ブート時専用ローカルバージョンの tnrhdb および tnrhtp ファイルは、常に /etc/security/tsol/boot ディレクトリに保持されています。ブート時のファイルの形式は、通常の tnrhdb(4) ファイルと tnrhtp(4) ファイルと同じです (それぞれのマニュアルページを参照)。
NIS+ クライアントは、それらの IP アドレスとトラステッドネットワーク構成情報が利用できない間は、ブート時に NIS+ マスターに到達可能でなければならないため、ブート時ファイルを必要とします。他のホストはルーターと通信する必要があります。
ブート時に通信すべきホストの IP アドレスを構成前に知る方法はないため、デフォルトのブート時 tnrhdb ファイルにはワイルドカードアドレスを指定します。すべてのホストは Trusted Solaris を稼働しているものと想定されるため、sun_tsol ホストタイプが割り当てられます。
ブート後、トラステッドネットワークに指定されたエントリは、/var/tsol 下のトラステッドネットワークキャッシュファイルのブート時ファイルにある同じ名前のエントリを無効にします。
通常の tnrhdb データベース内に対応するエントリが存在しない場合、キャッシュされているワイルドカードエントリは無効にされることはありません。キャッシュされているエントリを削除するには、カーネルキャッシュファイルを削除してリブートする以外に方法はありません。この手順については、「キャッシュされている Trusted Network データベース内のエントリを削除するには」を参照してください。
次の例に示すように、/etc/security/tsol/boot/tnrhdb 内にあるデフォルトのエントリは、IP アドレス 0.0.0.0 で指定されるワイルドカードエントリに tsol というテンプレートを割り当てます。
# Loaded at initial boot time only. # Should be replaced by regular entries after boot. # 0.0.0.0:tsol |
次の例に示すように、デフォルトの /etc/security/tsol/boot/tnrhtp ファイルには、tsol というテンプレートが 1 つだけ存在します。tsol テンプレートは sun_tsol ホストタイプに割り当てられます。
# Loaded at initial boot time only. # Should be replaced by regular entry after boot. #tsol:host_type=sun_tsol;min_sl=0x00000000000000000000000000000000000000 000000000000000000000000000000; max_sl=0x7fffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffff; allowed_privs=all;ip_label=none;ripso_label=empty; ripso_error=empty;cipso_doi=empty;def_audit_auid=3;def_audit_mask=0x0000000000; def000000_audit_termid=0x0000000000000000;def_audit_asid=0; |
各 NIS+ クライアントの最初のブート後、インストールチームは、必要なセキュリティのレベルに応じて、次のうちの 1 つを行うことをお勧めします。
ワイルドカードエントリを削除し、ブート時に通信するすべてのホスト用のエントリを作成し、必要に応じて、テンプレートを追加します。
「ワイルドカードエントリの変更」を参照してください。
通信が許可されているホストおよびネットワークを個々に定義しているサイトでは、デフォルトのワイルドカードエントリを変更する必要があります。
ワイルドカードを割り当てられているテンプレートを、ラベルなしホストタイプで定義されているテンプレートに変更します。
次の例では、ラベルなしホストタイプで定義されている、デフォルトの unlab テンプレートを割り当てています。
0.0.0.0:unlab |
以降のブート時に通信するホストを制御するには、/etc/security/boot/tnrhdb 内のワイルドカードエントリを、ブート時に通信するすべてのホスト用のエントリに変更し、必要なテンプレートを /etc/security/boot/tnrhtp に追加します。「ブート時ファイル tnrhdb および tnrhtp のデフォルトエントリを変更するには」を参照してください。
次のエントリが必要です。
NIS+ マスター用のエントリ
ローカルホストのすべての IP アドレス用のエントリ
たとえば、2 つのインタフェースを持つゲートウェイホストは、hosts(4) ファイルに次のようなエントリを持っています。
137.150.113.111 trusted 137.150.113.112 trusted-112 |
次に、ブート時 tnrhdb における、トラステッドな 2 つの IP アドレス用のエントリを示します。
137.150.113.111:tsol 137.150.113:112:tsol |
ローカルホストのループバックアドレス用のエントリ
127.0.0.1:tsol |
1 つまたは複数のルーター用のエントリ
NIS+ クライアントがルーターでない場合、次のうちの 1 つを行います。
ローカルネットワーク上のルーターの IP アドレスを入力します (例: 137.150.113.120)。
フォールバックネットワーク用のエントリを作成します (例: 137.150.113.0)。
NIS+ クライアントがルーターである場合、ブート時に通信する必要があるすべてのルーターの一覧を作成します。
キャッシュファイルを削除して、ワイルドカードエントリを削除します。
この手順については、「キャッシュされている Trusted Network データベース内のエントリを削除するには」を参照してください。