この章では、オプションの Backup アーカイブアプリケーションをインストールし、使用する方法を説明します。
この章は次の節で構成されています。
Backup アーカイブプログラム nwarchive は、アーカイブ機能が有効になっている Backup クライアントマシンに対して、アーカイブサービスを提供します。アーカイブ操作では、特定の時点のファイルまたはディレクトリを捕らえ、それらのデータを特別なアーカイブストレージボリュームに書き込みます。アーカイブ情報が完成したら、スペースを節約するために、オリジナルのファイルをディスクから削除できます。これをグルーミングといいます。
バックアップ操作によってスケジュールされた Backup バックアップを実施し、アーカイブ操作によってデータを保護します。バックアップは、ハードウェア障害またはユーザーのエラーによるデータ消失に対する短期的な保護であるのに対し、アーカイブは長期的なデータ保護手段といえます。アーカイブファイルは、新しいファイル用にスペースを空けるために主ディスクストレージから削除してアーカイブボリュームに移し、あとで即座に取り出せるように保存しておくことができます。
アーカイブデータは、自動的に再利用されることはないので、Backup によって不用意に上書きされることはありません。アーカイブボリュームに保存されている内容は、長期間メディアデータベースに保存されます。アーカイブされたデータをローカルディスクに復元するには、Backup の取り出しプログラム nwretrieve を使います。
アーカイブデータの形式は、Backup でバックアップしたセーブセットのデータ形式とは異なるので、これらのデータは、PC スタイルと UNIX スタイルのどちらのアーカイブであっても、別々のボリュームに書き込む必要があります。
PC スタイルのアーカイブには、クライアントファイルインデックスのエントリを格納するオプションがあります。このオプションを利用して、アーカイブセーブセットの中の個々のファイルに対してブラウズと復旧が行えます。このオプションを有効にするには、PC スタイルのアーカイブを構成する際に、「Pools」リソースの「Store Index Entries」属性を有効に設定します。
「Save Index Entries」属性が有効に指定されている場合にアーカイブプールへの PC スタイルのアーカイブによって作成されたクライアントファイルインデックスは、アーカイブセーブセットと同じボリュームに書き込むことはできません。PC スタイルのアーカイブを指定した「Pools」リソースの「Store Index Entries」属性が有効になっている場合には、クライアントファイルインデックスは、次のスケジュールされたバックアップの際に、「Default」プールに含まれているボリュームに自動的に書き込まれます。アーカイブのクライアントファイルインデックスを「Default」プール以外のボリュームプールに書き込む場合は、「例 : クライアントインデックスとブートストラップを別々のプールに送る方法」を参照してください。
UNIX スタイルのアーカイブには、クライアントファイルインデックスのエントリを格納するオプションはありません。アーカイブセーブセットから個々のファイルを取り出すことはできません。各アーカイブセーブセットは、1024 文字以下の一意の注釈によって識別され、後から取り出すときにはこの注釈が使用されます。
Backup アーカイブプログラムを有効にする前に、以下の点を確認します。
Backup サーバー用のアーカイブイネーブラ証明書が手元にあること
Backup サーバー上に Backup Server Edition、Backup Network Edition、または Backup Power Edition がインストールされていて、有効になっていること
Backup サーバーまたはストレージノードに、スタンドアロンデバイス、あるいはオートチェンジャまたはサイロ内のデバイスが接続されていること。アーカイブのクローンを作成する場合は、使用可能なデバイスが 2 台必要
すでに Backup ソフトウェアの認証済みコピーがある場合、Backup Archive ソフトウェアの評価には特別な評価イネーブラを入力する必要があります。評価期間は 30 日間で、評価期間の最終日になるとアーカイブプログラムは動作を停止します。
「Backup Archive を有効にするには」の手順に従って特別な評価イネーブラコードを入力してください。
# nsrcap -v -c e76c69-a87b2c-3f8fbe |
評価イネーブラコードは、各ネットワークで 1 度しか使えません。2 回以上使うと、このコードで有効になっているすべての Backup サーバーが無効となり、バックアップ機能も使用できなくなります。
Backup Archive ソフトウェアを購入すると、継続して使用するための登録と認証を受けるための新しいイネーブラコードがご購入先から送られてきます。この新しいイネーブラコードを入力するには、まず、「Registration」リソースの「Archive Support」フィールドに新しいイネーブラコードを入力して、現在の評価イネーブラコードは削除します。それから、「Backup Archive の有効化、登録、認証」で説明した作業を行います。
Backup の配布ファイルには Backup Archive ソフトウェアが入っています。
Backup ソフトウェアをトライアル使用し、評価している場合には、30 日の評価期間内はアーカイブプログラムも自動的に有効になります。評価期間を経過したあとも続けてこのアーカイブプログラムを使うには、イネーブラコードを購入し、次の項の説明に従ってこのコードを入力し、Backup を登録しなければなりません。
有効になっている Backup サーバーを使って Backup Archive ソフトウェアを評価する場合は、「Backup Archive の評価方法」の説明を参照してください。
Backup Archive ソフトウェアを無期限に使用する場合は、Backup Archive の有効化、登録、および認証の手順に従ってください。
Backup の購入先 から、Backup Archive のイネーブラを購入します。
イネーブラが記載されている証明書が送付されます。
Backup サーバーでスーパーユーザーになります。
nwadmin コマンドを実行して、GUI 版の Backup 管理プログラムを起動します。
「Registration」ウィンドウを開きます。
「Create」をクリックします。
イネーブラコードを入力します。
「Apply」をクリックします。
Backup Archive ソフトウェアを有効にしたら、できるだけ早く登録します。
イネーブラコードを入力してから 45 日以内に登録しないと、アーカイブプログラムは動作しなくなります。
Backup 管理プログラムで、「Server」リソースを表モードで表示します。
登録情報を license@Sun.com 宛てに電子メールで送ります。
あるいは、製品登録フォームをサンライセンスセンター宛てにファクシミリで送信します (番号は +1-801-431-3657)。
登録情報を送ると、ライセンスセンターから認証コードが送られてきます。
Backup 管理プログラムで、「Registration」リソースを表示します。
「Registration」リソースで、リストから「Archive Support」を選択します。
「Auth Code」属性に、入手した認証コードを入力します。
Backup 製品を有効化し登録する方法の詳細は、「ソフトウェアを登録し認証を受けるには」を参照してください。
Backup サーバーに対してアーカイブイネーブラコードを入力すると、デフォルトでは、そのサーバーのすべてのクライアントが Backup Archive ソフトウェアに対して有効になります。「Clients」リソースの「Archive Services」属性を指定して、クライアントごとにアーカイブ機能の有効/無効を設定することもできます。Backup サーバーのデータをアーカイブするには、必ずそのサーバーの「Clients」リソースで「Archive Services」属性を有効にします。
あるクライアントリソースで「Archive Services」属性を有効にすると、そのサーバーに属している同じ名前のすべてのクライアントの「Archive Services」属性が有効になります。たとえば、同じマシン上に Backup BusinesSuite モジュールと Backup クライアントがインストールされている場合、これを同じ Backup サーバーにバックアップすると、どちらのクライアントリソースも同じ名前になります。この場合、どちらか一方の「Archive Services」属性だけを有効または無効に設定することはできません。
「Clients」リソースの「Archive Users」属性を使って特定のユーザーだけにアクセス権を与えることによって、各クライアントからアーカイブプログラムへのアクセスを制限できます。「Archive Users」属性に指定されているユーザーは、読み取り権を持つファイルをアーカイブし、そのアーカイブセーブセットをブラウズする (メディアデータベース内の注釈情報を表示する) ことができます。
デフォルトでは、アーカイブセーブセットを取り出せるのは、アーカイブセーブセットの所有者か Backup 管理者だけです。有効な全アーカイブユーザーが、どのアーカイブファイルでも取り出せるようにするには、「Server」リソースの「Public Archives」属性を有効にします。「Public Archives」属性を有効にしても無効にしても、取り出されるファイルの本来の所有者とアクセス権は変わりません。
「Public Archives」属性を有効にすると、特定のクライアントに対してファイルの取り出しを禁止できません。
Solaris マシンの場合には、アーカイブ操作を開始するには、クライアントマシンで Backup アーカイブプログラムを使用するか、あるいはサーバーで Backup 管理プログラムを使用します。Backup 管理プログラムで、UNIX クライアントのアーカイブ機能を開始するタイミング (すぐに、または、あとで) を設定できます。UNIX 以外のプラットフォームの Backup クライアントでは、アーカイブ操作を開始するには Backup User クライアントアプリケーションを使用します。
スケジュールされたバックアップとは異なり、スケジュールされたアーカイブは 1 回だけ実行されます。スケジュールされたアーカイブの利点は、ネットワークのトラフィック量が小さくて業務時間内のマシン資源を占有しないときにアーカイブ作業を組み入れられることです。
UNIX クライアントの場合は、コマンドプロンプトで nwarchive コマンドを入力して、Backup アーカイブプログラムを起動します。
PC クライアントの場合は、Backup User プログラムを起動して「Archive」を選択します。
アーカイブするファイルを選択します。
PC クライアントの場合は、ここで、データの検証、クローン作成、グルーミング、圧縮のオプションを指定します。
アーカイブを開始します。
Backup によって、注釈を入力するよう要求されます。Backup がアーカイブを始める前に、注釈を入力しなければなりません。
UNIX クライアントの場合は、注釈を入力するダイアログボックスの中で、データの検証、クローン作成、グルーミング、圧縮のオプションを指定します。
適切なアーカイブボリュームがマウントされていれば、アーカイブはすぐに開始されます。大量のデータを選択した場合は、アーカイブ時間が長くなります。
Backup 管理プログラムを起動します。
必要に応じて、別の Backup サーバーに切り替えます。
次の手順でアーカイブ要求を作成します。
アーカイブ要求の一環として、注釈を入力します。
「Status」属性で、「Start Now」、「Start Later」のどちらかを選択します。
「Save Set」属性で、アーカイブするファイルのパスを指定します。
検証、クローン作成、グルーミングなどのオプションを指定します。
Backup 管理プログラムの使用法については、オンラインヘルプを参照してください。
選択内容を適用します。
たとえば、アーカイブ要求の状況、アーカイブ要求の名前などのスケジュールされたアーカイブに関する情報を見たい場合は、「Archive Request Control」リソースを表示します。「Archive Request Control」リソースの「Archive Completion」属性で通知コマンドを指定すると、アーカイブ処理が終わった時点で Backup から通知が送られます。
アーカイブ処理を実行する方法は、オペレーティングシステムのプラットフォームによって異なります。Backup によるアーカイブ処理には、次の 2 種類があります。
PC スタイルのアーカイブ
PC スタイルのアーカイブでは、Backup サーバーでアーカイブ操作をスケジュールすることはできず、クライアントの save プログラムを使って開始します。このアーカイブ操作では、ユーザーが、アーカイブ終了後にその元のファイルを削除するように選択できます。異なるプラットフォーム間で Solaris サーバーと互換性を保てるように、Solaris 用の Backup サーバーには PC Archive ボリュームプールが事前に構成されていて、UNIX 以外のクライアントでアーカイブされたデータは、このボリュームプールに入ります。
Windows NT クライアントまたは PC クライアントからアーカイブ要求を作成する方法については、Backup User プログラムのオンラインヘルプを参照してください。
UNIX では、クライアントでアーカイブプログラム nwarchive を使用し手動でアーカイブ操作を行うことも、サーバーでアーカイブをスケジュールすることもできます (Backup プログラムでアーカイブを起動する方法の詳細は、オンラインヘルプを参照)。アーカイブをクライアントから起動しても、サーバーから起動しても、アーカイブ処理はクライアントの nsrarchive プログラムによって実行されます。nsrarchive プログラムは、クライアントの nsrexecd デーモンによって起動されます。図 6-1 で、UNIX でのアーカイブ動作を示します。
UNIX スタイルのアーカイブでは、「Pools」リソースの「Store Index Entries」オプションは選択できません。このオプションを選択して変更を適用すると、エラーメッセージが表示されます。UNIX スタイルのアーカイブでは、アーカイブセーブセット全体の取り出ししかできません。アーカイブセーブセットの個々のファイルに対してブラウズや取り出しはできません。
アーカイブ操作では、データは、アーカイブプールのストレージボリュームに書き込まれます。このアーカイブボリュームは、Backup サーバーに接続されているデバイスまたはストレージノードに接続されているデバイス (リモートデバイスと呼ばれる) に存在する場合があります。アーカイブ要求の一環としてユーザーが入力した注釈も含めてアーカイブデータについての情報は、Backup サーバーのメディアデータベース内で追跡されます。アーカイブ動作中に生成されるクライアントファイルインデックスのエントリは、次回のスケジュールされたバックアップの際に、「Default」プール内のボリューム上にバックアップされます。UNIX スタイルのアーカイブでは、インデックスエントリは作成されません。
アーカイブ操作では、検証、グルーミング、クローン作成をオプションで選択できます。検証オプションを選択すると、Backup はストレージボリュームのデータをクライアントシステムのオリジナルデータと比べて、完全に同じかどうかを検証します。グルーミングオプションを選択すると、Backup は、アーカイブセーブセットをソースのクライアントマシンから削除します。クローン作成オプションを選択すると、アーカイブセーブセットのコピーが、「Archive Clone」プール内のボリュームに書き込まれます。これは、バックアップセーブセットのクローンを作成する場合と似ています。アーカイブに対してクローン作成、検証、グルーミングの各オプションを選択する場合は、Backup アーカイブプログラムの「Archive Options」ウィンドウを使用します。UNIX 上でアーカイブする場合は、Backup 管理プログラムの「Archive Request」リソースを使用することもできます。
アーカイブデータをコピーして UNIX のクライアントマシンに戻すには、Backup 取り出しプログラム nwretrieve を使うか、あるいはコマンド行に nsrretrieve コマンドを入力します。アーカイブデータを PC クライアント上で取り出すには、Backup User プログラムの復旧機能を使います。Backup 取り出しプログラムと Backup User プログラムの使用法の詳細は、オンラインヘルプを参照してください。nsrretrieve プログラムの詳細は、「nsrretrieve 」の項か、nsrretrieve(1m) のマニュアルページを参照してください。
あるアーカイブセーブセットに対して管理者特権、またはアーカイブユーザー特権を持っている場合、あるいは「Server」リソースで「Public Archives」属性を有効にしてある場合に、そのアーカイブセーブセットを取り出せます。「Public Archives」属性の詳細は、「アーカイブと取り出しのアクセス権」を参照してください。
アーカイブデータは、通常は、オンラインのクライアントファイルインデックスには記録されないので、アーカイブセーブセット内にあるすべてのデータが 1 つの単位として取り出されます。PC スタイルのアーカイブが実行された時点で「Pools」リソースの「Store Index Entries」属性を有効にしてあれば、個々のファイル名をオンラインのクライアントファイルインデックスに記録し、GUI を使ってアーカイブセーブセット内のファイルをブラウズできます。
Backup 取り出しプログラムを使う場合は、セーブセット作成の元となったクライアントと注釈の内容を手がかりにして、アーカイブセーブセットを探します。取り出すアーカイブセーブセットを選択してから取り出しを開始します。取り出しが始まる前に、重複したファイル名があった場合の処理を決めるように、Backup から要求されます。また Backup は、データの取り出しに必要なアーカイブボリュームがマウントされているかどうかを確認します。ボリュームがマウントされていなければ、「Notifications」リソースの構成内容に従って、テープのマウントを要求するメッセージが表示されます。
必要なボリュームをマウントすると、Backup によって、ユーザーが選択したセーブセットが取り出されます。アーカイブデータはアーカイブボリュームに保存されており、そのボリュームは Backup によって誤って再使用されないように保護されています。クライアントファイルインデックス内のエントリも、すべて変更されずに保存されています。