PPP リンクマネージャは、IP 接続に対する要求を受信したときに PPP リンクを自動的に確立します。この処理は通常透過的ですが、リンクの種類によって応答が多少異なる場合があります。
いったん作成された同期リンクは、各エンドポイントがアクティブであるかぎり利用可能です。同期リンクにおいて IP 接続を確立するには、リモート側のホスト名または IP アドレスを付けた UNIX コマンドを入力します。リンクの回線速度に多少影響されますが、コマンドに対してほとんど即時に応答が返ってくるはずです。
たとえば、同期リンクを使用してリモートホストとの telnet(1) 接続を確立するには、以下のように入力します。
prompt% /usr/bin/telnet hostname Trying xxx.xxx.xxx.38 ... Connected to hostname. Escape character is '^]'. UNIX(r) System V Release 4.0 (hostname) |
非同期リンクにおいて IP 接続を確立するには、リモート側のホスト名または IP アドレスを付けた UNIX コマンドを入力します。非同期リンクを確立する場合は、必ず接続前に短時間の遅延があります。これは、PPP ネゴシエーションを行い非同期リンクを確立するために要する時間です。遅延時間は、通常 1 分未満です。
ログファイル /var/opt/SUNWconn/ppp.log を見ることによって、接続の進行状況を監視することができます。
IP アドレスの動的割り当て機能が有効な場合は、PPP リンクでの IP 接続の確立に必要な IP アドレスをサーバーがクライアントに渡すための接続フェーズを起動する必要があります。
pppconn(1M) を使用してサーバーとの PPP リンクを確立します。
pppconn を使用して PPP リンクを作成し、サーバーから IP 情報を取り出し、IP インタフェースを初期化します。
prompt# /usr/bin/pppconn hostname Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptp0 Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.38 IP mtu : 1500 |
以下の例のようにコマンドとホスト名を入力して、PPP リンクにおける IP 接続を確立します。
prompt% /usr/bin/telnet hostname Trying xxx.xxx.xxx.38 ... Connected to hostname. Escape character is '^]'. UNIX(r) System V Release 4.0 (hostname) |
クライアント側で定義されている IP インタフェースが 1 つだけの場合は、引数なしで pppconn を起動することができます。
prompt# /usr/bin/pppconn Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptp0 Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.01 IP mtu : 1500 |
特定の IP インタフェースを指定するには、-i オプションを付けて pppconn を起動します。
prompt# /usr/bin/pppconn -i ipdptpn Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptpn Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.01 IP mtu : 1500 |
構成ファイル link.conf 中に指定されていない電話番号でホスト hostname への PPP 接続を開始するには、以下のように入力します。
prompt# /usr/bin/pppconn hostname number Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptp0 Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.01 IP mtu : 1500 |
pppconn によって確立されたリンクは、明示的に切断されるかまたは非活動タイマーに設定されている時間が経過するまでオープン状態のままとなります。使用中のリンクに障害が発生した場合は、IP アプリケーションを停止してから pppconn によってリンクを確立しなおしてください。この処理が必要であるのは、サーバーが新しいリンクに対して同じ IP アドレスを設定するとはかぎらないからです。