この章の内容は次のとおりです。
Service Availability Manager は、Sun Management Center 3.5 ソフトウェアのアドオンであり、インターネットサービスの可用性を監視できるようにします。ローカルまたはリモートで実行されているサービスを監視することができます。Service Availability Manager を使用することで、次に示すインターネットサービスの可用性を測定し監視できます。
HTTP プロトコルを使用する Web サービス
LDAP (バージョン 3)、DNS、または NIS (バージョン 2) プロトコルを使用するディレクトリサービス
telnet サービス
FTP プロトコルを使用するファイル転送サービス
SMTP、IMAP4、または POP3 プロトコルを使用するメールサービス
SolarisTM カレンダサービス
Service Availability Manager は、Sun Management Center のエージェントモジュールを使用して、サービスの可用性を測定し監視します。異なるサービスをローカルまたはリモートで監視するには、エージェントモジュールをロードする必要があります。サービスをローカルで監視するには、サービス要素モジュールを使用します。サービスをリモートで監視するには、合成トランザクションモジュールを使用します。モジュールはロードされると、サービスの状態を表示します。
モジュールは、要求のパラメータに従って、サービス要求を定期的に送信し、要求の応答時間を測定します。また、さまざまなサービスを監視する Sun Management Center のモジュールセットをグループ化し、それらの状態の高度な要約を表示することもできます。サービスを監視するモジュールの論理グループは、サービスオブジェクトと呼ばれる複合オブジェクトで表されます。GUI (グラフィカルユーザインターフェース) のサービスマネージャには、サービスの状態の要約が高いレベルで表示されます。この GUI は、Sun Management Center 3.5 の Java™ アプリケーションコンソールから起動できます。
Service Availability Manager を使用する前に、いくつかの作業を実行する必要があります。ここでは、作業の概要について説明します。詳細な手順については、以降の章で説明します。実行する必要がある作業の概要は以下のとおりです。
Sun Management Center 3.5 サーバ層と、サービスの監視を行うすべてのエージェント層にアドオンソフトウェアをインストールします。
セットアップスクリプトまたはウィザードを使用して、エージェント層およびサーバ層にソフトウェアをセットアップします。
ローカルでサービスを監視するには、サービスを実行している各ホストに サービス要素モジュールをロードします。
リモートで実行されているサービスを監視するには、ホストに 合成トランザクションをロードします。
サービス要素および 合成トランザクションモジュールにより、サービスを監視できるようになります。ホストの詳細ビューにモジュールによって収集された情報が表示されます。
これらの作業を完了した後、Service Availability Manager を使ってサービスの可用性の状態を表示できます。利用可能なサービスの概要とその状態を見るには、次の作業を行う必要があります。
ホストにサービスオブジェクトを作成します。これは、Sun Management Center 3.5 の検出機能または Create Object ユーティリティーのいずれかを使用して行えます。
作成したサービスオブジェクトを右クリックします。表示されたメニューから、次のいずれか 1 つを選択します。
「サービスオブジェクトの変更」– サービス要素モジュールまたは 合成トランザクションモジュールのセットを使用して、サービスオブジェクトをカスタマイズします。
「サービスマネージャ」– サービスの可用性について概要を表示します。
Service Availability Manager は、合成トランザクションモジュールを使用して、サービスをリモートで監視します。synthetic (ダミー) transactions は、サービスの使用をシミュレーションします。合成トランザクションは、DNS 解決時間、合計トランザクション時間、あるいは接続時間などの性能統計を測定するのに使用できます。Service Availability Manager には、10 種類の合成トランザクションモジュールが含まれています。詳細については、合成トランザクションモジュールの概要を参照してください。
ローカルシステム上のサービスを監視するために、Service Availability Manager は サービス要素モジュールを使用します。サービス要素モジュールは指定された構成パラメータに従って定期的に要求を送信します。 このようにして、サービスの可用性と応答時間の両方を判断できます。Service Availability Manager には 10 種類のサービス要素モジュールがあります。詳細については、サービス要素モジュールの概要を参照してください。次の図に、DNS サービス要素モジュールの例を示します。
サービスオブジェクトは、サービス要素モジュールと 合成トランザクションモジュールを含む複合オブジェクトです。 サービスオブジェクトをカスタマイズするときは、「サービスオブジェクトの変更」ダイアログボックスを使用して、希望するモジュールセットを選択します。詳細については、第 5 章「Service Availability Manager GUI」を参照してください。
サービスマネージャ GUI は、サービスオブジェクトに含まれているすべてのサービスの可用性を単一ビューに表示します。GUI は、Sun Management Center 3.5 Java コンソールのみにリンクします。
サービスマネージャは、ローカルおよびリモートで実行されている異なるサービスの可用性を表示します。表内のデータは動的に更新されて、サービスのリアルタイムな状態を反映します。詳細については、第 5 章「Service Availability Manager GUI」を参照してください。
次の図は、ネットワーク上で Service Availability Manager をどのように使用できるかを示しています。
この例では、単一の Sun Management Center サーバと 3 つのエージェントが示されています。
ホスト A は米国に置かれています。Web サーバが起動しています。HTTP サービス要素モジュールがロードされています。
ホスト B は中国に置かれています。HTTP 合成トランザクションモジュールがロードされています。
ホスト C は日本に置かれています。2 つの HTTP 合成トランザクションモジュールがロードされています。
ホスト D はインドに置かれています。このホストにはエージェントがありません。Web サーバが起動しています。
この構成の場合、ホスト A のシステム管理者はローカルで実行されている Web サーバを監視できます。このシステム管理者は、さらに、ホスト A の Web サーバの状態および性能を、ホスト B および C からリモートで確認することができます。ホスト B および C にロードされた HTTP 合成トランザクションモジュールにより、リモート監視が可能になります。
ホスト D では、Web サーバが起動していますが、エージェントはインストールされていません。したがって、システム管理者はローカルでサービスを監視できません。ただし、このサービスはホスト C からリモート監視することができます。ホスト C にロードされている HTTP 合成トランザクションモジュールにより、ホスト D の Web サーバのリモート監視が可能になります。