この章では、Backup のオートチェンジャ (ジュークボックス) サポートをインストール、構成、および操作する方法を説明します。あらゆるバックアップデバイスについての情報は、「デバイスの構成」を参照してください。
この章は次の節で構成されています。
Backup ソフトウェアでは、オートチェンジャを指すのに「ジュークボックス」という語を使います。オートチェンジャという語は、カルーセル、ライブラリ、ニアラインストレージ、データホイール、オートローダーなどのさまざまな機械的なライブラリを表します。
オートチェンジャを使用すれば、バックアップメディアのロード、マウント、ラベル付けの各作業を自動化できます。Backup でオートチェンジャを使うための設定には、次の作業が必要です。
Backup サーバーまたはストレージノードマシンにオートチェンジャを接続して構成する
Backup サーバーまたはストレージノード用のソフトウェアとデバイスドライバをインストールし、有効にする
jb_config プログラムを使ってオートチェンジャを構成する
Backup オートチェンジャモジュールを有効にする
ボリュームをロードしてラベルを付ける
Backup デバイスドライバをインストールして jb_config プログラムを実行するときに、オートチェンジャ構成の大部分を指定することができます。構成タスクを完了したあとでも、「Jukeboxes」リソースでオートチェンジャの属性を変更できます。
Backup 管理プログラムを使って、オートチェンジャリソースを追加または作成することはできません。すでにインストールして構成済みのオートチェンジャを変更するためには、jb_config プログラムを使用します。
将来、増設のオートチェンジャをインストールして Backup サーバーまたはストレージノードマシンでバックアップできるようにするためには、その増設オートチェンジャを使用するためのイネーブラコードを別途購入し、入力しなければなりません。
オートチェンジャの構成やオートチェンジャ内のデバイスの構成を変更するには、Backup で使用可能なデバイスのリストからオートチェンジャを削除し、Backup 管理プログラム (nwadmin または nsradmin) または jb_config プログラムを使って構成内容を変更します。
jb_config プログラムを起動する場合は、起動前に、接続されているオートチェンジャを構成するシステム (Backup サーバーまたはストレージノード) 上で nsrd デーモンを動作させておく必要があります。インストールスクリプトには、インストール完了後に Backup デーモンを起動するためのオプションが組み込まれています。Backup デーモンは、スーパーユーザーとしてシェルプロンプトから起動することもできます。
Backup によるストレージ管理にオートチェンジャを使用する場合は、最初に jb_config プログラムを使ってオートチェンジャを構成し、インストールしたデバイスドライバソフトウェアをテストしなければなりません。この節の説明に従って、SCSI オートチェンジャが接続されている Backup サーバーまたはストレージノードで、デバイスドライバソフトウェアを構成し、テストしてください。
SCSI オートチェンジャを構成する場合の応答例を次に示します。デバイスドライバソフトウェアが、システムに接続されているすべての SCSI オートチェンジャについての情報を検出して表示します。
# jb_config 1) Install an Autodetected SCSI Jukebox. 2) Install a Serial Jukebox. 3) Install an SJI Jukebox. What kind of Jukebox are you installing? 1 These are the SCSI Jukeboxes currently attached to your system: 1) scsidev@1.2.0: DLI Libra Series 2) scsidev@0.2.1: Quantum DLT/Digital DLT Which one do you want to install? 2 Installing a 'Quantum DLT/Digital DLT' jukebox. Name you would like to assign to the jukebox device? QuantumDLT_1 Pathname of the control port for the jukebox device? [scsidev@0.2.1] [Return] Do you want automated device cleaning support enabled? (yes/no) n Enter pathname of media drive 1 [/dev/nrst8]:? [Return] This media device has not been configured yet. Please select a media device type for /dev/nrst8. a) himt b) qic c) 4mm d) 8mm e) 8mm 5GB f) 3480 g) dlt h) vhs i) optical Choice? g Jukebox has been added successfully |
次に、SJI オートチェンジャを構成する場合の応答例を示します。
# jb_config 1) Install an Autodetected SCSI Jukebox. 2) Install a Serial Jukebox. 3) Install an SJI Jukebox. What kind of Jukebox are you installing? 3 Enter the number corresponding to the type of jukebox you are installing: 1) ADIC-1200c/ADIC-1200d 2) ADIC-VLS 3) ARC-DiamondBack 4) Breece Hill 5) DLI Libra Series 6) Quantum DLT/Digital DLT 7) EXB-10e/EXB-10h 8) EXB-10i 9) EXB-60 10) EXB-120 11) EXB-210 12) EXB-218 13) EXB-400 Series 14) HP-C1553A/Surestore 12000e 15) Metrum (SCSI) 16) Qualstar 17) Spectralogic 18) STK-9704/Lago 340 19) STK-9708/Lago 380(SCSI) 20) IBM 7331/IBM 9427 21) ATL/Odetics SCSI 22) HP-Optical 630MB/1.3GB 23) other Choice? 6 Installing a 'Quantum DLT/Digital DLT' jukebox. Name you would like to assign to the jukebox device? dlt Pathname of the control port for the jukebox device? scsidev@1.2.0 [Return] Do you want automated device cleaning support enabled? (yes/no) n |
Enter pathname of media drive 1 [/dev/nrst8]:? [Return] This media device has not been configured yet. Please select a media device type for /dev/nrst8. a) himt b) qic c) 4mm d) 8mm e) 8mm 5GB f) 3480 g) dlt h) vhs i) optical Choice? c Jukebox has been added successfully. |
jb_config コマンドを使ってオートチェンジャを構成すると、ユーザーが指定した名前のリソースが Backup によって新たに作成されます。この新しいリソースは、Backup 管理プログラムの「Jukeboxes」リソースに表示されます。「Jukeboxes」リソースの属性の詳細は、オンラインヘルプか、nsr_jukebox(5) のマニュアルページを参照してください。
オートチェンジャのインストール、構成、テストが終わったら、イネーブラ証明書に記載されている手順に従って、Backup オートチェンジャソフトウェアモジュール用のイネーブラコードを入力します。オートチェンジャソフトウェアモジュールを使用するには、必ず登録して認証を受けます。そうしないと、イネーブラを入力してから 45 日後に、このソフトウェアは自動的に無効になります。詳細は、「イネーブラコードの入力」を参照してください。
あとでオートチェンジャを増設する場合は、追加購入するオートチェンジャソフトウェアモジュールごとに有効化と登録の作業が必要です。さらに、新しいオートチェンジャ用にドライバソフトウェアを構成しテストしなければなりません。最初のインストール後にデバイスドライバソフトウェアを削除した場合には、オートチェンジャの増設時に Backup デバイスドライバをインストールし直さなければなりません。
オートチェンジャをストレージノードマシンに接続する場合は、さらに構成と管理の作業が必要になります。
このリモートオートチェンジャ内のデバイスに対するほとんどの操作は、サーバーから Backup 管理プログラムを使って制御できます。ただし、リセットなどのリモートオートチェンジャに対する一部の操作では、ストレージノードマシンで nsrjb コマンドまたは jb_config コマンドを使う必要があります。これらのコマンドは、スーパーユーザーになっていれば、ローカルマシンからでも、リモートのログインセッションでも使用できます。
ストレージノードマシンにストレージノードのバイナリファイルをインストールしたら、ストレージノードのデバイスを定義します。デバイスの定義方法は、「リモートデバイスの構成」に説明してあります。ここでは概要を説明します。
リモートオートチェンジャのデバイスを増設したら、最初に、Backup 管理プログラムの「Server」ウィンドウで「NSR」リソースの「Administrator」属性に、ストレージノードのホスト名を追加します。次の形式を使います。
root@storage-node-hostname
次に、ストレージノードマシンで jb_config プログラムを実行して (「オートチェンジャのインストール」を参照)、オートチェンジャ内の各デバイスを定義します。このプログラムの構文とオプションについては、付録 B 「コマンド行リファレンス」 か、jb_config(1m) のマニュアルページを参照してください。
リモートデバイスの名前の前に rd= とストレージノードマシンの名前を付けます。たとえば、omega という名前のストレージノードマシンにある /dev/rmt/1mbn という名前のデバイスは、rd=omega:/dev/rmt/1mbn と表します。
Backup サーバーまたはストレージノードマシンにオートチェンジャをインストールしてテストしたら、この節の説明に従って、オートチェンジャ内のデバイスとメディアを管理します。
オートチェンジャにデバイスを増設するには、最初に、新しいデバイスを「Devices」リソースに定義して、Backup サーバーまたはストレージノードに増設デバイスを認識させます。次に、オートチェンジャのデバイスのパス名を「Jukeboxes」リソースに入力して、増設デバイスがこのオートチェンジャに属していることを Backup に認識させます。
新しいデバイスのパス名を「Devices」リソースに追加したら、「Jukeboxes」リソースの「Devices」フィールドにもそのパス名を追加する必要があります。オートチェンジャの名前とオートチェンジャ内のデバイスの名前は、Backup によって関連付けられます。「Devices」リソースの説明と使用法については、Backup のオンラインヘルプを参照してください。
オートチェンジャに複数のデバイスがロードされている場合は、デバイスのパス名は、オートチェンジャ内でデバイスが配置されている順序で指定しなければなりません。デバイスの順序がわからなければ、オートチェンジャのハードウェアマニュアルを参照するか、あるいは Backup サーバーまたはストレージノードマシンでスーパーユーザーになって、シェルプロンプトで /etc/LGTOuscsi/inquire コマンドを入力します。このコマンドによって、システムに接続されている SCSI デバイスの一覧が表示されます。
自動メディア管理機能を使うとバックアップの手順が自動化されるため、バックアップ前にボリュームにラベルを付ける必要がなくなります。「Jukeboxes」リソースの「Auto Media Management」属性を有効にすると、Backup は、オートチェンジャにロードされているボリュームを Backup メディア専用に使えるものとみなします。ラベルの付いていない Backup ボリュームは空のボリュームであるとみなされて自動的にラベル付けされて、マウントされ、新しいデータで上書きされます。書き込み可能なボリュームや再利用可能なボリュームが見つからない場合は、ラベルが付いていないとみなされたボリュームだけが使われます。
Backup は、次に示すボリュームラベルは認識できないので、これらはラベル付けがされておらず、使用可能であるとみなします。
ラベルのないボリューム
Backup ラベル以外のラベルが付いたボリューム
現在ロードされているデバイスとは異なる密度で書き込まれた、Backup ラベルが付いているボリューム。たとえば、新型と旧型とで 8mm テープドライブでデータの書き込みに使用された密度が異なる場合には、旧型の 8mm テープドライブのボリュームにバックアップしたデータは、新型のドライブでは読み取れない可能性があります。
自動メディア管理機能を有効にした場合は、異なるバックアップデバイス間での Backup ボリュームの共有に注意してください。ラベルが付け直されて、貴重なデータが上書きされてしまう可能性があります。Backup に使用しないボリュームをオートチェンジャに置いたり保管したりする場合は、それらのボリュームは、Backup 用に割り当てられているスロット以外のスロットに置きます。
「Auto Media Management」属性は、「Jukeboxes」リソースと「Devices」リソースの両方にあります。オートチェンジャに対しては、「Jukeboxes」リソース内の「Auto Media Management」属性だけを有効にします。デバイスがオートチェンジャに置かれている場合には、「Devices」リソースの「Auto Media Management」属性を有効にすることはできません。
スタンドアロンデバイスへのバックアップに対して自動メディア管理機能を使用する場合は、「スタンドアロンデバイスの構成」を参照してください。
バックアップデバイスを正常に動作させるための保守作業では、定期的なクリーニングが必要です。Backup には、オートチェンジャ内のデバイス用に自動クリーニング機能が備わっています。この自動クリーニング機能は、スタンドアロンデバイスには使用できません。
『SunSoft Backup Device Supplement』に、現在 Backup によってサポートされているオートチェンジャのうち、自動的にクリーニングカートリッジが認識されるものの一覧が記載されています。
「Jukeboxes」リソースと「Devices」リソースの両方を使って、オートチェンジャデバイスの自動クリーニングに必要な事項を選択します。
「Jukeboxes」リソースにはオートチェンジャに固有の選択事項が表示されるので、そこで自動クリーニング機能を有効または無効に設定します。カートリッジには、適切なクリーニング用スロットを選択します。
「Devices」リソースにはオートチェンジャにロードされているデバイスに固有の機能が表示されます。デバイスクリーニングが必要な時期と前回デバイスクリーニングした日が表示されるので、デバイスをクリーニングする頻度を指定します。
Backup によるデバイスクリーニングは、デバイスにボリュームがマウントされる前かマウント解除されたあとに行われるので、オートチェンジャのほかの操作に影響はありません。
Backup のクリーニングカートリッジサポート機能によって、クリーニングカートリッジについて表 7-1 に示す通知メッセージが表示されます。
表 7-1 自動クリーニング機能による通知メッセージ
通知メッセージ |
意味 |
---|---|
Device cleaning required |
「Auto Clean」属性は無効になっており、デバイスにはクリーニングが必要 |
Device cleaned |
「Auto Clean」属性は有効になっており、デバイスはクリーニング済み |
Cleaning cartridge required |
「Auto Clean」属性は有効になっているが、使用できるクリーニングカートリッジがない |
Cleaning cartridge expired |
クリーニングカートリッジの使用が指定回数に達しており、カートリッジの交換が必要 |
使用しているオートチェンジャデバイスのクリーニングの頻度と方法については、そのオートチェンジャのメーカーから提供されているマニュアルを参照してください。
選択したスロットにクリーニングカートリッジを挿入します。
「Jukeboxes」リソースの「Default Cleaning」属性に、クリーニングカートリッジの残り回数を入力します。
Backup 管理プログラムで「Default Cleaning」属性を見るには、「Jukeboxes」ウィンドウを詳細モードで開きます。
クリーニングカートリッジ用に使うスロット番号を「Cleaning Slots」属性で指定し、「Auto Clean」属性を「Yes」に設定します。
「Available Slots」属性を変更して、データボリュームに使用できるスロット範囲を指定します。
クリーニングカートリッジ用のスロットがオートチェンジャの最初または最後のスロットでない場合は、「Available Slots」属性でスロット範囲を 2 つに分けて指定しなければなりません。これは、オートチェンジャのインベントリを (各スロット範囲で 1 回ずつ) 2 回の手順で作成する必要があるためです。
たとえば、オートチェンジャにスロットが 11 あり、スロット 6 をクリーニングカートリッジ用に使う場合は、「Available Slots」属性の別々の行に、次のように指定します。
1-5 7-11 |
あるいは、nsradmin プログラムで、次の構文を使います。
available slots: 1-5, 7-11; |
コマンド行で、次のコマンドを入力します。
# nsrjb -U uses -j autochanger -S slot |
uses には、「Default Cleaning」フィールドに入力されている残り回数 (手順 2 で入力した残り回数) を指定します。
slot には、クリーニング用に使うスロットの番号を指定します。
オートチェンジャが 1 台だけの場合は、-j オプションを省略できます。
オートチェンジャでクリーニングカートリッジを交換するたびに、nsrjb プログラムを実行して、残り回数を指定しなければなりません。
使用しているオートチェンジャが、要素状態確認オプションまたはバーコードによるラベル付けオプションをサポートしていない場合は、手順 5 で説明した nsrjb コマンドを使って、クリーニングカートリッジをインベントリに加えるようにオートチェンジャに指示する必要があります。
カートリッジアクセスポート (Cartridge Access Port, CAP) を使うと、オートチェンジャのドアを開けずにボリュームを格納したり、取り外したりできます。オートチェンジャのドアを開けてメディアを追加したり取り出したりすると、オートチェンジャの状態は無効になるので、オートチェンジャの内容のインベントリを作り直して、Backup がバックアップメディアを追跡できるようにしておく必要があります。ただし、このインベントリの作成には時間がかかります。
CAP を使うと、オートチェンジャのインベントリを作り直さなくても、オートチェンジャに対してボリュームの追加 (格納) や取り出し (取り外し) ができるので便利です。
CAP を使ってボリュームの追加や取り出しを行なっても、Backup が自動的にインベントリを作成し、バーコードラベルを読み取り、オートチェンジャ内の空きスロットを探すわけではありません。したがって、これらの作業には、オートチェンジャのインベントリ作成機能と「Jukeboxes」リソースを使う必要があります。
CAP 機能を使ってボリュームを格納するには、次の手順に従います。
Backup サーバーまたはストレージノードマシンでスーパーユーザーになります。
オートチェンジャの前面にあるボタンを押してカートリッジホルダーを手前に引き出し、CAP を開きます。
ボリュームをホルダーに置きます。
前面のボタンをもう一度押してメディアをオートチェンジャ内に押し込み、CAP を閉じます。
システムプロンプトで nsrjb コマンドを入力します。
slot にはボリュームのスロット番号を指定し、「volume」にはボリュームのラベル名を指定します。
# nsrjb -d -S slot volume |
nsrjb コマンドでボリューム名を指定しないと、スロットに -* というマークが付けられ、そのスロット内のボリュームが不明であることが示されます。そのスロットのインベントリを作成するには、次のコマンドを使用します。
# nsrjb -I -S slot |
ボリュームが正しいスロットに格納されたかどうかを確認するには、Backup を使ってそのボリュームをマウントします。
CAP 機能を使ってボリュームをオートチェンジャの特定のスロットから取り外すには、次の手順に従います。
Backup サーバーまたはストレージノードマシンでスーパーユーザーになります。
システムプロンプトで nsrjb コマンドを入力します。slot にはボリュームのスロット番号、volume にはボリュームのラベル名を指定します。
# nsrjb -w -S slot volume |
ボリュームが CAP に達したら、ボタンを押して CAP を開きます。
ボリュームを取り出して CAP を閉じます。
この節では、ボリューム管理タスクに共通の手順を説明します。ボリューム管理タスクには、Backup 管理プログラム nwadmin、nsradmin インタフェース、または nsrjb プログラムを使用します。
Backup 管理プログラムのウィンドウの使い方については、オンラインヘルプを参照してください。nsradmin コマンドと nsrjb コマンドの詳細は、それぞれ nsradmin(1m) と nsrjb(1m) のマニュアルページを参照してください。nsrjb コマンドについては、付録 B 「コマンド行リファレンス」 にも説明があります。
オートチェンジャにボリュームをマウントするには、「Devices」属性でオートチェンジャデバイスを選択してからそのデバイスをマウントするか、あるいはシェルプロンプトで次のコマンドを入力します。
# nsrjb -l slot |
デバイスのパス名を識別するために、オートチェンジャの外側にラベルを貼っておきます。こうしておくと、特に複数台のオートチェンジャを使用する場合に、それぞれのオートチェンジャに属するデバイスのパス名が識別しやすくなります。
オートチェンジャにロードされているバックアップデバイスを「Devices」属性で選択し、「Pools」リソースでラベルテンプレートを選択し、ボリュームがオートチェンジャに置かれていることを確認します。次に、ボリュームのラベル付けを開始します。
コマンド行からオートチェンジャ内のボリュームにラベルを付けるには、シェルプロンプトで、次のコマンドを入力します。
# nsrjb -L |
オートチェンジャ内のボリュームにラベル付けするのには時間がかかるので、ファイルのバックアップと復旧の必要がないときにラベル付け操作を行います。
オートチェンジャ内のメディアへのラベル付けは、「Starting With」属性に表示されているラベルから開始されます。「First Slot」と「Last Slot」の属性を使って、Backup でラベル付けするボリュームに使うスロットの範囲を指定します。
特定範囲の複数のボリュームにラベルを付ける場合は、「Starting With」属性のラベル名を、ラベルテンプレートに一致させなければなりません。単一ボリュームにラベルを付ける場合は、名前をラベルテンプレートに一致させる必要はなく、どのような名前を付けてもかまいません。また、「First Slot」と「Last Slot」の属性に、同じ値を指定します。
ラベルを付けるメディアに、すでに有効な Backup ラベルが付いている場合は、確認メッセージが表示され、誤ってメディアの既存のラベルを変更してしまうのを防いでいます。ボリュームのラベルを変更すると、それまでのラベルで管理されていた内容を復旧できなくなります。「OK」を選択して確定すると、スロット内のボリュームがロードされ、ラベルが付けられて、アンロードされます。
オートチェンジャに新しいボリュームをロードし直すときは、既存のボリュームのラベルが誤って変更されないように、オートチェンジャ内のすべてのボリュームをマウント解除する必要があります。
ボリュームへのラベル付けの詳細は、「ストレージ管理操作 (ラベル付けとマウント)」を参照してください。
バーコードラベルをメディアに貼り付けると、ボリュームのインベントリの作成が速くでき、内部ボリュームラベルを正確に付けられるという、2 つの利点があります。
バーコードラベルを使うと、ボリュームをデバイスにロードする必要がないため、迅速に効率よくインベントリを作成できます。オートチェンジャによって、ボリュームがスロットに装着されている時に赤外線で外側のバーコードラベルが読み取られます。バーコードラベルを使ってインベントリを作成すると、ボリュームの検出と内容の確認にかかる時間を大幅に短縮できます。
さらに、バーコードラベルによって、ラベル付けの正確性も向上します。ラベルは前もってオートチェンジャがロードする前に、メディアに貼られていて、それを読み取るからです。オートチェンジャがバーコードラベルを読み取ると、Backup はラベルをメディアデータベース内に記録し追跡します。
Backup でバーコードラベルを使うのは、ボリュームのインベントリを作成するためです。通常はラベルテンプレートによって作成される内部ボリュームラベルは、バックアップと復旧に必要なボリュームを特定するのに使われます。ただし、保留メッセージにはバーコードラベルとボリュームラベルの両方が表示され、「Volumes」リソースには、ボリュームラベルと、それに関連付けられているバーコードラベルが表示されます。
保管庫またはオフサイトに長期間保存されている既存のボリュームには、バーコードラベルを貼り付ける必要はありません。このようなボリュームに対してインベントリを頻繁に作る必要はほとんどないからです。ただし、復旧や新しいデータによる上書きのために頻繁に使うボリュームについては、バーコードラベルを貼り付けておくと便利です。ボリュームにバーコードラベルを貼り付けておくと、ボリュームのインベントリの作成の時間を節約できます。
既存のボリュームにバーコードラベルを使う場合は、まず、既存のボリュームにバーコードラベルを貼り付けなければなりません。次に、ボリュームを 1 つずつロードして、マウントし、Backup がバーコードラベルと既存のボリュームラベルを照合できるようにします。
いろいろなメーカー製のバーコードラベルを購入できます。必要に応じて、数字、英字、または数字と文字の特殊な組み合わせから成るバーコードラベルを選ぶことができます。さらに、現在のボリュームラベルの付け方に適合したバーコードラベルを注文することもできます。
ボリュームラベルにサーバー名を使い、それに 001 などの拡張子を付ける場合は、server_name.001 から server_name.100 までのラベル範囲で注文します。バーコードラベルによるラベル付けについては、通常はオートチェンジャのハードウェアマニュアルに説明があります。バーコードラベルについての質問は、ハードウェアメーカーにお尋ねください。
一定の規則に従ってラベル付けを行うと、ボリュームの編成と追跡が楽になります。また、一部のボリュームだけでなく、すべてのボリュームにバーコードラベルを貼り付けておくと、インベントリ作成にも役立ちます。
Backup によって自動的にボリュームのラベルが付け直されるときには、元のボリュームラベルの名前が再び使われます。ラベルの名前を変更できるのは、ユーザーがボリュームラベルを付け直す場合だけです。ラベル付けの進行中に Backup によってバーコードラベルが読み取られ、新しいボリューム名と、それに関連付けられたバーコードラベルによって、メディアデータベースが更新されます。
オートチェンジャのインベントリが古くなったら、システムを再起動するか、あるいはオートチェンジャのドアを開いてインベントリを作成すると、オートチェンジャの内容についての情報を更新できます。それには、管理プログラムのグラフィカルな「Inventory」コマンドを使うか、あるいはスーパーユーザーになって、シェルプロンプトで nsrjb -E -I コマンドを入力します。リセット操作によっても、オートチェンジャの内容についての情報が更新されます。どの方法で情報を更新しても、オートチェンジャのスロットはすべて初期化されます。
ボリュームにはボリュームラベルを付けなければなりませんが、バーコードラベルは必ずしも必要ではありません。バーコードラベルをボリュームに関連付けるには、「Jukeboxes」リソースを使います。
Backup ボリュームにバーコードラベルを付けるには、次の手順に従います。
ボリュームにバーコードラベルを付けます。
バーコードラベルを貼り付けたボリュームをオートチェンジャ内に装着します。
「Jukeboxes」リソースを表示します。
「Bar Code Reader」フィールドと「Match Bar Code Labels」フィールドを、両方とも「Yes」に設定します。
Backup 管理プログラムまたは nsrjb -L コマンドを使って、ボリュームにラベルを付けます。
複数の Backup のボリュームに対して同一のバーコードラベルを使わないでください。同じラベルを付けると、バーコードラベルを使う意味がなくなります。「Jukeboxes」リソースで「Match Barcode Labels」フィールドが有効になっている場合に、同じバーコードラベルを別のボリュームに付けようとすると、エラーメッセージが表示され、このボリュームにラベルを付けられません。そのような場合には、ラベルを変えてラベル付けをやり直します。
ボリュームラベルとバーコードラベルを一致させないように設定した場合は、ボリュームラベルを作り、それをメディアの外側に貼り付けます。
この場合、ボリュームにラベルを付けるには、次の手順に従うことをお勧めします。
メディアにすべてのバーコードラベルを貼り付け、それらのボリュームをオートチェンジャにロードします。
「Jukeboxes」リソースの「Bar Code Reader」属性を「Yes」にし、「Match Bar Code Labels」属性を「No」に設定します。
「Barcode Reader」属性と「Match Barcode Labels」属性を「Yes」に設定して、バーコードラベルが貼り付けられていなければ、そのボリュームにはバーコードラベルがないことを知らせるエラーメッセージが表示されます。
ラベル付け操作を開始します。
ラベルテンプレートによって次に使用可能なラベルが決まり、ボリューム名として使われます。ボリュームにラベルが付けられ、ボリュームラベルとバーコードラベルの両方がメディアデータベースに記録されます。
Backup によるラベル付けが終わったら、「Volumes」リソースを表示して、ボリュームごとにボリュームラベルとバーコードラベルを指定します。
独自のボリュームラベルを作成して、ボリュームに貼り付けます。
「Volumes」リソースの情報を使って、正しいボリュームラベルをバーコードラベルに対応させます。これが、バーコードラベルを使ってボリュームに正しいボリュームラベルを貼り付けるためのもっと容易な方法です。
オートチェンジャの内容にラベルを付ける場合は、ボリュームラベルを割り当てるときに、Backup はオートチェンジャのスロット内のボリュームの位置を登録します。ラベル付けのあとでユーザーがオートチェンジャ内のボリュームを変更しないかぎり、Backup はボリュームにアクセスできます。これは、それぞれのボリュームラベルが特定のスロットに割り当てられているためです。
ただし、ラベル付けをしないでオートチェンジャの内容を変更する場合、あるいはボリュームを別のスロットに移す場合は、ラベル付きの別のボリュームセットがオートチェンジャに入っていること、あるいはボリュームの順序が変わったことを、Backup に通知する必要があります。これを、インベントリの作成といいます。
オートチェンジャ内のボリュームのインベントリを作成すると、Backup によって各ボリュームのラベルが読み取られ、そのスロット番号が記録されます。たとえば、1 台のオートチェンジャに複数のジョブパックがある場合、新しいジョブパックのボリュームにラベルを付けていなければ、オートチェンジャ内のジョブパックを交換するたびにインベントリを作成する必要があります。
Backup には、バーコードラベルの読み取り機能があるため、インベントリの作成を高速で処理できます。ボリューム数が多い場合、あるいはオートチェンジャの内容を頻繁に変更する場合は、バーコードラベルを採用することをお勧めします。詳細は、「オートチェンジャでのバーコードラベルの使用方法」を参照してください。
オートチェンジャ内のボリュームの移動または追加時のインベントリの作成には、Backup 管理プログラムを使用するか、あるいはコマンド行に次のコマンドを入力します。
# nsrjb -Iv |
インベントリの作成が終わったら、Backup によってオートチェンジャの内容が登録され、ネットワーク全体のバックアップサービスと復旧サービスが再開されます。
どのボリュームのデータを Backup によってバックアップさせるかを、「Available Slots」属性を使って制御できます。Backup は、オートチェンジャ内のすべてのボリュームを復旧用に使います。ただし、オートチェンジャの使用可能なスロットの範囲を指定すれば、Backup によるバックアップ用に自動的に選択されるボリュームを制御できます。
たとえば 10 個のスロットがあるオートチェンジャの場合、スロット 1 からスロット 5 までを Backup によるバックアップ用に指定できます。指定するのは、スロット番号の範囲でも、単一のスロット番号でもかまいません。
両面メディアの場合、使用可能スロットの数はラベル数 (光ディスクの場合は面の数) の 0.5 倍になります。たとえば光ディスクが 32 枚あり、atlas.001.a から atlas.032.b までのラベルが付けられている場合は、ラベル総数は 64 (つまり 64 面) になります。ただし、使用可能なスロット数は 32 です。
オートチェンジャのすべての使用可能スロットにボリュームが置かれていることを確認して、自動バックアップ処理が中断せずに行われるようにします。
Backup では、Backup イベントについての通知は電子メールで送られます。3 種類のテープマウント要求通知を使って、管理者にオートチェンジャに関する注意事項が伝えられます。「Tape Mount Request 1」通知は定義されていないので、独自の通知メッセージを作成できます。
オートチェンジャに関する注意事項には、以下のものがあります。
オートチェンジャ内のボリュームの 90% が使用されている
操作を続行するには、オートチェンジャにボリュームの追加が必要
オートチェンジャに機械的な障害が発生した
オートチェンジャのデバイスのクリーニングが必要
オートチェンジャのクリーニングカートリッジの交換が必要
「Notifications」リソースには、オートチェンジャ操作に関係するテープマウントの要求と、デバイスクリーニング要求の通知が表示されます。
詳細は、「事前構成済み通知」を参照してください。
Backup によって正しいボリュームが自動的にマウントされるので、オートチェンジャにボリュームがロードされていれば、復旧処理は続行されます。オートチェンジャにロードされていないボリュームが必要な場合は、Backup 管理プログラムの「Pending」ウィンドウにメッセージが表示されます。
オートチェンジャの障害を解決したら、ファイルのバックアップや復旧を続行するには、ボリュームをマウントしなければならない場合があります。Backup 管理プログラムの「Pending」ウィンドウのメッセージに注意してください。
この節では、オートチェンジャとバックアップメディアを効率よく適切に使うためのヒントを示します。
Backup で保存できるファイルは、「Volumes」リソースで「appen」(追加可能) というマークが付けられているボリューム上のファイルです。オートチェンジャ内の「 full」というマークが付いているボリュームには、バックアップファイルを追加できません。
「full」というマークが付いたボリュームには、次のどちらかの操作ができます。
ボリュームを長期保存しておく必要がある場合は、いっぱいになっているボリュームを取り出して新しいメディアと交換します。
いっぱいになっているボリューム上のデータが不要であれば、「Volumes」リソースのモードを手動で「recyc」に変更すると、次回のバックアップでデータが上書きされます。ただし既存のラベルが使用されます。ボリュームのラベルを変更せずにボリューム内のデータを新しいデータで上書きする方法はこのほかにありません。
ボリューム上のすべてのセーブセットは、保持ポリシーで指定されている期限が切れると、そのボリュームのモードが自動的に再利用可能に変わります。
メディアの再利用にも、プールへのメディアの追加にもそれぞれ利点があります。再利用では同じボリュームを再び使用でき、新たにボリュームをプールに追加する必要はありません。しかし、時がたつにつれてメディアが磨耗し、障害が多発する可能性があります。
これに対し、バックアップファイルを一定期間その部所内に保存する必要がある場合は、再利用ではなく、ボリュームプールにメディアを追加します。たとえば、会社の方針でバックアップファイルを 1 年間保存する場合には、3 か月ごとにオートチェンジャに新しいボリュームを追加する必要があります。その場合は、ボリュームの内容が期限切れになってバックアップファイルが古くなったために再利用できるようになるまでは、プールに新しいメディアを追加し続ける必要があります。
フルバックアップとフルバックアップ以外のバックアップの両方を予定している場合は、フルバックアップに必要なボリューム数を見積もり、その数だけ「Full」プールに割り当てることをお勧めします。こうすることで、オートチェンジャ内の連続した範囲のスロットにフルバックアップが格納され、ボリュームを一度に取り出しやすくなります。
オートチェンジャデバイスの装着機能を調整する頻度と方法については、オートチェンジャメーカーのマニュアルを参照してください。
オートチェンジャ中のメディアを移動する場合には、必ず Backup を使用します。Backup を使用せずにメディアを移動させると、オートチェンジャのインベントリは無効になってしまいます。誤って移動させてしまった場合には、次の操作を行います。
次のように入力して、オートチェンジャをリセットします。
# nsrjb -H |
次のように入力して、オートチェンジャの内容のインベントリを作成します。
# nsrjb -I -E |
nsrjb プログラムの詳細は、付録 B 「コマンド行リファレンス」 か、nsrjb のマニュアルページを参照してください。