Sun GlassFish Enterprise Server v3 管理ガイド

構成タスク

Enterprise Server の環境を意図どおりに動作させるために、インストールの直後に一部の構成タスクを実行する必要があります。たとえば、Enterprise Server とともにデータベースを使用する場合は、データベースとの接続をただちに設定する必要があります。

構成の状況の中には、進行中であるためインストールの期間中に何度も変更が必要になるものがあります。構成を変更するには、管理コンソール または asadmin ユーティリティーを使用できます。変更内容は、適切な構成ファイルに自動的に適用されます。

ここでは、次のテーマを取り上げます。

初期構成タスク

この節では、一般的な構成タスクと、このガイドのコマンド行手順との対応を示します。構成の状況によっては、リソースとサービスが自動的に有効になるため、構成タスクの一環として、独自のニーズに合わせたデフォルト設定の調整や変更が必要になる場合があります。

次に示すリソースとサービスは、インストールの直後に構成が必要になることがよくあります。

システムプロパティー

「システムプロパティーの管理」を参照してください。

ドメイン

インストール時に初期の domain1 が作成されます。追加の構成タスクには、追加ドメインの構成や自動再起動の設定などのタスクが含まれることがあります。第 3 章ドメインの管理を参照してください。

JVM

JVM の構成の初期タスクとして、JVM のオプションおよびプロファイラの作成があります。第 4 章Java プラットフォームの仮想マシンの管理を参照してください。

ログ

デフォルトではログが有効になるので、追加構成なしで基本ログが機能します。ただし、ログレベル、プロパティーの値、またはログファイルの場所を変更することがあります。第 7 章ロギングサービスの管理を参照してください。

監視

デフォルトでは、監視サービスが有効になります。ただし、個々のモジュールの監視は有効にならないので、最初のタスクは、対象のモジュールについて監視を有効にすることです。第 8 章監視サービスの管理を参照してください。

ライフサイクルモジュール

第 9 章ライフサイクルモジュールの管理を参照してください。

セキュリティー
  • 「システムセキュリティー」。初期構成タスクとして、パスワード、監査モジュール、および認証の設定が含まれることがあります。第 11 章システムセキュリティーの管理を参照してください。

  • 「ユーザーセキュリティー」。初期構成タスクとして、認証レルムとファイルユーザーの作成が含まれることがあります。第 12 章ユーザーセキュリティーの管理を参照してください。

  • 「メッセージセキュリティー」。初期構成タスクとして、Java Cryptography Extension (JCE) プロバイダの構成、デフォルトおよびそれ以外のセキュリティープロバイダの有効化、およびメッセージ保護ポリシーの構成が含まれることがあります。第 13 章メッセージセキュリティーの管理を参照してください。

データベースの接続

Enterprise Server と Java DB データベースとの接続を構成する初期タスクには、Java Database Connectivity (JDBC) 接続プールの作成、JDBC リソースの作成、JDBC ドライバの統合が含まれます。第 14 章データベース接続の管理 を参照してください。

EIS の接続

Enterprise Server とエンタープライズ情報システム (EIS) との接続を構成する初期タスクには、コネクタ接続プールの作成、コネクタリソースの作成、リソースアダプタ構成の編集、コネクタのセキュリティーマップの作成、コネクタ動作のセキュリティーマップの作成、および管理オブジェクトの作成 (必要な場合) が含まれます。第 15 章EIS 接続の管理を参照してください。

インターネット接続

配備した Web アプリケーションをインターネットクライアントからアクセス可能にする初期タスクには、HTTP ネットワークリスナーと仮想サーバーの作成、および SSL 用 HTTP リスナーの構成 (必要な場合) が含まれます。第 16 章インターネット接続の管理を参照してください。

Object Request Broker (ORB)

初期構成タスクで、IIOP リスナーを作成することがあります。第 17 章ORB (Object Request Broker) の管理を参照してください。

JavaMail サービス

初期構成タスクで、JavaMail リソースを作成することがあります。第 18 章JavaMail サービスの管理を参照してください。

Java Message Service (JMS)

初期構成タスクには、物理送信先の作成、接続ファクトリまたは宛先リソースの作成、JMS ホストの作成 (デフォルトの JMS ホストが適切でない場合)、接続プール設定の調整 (必要な場合)、および JMS 用のリソースアダプタの構成が含まれることがあります。第 19 章JMS (Java Message Service) の管理 を参照してください。

JNDI サービス

初期構成タスクで、JNDI リソースを作成することがあります。第 20 章Java Naming and Directory Interface (JNDI) サービスの管理を参照してください。

管理コンソール を使用してこれらのタスクを実行する方法は、管理コンソール のオンラインヘルプを参照してください。

構成でのドット表記名の機能

初期構成の適用後、Enterprise Server の稼働期間に使用中の構成を継続して管理します。生産性を向上させるためにリソースの調整が必要になったり、問題が発生して設定の変更やデフォルトへのリセットなどが必要になることがあります。update-connector-work-security-map サブコマンドのように、更新用の asadmin のサブコマンドが用意されている場合があります。しかし、たいていの更新は、listget、および set のサブコマンドとドット表記名を使用して行われます。ドット表記名の詳細については、dotted-names(5ASC) のマニュアルページを参照してください。


注 –

ドット表記名は監視にも使用しますが、メソッドが異なります。監視でのドット表記名の使用方法については、「監視のツリー構造の仕組みについて」を参照してください。


コマンド行で構成変更を操作する一般的なプロセスは、次のとおりです。

  1. 目的のコンポーネントのモジュールを一覧表示します。

    次のシングルモードの例は、| (パイプ) 文字と grep コマンドを使用して、検索を絞り込んでいます。


    asadmin list "*" | grep http | grep listener
    

    次のような情報が返されます。


    configs.config.server-config.network-config.network-listeners.network-listener.http-listener-1
    configs.config.server-config.network-config.network-listeners.network-listener.http-listener-2
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.admin-listener.http
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.admin-listener.http.file-cache
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-1
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-1.http
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-1.http.file-cache
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-2
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-2.http
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-2.http.file-cache
    configs.config.server-config.network-config.protocols.protocol.http-listener-2.ssl
  2. 目的のモジュールに適用する属性を取得します。

    次のマルチモードの例は、http-listener-1 の属性と値を取得します。


    asadmin> get server-config.network-config.network-listeners.network-listener.http-listener-1.* 
    

    次のような情報が返されます。


    server.http-service.http-listener.http-listener-1.acceptor-threads = 1
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.address = 0.0.0.0
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.blocking-enabled = false
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.default-virtual-server = server
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.enabled = true
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.external-port =
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.family = inet
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.id = http-listener-1
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.port = 8080
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.redirect-port =
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.security-enabled = false
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.server-name =
    server.http-service.http-listener.http-listener-1.xpowered-by = true
  3. サブコマンド set を使用して、属性を変更します。

    この例は、http-listener-1 の属性 security-enabled を true に設定します。


    asadmin> set server.http-service.http-listener.http-listener-1.security-enabled = true
    

構成ファイル

Enterprise Server のリソース、アプリケーション、およびサーバーインスタンスの構成情報の多くは、構成ファイル domain.xml に保存されます。このファイルは、指定管理ドメインの中央リポジトリで、Enterprise Server のドメインモデルの XML 表現を含みます。domain.xml ファイルのデフォルトの場所は、as-install /glassfish3/glassfish/domains/domain-name/config です。domain.xml ファイルの詳細については、『Sun GlassFish Enterprise Server v3 Domain File Format Reference』を参照してください。

logging.properties ファイルは、各モジュールのログレベルの構成に使用されます。このファイルの場所は、domain.xml ファイルと同じディレクトリです。logging.properties ファイルの詳細については、「ログレベルの設定」を参照してください。

asenv.conf ファイルの場所は、as-install /glassfishv3/glassfish/config です。このファイルの目的は、データベースのインストール場所、Message Queue など、GlassFish に固有の環境変数を保存することです。


注 –

変更内容は、適切な構成ファイルに自動的に適用されます。構成ファイルを直接編集しないでください。手動の編集はエラーを発生しやすく、予期しない結果となることがあります。


構成の変更の影響

変更した構成を有効にする際、Enterprise Server の再起動が必要な場合があります。Enterprise Server を再起動しなくとも、動的に変更内容が適用される場合もあります。このガイドの手順では、サーバーを再起動する必要がある場合について説明します。

サーバーの再起動が必要な構成の変更

次の構成を変更したときには、変更内容を有効にするためにサーバーを再起動する必要があります。

動的な構成の変更

「動的な構成」によって、サーバーの動作中に変更内容が有効になります。次の構成を変更する際、サーバーを再起動する必要はありません。