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Sun Java Enterprise System 2003Q4 配備実例集: 評価のシナリオ |
第 1 章
評価のシナリオの概要この章では、この配備のシナリオの目的、この配備のシナリオで使用されるアーキテクチャ、および Sun JavaTM Enterprise System をインストール、設定、使用するために実行する、この配備のシナリオでの手順について説明します。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
Java Enterprise System についてJava Enterprise System は、企業における広範囲なコンピュータに対する要求をサポートするソフトウェアです。たとえば、セキュリティ保護されたイントラネットポータルを作成することによって、企業の従業員が電子メールや社内ビジネスアプリケーションにセキュリティ保護されたアクセスができるようにします。
Java Enterprise System は、SunTM ONE Directory Server および Sun ONE Identity Server などのソフトウェアコンポーネントで構成されています。さまざまな企業のコンピュータに対する要求に対応するために、Java Enterprise System のコンポーネントは何通りもの方法で組み合わせることができます。
各企業は自社の要求を見極め、独自の Java Enterprise System コンポーネントの配備を計画します。ある企業にとっての最適な配備は、Java Enterprise System がサポートしているアプリケーションの種類、ユーザー数、使用できるハードウェアの種類や、その他の考慮点によって異なります。
Java Enterprise System は、カスタムの分散型のエンタープライズアプリケーションをサポートしていますが、カスタムのプログラミングを必要としないエンドユーザーサービスも多く提供しています。この配備例では、カスタムのアプリケーションプログラミングを行わずに、一連の核となる共有ネットワークサービスの設定を行う方法について説明します。
Java Enterprise System の技術概念および用語集の詳細については、『Java Enterprise System 技術の概要』 (http://docs.sun.com/db/prod/entsys?l=ja) を参照してください。
評価配備のシナリオについてこの配備例では、システムを評価するために、1 台のコンピュータに Java Enterprise System コンポーネントをインストールする方法について説明します。Java Enterprise System をインストールするほかに、この配備例では、システムのコンポーネントが連携して機能し、基本的な企業向けサービスを提供するための設定方法について説明します。
ここでは、評価配備例用に配備アーキテクチャを開発した方法について説明します。
評価の使用例
この配備例で説明されているシステムの評価は、次の場合に使用されます。
- インストーラを使用する場合 : デフォルト値を使用して、1 台のマシンに Java Enterprise System コンポーネントをインストールする
- コンポーネントのインスタンスの設定を使用する場合 : Java Enterprise System 管理インタフェースを使用して、コンポーネントのインスタンスを設定する
- 管理者が使用する場合 : 1 人のエンドユーザーをプロビジョニングする
- エンドユーザーが使用する場合 : メールサービス、カレンダサービス、およびポータルサービスと対話して、インストール、およびシステムコンポーネントの設定が正常に行われたことを実証する
- 管理者が使用する場合 : Identity Server シングルサインオン (SSO) を設定する
- エンドユーザーが使用する場合 : メールサービス、カレンダサービス、およびポータルサービスと対話して、SSO が正常に設定されていることを実証する
- 管理者が使用する場合 : プロキシ認証を設定する
- エンドユーザーが使用する場合 : ポータルデスクトップを使用してメールサービスおよびカレンダサービスと対話して、プロキシ認証が正常に設定されていることを実証する
これらの使用例は、メッセージングサービスおよびカレンダサービス、およびこれらのサービスにアクセスできるエンドユーザーを含めた、実用的な Java Enterprise System を設定する方法を示しています。
配備のシナリオ
ここでは、「評価の使用例」のリストにある、評価使用例のために開発された配備のシナリオについて説明します。この配備のシナリオは、論理アーキテクチャとシステム要件という 2 つの要素から構成されています。
論理アーキテクチャ
論理アーキテクチャは、この使用例で説明されているサービスを提供する Java Enterprise System コンポーネントを特定します。この評価使用例のために開発された論理アーキテクチャを、図 1-1 に示します。
図 1-1 論理アーキテクチャの評価配備例
図 1-2 のコンポーネントの配置は、次に示す、この論理アーキテクチャの特性を表しています。
- Application Server および Directory Server は他のコンポーネントをサポートする。このため、これらのサーバーは他のサーバーより下に配置される
- Portal Server および Identity Server は Application Server の Web コンテナで実行される。このため、これらのサーバーは、Application Server のすぐ上に配置される
- Portal Server は、エンドユーザーにより直接アクセスされる。このため、このサーバーは一番上に配置される
- Messaging Server および Calendar Server は、Application Server の Web コンテナに依存しない。これらのサーバーは独自の Web コンテナで実行される。Messaging Server と Calendar Server は、Directory Server により提供されるサービスに依存する。このため、これらのサーバーは、Application Server および Directory Server より上に配置されるが、他のいずれのサーバーのすぐ上には配置されない
システム要件
システム要件は、論理アーキテクチャで指定されていない配備の重要な特性を指定します。評価配備例のシステム要件を次に示します。
これらの要件は、Java Enterprise System を評価するために必要です。運用配備のための配備のシナリオには、通常、次の要件すべてに対する仕様が含まれています。
配備アーキテクチャの評価配備例
配備アーキテクチャは、システム要件に対応する方法で論理アーキテクチャを展開するための手順です。図 1-2 は評価配備例に対する配備アーキテクチャを示します。この配備アーキテクチャは、図 1-1 に示される論理アーキテクチャと、「システム要件」で指定されるシステム要件を結合します。
図 1-2 配備アーキテクチャの評価配備例
図 1-2 は、図 1-1 と同様の一連のコンポーネントを示しています。コンポーネントは、すべて 1 台のコンピュータにインストールされています。コンポーネント間の関係は変わりません。
評価配備のシナリオに使用される配備アーキテクチャは、運用アーキテクチャではありません。この配備アーキテクチャでは、セキュリティに関する考慮事項、スケーラビリティ、および高可用性といった、運用配備の設計および設定で直面する多くの考慮点が解決されません。
評価シナリオ手順の概要この配備例では、「評価の使用例」に一覧表示されている使用事例をサポートする Java Enterprise System 環境を設定する方法について説明します。このマニュアルで説明する主な手順は次のとおりです。
- コンポーネントを、1 台のコンピュータにインストールすることにより、配備アーキテクチャを実装します。この手順では、Java Enterprise System インストーラを使用します。このインストーラはコンポーネントの多くを設定します。この手順は、第 2 章「Java Enterprise System 評価配備のインストール」で説明しています。
- インストーラが設定しない Java Enterprise System コンポーネントを設定します。構成の手順には、インストーラにより設定されるコンポーネントのインスタンスを、起動および確認する手順が含まれています。この手順は、第 3 章「Java Enterprise System の設定」で説明しています。
- 汎用のユーザープロビジョニングツールとして、Identity Server を設定します。この手順は、第 4 章「Java Enterprise System ユーザーのプロビジョニング」で説明しています。
- Java Enterprise System のプロビジョニングを行い、このユーザーが、Java Enterprise System メッセージングサービスおよびカレンダサービスにアクセスできるようにします。この手順は、第 4 章「Java Enterprise System ユーザーのプロビジョニング」で説明しています。
- Java Enterprise System のエンドユーザーとしてログインし、ポータルデスクトップサービス、メッセージングサービス、およびカレンダーサービスに個別にアクセスします。この手順は、第 5 章「Java Enterprise System サービスへのエンドユーザーアクセスの確認」で説明しています。
- Identity Server シングルサインオン (SSO) を設定します。この手順は、第 6 章「シングルサインオン (SSO) の設定」で説明しています。
- Java Enterprise System のエンドユーザーとしてログインし、SSO を確認します。この手順は、第 6 章「シングルサインオン (SSO) の設定」で説明しています。
- プロキシ認証を設定します。プロキシ認証はポータルデスクトップからメッセージングサービスおよびカレンダーサービスへの、直接アクセスを許可します。この手順は、第 7 章「プロキシ認証の設定」で説明しています。
- Java Enterprise System のエンドユーザーとしてポータルデスクトップへログインし、ポータルデスクトップから、直接メッセージングサービスおよびカレンダーサービスを使用できるかどうか確認します。この手順は、第 7 章「プロキシ認証の設定」で説明しています。
評価配備例の目標この配備例の手順に従うことにより、Java Enterprise System が、組織をどのようにサポートするかを理解できます。Java Enterprise System コンポーネントを設定する方法を学ぶことにより、組織のユーザーにサービスを提供することができます。より具体的には、次のタスクについて理解することができます。
- Java Enterprise System コンポーネントのインストール
- Java Enterprise System 管理ツールの使用
- システムとして連携して機能する Java Enterprise System コンポーネントの設定
- Java Enterprise System の配備によりサポートされる Directory Server LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) 組織の指定
- 正しい順序での Java Enterprise System コンポーネントの起動および停止
- Java Enterprise System ユーザーのプロビジョニング
- システム全体のシングルサインオン (SSO) の設定
- ポータルデスクトップ、Messenger Express と呼ばれる Messaging Server の Web インタフェース、Calendar Express と呼ばれる Calendar Server の Web インタフェースなどのエンドユーザーサービスへのアクセス
Java Enterprise System のインストールと設定の詳細については、『Java Enterprise System インストールガイド』を参照してください。