有アドレスリソースには -S を、論理ホスト名リソースには -L を使用します。
追加するネットワークリソースをコンマで区切って指定します。-j オプションを使用してリソース名を指定できます。リソース名を指定しないと、ネットワークリソースの名前は、コンマで区切ったリストの最初の名前になります。
手順 3 で作成したフェイルオーバーリソースグループ名を指定します。
リソースの名前を指定します。リソース名を指定しない場合、ネットワークリソース名は、デフォルトで -l オプションで最初に指定した名前になります。
共有アドレスをホストできるクラスタノード (ただし、フェイルオーバー時に主ノードとして使用されない) を識別するノード ID をコンマで区切って指定します。このオプションを指定した場合は、これらのノードは、リソースグループの nodelist で指定されるノードと相互に排他的になります。
各ノードの NAFO グループをコンマで区切って指定します (任意)。リソースグループの nodelist 内のすべてのノードが、network-interface-list に含まれている必要があります。このオプションを指定しない場合は、scrgadm は、nodelist 内の各ノードの hostname リストによって指定されるサブネット上からネットアダプタを見つけようとします。
スケーラブルサービスのみ: クラスタ内の希望するすべてのノードで実行するスケーラブルリソースグループを作成します。
Sun Cluster HA for Apache をフェイルオーバーデータサービスとして実行している場合は、手順 8 へ進んでください。
データサービスアプリケーションリソースを保持するリソースグループを作成します。主ノードの最大数と希望数、およびこのリソースグループと 手順 3 で作成したフェイルオーバーリソースグループとの間の依存性について指定する必要があります。この依存性によって、フェイルオーバー時に 2 つのリソースグループが同じノードでオンラインになったとき、Resource Group Manager (RGM) は、ネットワークリソースに依存する任意のデータサービスが開始される前に、そのネットワークリソースを開始できます。
# scrgadm -a -g ss-resource-group-name ¥ -y Maximum_primaries=m -y Desired_primaries=n ¥ -y RG_dependencies=resource-group-name |
追加するスケーラブルサービスリソースグループの名前を指定します。
このリソースグループに許可するアクティブ主ノードの最大数を指定します。このプロパティに値を指定しない場合は、デフォルトの 1 になります。
このリソースグループに許可するアクティブ主ノードの希望数を指定します。このプロパティに値を指定しない場合は、デフォルトの 1 になります。
作成されたリソースグループが依存する、共有アドレスリソースを含むリソースグループを指定します。これは、手順 3 で作成したフェイルオーバーリソースグループの名前です。
スケーラブルサービスのみ: スケーラブルリソースグループにアプリケーションリソースを作成します。
Sun Cluster HA for Apache をフェイルオーバーデータサービスとして実行している場合は、手順 8 へ進んでください。
# scrgadm -a -j resource-name -g ss-resource-group-name ¥ -t resource-type-name -y Network_resources_used=network-resource, ... ¥ -y Port_list=port-number/protocol[, ...] -y Scalable=True ¥ -x Confdir_list=config-directory -x Bin_dir=bin-directory |
追加するリソースの名前を指定します。
リソースが配置されるスケーラブルリソースグループの名前を指定します。
追加するリソースの種類を指定します。
データサービスが使用する共有アドレスを指定するネットワークリソース名をコンマで区切って指定します。
使用するポート番号とプロトコルをコンマで区切って指定します (例: 80/tcp,81/tcp)。
スケーラブルサービスの必須パラメータを指定します。True に設定してください。
Apache 構成ファイルの場所をコンマで区切って指定します。これは必須拡張プロパティです。
Apache バイナリをインストールする場所を指定します。これは必須拡張プロパティです。
必要に応じて、Apache データサービスに属する拡張プロパティをさらに設定し、デフォルト値を上書きできます。追加の拡張プロパティについては、表 5-2 を参照してください。
フェイルオーバーサービスのみ: フェイルオーバーリソースグループにアプリケーションリソースを作成します。
ここで説明する手順は、Sun Cluster HA for Apache をフェイルオーバーデータサービスとして使用している場合にのみ実行してください。Sun Cluster HA for Apache をスケーラブルサービスとして使用している場合は、手順 6 および 手順 7 を実行し、手順 10 へ進んでください。
# scrgadm -a -j resource-name -g resource-group-name ¥ -t resource-type-name -y Network_resources_used=network-resource, ... ¥ -y Port_list=port-number/protocol[, ...] -y Scalable=False ¥ -x Confdir_list=config-directory -x Bin_dir=bin-directory |
追加するリソースの名前を指定します。
リソースが配置されるリソースグループの名前を指定します。これは、手順 3 で作成したものです。
追加するリソースの種類を指定します。
追加するリソースの種類を指定します。
使用するポート番号とプロトコルをコンマで区切って指定します (例: 80/tcp,81/tcp)。
このプロパティは、スケーラブルサービスにのみ必要です。False に設定するか省略します。
Apache 構成ファイルの場所を指定します。これは必須拡張プロパティです。エントリは 1 つだけです。
Apache バイナリをインストールする場所を指定します。これは必須拡張プロパティです。
フェイルオーバーリソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g fo-resource-group-name |
共有アドレスリソースと障害モニターを有効に設定し、リソースグループを管理状態に切り替え、オンラインにします。
フェイルオーバーリソースグループの名前を指定します。
スケーラブルサービスのみ:スケーラブルリソースグループをオンラインにします。
# scswitch -Z -g ss-resource-group-name |
リソースとモニターを有効に設定し、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。
スケーラブルリソースグループの名前を指定します。
スケーラブルサービスの場合、2 つのリソースグループを作成します。1 つは、ネットワークリソースを含むフェイルオーバーリソースグループです。もう 1 つは、アプリケーションリソースを含むスケーラブルリソースグループです。次に、スケーラブル Apache サービスを 2 ノードクラスタに登録する例を示します。
Cluster Information Node names: phys-schost-1, phys-schost-2 Shared address: schost-1 Resource groups: sa-schost-1 (共有アドレスの場合), ap-schost-1 (スケーラブル Apache アプリケーションリソースの場合) Resources: schost-1 (共有アドレス), apache-1 (Apache アプリケーションリソース) (フェイルオーバーリソースグループを追加して共有アドレスを含む) # scrgadm -a -g sa-schost-1 (共有アドレスリソースをフェイルオーバーリソースグループに追加する) # scrgadm -a -S -g sa-schost-1 -l schost-1 (Apache リソースタイプを登録する) # scrgadm -a -t SUNW.apache (スケーラブルリソースグループを追加する) # scrgadm -a -g ap-schost-1 -y Maximum_primaries=2 ¥ -y Desired_primaries=2 -y RG_dependencies=sa-schost-1 (Apache アプリケーションリソースをスケーラブルリソースグループに追加する) # scrgadm -a -j apache-1 -g ap-schost-1 ¥ -t SUNW.apache -y Network_resources_used=schost-1 ¥ -y Scalable=True -y Port_list=80/tcp ¥ -x Bin_dir=/opt/apache/bin -x Confdir_list=/opt/apache/conf (フェイルオーバーリソースグループをオンラインにする) # scswitch -Z -g sa-schost-1 (両方のノードで、スケーラブルリソースグループをオンラインにする) # scswitch -Z -g ap-schost-1 |
次に、フェイルオーバー Apache サービスを 2 ノードクラスタで登録する例を示します。
Cluster Information Node names: phys-schost-1, phys-schost-2 Logical hostname: schost-1 Resource group: lh-schost-1 (すべてのリソースの場合) Resources: schost-1 (論理ホスト名), apache-1 (Apache アプリケーションリソース) (フェイルオーバーリソースグループを追加してすべてのリソースを含む) # scrgadm -a -g lh-schost-1 (論理ホスト名リソースをフェイルオーバーリソースグループに追加する) # scrgadm -a -L -g lh-schost-1 -l schost-1 (Apache リソースタイプを登録する) # scrgadm -a -t SUNW.apache (Apache アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに追加する) # scrgadm -a -j apache-1 -g lh-schost-1 ¥ -t SUNW.apache -y Network_resources_used=schost-1 ¥ -y Scalable=False -y Port_list=80/tcp ¥ -x Bin_dir=/opt/apache/bin -x Confdir_list=/opt/apache/conf (フェイルオーバーリソースグループをオンラインにする) # scswitch -Z -g lh-schost-1 |
「データサービスのインストールと構成を確認する」を参照し、インストールを確認してください。リソース拡張プロパティを設定または変更する場合は、「Sun Cluster HA for Apache の拡張プロパティの構成」を参照してください。
SUNW.HAStorage リソースタイプは、HA 記憶装置とデータサービス間の動作を同期させます。Sun Cluster HA for Apache はスケーラブルなので、SUNW.HAStorage を設定することを強く推奨します。
このリソースタイプの詳細については、SUNW.HAStorage(5) のマニュアルページおよび 「リソースグループとディスクデバイスグループの関連性」を参照してください。設定手順については、「新しいリソース用に SUNW.HAStorage リソースタイプを設定する」を参照してください。
Sun Cluster HA for Apache を構成した後、ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) およびポート番号を使用し、Web ブラウザから Web ページを表示できることを確認します。scswitch(1M) コマンドを使用してスイッチオーバーを実行し、サービスが引き続き二次ノードでも実行でき、さらに元の主ノードに戻すことができることを確認してください。
Apache サーバーリソースを作成するための必須拡張プロパティは、Confdir_list と Bin_dir だけです。Confdir_list は、conf という名前のサブディレクトリを含むディレクトリを指定します。conf には、Apache の構成プロパティ (httpd.conf) が存在します。
すべての Sun Cluster プロパティについての詳細は、付録 A 「標準プロパティ」 を参照してください。
通常、拡張プロパティは、Apache サーバーリソースの作成時に、Sun Management Center のクラスタモジュールを使用するか、scrgadm -x parameter=value コマンド行を使用して構成します。または、第 9 章「データサービスリソースの管理」で説明する手順を使用して後で構成することもできます。
拡張プロパティには、動的に更新されるものと、リソースが作成されたときにのみ更新されるものとがあります。表 5-2 に、Apache サーバーに設定できる拡張プロパティを示します。調整の列は、いつプロパティを更新できるかを示しています。
表 5-2 表 5-2 Sun Cluster HA for Apache 拡張プロパティ
名前/データタイプ |
デフォルト |
範囲 |
調整 |
説明 |
---|---|---|---|---|
Bin_dir (文字列) |
なし |
なし |
作成時 |
Apache バイナリへのパス。これは必須拡張プロパティです。 |
Confdir_ list (文字配列) |
なし |
なし |
作成時 |
conf サブディレクトリを含むディレクトリ。conf は、httpd.conf 構成ファイルを含みます。これは必須拡張プロパティです。 |
Monitor_ retry_ count (整数) |
4 |
0 - 2,147,483,641
-1 は、再試行の数が無限であることを示す。 |
作成時 |
障害モニターの再起動を制御し、 Monitor_retry_interval プロパティによって指定された時間範囲内に、プロセスモニターが障害モニターを再起動する回数を指定します。このプロパティは、障害モニターの再起動について制御するのであって、リソースの再起動を制御するわけではありません。リソースの再起動は、システム定義プロパティの Retry_interval および Retry_count によって制御されます。 |
Monitor_ retry_ interval (整数) |
2 |
0 - 2,147,483,641
-1 は、再試行の間隔が無限であることを示す。 |
作成時 |
障害モニターの失敗がカウントされる期間 (分)。この期間内に、障害モニターの失敗の数が、拡張プロパティ Monitor_retry_count で指定した値を超えた場合、プロセスモニターは障害モニターを再起動しません。 |
Probe_ timeout (整数) |
30 |
0 - 2,147,483,641 |
作成時 |
Apache インスタンスの検証に障害モニターが使用するタイムアウト値 (秒)。 |