デバイスとは、バックアップや復旧などの操作の際に、ストレージボリュームとの間でデータの読み書きを行うドライブのことです。「Devices」リソースには、個々のデバイスの属性が含まれています。デバイスの構成方法は、そのデバイスがスタンドアロンなのか、あるいはオートチェンジャやサイロに含まれているのかによって異なります。
Backup サーバーにストレージデバイスを認識させるためには、各ストレージデバイスを個別に構成する必要があります。
ストレージデバイスとしてテープドライブを使用する場合には、非巻き戻し型式のデバイスを使用します。これは、各バックアップの終了時にバックアップボリュームにファイルマークが書き込まれ、このファイルマークの位置に基づいて、データがボリュームに追加されるためです。デバイスがデータを巻き戻すとファイルマークの位置がわからなくなり、書き込まれているデータが次のバックアップ処理の際に上書きされます。これらのデバイスのパス名は、/dev/rmt/Ombn のように、Berkeley Storage Device(BSD) のセマンティクス規則に従っていなくてはなりません。この例では、パス名の中の b が、この規則の条件を満たしています。
ファイルデバイスを使用する場合には、ファイル名だけでなく、他のデバイスタイプの場合と同様にディレクトリパスとして入力する必要があります。Solaris サーバーでは /tmpfs というパスは使用できません。
Backup がサポートしているストレージデバイスと、それらに対応するバックアップメディアを次に示します。
1/2 インチの磁気テープドライブ (himt)
1/4 インチのカートリッジテープドライブ (qic)
4 mm (DAT) テープドライブ (4mm)
8 mm テープドライブ (8mm)
8 mm 5 G バイトテープドライブ (8mm 5GB)
3480 テープドライブ (3480)
4890 テープドライブ (4890)
9490 Timberline テープドライブ (9490)
SD3 高速テープドライブ (SD3)
デジタルリニアテープドライブ (dlt)
VHS テープドライブ (VHS)
光ディスクドライブ (optical)
磁気ディスクドライブ (optical)
dst 高速テープドライブ (dst)
dtf 高速テープドライブ (dft)
3590 高速テープドライブ (3590)
3570 テープドライブ (3570)
論理ボリューム (logical)
Backup サーバーまたはストレージノードにスタンドアロンデバイスを接続している場合には、Backup サーバーで「Devices」リソースを表示し、そのリソースの属性の設定値を入力または変更します。
オートチェンジャやサイロなどのマシンは複数のデバイスから構成されています。複数のデバイスから構成されるマシンのデバイスを構成するためには、そのマシンがオートチェンジャかサイロかに応じて、いくつかの手順が必要です。
オートチェンジャ内のデバイスを構成するには、Backup サーバーまたはストレージノードマシンに Backup デバイスドライバをインストールし、これを有効にしたあとに、jb_config プログラムを使ってオートチェンジャを構成し、「Devices」リソースでオートチェンジャの個々のデバイスを定義します。オートチェンジャの詳細は、第 7 章「オートチェンジャモジュール」を参照してください。
サイロ内のデバイスを Backup 用に構成するには、まず Backup サーバーまたはストレージノードマシンに Backup のサイロサポートモジュールをインストールし、これを有効にしたあとに、jb_config プログラムを使ってサイロとそのデバイスを構成します。サイロ内のデバイスの変更や削除には、「Devices」リソースは使用しません。サイロの詳細は、第 10 章「サイロサポートモジュール」を参照してください。
データをネットワーク上で移動したり、テープに書き込んだりする前に、Backup クライアントマシンによってバックアップの過程でデータを圧縮できます。ソフトウェア圧縮を行うには、「Clients」リソースで圧縮ディレクティブを選択するか、あるいはカスタマイズしたバックアップコマンドに compressasm を追加します。compressasm を追加することによって、一般には 2:1 の圧縮率を達成できます。ソフトウェア圧縮は、ネットワーク上で移動されるデータの量が減るというパフォーマンス上の利点に加えて、テープに不良箇所がある場合には一部のハードウェア圧縮に比べて機能の面で優れています。
テープに不良箇所があるために生じる EOT (テープの終わり) エラーに対処するために、Backup では固定サイズの後書きバッファを使用しています。Backup は、次のテープを要求するときに、後書きバッファの内容も新しいテープに書き出します。書き出されていないデータのサイズが Backup のバッファよりも大きい場合は、EOT の処理は行われません。後書きバッファは、圧縮に対応していないテープドライブに対応できるように、有限サイズになっています。また、この後書きバッファは、ドライブのバッファからテープに書き込むときにデータ圧縮するタイプのテープドライブでは使用できますが、ドライブのバッファにデータをコピーするときにデータ圧縮するタイプのドライブでは使用できません。ドライブのバッファは、バイト換算で 1.5 倍から 3 倍の比率でデータを圧縮し、ときにはこれよりもはるかに高い圧縮率を実現します (一部のドライブでは 10:1 の圧縮率を持つ)。この 10:1 という圧縮率に対応するためには、後書きバッファのサイズは、非常に大きくなければなりません。しかし、実際に使用されるメモリーとスワップ空間を考えると、実際には不可能です。
自分の環境にどの圧縮方式が合っているかを検討する際には、次の事柄を念頭に置いてください。
CPU の処理能力が十分な場合には、compressasm を使ってネットワーク帯域幅を最小限に抑えます。
compressasm または圧縮対応ドライブを使用して、テープに格納できるデータの量を増やします。
圧縮されているデータをさらに圧縮しても、それ以上の圧縮率は得られません。圧縮対応ドライブと compressasm を併用することは可能ですが、テープ内のデータがそれ以上圧縮されることは期待できません。両方のオプションを選択すると、かえってデータの量が増えることもあります。
圧縮対応ドライブを使用していて、ネットワークにクライアントが接続されていない場合には、compressasm は使用しないでください。