Backup サーバーまたはストレージノードマシンにオートチェンジャをインストールしてテストしたら、この節の説明に従って、オートチェンジャ内のデバイスとメディアを管理します。
オートチェンジャにデバイスを増設するには、最初に、新しいデバイスを「Devices」リソースに定義して、Backup サーバーまたはストレージノードに増設デバイスを認識させます。次に、オートチェンジャのデバイスのパス名を「Jukeboxes」リソースに入力して、増設デバイスがこのオートチェンジャに属していることを Backup に認識させます。
新しいデバイスのパス名を「Devices」リソースに追加したら、「Jukeboxes」リソースの「Devices」フィールドにもそのパス名を追加する必要があります。オートチェンジャの名前とオートチェンジャ内のデバイスの名前は、Backup によって関連付けられます。「Devices」リソースの説明と使用法については、Backup のオンラインヘルプを参照してください。
オートチェンジャに複数のデバイスがロードされている場合は、デバイスのパス名は、オートチェンジャ内でデバイスが配置されている順序で指定しなければなりません。デバイスの順序がわからなければ、オートチェンジャのハードウェアマニュアルを参照するか、あるいは Backup サーバーまたはストレージノードマシンでスーパーユーザーになって、シェルプロンプトで /etc/LGTOuscsi/inquire コマンドを入力します。このコマンドによって、システムに接続されている SCSI デバイスの一覧が表示されます。
自動メディア管理機能を使うとバックアップの手順が自動化されるため、バックアップ前にボリュームにラベルを付ける必要がなくなります。「Jukeboxes」リソースの「Auto Media Management」属性を有効にすると、Backup は、オートチェンジャにロードされているボリュームを Backup メディア専用に使えるものとみなします。ラベルの付いていない Backup ボリュームは空のボリュームであるとみなされて自動的にラベル付けされて、マウントされ、新しいデータで上書きされます。書き込み可能なボリュームや再利用可能なボリュームが見つからない場合は、ラベルが付いていないとみなされたボリュームだけが使われます。
Backup は、次に示すボリュームラベルは認識できないので、これらはラベル付けがされておらず、使用可能であるとみなします。
ラベルのないボリューム
Backup ラベル以外のラベルが付いたボリューム
現在ロードされているデバイスとは異なる密度で書き込まれた、Backup ラベルが付いているボリューム。たとえば、新型と旧型とで 8mm テープドライブでデータの書き込みに使用された密度が異なる場合には、旧型の 8mm テープドライブのボリュームにバックアップしたデータは、新型のドライブでは読み取れない可能性があります。
自動メディア管理機能を有効にした場合は、異なるバックアップデバイス間での Backup ボリュームの共有に注意してください。ラベルが付け直されて、貴重なデータが上書きされてしまう可能性があります。Backup に使用しないボリュームをオートチェンジャに置いたり保管したりする場合は、それらのボリュームは、Backup 用に割り当てられているスロット以外のスロットに置きます。
「Auto Media Management」属性は、「Jukeboxes」リソースと「Devices」リソースの両方にあります。オートチェンジャに対しては、「Jukeboxes」リソース内の「Auto Media Management」属性だけを有効にします。デバイスがオートチェンジャに置かれている場合には、「Devices」リソースの「Auto Media Management」属性を有効にすることはできません。
スタンドアロンデバイスへのバックアップに対して自動メディア管理機能を使用する場合は、「スタンドアロンデバイスの構成」を参照してください。
バックアップデバイスを正常に動作させるための保守作業では、定期的なクリーニングが必要です。Backup には、オートチェンジャ内のデバイス用に自動クリーニング機能が備わっています。この自動クリーニング機能は、スタンドアロンデバイスには使用できません。
『SunSoft Backup Device Supplement』に、現在 Backup によってサポートされているオートチェンジャのうち、自動的にクリーニングカートリッジが認識されるものの一覧が記載されています。
「Jukeboxes」リソースと「Devices」リソースの両方を使って、オートチェンジャデバイスの自動クリーニングに必要な事項を選択します。
「Jukeboxes」リソースにはオートチェンジャに固有の選択事項が表示されるので、そこで自動クリーニング機能を有効または無効に設定します。カートリッジには、適切なクリーニング用スロットを選択します。
「Devices」リソースにはオートチェンジャにロードされているデバイスに固有の機能が表示されます。デバイスクリーニングが必要な時期と前回デバイスクリーニングした日が表示されるので、デバイスをクリーニングする頻度を指定します。
Backup によるデバイスクリーニングは、デバイスにボリュームがマウントされる前かマウント解除されたあとに行われるので、オートチェンジャのほかの操作に影響はありません。
Backup のクリーニングカートリッジサポート機能によって、クリーニングカートリッジについて表 7-1 に示す通知メッセージが表示されます。
表 7-1 自動クリーニング機能による通知メッセージ
通知メッセージ |
意味 |
---|---|
Device cleaning required |
「Auto Clean」属性は無効になっており、デバイスにはクリーニングが必要 |
Device cleaned |
「Auto Clean」属性は有効になっており、デバイスはクリーニング済み |
Cleaning cartridge required |
「Auto Clean」属性は有効になっているが、使用できるクリーニングカートリッジがない |
Cleaning cartridge expired |
クリーニングカートリッジの使用が指定回数に達しており、カートリッジの交換が必要 |
使用しているオートチェンジャデバイスのクリーニングの頻度と方法については、そのオートチェンジャのメーカーから提供されているマニュアルを参照してください。
選択したスロットにクリーニングカートリッジを挿入します。
「Jukeboxes」リソースの「Default Cleaning」属性に、クリーニングカートリッジの残り回数を入力します。
Backup 管理プログラムで「Default Cleaning」属性を見るには、「Jukeboxes」ウィンドウを詳細モードで開きます。
クリーニングカートリッジ用に使うスロット番号を「Cleaning Slots」属性で指定し、「Auto Clean」属性を「Yes」に設定します。
「Available Slots」属性を変更して、データボリュームに使用できるスロット範囲を指定します。
クリーニングカートリッジ用のスロットがオートチェンジャの最初または最後のスロットでない場合は、「Available Slots」属性でスロット範囲を 2 つに分けて指定しなければなりません。これは、オートチェンジャのインベントリを (各スロット範囲で 1 回ずつ) 2 回の手順で作成する必要があるためです。
たとえば、オートチェンジャにスロットが 11 あり、スロット 6 をクリーニングカートリッジ用に使う場合は、「Available Slots」属性の別々の行に、次のように指定します。
1-5 7-11 |
あるいは、nsradmin プログラムで、次の構文を使います。
available slots: 1-5, 7-11; |
コマンド行で、次のコマンドを入力します。
# nsrjb -U uses -j autochanger -S slot |
uses には、「Default Cleaning」フィールドに入力されている残り回数 (手順 2 で入力した残り回数) を指定します。
slot には、クリーニング用に使うスロットの番号を指定します。
オートチェンジャが 1 台だけの場合は、-j オプションを省略できます。
オートチェンジャでクリーニングカートリッジを交換するたびに、nsrjb プログラムを実行して、残り回数を指定しなければなりません。
使用しているオートチェンジャが、要素状態確認オプションまたはバーコードによるラベル付けオプションをサポートしていない場合は、手順 5 で説明した nsrjb コマンドを使って、クリーニングカートリッジをインベントリに加えるようにオートチェンジャに指示する必要があります。
カートリッジアクセスポート (Cartridge Access Port, CAP) を使うと、オートチェンジャのドアを開けずにボリュームを格納したり、取り外したりできます。オートチェンジャのドアを開けてメディアを追加したり取り出したりすると、オートチェンジャの状態は無効になるので、オートチェンジャの内容のインベントリを作り直して、Backup がバックアップメディアを追跡できるようにしておく必要があります。ただし、このインベントリの作成には時間がかかります。
CAP を使うと、オートチェンジャのインベントリを作り直さなくても、オートチェンジャに対してボリュームの追加 (格納) や取り出し (取り外し) ができるので便利です。
CAP を使ってボリュームの追加や取り出しを行なっても、Backup が自動的にインベントリを作成し、バーコードラベルを読み取り、オートチェンジャ内の空きスロットを探すわけではありません。したがって、これらの作業には、オートチェンジャのインベントリ作成機能と「Jukeboxes」リソースを使う必要があります。
CAP 機能を使ってボリュームを格納するには、次の手順に従います。
Backup サーバーまたはストレージノードマシンでスーパーユーザーになります。
オートチェンジャの前面にあるボタンを押してカートリッジホルダーを手前に引き出し、CAP を開きます。
ボリュームをホルダーに置きます。
前面のボタンをもう一度押してメディアをオートチェンジャ内に押し込み、CAP を閉じます。
システムプロンプトで nsrjb コマンドを入力します。
slot にはボリュームのスロット番号を指定し、「volume」にはボリュームのラベル名を指定します。
# nsrjb -d -S slot volume |
nsrjb コマンドでボリューム名を指定しないと、スロットに -* というマークが付けられ、そのスロット内のボリュームが不明であることが示されます。そのスロットのインベントリを作成するには、次のコマンドを使用します。
# nsrjb -I -S slot |
ボリュームが正しいスロットに格納されたかどうかを確認するには、Backup を使ってそのボリュームをマウントします。
CAP 機能を使ってボリュームをオートチェンジャの特定のスロットから取り外すには、次の手順に従います。