Trusted Solaris 管理の手順

.copy_files および .link_files の使い方

.copy_files および .link_files は Trusted Solaris に導入された新しいシステムファイルです。これらのファイルを使うと、ユーザーや管理者は、各アカウントのホームディレクトリの MLD に作成された SLD 間でのスタートアップファイルのコピーやリンクの作成を自動化できます。これらのファイルはアカウントの最下位の機密ラベルの SLD に作成されます。ユーザーまたは管理者は、最下位機密ラベルの SLD から他のラベルの SLD にコピーまたはリンクされるファイルをそれぞれ .copy-files または.link-files にリストすることができます。どのファイルのコピーやリンクを作成するかは、設定を行うユーザーの判断に任されます。

新しいラベルにワークスペースが作成されるといつも dtsession(1)updatehome(1M) コマンドを実行して、アカウントの最下位ラベルの SLD の .copy_files.link_files を読み込み、一覧表示されたファイルを新しいワークスペースにコピーあるいはリンクします。

updatehome コマンドは、コピーおよびリンク制御ファイルを読み、次の表に示すような処理を行います。

表 3-5 updatehome の動作とそのタイミング
 タイミング 処理
 ログインセッションの間に新しい機密ラベルで新しいワークスペースが作成された時アカウントの最下位機密ラベルの SLD から新規ラベルの SLD に、.copy_files のファイルをコピーし、.link_files のファイルをリンク
 ログインセッションの開始時アカウントの最下位機密ラベルの SLD から既存のホームディレクトリの全 SLD に .copy_files のファイルをコピーし、.link_files のファイルをリンク

.copy_files を使った SLD 間のファイルのコピー

最下位機密ラベルの SLD から他のラベルで作成された 2 番目以降の SLD に任意のファイルがコピーされると、そのファイルがユーザーにより編集され、異なる SLD 内に異なるバージョンのファイルが存在することになります。SLD 間のファイルのコピーが必要となるのは、たとえば異なる機密ラベルで作業しているユーザーが、ラベルごとに異なるメールエイリアスを使いたいという場合などです。各 SLD に .Xdefaults-hostname のコピーを配置するには .copy_files ファイルの一覧に.Xdefaults-hostname を加えます。詳細は、「ホームディレクトリ内の複数の SLD にスタートアップファイルを配置するには」を参照してください。

上記の手順において、管理者役割は任意のスケルトンディレクトリを作成し (またはデフォルトの /etc/skel を使用して)、そのスケルトンディレクトリにスタートアップファイルの汎用コピーを配置します。さらに、管理者はこのスケルトンディレクトリ内に、マスターの .copy_files (すべてのホーム SLD にコピーしたいスタートアップファイルの一覧を記述したもの) ならびにマスターの .link_files (すべてのホーム SLD にリンクしたいファイルの一覧を記述したもの) を作成します。その後、ユーザーアカウントの設定時に、管理者役割がこの変更されたスケルトンディレクトリのパス名を指定すると、スケルトンディレクトリ内のすべてのファイル (.link_files.copy_files を含む) が指定のユーザーのホームディレクトリ内の最下位の機密ラベルの SLD にコピーされます。続いて .link_files ならびに .copy_files 内の情報に基づいて、最初の SLD 内の指定されたファイルが、2 番目以降に作成された各 SLD にコピーまたはリンクされることになります。

.link_files を使った SLD 間でのファイルのリンク

ある SLD 内の 1 つの初期化ファイルが変更されると、そのファイルがリンクされているすべての SLD 内の、あらゆるラベルのファイルすべてが、同じように変更されます。

たとえば、Confidential ワークスペース内にリンクされている .cshrc を変更した場合、その変更はファイルがリンクされているすべての他のラベルの SLD 内の .cshrc ファイルに適用されます。詳細は、「ホームディレクトリ内の複数の SLD にスタートアップファイルを配置するには」を参照してください。

SLD 間でのファイルのコピーやリンクを行うためのワークシート

よく使われるファイルのうち、どのファイルをコピーまたはリンクするかを決めるためのワークシートの例を以下に示します。

表 3-6 SLD 間でのスタートアップファイルのコピーやリンクを行うためのワークシート
 よく使われる スタートアップファイルコピーするもの (.copy_files に記述) コピー するもの (.link_files に記述)
.bugtraqrc   
.cshrc   
.dtprofile  
.login   
.Xdefaults  
.Xdefaults-hostname   
.mailrc  
.newsrc   
.profile