ファイルがマイグレートされると、元のクライアントファイルシステム上にはスタブファイルが残ります。このスタブファイルは、マイグレートされたファイルの新しい位置を指す UNIX のシンボリックリンクです。Backup が作成するスタブファイルはシンボリックリンクなので、NFS (ネットワークファイルシステム) クライアントでは NFS マウントされたディレクトリ上のファイルに対して事前マイグレートやマイグレートはできません。
しかし、NSF クライアントは NFS マウントされたディレクトリから既にマイグレートされているファイルを呼び戻さなければならない場合もあります。Backup では、次のように構成することで、この操作が可能になります。
NFS サーバーが、Backup クライアントソフトウェアを実行しており、Migration Setup が構成されている Solaris マシンである
NFS クライアントが、Backup クライアントソフトウェアを実行しており、Migration Setup が構成されている Solaris マシンである
NFS サーバーと NFS クライアントの両方が、同じ Backup サーバーのクライアントとして構成されている
NSF クライアントが適切なユーザー/グループを持っており、NFS マウントされたディレクトリに対する書き込み特権を持っている
NFS サーバーが、その Backup クライアントリソースの中で、NFS クライアントをリモートアクセスユーザーとして指定している
図 8-1 は、この構成シナリオを示しています。
このシナリオでは、ホスト Oak は HSM モジュールが有効になっている Backup サーバーで、そのクライアントのリストには Elm と Pine が指定されています。ホスト Elm では、Backup クライアントソフトウェアが実行されており、Migration Setup が構成されているNFS サーバーで、したがって Backup マイグレートクライアントになっています。Pine は Elm から NFS サービスを受け取る NFS クライアントです。Pine でも、Backup クライアントソフトウェアが実行されており、Migration Setup が構成されています。したがって Backup マイグレートクライアントになっています。
Pine が、Elm からマイグレートされたファイルを呼び戻すためには、Elm の Backup クライアントリソースの「Remote Access」属性に Pine が指定されていなくてはなりません。呼び戻し操作によって、マイグレートされたファイルは、マイグレート記憶領域から Elm 上のスタブファイルの位置に呼び戻されます。この操作はユーザーからは認識されずに行われます。
NFS クライアントがこれらの構成基準を満たしていない場合には、rlogin コマンドを使って NFS サーバーにログインし、適当な読み取りまたは書き込み操作をファイルに対して行えば、そのファイルを呼び戻すことができます。マイグレートファイルは元の位置に自動的に呼び戻されます。