GNOME 2.2 ユーザーズガイド (Linux 版)

第 6 章 ウィンドウの操作方法

この章では、デスクトップでの GNOME ウィンドウの使用方法について説明します。GNOME デスクトップでは、Metacity および Sawfish など、いくつかのタイプのウィンドウマネージャを使用できます。Metacity の機能の多くは、Sawfish でも使用できます。この章では、Metacity ウィンドウマネージャに関連する機能について説明します。

ウィンドウとワークスペース

GNOME デスクトップ上では、同時に複数のウィンドウを表示できます。ウィンドウは、ワークスペースと呼ばれる GNOME デスクトップのサブ領域に分割して表示されます。ワークスペースとは、作業可能な個別の領域です。すべてのワークスペースのデスクトップ、パネル、メニューは同じです。ただし、各ワークスペースで異なるアプリケーションを実行したり、異なるウィンドウを開くことができます。1 度に表示できるワークスペースは 1 つだけですが、その他のワークスペースでウィンドウを開いたままにしておくことができます。

ワークスペーススイッチアプレットは、ウィンドウとワークスペースの概略を視覚的に示すものです。図 6–1 を参照してください。

図 6–1 ワークスペーススイッチアプレット

ワークスペーススイッチアプレットを示します。この内容は図についての説明です。

ワークスペースはいつでも追加できます。ワークスペースを GNOME デスクトップに追加するには、ワークスペーススイッチアプレットを右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスを使用して、必要なワークスペースの数を指定します。

ウィンドウマネージャの動作

ウィンドウマネージャは、ウィンドウがどのように表示され、どのように動作するかを制御します。また、ウィンドウの位置とフォーカスされるウィンドウも管理します。ウィンドウフレームには、ウィンドウの移動、閉じる、サイズ変更など、標準の操作を実行できるボタンがあります。

いくつかのウィンドウマネージャ設定は、Windows 設定ツールで構成できます。このマニュアルでは、Metacity ウィンドウマネージャのデフォルトの設定に関する機能について説明します。デフォルト設定は、Window Behavior設定ツールで指定されています。

ウィンドウの型

GNOME デスクトップの特長となっているウィンドウを次に説明します。

ウィンドウフレーム

ウィンドウフレームは、ウィンドウのまわりの境界です。ウィンドウフレームにはタイトルバーがあります。タイトルバーには、ウィンドウでの作業に使用できるボタンがあります。

テーマ

ウィンドウフレームには、いくつかのテーマを適用できます。テーマを選択して、フレームの外観を決定します。すべてのウィンドウ枠のテーマを選択するには、Theme 設定ツールを使用します。

制御要素

ウィンドウフレームを使用して、さまざまな操作をウィンドウで実行できます。タイトルバーには、各種ボタンが含まれています。次の図に、アプリケーションウィンドウのタイトルバーを示します。

ウィンドウのタイトルバーを示しています。図中の説明: ウィンドウメニューボタン、タイトルバー、最小化ボタン、最大化ボタン、ウィンドウを閉じるボタン

ダイアログウィンドウには、いくつかのウィンドウフレーム制御要素があります。表 6–1 は、左から順にアクティブな制御要素を示します。

表 6–1 ウィンドウフレームの制御要素

制御要素 

説明 

ウィンドウメニューボタン

ボタンをクリックして、ウィンドウメニューを開く

タイトルバー 

タイトルバーを使用して、次の操作を実行できる  

  • ウィンドウをアクティブにするには、タイトルバーをクリックする

  • ウィンドウを移動するには、タイトルバーをグラブし、別の位置までウィンドウをドラッグする

  • ウィンドウをシェードするには、タイトルバーをダブルクリックする。ウィンドウをシェード解除するには、タイトルバーをもう一度ダブルクリックする

最小化ボタン

最小化ボタンをクリックすると、ウィンドウが最小化する

最大化ボタン

最大化ボタンをクリックすると、ウィンドウが最大化する

ウィンドウを閉じるボタン

ウィンドウを閉じるボタンをクリックすると、ウィンドウが閉じる

境界 

ウィンドウのまわりの境界。境界を使用して、次の操作を実行できる  

  • ウィンドウのサイズを変更するには、境界をグラブし、希望するサイズまで境界をドラッグする

  • ウィンドウメニューを開くには、境界を右クリックする

ウィンドウコンテンツ 

ウィンドウフレームの内側の領域。ウィンドウコンテンツを使用して、次の操作を実行できる 

  • ウィンドウを移動するには、Alt キーを押したままで、ウィンドウコンテンツをクリックし、そのウィンドウを別の位置にドラッグする

  • ウィンドウのサイズを変更するには、Alt キーを押したままで、サイズを変更するコーナー付近で中央クリックする。中央クリックしたコーナーから、変更したいサイズまでウィンドウをドラッグする

  • ウィンドウメニューを開くには、Alt キーを押したままで、ウィンドウコンテンツで右クリックする

ウィンドウとワークスペースを操作するメニューおよびアプレット

この節では、ウィンドウとワークスペースの操作に使用できるメニューおよびアプレットについて説明します。

ウィンドウメニュー

「ウィンドウメニュー」のメニュー項目を示しています。「最小化」、「最大化」、「シェード」、「移動」、「サイズ変更」、「閉じる」、「★Put on All Workspaces★」、「★ workspace-name へ移動★」

ウィンドウメニューは、コマンドのメニューであり、ウィンドウ上での操作に使用できます。ウィンドウメニューを開くには、次のいずれかの操作を実行します。

表 6–2 に、ウィンドウメニューのコマンドおよびサブメニューを示します。

表 6–2 ウィンドウメニューのコマンドとサブメニュー

メニュー項目 

機能 

「最小化」

ウィンドウを最小化する 

「最大化」または「元のサイズに戻す」

ウィンドウを最大化する。ウィンドウがすでに最大化されている場合、「元のサイズに戻す」を選択するとウィンドウを元のサイズに戻す

「巻き上げ」または「展開する」

タイトルバーだけが見えるように、ウィンドウを縮小するウィンドウがすでに縮小されている場合、「展開する」を選択するとウィンドウを元のサイズに戻す

「移動」

ウィンドウの移動に矢印キーを使用できる 

「サイズ変更」

ウィンドウのサイズ変更に矢印キーを使用できる 

「閉じる」

ウィンドウを閉じる 

「すべてのワークスペースに含める」 または「このワークスペースだけに含める」

ウィンドウをすべてのワークスペースに配置する。ウィンドウがすでにすべてのワークスペースに置かれている場合、「このワークスペースだけに含める」を選択すると、現在のワークスペースにのみウィンドウを配置する

workspace-name へ移動」または 「workspace-name だけに配置」

選択したワークスペースにウィンドウを移動する。ウィンドウがすべてのワークスペースに配置されている場合、「workspace-name だけに配置」を選択して、希望するワークスペースにウィンドウを配置する

ウィンドウリストアプレット

ウィンドウリストは、開いている各アプリケーションウィンドウを示すボタンを表示します。ウィンドウリストを使用して、次の作業を実行できます。

アプリケーションウィンドウを開くと、ウィンドウリストには、ウィンドウを表すボタンが表示されます。ウィンドウリストボタンは、どのアプリケーションウィンドウが開いているかを示します。ウィンドウが最小化されていたり、ほかのウィンドウと重なっていても、開いているウィンドウは表示されます。ウィンドウリストは、現在のワークスペース、またはすべてのワークスペース上のウィンドウを示すボタンを表示できます。このオプションを選択するには、ウィンドウリストの設定を変更する必要があります。

ウィンドウリストボタンを右クリックして、ボタンが表すウィンドウの ウィンドウメニューを開くこともできます。ウィンドウリストからウィンドウメニューを開いた場合、ウィンドウメニューにはワークスペースコマンドは含まれません。ウィンドウメニューのコマンドの詳細については、ウィンドウメニュー を参照してください。

図 6–2 に、以下に示すウィンドウを開いたときのウィンドウリストを示します。

図 6–2 ウィンドウリストアプレット

ウィンドウリストアプレットを示します。この内容は図についての説明です。

アプレットのボタンは、ウィンドウの状態を示します。表 6–3 は、ウィンドウリストボタンが表示するウィンドウについての情報を示します。表 6–3 の例は、図 6–2 についての説明です。

表 6–3 「ウィンドウリストボタン」のウィンドウの状態情報

状態 

説明 

例 

ボタンが押し込まれている。 

ウィンドウにフォーカスがある 

gedit

角括弧で囲まれたウィンドウタイトル 

ウィンドウが最小化されている 

[電卓]

ボタンは押し込まれておらず、ウィンドウタイトルは角括弧で囲まれていない。 

ウィンドウが表示されており、最小化されていない 

ghex

括弧内の数字が付いたボタン 

ボタンのグループを表すボタン 

Gnome-terminal (3)

ボタンのグループ化

ウィンドウリストは、1 つのウィンドウリストボタンの下に、同じクラスのウィンドウを表すボタンをグループ化できます。図 6–2 の「Gnome-terminal」ボタンは、ボタンのグループを表します。次の図に、ボタングループを開いたウィンドウリストの例を示します。

ボタングループを開いたウィンドウリストアプレットを示します。

グループ内のウィンドウのリストを開くには、そのグループを表すウィンドウリストボタンをクリックします。リスト内の項目をクリックしてウィンドウにフォーカスを移動したり、最小化したり、サイズを元に戻したりすることができます。

ボタングループ内のウィンドウのウィンドウメニューを開くには、そのグループを表すウィンドウリストボタン上で右クリックします。グループ内のウィンドウのリストが表示されます。グループ内のウィンドウのウィンドウメニューを開くには、リスト内の項目をクリックします。ウィンドウリスト からウィンドウメニュー を開いた場合、ウィンドウメニューにはワークスペースコマンドは含まれません。ウィンドウメニューのコマンドの詳細については、ウィンドウメニュー を参照してください。

ワークスペーススイッチアプレット

ワークスペーススイッチは、 図 6–3 に示すように、ワークスペースの概略を視覚的に表示します。図 6–3 は、GNOME セッションに 4 つのワークスペースが含まれている場合のアプレットを示します。ワークスペースは、アプレット上でボタンとして表示されます。現在のワークスペースを表すボタンの背景は、強調表示されます。図 6–3 の現在のワークスペースは、アプレットの左端のワークスペースです。別のワークスペースに切り替えるには、アプレットのワークスペース上でクリックします。

図 6–3 ワークスペーススイッチアプレット

ワークスペーススイッチアプレットを示します。この内容は図についての説明です。

ワークスペーススイッチは、ワークスペース上で開いているアプリケーションウィンドウとダイアログも表示します。

アプレットは、左から右へ順番にワークスペースを表示します。図 6–3 のアプレットは、1 列でワークスペースを表示するように設定されています。ワークスペースが表示される ワークスペーススイッチ の列数は指定できます。また、アプレットのデフォルトの動作を変更して、アプレット上にワークスペースの名前を表示することもできます。

ウィンドウの操作方法

この節では、ウィンドウの操作方法について説明します。

ウィンドウにフォーカスを移動する

フォーカスされているウィンドウは、マウスとキーボードから入力できます。一度にフォーカスできるのは 1 つのウィンドウだけです。フォーカスされているウィンドウの外観は、ほかのウィンドウとは異なります。

次の方法により、ウィンドウをフォーカスできます。

要素 

操作 

マウス 

ウィンドウが可視の場合には、そのウィンドウをクリックする 

ショートカットキー 

ショートカットキーは、開いているウィンドウ間の切り替えに使用する。あるウィンドウにフォーカスを移すには、そのウィンドウにフォーカスが移動したときにキーを放す。 ウィンドウ間を切り替える初期値のショートカットキーは、Alt + Tab キー。

ウィンドウリスト

ウィンドウリストでフォーカスするウィンドウを表すボタンをクリックする

ワークスペーススイッチ

ワークスペーススイッチディスプレイで、フォーカスを移動するウィンドウをクリックする。別のワークスペースのウィンドウをクリックした場合、ワークスペーススイッチは、そのワークスペースに切り替えて、ウィンドウにフォーカスを移動する

トップエッジパネル 

トップエッジパネルの右端のアイコンをクリックする。開いているウィンドウのリストが表示される。リストからウィンドウを選択する 

ウィンドウを最小化する

ウィンドウを最小化するには、次のいずれかの操作を実行します。

ウィンドウを最大化する

ウィンドウを最大化する場合、ウィンドウは可能な限り広がります。ウィンドウを最大化するには、次のいずれかの操作を実行します。

ウィンドウを元のサイズに戻す

最大化したウィンドウを元のサイズに戻すには、次のいずれかの操作を実行します。

最小化したウィンドウを元のサイズに戻すには、 ウィンドウリストのそのウィンドウを表すボタン上でクリックします。

ウィンドウを閉じる

ウィンドウを閉じるには、次のいずれかの操作を実行します。

そのウィンドウ上に保存していないデータがある場合、データを保存するかどうかを問うプロンプトが表示されます。

ウィンドウのサイズを変更する

ウィンドウのサイズを変更するには、次のいずれかの操作を実行します。


注 –

一部のダイアログウィンドウはサイズ変更できません。また、一部のアプリケーションウィンドウは、最小サイズが決まっており、それ以下に縮小できません。


ウィンドウを移動する

ウィンドウを移動するには、次のいずれかの操作を実行します。

ウィンドウを縮小する

以下のようにウィンドウを縮小または展開できます。

縮小

タイトルバーだけが見えるように、ウィンドウを縮小する

展開

ウィンドウ全体が表示されるように、ウィンドウを縮小状態から切り替える

ウィンドウを縮小するには、次のいずれかの操作を実行します。

すべてのワークスペースにウィンドウを配置する

すべてのワークスペースにウィンドウを配置するには、ウィンドウメニューを開き、「すべてのワークスペースに含める」を選択します。現在のワークスペースでのみウィンドウが表示されるように設定するには、「このワークスペースだけ含める」を選択します。

ウィンドウを別のワークスペースに移動する

次のいずれかの方法を使用して、ウィンドウを別のワークスペースに移動できます。

ワークスペースの操作

この節では、ワークスペースの操作方法について説明します。

ワークスペースを切り替える

ワークスペース間の切り替えは、次の方法で行えます。

ワークスペースを追加する

ワークスペースを GNOME デスクトップに追加するには、ワークスペーススイッチで右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスを使用して、追加するワークスペースの数を指定します。ワークスペーススイッチは、新しいワークスペースをワークスペースリストの末尾に追加します。

ワークスペースの名前を指定する

ワークスペースのデフォルトの名前は、ワークスペース 1ワークスペース 2ワークスペース 3 となります。ワークスペースの名前を指定するには、ワークスペーススイッチで右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「Workspaces names」リストボックスを使用して、ワークスペース名を指定します。ワークスペースを選択し、次にそのワークスペースの新しい名前を入力します。

ワークスペースを削除する

ワークスペースを削除する場合、そのワークスペース上のウィンドウは別のワークスペースに移動され、空のワークスペースが削除されます。

ワークスペースを GNOME デスクトップから削除するには、ワークスペーススイッチで右クリックし、「設定」を選択します。「ワークスペーススイッチの設定」ダイアログが表示されます。「ワークスペースの数」スピンボックスを使用して、追加するワークスペースの数を指定します。ワークスペーススイッチは、ワークスペースリストの末尾からワークスペースを削除します。