この章では、マシン上で Solstice PPP を起動する方法、PPP リンクにおいて IP 接続を確立する方法、接続を切断する方法について説明します。マシン上に Solstice PPP がインストールされ構成されていることを前提とします。
ネットワーク構成を反映するように構成ファイルを編集後、Solstice PPP を起動することができます。 Solstice PPP を起動すると、PPP リンクマネージャ、PPP ログインサービス、IP ダイヤルアップ層が初期化され、定義した同期リンクそれぞれが確立されます。
デフォルトでは、マシンをリブートするたびに Solstice PPP が起動されます。Solstice PPP はネームサービス (NIS/NIS+) が使用可能になる前に起動されるので、Solstice PPP の起動時に必要なホスト情報は /etc/hosts と /etc/passwd のローカルファイルにある必要があります。
Solstice PPP の停止や構成ファイルの変更を行なった後、マシンをリブートしなくても手動で Solstice PPP を再起動することができます。
Solstice PPP の初期設定スクリプトを手動で実行する手順は、以下のとおりです。
root としてログインするか、またはスーパーユーザーになります。
以下のように入力して、PPP 初期設定スクリプトを起動オプションを付けて実行します。
prompt# /etc/init.d/ppp start |
マシンがサーバーとして構成されている場合、つまりマシンが着信呼を受け付ける場合は、pppsetmod を実行してモデムを構成します。
PPP リンクマネージャは、IP 接続に対する要求を受信したときに PPP リンクを自動的に確立します。この処理は通常透過的ですが、リンクの種類によって応答が多少異なる場合があります。
いったん作成された同期リンクは、各エンドポイントがアクティブであるかぎり利用可能です。同期リンクにおいて IP 接続を確立するには、リモート側のホスト名または IP アドレスを付けた UNIX コマンドを入力します。リンクの回線速度に多少影響されますが、コマンドに対してほとんど即時に応答が返ってくるはずです。
たとえば、同期リンクを使用してリモートホストとの telnet(1) 接続を確立するには、以下のように入力します。
prompt% /usr/bin/telnet hostname Trying xxx.xxx.xxx.38 ... Connected to hostname. Escape character is '^]'. UNIX(r) System V Release 4.0 (hostname) |
非同期リンクにおいて IP 接続を確立するには、リモート側のホスト名または IP アドレスを付けた UNIX コマンドを入力します。非同期リンクを確立する場合は、必ず接続前に短時間の遅延があります。これは、PPP ネゴシエーションを行い非同期リンクを確立するために要する時間です。遅延時間は、通常 1 分未満です。
ログファイル /var/opt/SUNWconn/ppp.log を見ることによって、接続の進行状況を監視することができます。
IP アドレスの動的割り当て機能が有効な場合は、PPP リンクでの IP 接続の確立に必要な IP アドレスをサーバーがクライアントに渡すための接続フェーズを起動する必要があります。
pppconn(1M) を使用してサーバーとの PPP リンクを確立します。
pppconn を使用して PPP リンクを作成し、サーバーから IP 情報を取り出し、IP インタフェースを初期化します。
prompt# /usr/bin/pppconn hostname Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptp0 Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.38 IP mtu : 1500 |
以下の例のようにコマンドとホスト名を入力して、PPP リンクにおける IP 接続を確立します。
prompt% /usr/bin/telnet hostname Trying xxx.xxx.xxx.38 ... Connected to hostname. Escape character is '^]'. UNIX(r) System V Release 4.0 (hostname) |
クライアント側で定義されている IP インタフェースが 1 つだけの場合は、引数なしで pppconn を起動することができます。
prompt# /usr/bin/pppconn Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptp0 Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.01 IP mtu : 1500 |
特定の IP インタフェースを指定するには、-i オプションを付けて pppconn を起動します。
prompt# /usr/bin/pppconn -i ipdptpn Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptpn Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.01 IP mtu : 1500 |
構成ファイル link.conf 中に指定されていない電話番号でホスト hostname への PPP 接続を開始するには、以下のように入力します。
prompt# /usr/bin/pppconn hostname number Connect to hostname Connecting... Connected over ipdptp0 Local IP address : xxx.xxx.xxx.119 Remote IP address: xxx.xxx.xxx.01 IP mtu : 1500 |
pppconn によって確立されたリンクは、明示的に切断されるかまたは非活動タイマーに設定されている時間が経過するまでオープン状態のままとなります。使用中のリンクに障害が発生した場合は、IP アプリケーションを停止してから pppconn によってリンクを確立しなおしてください。この処理が必要であるのは、サーバーが新しいリンクに対して同じ IP アドレスを設定するとはかぎらないからです。
同期リンクは Solstice PPP の起動時に確立され、Solstice PPP の停止時に通常は切断されます。
非同期リンクは、指定の非活動時間が経過すると自動的に切断されます。デフォルトでは、非活動タイムアウト時間として 120 秒が設定されています。このパラメータをファイル /etc/opt/SUNWconn/ppp/ppp.conf で変更すると、非活動タイムアウト時間を変更することができます。詳しい手順については、「非同期パス (dialup_path) の定義」を参照してください。
各エンドポイントで指定する非活動タイムアウトがあります。短い方の非活動タイムアウトに達したときに接続が切断されます。非活動タイムアウトとして各エンドポイントでゼロが設定されている場合は、明示的に切断されるまでリンクはオープン状態のままとなります。
非活動タイムアウトが経過する前に、Solstice PPP の停止と起動を行わないまま接続を手動で切断するには、pppdisc(1M) を使用します。
prompt# /usr/bin/pppdisc hostname Disconnect from hostname Disconnecting ... Disconnected |
クライアント側に定義されている IP インタフェースが 1 つだけの場合は、引数なしで pppdisc を起動することができます。
prompt# /usr/bin/pppdisc Disconnect from hostname Disconnecting ... Disconnected |
特定の IP インタフェースを指定するには、-i オプションを付けて pppdisc を起動します。
prompt# /usr/bin/pppdisc -i ipdptpn Disconnect from hostname Disconnecting ... Disconnected |
Solstice PPP を手動で停止する手順は、以下のとおりです。