デフォルトでは、Trusted Solaris のフロントパネルのメールパネルから起動されるメールアプリケーションは dtmail になります。Trusted Solaris システムでは、これを別のメールアプリケーションに置き換えることが可能です。ただし、そのメーラーが完全なマルチレベル対応のメール機能を提供できるようにするための、置き換えに必要な設定作業を行えるのは管理者役割だけです。
管理者による処理がなくても、各ユーザーは代替メールアプリケーションのアクションをフロントパネルにドラッグ&ドロップすることで、新しくインストールされたメーラーを現在のワークスペースの機密ラベルで使用することができます。しかし、このような方式でアクションをインストールした場合、複数の機密ラベルによるメールの監視が行えなくなります。したがって、このような方式は、単一機密ラベルを使っているサイトでのみ有効です。
管理者役割は次のことが行えます。
フロントパネル制御ファイルを変更し、代替メールアクションをすべてのユーザーが使えるようにすること (「フロントパネルの代替メールアクションをすべてのユーザーが使えるようにするには」を参照のこと)。
代替メールアクションの制御ファイルを各ユーザーに配布し、代替の制御ファイルを各ユーザーのフロントパネルの「メール (Mail)」サブパネルにドラッグ&ドロップする方法を指示すること (「代替メールアプリケーション用のマルチレベルアクションを作成するには」を参照のこと)。
代替メールアクションをフロントパネルにインストールする場合、そのメールアプリケーションに対応するアプリケーションを定義しなければなりません。「フロントパネルの代替メールアクションをすべてのユーザーが使えるようにするには」では、Dtmail の代わりに OpenWindows の mailtool を使用する例を示します。/usr/dt/appconfig/types/localename/sunOW.dt に定義されている OpenWindows の mailtool アクションを次の例に示します (localename はロケール名を示しています)。
ACTION OWmailtool { LABEL OW Mail Tool ICON OWmailtool TYPE COMMAND WINDOW_TYPE NO_STDIO EXEC_STRING /usr/openwin/bin/mailtool } |
代替メールアイコンをインストール中に、またはデフォルトのメールアイコンを削除中にメールが到着した場合には問題が起こる場合があります。このため、これらの作業を行う場合は前もって sendmail を停止させ、作業が終了してから sendmail を最起動するとよいでしょう。
すべてのメールアイコンがフロントパネルから消えた場合、アカウントのホームディレクトリの /.dt/fp.dynamics ディレクトリを調査してください。システムの運用中は、フロントパネルに対するすべての変更は、そのセッションの認可上限で各アカウントの $HOME
/.dt/fp.dynamics に保存されています。fp.dynamics の内容をバックアップディレクトリにコピーし、フロントパネルの設定が復旧するまでそのファイルをひとつずつ戻します。
次の操作は、アカウントがシステムでメールの受け取りを開始する前に行なってください。そうしない場合、ウィンドウシステムが各ホームディレクトリ MLD の各 SLD にある .dt/fp.dynamics に作成したディレクトリの内容をきれいにすることが必要となることがあります。
管理者役割になり、ADMIN_LOW
ワークスペースにいることを確認します。
必要に応じて、「ログイン後、特定の管理役割になるには」を参照してください。
dtterm(1) などの端末エミュレータにおいて、/etc/init.d ディレクトリに移動し、sendmail を停止します。
$ cd /etc/init.d $ sendmail stop |
セキュリティ管理者役割になり、ADMIN_LOW
ワークスペースに移動します。
代替メールアクションにアクションが定義されていることを確認します。
必要に応じて、「他のメールアプリケーションを代用するには」を参照してください。
アプリケーションマネージャの「システム管理 (System_Admin)」フォルダの「管理用エディタ (Admin Editor)」アクションを使用して、/usr/dt/appconfig/types/locale_name/dtwm.fp を開き、編集を行います (locale_name はロケール名を示しています)。
必要に応じて、「管理用エディタアクションを使用してファイルを編集するには」を参照してください。
次に示すようなメールの制御を行うセクションを検索します。
CONTROL Mail { TYPE icon CONTAINER_NAME Top CONTAINER_TYPE BOX POSITION_HINTS 5 ICON DTmail LABEL Mail ALTERNATE_ICON DtMnew MONITOR_TYPE mail DROP_ACTION Compose PUSH_ACTION DTWmail PUSH_RECALL true CLIENT_NAME dtmail HELP_TOPIC FPOnItemMail HELP_VOLUME FPanel } |
TYPE、CONTAINER_NAME、CONTAINER_TYPE、POSITION_HINTS は、以下に示すようにそのままにしておきます。
TYPE icon CONTAINER_NAME Top CONTAINER_TYPE BOX POSITION_HINTS 5 |
ICON フィールドの値を、代替アプリケーションのアイコンを表す値に変更します。
ICON OWmailtool |
LABEL フィールドの値を、「メール (Mail)」サブパネル内の代替アプリケーションのアイコンと一緒に表示されるアイコンラベルに変更します。
LABEL OW Mail Tool |
ALTERNATE_ICON および MONITOR_TYPE は変更しません。
ALTERNATE_ICON DtMnew MONITOR_TYPE mail |
DROP_ACTION を変更するか、またはそのままにしておきます。
DROP_ACTION Compose |
メールプログラムには「メール作成」アクションを持つものと持たないものがあります。OpenWindows の メールツール (mailtool) は「メール作成」アクションを持ちません。このため、DROP_ACTION を「メール作成」のままにしておくと、誰かがメールをメールアイコンにドラッグした場合、dtmail の「メール作成」アクションが起動されます。DROP_ACTION を削除すると、メールがメールアイコンにドラッグされても何も起こりません。
PUSH_ACTION フィールドの値を、ユーザーが新しいメールアイコンをクリックした時に実行する代替アクションを表す値に変更します。
PUSH_ACTION OWmailtool |
ここで指定するアクション名は、アプリケーション検索パスのどれかに定義されている必要があります。上記の OWmailtool アクションは /usr/dt/appconfig/types/localename ディレクトリの sunOW.dt に定義されています (localename はロケール名を示しています)。
PUSH_RECALL は変更しません。
PUSH_RECALL true |
この値が「true」の場合、アプリケーションを 2 度立ち上げようとしても、新しいアプリケーションは起動しません。アプリケーションウィンドウがワークスペースで隠されている場合には、代わりにアプリケーションウィンドウが最前面に移動します。
CLIENT_NAME フィールドの値を、代替アプリケーションの実行可能ファイルを表すものに変更します。
CLIENT_NAME mailtool |
CLIENT_NAME に指定するアクションのパス名は、そのアクション定義の EXEC_STRING に指定されているものである必要があります。たとえば、OWmailtool アクションの EXEC_STRING は /usr/openwin/bin/mailtool として定義されています。
エントリ HELP_* は変更しません。
HELP_TOPIC FPOnItemMail HELP_VOLUME FPanel |
変更を保存し、ファイルを閉じます。
:wq |
次の手順 8 は、この作業をシステムの稼動後に行なった場合にのみ必要となります。
$HOME
/.dt/fp.dynamics ディレクトリの内容をすべて削除します。
ワークスペースのメニューを使ってワークスペースマネージャを再起動し、dtwm.fp に対する変更がフロントパネル上に反映されていることを確認します。
管理者役割になり、ADMIN_LOW
ワークスペースに移動します。
dtterm(1) などの端末エミュレータにおいて、/etc/init.d ディレクトリに移動し、sendmail を再スタートさせます。
$ cd /etc/init.d $ sendmail start |
セキュリティ管理者役割になり、ADMIN_LOW
ワークスペースに移動します。
必要に応じて、「ログイン後、特定の管理役割になるには」を参照してください。
「管理用エディタ (Admin Editor)」アクションを使って、/usr/dt/appconfig/types/localename/dtwm.fp ファイルを編集用に開きます (localename はロケール名を示しています)。
必要に応じて、「管理用エディタアクションを使用してファイルを編集するには」を参照してください。
以下に示すようなメールの制御を行うセクションを検索します。
CONTROL Mail { TYPE icon CONTAINER_NAME Top CONTAINER_TYPE BOX POSITION_HINTS 5 ICON DTmail LABEL Mail ALTERNATE_ICON DtMnew MONITOR_TYPE mail DROP_ACTION Compose PUSH_ACTION DTWmail PUSH_RECALL true CLIENT_NAME dtmail HELP_TOPIC FPOnItemMail HELP_VOLUME FPanel } |
上記の制御テキストを拡張子 .fp を持つファイル (たとえば mail.fp) にコピーし、dtwm.fp を閉じます。
新しいファイル mail.fp は、/etc または /usr/bin のように、すべてのユーザーのパスにあるようなディレクトリに作成します。
:wq |
「システム管理 (System_Admin)」フォルダから「管理用エディタ (Admin Editor)」アクションを起動し、新ファイル mail.fp を編集用に開きます。
CONTROL OW_Mail セクションを以下のように変更します。
CONTROL OW_Mail { TYPE icon CONTAINER_NAME Top CONTAINER_TYPE BOX POSITION_HINTS 5 ICON DTmail LABEL Mail ALTERNATE_ICON DtMnew MONITOR_TYPE mail DROP_ACTION Compose PUSH_ACTION DTWmail PUSH_RECALL true CLIENT_NAME dtmail HELP_TOPIC FPOnItemMail HELP_VOLUME FPanel } |
TYPE、CONTAINER_NAME、CONTAINER_TYPE、POSITION_HINTS は変更しません。
TYPE icon CONTAINER_NAME Top CONTAINER_TYPE BOX POSITION_HINTS 5 |
ICON フィールドの値を、代替アプリケーションのアイコンを表す値に変更します。
ICON OWmailtool |
LABEL フィールドの値を、「メール (Mail)」サブパネル内の代替アプリケーションのアイコンと一緒に表示されるアイコンラベルに変更します。
LABEL OW Mail Tool |
ALTERNATE_ICON および MONITOR_TYPE は変更しません。
ALTERNATE_ICON DtMnew MONITOR_TYPE mail |
DROP_ACTION を変更するか、またはそのままにしておきます。
DROP_ACTION Compose |
メールプログラムには「メール作成」アクションを持つものと持たないものがあります。たとえば OpenWindows の メールツール (mailtool) は「メール作成」アクションを持ちません。このため、DROP_ACTION を「メール作成」のままにしておくと、誰かがメールをメールアイコンにドラッグした場合、dtmail の「メール作成」アクションが起動されます。DROP_ACTION を削除すると、メールがメールアイコンにドラッグされても何も起こりません。
PUSH_ACTION フィールドの値を、ユーザーが新しいメールアイコンをクリックした時に実行する代替アクションを表す値に変更します。
PUSH_ACTION OWmailtool |
ここで指定するアクション名は、アプリケーション検索パスのどれかに定義されている必要があります。上記の OWmailtool アクションは /usr/dt/appconfig/types/localename ディレクトリの sunOW.dt に定義されています (localename はロケール名を示しています)。
PUSH_RECALL は変更しません。
PUSH_RECALL true |
この値が「true」の場合、アプリケーションを 2 度立ち上げようとしても、新しいアプリケーションは起動しません。アプリケーションウィンドウがワークスペースで隠されている場合には、代わりにアプリケーションウィンドウが最前面に移動します。
CLIENT_NAME フィールドの値を、代替アプリケーションの実行可能ファイルを表すものに変更します。
CLIENT_NAME mailtool |
CLIENT_NAME に指定するパス名は、そのアクション定義の EXEC_STRING に指定されているものである必要があります。たとえば、OWmailtool アクションの EXEC_STRING は /usr/openwin/bin/mailtool として定義されています。
エントリ HELP_* は変更しません。
HELP_TOPIC FPOnItemMail HELP_VOLUME FPanel |
変更を保存し、ファイルを閉じます。
:wq |
事前にこの手順をテストし、メーラーが表示され正しく動作することを確認した後、「フロントパネルに別のメールプログラムをインストールするには」の手順をユーザーに指示します。
管理者から、正しいメールアプリケーションの制御ファイルのパス名を入手します。
管理者役割は、ユーザーの認可範囲内にあるすべてのラベルのメールを監視または通知するようにメーラーを設定する必要があります。詳細は、「代替メールアプリケーション用のマルチレベルアクションを作成するには」を参照してください。
自サイトのセキュリティ管理者の承認を得ない限り、次を厳守してください。
アプリケーションマネージャのフォルダから別のメールプログラムをインストールしない。
接尾辞 .fp が付かない制御ファイルを持つ別のメールプログラムはインストールしない。
セキュリティ管理者役割に sendmail を停止するよう依頼します。
ファイルマネージャを使って、インストールするメールプログラム (新しいメールプログラムと呼びます) の制御ファイルが置かれているディレクトリに移動します。
「メールプログラム」サブパネル呼び出しボタンをクリックし、同サブパネルを起動します。
新しいメールプログラムのフロントパネル制御ファイルのアイコンをドラッグし、「メール 」サブパネルの「アイコンのインストール」ドロップサイト上にドロップします。
新しいメールアプリケーション用のアイコンが「メール」スライダに表示されます。
ポインタを新しいメールアプリケーション用のアイコンに置いた状態で、マウスの右ボタンをクリックし、「メインパネルに表示」を選択します。
ポインタを「メール 」サブパネル内の古いメールアプリケーション用のアイコンに置いた状態で、マウスの右ボタンをクリックし、「削除」を選択します。
古いメールアプリケーション用のアイコンをすべて削除するまで、上記の操作を繰り返します。古いメールアプリケーションと新しいメールアプリケーションを同時に使用することはできません。
ワークスペースのメニューから「ワークスペース・マネージャの再起動」を選択します。
サブパネルのサイズは、ウィンドウマネージャを再起動するまで補正されません。