この節では、自動的なグループバックアップとカスタマイズ可能なバックアップスケジュールなどの、Backup のスケジュールされたバックアップの機能を設定する方法について説明します。
Backup のバックアップグループを使うと、クライアントのバックアップの開始時刻を指定できます。クライアントセーブセットをバックアップグループに割り当てて、どのクライアントセーブセットをいつバックアップするかを指定できます。また、クライアントのセーブセットを複数のグループに割り当てることも可能です。
クライアントマシンの数が特に多い場合は、ネットワークトラフィックを軽減するために、開始時刻が異なる複数のグループを作成することを検討してください。たとえば、エンジニアリング部門のマシンを含むグループのバックアップを朝の 4 時に開始し、ネットワーク上のこの部門以外の全クライアントを含むグループのバックアップを真夜中に開始することもできます。
複数のグループを作成する場合は、サーバーの負荷が高くならないように、開始時刻をずらします。1 つのグループがバックアップを終える前に次のグループが開始することのないように、十分な間隔をあけてください。Backup は、先に開始したグループがすべて終了するまでは、次のグループのバックアップを開始しません。「例 : 大規模なクライアントファイルシステムのスケジュール」を参照してください。
Backup にはいくつかの事前構成済みのグループがあります。これとは異なるグループ構成が必要な場合は、状況に合わせて新しいグループを作成できます。独自のグループをカスタマイズして作成し使用するには、次の操作を行います。
「Groups」リソースにグループを作成します。
「Pools」リソースで既存のプールを編集するか、新しいプールを作成します。「Groups」属性で新しく作成したグループを選択します。
「Clients」リソースで、グループに入れたいセーブセットを含んでいるクライアントマシンのクライアントリソースを編集または作成します。「Groups」属性で新しく作成したグループを選択します。
グループ名にはスペースは使用できません。
各バックアップグループの中のクライアントセーブセットは、指定されたグループの開始時刻にスケジュールされたバックアップを自動的に開始します。個々のグループにどのクライアントを入れるかを決めるときに、クライアントのバックアップスケジュールを考慮することで、バックアップの負荷を調整できます (個々のクライアントがフルバックアップを行う日をずらすようにスケジュールを作成する方法については、「スケジュールの構成」を参照)。
図 3-1 に、Backup がバックアップグループを使って複数のクライアントセーブセットをバックアップする方法を示します。
この例では、Oak、Elm、および Fir の 3 つのクライアントマシンが、真夜中にスケジュールされたバックアップを自動的に開始する Weekly Full というグループに属しています。クライアント Oak は毎月曜日にすべてのセーブセットのフルバックアップを、その他の曜日には差分バックアップを行います。クライアント Elm は火曜日にすべてのセーブセットのフルバックアップを、その他の曜日には差分バックアップを行います。クライアント Fir は水曜日にすべてのセーブセットのフルバックアップを、その他の曜日には差分バックアップを行います。各クライアントはフルバックアップを別々の曜日に行うので、サーバーに過度な負荷がかかることはありません。
第 2 のグループ Accounting は、クライアントを部門ごとにグループ化する例を示しています。Accounting グループには、クライアントマシン Birch と Pine があり、経理部門のマシンがバックアップできるようになる 7:00 p.m. にバックアップを開始します。この 2 台のクライアントマシンは同じ曜日にフルバックアップを行いますが、Pine はセーブセット /usr/home だけをバックアップするようにスケジュールされているのに対し、マシン Birch ではすべてのセーブセットがバックアップされます。バックアップに要する時間を推定することで、次のグループの開始時刻をいつに設定すべきかがわかります。
各グループのセーブセットは、ストレージデバイスにマウントされている適切なボリュームに書き込まれます。Backup はボリュームのプールを使ってセーブセットの編成、追跡、および格納を行い、グループを使って各クライアントがスケジュールされたバックアップをいつ開始するかを指定します。
Backup には「Default」という名前の事前構成済みのグループがあります。Backup は、すべてのデータがバックアップされるように、すべてのクライアントを自動的に「Default」グループに追加します。ただし、Backup でデフォルトグループをバックアップするためには、このグループを有効にする必要があります。各クライアントを、必要に応じてこの「Default」グループに残すことも、カスタマイズしたグループ (複数でもよい) に入れることもできます。
「Start Time」属性と「Autostart」属性は、重要です。「Default」グループの「Start Time」属性は、毎日のバックアップを 3:33 a.m. に開始するように設定されています。この「Start Time」属性は変更できます。「Default」グループに限らず、Backup にあるグループに対してスケジュールされたバックアップを実行するためには、そのグループの「Autostart」属性を有効にする必要があります。
Backup サーバーがクライアントに接続できない場合、「Groups」リソースの「Client Retries」属性で、サーバーがクライアントへの接続を試みる回数を指定します。この回数だけ再試行を行なった後は、接続は失敗したと見なされます。(少なくとも) すべてのクライアントに交信してから、最初の再試行が行われます。「Groups」リソースの「Inactivity Timeout」属性は、クライアント上でバックアップが確実に行われるまでの Backup サーバーの待機時間を分単位で指定します。サーバーがバックアップ実行情報を受け取らないまま、この属性で指定されている時間が経過すると、サーバーはそのセーブセットのバックアップ操作を放棄します。
放棄されたセーブセットのバックアップが終了していても、savegrp が自動的に作成するレポートには、バックアップが完了したとは報告されません。たとえば、クライアントがネットワークファイルシステム (Network Filesystem, NFS) 接続経由でバックアップ中に NFS サーバーがクラッシュしてリブートした場合、Backup のバックアップ処理はハングアップし、タイムアウトとなります。Backup サーバーはこのセーブセットを「放棄された」としてマークしますが、バックアップ操作は NFS サーバーが再起動した時点で続行され、完了します。
「Default」グループの事前構成済みの属性値については、「「Groups」リソース」で説明しています。「Default」グループの属性はいずれも変更できますが、このグループそのものは削除できません。ただし、グループは必要に応じていくつでも作成または削除できます。
グループの「Level」属性と「Schedule」属性を使って、クライアントの通常のバックアップスケジュールを変更できます。たとえば、クライアントの通常のバックアップスケジュールとは関係なく、適切な日にグループ内のすべてのクライアントのフルバックアップを行うことが可能です。「Level」属性で指定したエントリは、グループ内の各クライアントのバックアップレベルの設定値よりも優先されます。
あるいは、複数のクライアントに、各クライアントの個々のスケジュールではなく、同じバックアップスケジュールをグループとして適用することもできます。複数のクライアントのグループに、個々のクライアントのスケジュールではなく、デフォルトのスケジュール (毎日曜日にフルバックアップ) を設定できます。グループの「Level」属性と「Schedule」属性が空白になっている (事前構成済みの設定値) と、クライアントは個々のバックアップスケジュールに従います。
Backup 管理プログラムの「Group Control」ウィンドウを使うと、バックアップ中に、スケジュールされたグループを監視できます。「Group Control」機能、セーブグループ完了メッセージ、ブートストラップの出力、およびシステムコンソールログなどの機能によって、スケジュールされたバックアップの成否と、データの復旧に必要な情報が得られます。
「Group Control」機能は状態情報を提供するもので、、スケジュールされたバックアップグループのプレビュー、停止、および開始のためのコントロールが用意されています。
最も新しく開始されたバックアップグループに関しては、次のいずれかの状態情報が表示されます。
「Running」
「Never Run」
「Finished」
「Not Finished」(バックアップが完了せずに終了したことを示す)
「Preview Run」(バックアップ構成のテストが行われていることを示す)
Backup 管理プログラムの「Group Control Details」機能を使うと、完了したグループバックアップに関する詳しい情報を表示できます。この機能を使って、どのクライアントセーブセットがバックアップに成功し、どのセーブセットが失敗したのかを知ることができます。
「Group Control Details」 ウィンドウは、バックアッププロセスにおけるクライアントセーブセットの状態を、次の 3 つのメッセージフィールドのいずれかに表示します。
「Pending Save Sets」 - まだバックアップされていないクライアントセーブセットを表示
「Completed Save Sets」 - Backup がバックアップに成功したクライアントセーブセットを表示
「Failed Save Sets」 - Backup がバックアップできなかったクライアントセーブセットを表示 (一般にはマシンまたはネットワークのクラッシュのため)
「Group Control Preview」機能を使うと、特定のグループのバックアップのシミュレーションを行えます。この機能により、Backup がグループバックアップを実行する前に、どのような問題が起こりうるかを知ることができます。Backup 管理プログラムでバックアップグループのプレビューを行うには、「Group Control」ウィンドウを表示し、「Preview」ボタンをクリックします。バックアップグループをコマンド行からプレビューするには、Backup サーバーでスーパーユーザーになり、シェルプロンプトで savegrp -p group-name コマンドを入力します。
Backup は、完了したグループバックアップに関する過去の情報ではなく、次のスケジュールされたバックアップの際にグループのバックアップがどのように実行されるかという情報を表示します。
スケジュールされたバックアップグループを必要に応じて手動で開始すると、Backup は次のスケジュールされたバックアップのレベル (フル、レベル [1〜9]、差分など) でバックアップを実行します。
グループバックアップをただちに開始するには、次の 2 つの方法があります。
Backup 管理プログラムで、「Group Control」ウィンドウの「Start Now」ボタンをクリックします。
コマンド行を使って、Backup サーバーでスーパーユーザーになり、シェルプロンプトで savegrp group-name コマンドを入力します。
「Start Now」コントロールを使用すると、Backup は「Groups」リソースでスケジュールされている開始時刻を無効にし、グループ内のクライアントのバックアップをただちに開始します。
「Group Control」ウィンドウで「Stop」をクリックすると、Backup は現在行われているセーブセットのバックアップを完了し、残りのセーブセットのスケジュールされたバックアップを停止し、「Group Control」 ウィンドウの「Status」フィールドに「Not Finished」と表示します。
「Group Control」ウィンドウで「Restart」をクリックすると、Backup はそのグループのスケジュールされたバックアップを再開し、「Status」フィールドに「Running」と表示します。
スケジュールされたバックアップの過程で、クライアントがオープンしているファイルが変更された場合、変更前バージョンのファイルがバックアップされ、これらのファイルが変更中であることが通知されます。「Group Control Details」ウィンドウには、次のような警告メッセージが表示されます。
warning: file filename changed during save |
ファイルに対して行われた変更内容はバックアップされません。変更されたファイルをバックアップするには、バックアップグループを再起動するか、あるいは次のスケジュールされたバックアップの際に Backup でクライアントをバックアップします。
バックアップが完了すると、Backup はスケジュールされたバックアップが正常に終了した旨のレポートを出力します。Backup はスーパーユーザーに対して自動的に通知を送信し、Backup 管理プログラムにも同じ情報を表示します。
バックアップグループに Backup サーバーからのデータが含まれていると、Backup は、サーバーファイルインデックス、メディアデータベース、および構成ファイルを含む、ブートストラップと呼ばれる特別なセーブセットを生成します。ブートストラップ情報は障害復旧に必須です。デフォルトでは、ブートストラップは Backup サーバーのデフォルトプリンタを使って印刷されます。デフォルトプリンタを変更するには、「Groups」リソースの「Printer」属性を変更します。
このブートストラップの出力は、サーバーを含むグループに対するスケジュールされたバックアップの際に、あるいはそのサーバーがアクティブグループに属していなければ、他のスケジュールされたバックアップのあとに作成されます。ブートストラップの出力は、スケジュールされたバックアップが自動的に開始された場合も、手動で開始された場合も生成されます。
ブートストラップは、ファイルに保存したり、1 つまたは複数のユーザー ID に対して電子メールで送信したりできます。
nwadmin を実行し、「Customize」メニューで「Notifications」を選択します。
「Bootstrap」を選択します。
「Action」属性が表示されます。
/usr/bin/lp -s -c -t bootstrap -d%PRINTER |
ファイルを保存するには、これを次のように変更します。
/bin/cat >> /directory/filename |
ブートストラップファイルを複数のユーザー ID に電子メールで送信するには、この行を次のように変更します。
/usr/ucb/Mail -s "nwserver bootstrap" user-name@corp.com |
UNIX システムログには Backup から渡されたメッセージが表示されます。Backup をインストールすると、構成ログファイル (syslog.conf) に、システムログ機能がどのファイルやユーザーに、どのタイプの通知を行うかを指示する行が追加されます。次に例を示します。
daemon.notice /dev/console daemon.notice /nsr/logs/messages daemon.notice operator local0.notice /nsr/logs/summary local0.alert root, operator |
Backup サーバーは、各クライアントに割り当てられているバックアップスケジュールに基づいて、ネットワーク上の各クライアントシステムのバックアップされるデータの量を判断します。これらのスケジュールは、ユーザーの環境に応じて、単純にも、複雑にもなります。すべてのクライアントが同じスケジュールを共有することも、各クライアントが独自のスケジュールを持つこともあります。「Schedules」リソースを使用して独自のスケジュールを作成し、「Clients」リソースを使ってこのスケジュールをクライアントセーブセットに適用してください。「Clients」リソースとクライアント構成の詳細は、第 5 章「Backup クライアントの操作」を参照してください。
Backup は、クライアントのバックアップスケジュールを使用して、指定されたセーブセットに対して、特定の日に、どのレベルのバックアップ操作を行うべきかを決定します。バックアップ操作が開始される日付は、そのクライアントセーブセットが関連付けられている「Group」リソースに割り当てられている「Start Time」属性によって決まります。
Backup は 4 つのタイプのバックアップレベルをサポートしています。
Full (フル) - 最後のバックアップ操作以降に変更があるかどうかにかかわらず、すべてのファイルをバックアップする
Level (レベル) 1-9 - それよりも小さい番号の最後のバックアップレベル以降に変更があったファイルだけをバックアップする
Incremental (差分) - レベルとは無関係に、最後のバックアップ以降に変更があったファイルだけをバックアップする
Skip (スキップ) - スケジュールされたバックアップをスキップする
(バックアップレベルの詳細は、「バックアップレベル」を参照してください)。
「Schedules」リソースを使うと、必要に応じてバックアップスケジュールをカスタマイズできます。たとえば、一部のクライアントに対しては、3 日おきに「フル」のレベルでバックアップを行い、それ以外の日は差分バックアップを行います。その他の、重要性が低いデータを含んでいるクライアントに対しては、1 か月に 1 回だけフルバックアップを行い、それ以外の日には差分バックアップか、レベル 1〜9 のバックアップを行います。
フルバックアップから次のフルバックアップまでの期間は「バックアップサイクル」と呼ばれます。図 3-2 は、1 週間のバックアップサイクルを示しています。この例では、毎日曜日にクライアントのフルバックアップを行い、その他の曜日には差分バックアップを行なっています。
バックアップスケジュールを使って、Backup サーバーの負荷を調整し、分散させることができます。ネットワークの大きさによっては、すべてのクライアントに同じスケジュールを適用できます。たとえば、すべての社員が休んでいる休日にフルバックアップを行う場合は、すべてのクライアントにデフォルトのスケジュールを適用できます。デフォルトのスケジュールでは、日曜日にフルバックアップを行い、それ以外の曜日には差分バックアップを行います。図 3-3 は、クライアント A、クライアント B、およびクライアント C の 3 つのクライアントでの、デフォルトのスケジュールの例を示しています。
フルバックアップに長時間かかる場合には、バックアップを分散させることができます。たとえば、クライアント A のフルバックアップを日曜日に行うスケジュール、クライアント B のフルバックアップを火曜日に行うスケジュール、そしてクライアント C のフルバックアップを木曜日に行うスケジュールを設定します。図 3-4は、複数のクライアントでバックアップスケジュールを分散させる方法を示しています。
Backup サーバーの負荷を調整し、分散させると、サーバーの効率が向上します。また、クライアントのグループごとに異なる開始時刻を指定することも、サーバーの効率向上に役立ちます。
Backup では、独自のバックアップスケジュールを簡単に設定できます。ただし、自分の環境に最も適したバックアップスケジュールを決めるためには、慎重に画を立てる必要があります。
バックアップスケジュールを作成するときには、次の事柄を検討します。
バックアップしなければならないデータの量
使用するボリュームの数
バックアップを完了させなければならない時刻
ディスククラッシュなどの障害からの復旧に必要なボリューム数の制限
さらに、ファイルの復旧に関するポリシーを決定する必要があります。たとえば、ユーザーが、少なくとも 3 か月の間に失われたファイルを復旧する場合 (3 か月の保持ポリシー) には、メディアデータベースの中にすべてのセーブセットを 3 か月間保存する必要があります。一方、過去 1 か月のデータを復旧するだけでよいのであれば、レベル 1〜9 バックアップを使って、保存しなければならないボリュームの量を減らすことができます。
Backup が復旧に使用するデータが保存されている期間は、各クライアントに関連付けられているブラウズポリシーと保持ポリシーによって決まります。Backup がデータライフサイクルをどのように管理するかについては、「ブラウズポリシーと保持ポリシーによるデータライフサイクルの管理方法」を参照してください。
400 KB/秒という平均的なバックアップ速度では、10G バイトのデータを持つクライアントのフルバックアップには、終了までに約 5.5 時間必要となります。このようにバックアップに要する時間が長いクライアントセーブセットでは、毎回フルバックアップを行うスケジュールは不適当です。
この場合には、クライアントのディスクボリュームを複数のバックアップグループに分割し、それぞれ別のタイミングでバックアップするようにスケジュールを立てます。1 台のクライアントのセーブセットを複数のバックアップグループに分割すると、クライアントのすべてのファイルが何回かに分けてバックアップされることになります。これはすべてのローカルデータを一回でフルバックアップするよりも時間の節約になります。
クライアントのファイルシステムを個別にバックアップするには、「Clients」リソースに個々のファイルシステムをアドレス指定して、同じクライアントのエントリの追加と構成を繰り返します。たとえば、ファイルシステム /usr のバックアップについては、あるグループのバックアップスケジュールを使って第 1 のクライアントリソースを構成します。さらに、別のファイルシステム /var のバックアップスケジュールについては、別のグループで別のバックアップスケジュールを使って第 2 のクライアントリソースを構成します。
複数のバックアップスケジュールを作成し、セーブセットを明示的に指定すると、その指定リストに含まれていないファイルやファイルシステムはバックアップから除外されます。これには、システムに新たに追加されたディスクボリュームも含まれます。「Save Set」属性に特別な値「All」を指定すれば、このような危険は生じません。Backup は新しいディスクボリュームを自動的にバックアップに追加します。
カスタマイズしたバックアップスケジュールを作成するには、「Schedule」リソースで次のスケジュール構成値を定義する必要があります。
「Name」 - 「Monday Full」のように、単純でわかりやすい名前を選びます。既存の「Schedule」リソースの「Name」属性を変更することはできません。たとえば、スケジュールを「Full Every Friday」から「Full Every Monday」に変更するためには、「Full Every Monday」スケジュールを新たに作成する必要があります。既存のスケジュールを、フルバックアップを金曜日ではなく月曜日に行うように変更して名前を変えるということはできません。
「Period」 - バックアップを行う頻度を指定します。「Week」を選択すると、そのバックアップレベルが、1 年のすべての週の、指定された曜日に適用されます (たとえば、毎日曜日にフルバックアップを行う)。「Month」を選択すると、そのバックアップレベルが、1 年のすべての月の、指定された日に適用されます (たとえば、毎月 15 日にフルバックアップを行う)。デフォルトの設定は「Week」です。
「Level」 - その期間における毎日のバックアップレベルを選択します。バックアップレベルとして指定できる値は、「full」、「incr」、および「1〜9」です。バックアップレベルの詳細は、「バックアップレベル」を参照してください。
「Override」 - アクションと日付を指定して、特定の日に対して既に指定してあるバックアップレベルを変更します。たとえば、休日にはフルバックアップを行いたくない場合には、休日の前または次の日にフルバックアップを行うようにスケジュールを変更できます。
「Force」 - 「Groups」 リソースにある差分バックアップの設定を変更する場合もあります。この属性のデフォルトの設定は「Yes」です。これは、グループバックアップが 1 日に 2 回以上実行される場合には差分バックアップが行われるという意味です。1 日のうちに複数のフルバックアップを行う場合には、この属性を「No」に変更します。
独自にカスタマイズしたスケジュールを使用する場合には、スケジュールを構成したあとに、「Clients」リソースの中のクライアントまたはセーブセットと関連付ける必要があります。毎日自動的に行われるスケジュールされたバックアップの開始時刻は、クライアントセーブセットが関連付けられているバックアップグループによって決まります。データがブラウズまたは復旧に使用できる期間は、スケジュールではなく、クライアントのセーブセットに対して構成されているブラウズポリシーと保持ポリシーによって決まります。
フルバックアップを毎日行うのは現実的または効率的でない場合があるので、Backup では、その自動的に実行されるスケジュールされたグループバックアップの際のバックアップ操作のレベルを指定できるようになっています。フルバックアップが行われる回数を制限することで、サーバーの効率を損なわずに、データを保護できます。各種のバックアップレベルを使って、バックアップの完了に必要なボリュームの数および時間と、ディスククラッシュからの復旧に必要なボリュームの数および時間を調整できます。
Backup は、ファイルシステムデータに関して、次の 4 種類のバックアップレベルをサポートしています。
Full (フル) - 変更の有無にかかわらず、すべてのファイルをバックアップする
Level (レベル) 1-9 - より若い番号の最後のバックアップレベル以降に変更があったファイルだけをバックアップする。最後のフルバックアップはレベル 0 と見なされる。たとえば、レベル 1 バックアップでは最後のフルバックアップ (レベル 0 と見なされる) 以降に変更があったすべてのファイルをバックアップする。レベル 3 バックアップでは、最後のレベル 2、レベル 1、またはフルバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをバックアップする。レベル 9 バックアップでは、最後のレベルが 8、7、6、5、4、3、2、1 のバックアップまたはフルバックアップ以降に変更があったすべてのファイルをバックアップする
Incremental (差分) - レベルとは無関係に、最後のバックアップ以降に変更があったファイルだけをバックアップする
Skip (スキップ) - スケジュールされたバックアップを省略する。たとえば、休日にボリュームの交換や追加を行う担当者がいない場合には、休日のバックアップを省略できる
バックアップスケジュールによって、バックアップサイクル中の指定した日に、どのレベルのバックアップが行われるかを定義します。これらのバックアップレベルを 1 つ以上組み合わせて、バックアップスケジュールをカスタマイズできます。カスタマイズしたスケジュールの中でバックアップレベルの使用を検討している場合には、次のことに注意して、自分の環境に合ったスケジュールを作ってください。
フルバックアップは、差分バックアップよりも、長い時間がかかる
ストレージデバイスが 1 つしかなく、フルバックアップが 1 つのメディアに収まらない場合は、バックアップを監視し、メディアを交換する必要がある
フルバックアップでは、差分バックアップやレベルバックアップよりも、オンラインインデックスが急速に増大する
レベルバックアップは、数日または数週の間に変更されたすべてのファイルを 1 つのバックアップセッションにまとめるという意味で、スケジュールの中でのチェックポイントの役割を果たす。レベルバックアップを使うことで、復旧処理が容易かつ迅速になる
オンラインクライアントファイルインデックス、サーバーインデックス、およびメディアデータベースは、Backup サーバーがバックアップされるたびにバックアップされます。一般に、これはサーバーのバックアップレベルに準拠します。たとえば、Backup サーバーのバックアップレベルが「フル」ならば、オンラインクライアントファイルインデックス、サーバーインデックス、およびメディアデータベースもフルバックアップが行われます。Backup サーバーのバックアップが「レベル 5」ならば、オンラインクライアントファイルインデックス、サーバーインデックス、およびメディアデータベースのバックアップもレベル 5 です。ただし、サーバーのバックアップレベルが「差分」ならば、オンラインクライアントファイルインデックス、サーバーインデックス、およびメディアデータベースのバックアップはレベル 9 です。
バックアップレベルはクライアントのバックアップスケジュールと関連しています。バックアップレベルの定義は、ディスククラッシュからの復旧に要する時間や、必要となるバックアップボリュームの数などに直接に影響します。
これ以降の説明では、バックアップレベルの動作と、データの損失時の復旧に必要となるデータの量を、図示しています。
10 月 2 日にフルバックアップが行われます。10 月 3 日には、フルバックアップ以降に変更されたすべてのデータが差分バックアップによって保存されます。10 月 4 日には、10 月 3 日以降に変更されたすべてのデータが差分バックアップによって保存されます。10 月 5 日には、レベル 7 バックアップによって、フルバックアップ以降に変更されたすべてのデータが保存されます。10 月 5 日にディスククラッシュから完全に復旧するためには、フルバックアップのボリュームとレベル 7 のボリュームの 2 つのボリュームだけが必要です。10 月 3 日と 4 日のボリュームに入っているデータは、レベル 7 バックアップに含まれているので、これらのボリュームは不要です (図 3-5 を参照)。
10 月 6、7、および 8 日は、レベル 7 バックアップ以降に変更されたすべてのデータが差分バックアップによって保存されます。10 月 9 日には、図 3-6 に示すように、レベル 5 バックアップによって、フルバックアップ以降に変更されたすべてのデータが保存されます。10 月 9 日にディスククラッシュから完全に復旧するためには、フルバックアップのボリュームとレベル 5 のボリュームの 2 つのボリュームだけが必要です。レベル 7 バックアップのボリュームと、それ以降の差分バックアップのボリュームに入っているデータは、レベル 5 のボリュームに含まれているので、これらのボリュームは不要です。
10 月 12 日に、レベル 7 バックアップによって、これよりも若い番号の直前のバックアップ以降に変更されたすべてのデータがバックアップされます。この例では 10 月 9 日のレベル 5 バックアップがこれに該当します。10 月 12 日にディスククラッシュから復旧するためには、フルバックアップのボリューム、レベル 5 のボリューム、および新しいレベル 7 のボリュームの 3 つのボリュームが必要となります (図 3-6 を参照)。
10 月 16 日に、レベル 5 バックアップによって、これよりも若い番号の直前のバックアップ以降に変更されたすべてのデータがバックアップされます。これよりも若い番号 (レベル 1 〜 4) のバックアップは行われていないので、レベル 5 バックアップによって、フルバックアップ以降に変更されたすべてのデータがバックアップされます。10 月 16 日にディスククラッシュから復旧するためには、フルバックアップのボリュームと新しいレベル 5 のボリュームの 2 つのボリュームが必要となります (図 3-7 を参照)。
レベル 1-9 バックアップを使うことで、使用しなければならないボリュームの数を制御できます。バックアップ方法を慎重に計画することで、ボリュームの数を最小限に抑えながら、すべてのデータをディスクに復旧することが可能になります。ディスククラッシュからの復旧に必要なボリュームの数が少ないほど、ディスクの復旧に費やされる時間も削減できます。
また、バックアップのデータを圧縮し、不要なデータを削除するディレクティブを使うことで、データのバックアップに要する容量と時間を制御できます。たとえば、バックアップの実行時に、特定のファイルまたはファイルシステムを省略するよう Backup に指示できます。ディレクティブの詳細は、「ディレクティブとは」を参照してください。