Sun ONE Messaging Server 6.0 管理者ガイド |
第 1 章
はじめにSun ONE Messaging Server は、企業とサービスプロバイダの両方で要求される大容量で信頼性の高いメッセージング処理のために設計された、強力な標準ベースのインターネットメッセージングサーバーです。サーバーはモジュール化された、個別に構成可能な複数のコンポーネントから成ります。これらのコンポーネントは、さまざまな標準ベースの電子メールプロトコルをサポートしています。
Messaging Server は、ユーザー、グループ、およびドメインについての情報を格納するために一元化された LDAP データベースを使用します。サーバー構成の情報には、LDAP データベースに格納されるものと、設定ファイルのセットに格納されるものがあります。
Messaging Server 製品群には、ユーザーのプロビジョニングやサーバーの構成をサポートするツールが含まれています。
この章には、以下の節があります。
標準プロトコルのサポートMessaging Server は、電子メッセージングに関連するほとんどの国内規格、国際規格、および業界規格をサポートしています。完全なリストは、『Sun ONE Messaging Server リファレンスマニュアル』の付録 A を参照してください。
ホストしているドメインのサポートMessaging Server は、ISP にアウトソースされた電子メールドメインのようなホストしているドメインを完全にサポートしています。つまり、ISP は組織の電子メールサービスをリモートで操作および管理することにより組織をホスティングする電子メールドメインを提供します。ホストしているドメインは、ほかのホストしているドメインと同じ Messaging Server ホストを共有することができます。初期の LDAP ベースの電子メールシステムでは、1 つのドメインが 1 つまたは複数の電子メールサーバーホストによってサポートされていました。Messaging Server では、複数のドメインを単一のサーバーでホストできます。各ホストしているドメインには、そのドメインのユーザーとグループのコンテナを指し、さまざまなドメイン固有のデフォルト設定を提供する LDAP エントリがあります。
ユーザーのプロビジョニングのサポートMessaging Server は、ユーザー、グループ、およびドメインについての情報を格納するために一元化された LDAP データベースを使用します。現時点では、Messaging Server は、Sun ONE LDAP スキーマ v.1 または Sun ONE LDAP スキーマ v.2 の 2 つのスキーマオプションをサポートします。プロビジョニングオプションは、選択したスキーマによって異なります (これらのスキーマの選択については、『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』を参照)。
現時点では、Sun ONE LDAP スキーマ v.2 対応の Messaging Server プロビジョニングは、『User Management Utility インストールおよびリファレンスガイド』を使ってのみ実行できます。
Sun ONE LDAP スキーマ v.1 は、メッセージング用 iPlanet Delegated Administrator 製品によってサポートされています。メッセージング用 iPlanet Delegated Administrator 製品には、組織内のユーザー、グループ、およびドメインを管理するために、グラフィカルユーザーインタフェースとコマンドラインユーティリティが用意されています。Sun ONE LDAP スキーマ v.1 のユーザー、グループ、およびドメインの管理には、以前に発行された次のマニュアルを使うこともできます。
- 『iPlanet Messaging Server プロビジョニングガイド』 - LDAP を使ってドメイン、ユーザー、グループ、または管理者のエントリを作成する方法を説明しています。
- 『iPlanet Messaging Server スキーマリファレンス』 - Messaging Server の Sun ONE LDAP スキーマ v.1 について説明しています。
- 『iPlanet Messaging Server リファレンスマニュアル』 - ユーザー、グループ、およびドメインを管理するための iPlanet Delegated Administrator コマンドラインユーティリティについて説明しています。
統一メッセージングのサポートSun ONE Messaging Server は完全な統一メッセージングソリューションの基盤を提供します。統一メッセージングとは、電子メール、ボイスメール、FAX、およびその他の通信形態に関して単一のメッセージストアを使用するという概念です。
Web メールのサポートSun ONE Messaging Server には、Messnger Express という Web で使用する電子メールプログラムが含まれており、エンドユーザーは HTTP でインターネットに接続されているコンピュータシステム上で動作しているブラウザを使って自分のメールボックスにアクセスすることができます。Messenger Express クライアントは、Messaging Server の一部である特殊な Web サーバーにメールを送信します。HTTP サービスは、ルーティングまたは配信のために、そのメッセージをローカルの MTA またはリモートの MTA に送信します。
強力なセキュリティとアクセス制御Messaging Server には、次のセキュリティとアクセス制御の機能があります。
- POP、IMAP、HTTP、または SMTP へのパスワードによるログインおよび証明書に基づくログインのサポート
- 標準セキュリティプロトコル、 TLS (Transport Layer Security)、SSL (Secure Socket Layer)、および SASL (Simple Authentication and Security Layer) のサポート
- ACI (Access Control Instruction) による委任管理 (Sun ONE LDAP Schema v. 1 のみ)
- POP、IMAP、SMTP および HTTP へのクライアントアクセスのフィルタリング
- システム全体およびユーザーごとのサーバー側ルールによる不特定多数宛のメールのフィルタリング
使いやすいユーザーインタフェースMessaging Server はモジュール化された、個別に構成可能な複数のコンポーネントから成ります。これらのコンポーネントは、電子メールの転送とアクセスプロトコルをサポートしています。
Messaging Server には、MTA (Message Transfer Agent) を構成するために、設定ファイルの完全なセットとコマンドラインユーティリティのセットが用意されています。設定ファイルのセットはサーバーにローカルに格納されています。また、メッセージストアおよびメッセージアクセスサービスを構成するために、コンソールグラフィカルユーザーインタフェースとコマンドラインユーティリティの完全なセットが用意されています。
MTA および MTA へのアクセスの構成方法については、このマニュアルの次の章を参照してください。
『Sun ONE Messaging Server リファレンスマニュアル』を参照してください。
メッセージストアの構成方法とストアへのアクセス方法については、このマニュアルの次の章を参照してください。
『Sun ONE Messaging Server リファレンスマニュアル』も参照してください。
さらに、このマニュアルの次の章も確認してください。
- 第 2 章「一般的なメッセージング機能を設定する」: サービスの開始と停止、およびディレクトリアクセスの構成など、Messaging Server の全般的なタスクについて説明しています。
- 第 5 章「マルチプレクササービスを設定および管理する」: 複数の Messaging Server の単一接続ポイントとして機能する特別な Messaging Server である Sun ONE Messaging Multiplexor (MMP) について説明しています。
インストール後のディレクトリレイアウトSun ONE Messaging Server のインストール後、そのディレクトリおよびファイルは表 1-1 に示した構成で配置されます。この表はすべてを網羅したものではありません。典型的なサーバー管理タスクに関連の深いディレクトリとファイルのみを示しています。