次の手順では、アプリケーショントラフィックの転送を設定します。次の手順では、アプリケーショントラフィッククラスのホップ単位動作を定義します。これらのクラスは、ネットワーク上のほかのトラフィックよりも優先度を低くする場合があります。この手順では、例 34–3 の /var/ipqos/BigAPPS.qos ファイルを引き続き構築します。
この手順では、マークしたアプリケーションに対してクラスとフィルタをすでに定義した既存の IPQoS 構成ファイルがあることを前提にしています。
アプリケーションサーバー用に作成した IPQoS 構成ファイルを開き、最後の filter 句の末尾を検索します。
/var/ipqos/BigAPPS.qos ファイルでは、最後のフィルタは次のとおりです。
filter { name ftpdata sport ftp-data class ftp } } |
action { module dscpmk name markAF13 |
dscpmk マーカーモジュールを呼び出す
action 文に markAF13 という名前を付ける
電子メールのトラフィックフローにマークされるホップ単位動作を定義します。
params { global_stats FALSE dscp_map{0-63:14} next_action continue } } |
マーカー action 文 markAF13 の統計収集を可能にする。ただし、global_stats の値が FALSE であるため、統計は収集されない
DSCP 14 を、マーカーにより処理中の smtp クラスのパケットヘッダーに割り当てる
smtp クラスのパケットに対しこれ以上処理を行う必要がないことを示す。よって、これらのパケットはネットワークストリームに戻すことができる
DSCP 14 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 14 (バイナリ値 001110) に設定するよう指示します。DSCP 14 は、AF13 のホップ単位の動作を設定します。マーカーは、DS フィールドの DSCP 14 で smtp トラフィッククラスのパケットをマークします。
AF13 は、DSCP 14 を持つすべてのパケットに高いドロップ優先度を割り当てますが、それと同時に Class 1 の優先順位も保証するため、ルーターは電子メールの発信トラフィックに対し、キューの中で高い優先順位を与えます。設定可能な AF コードポイントの表については、表 37–2 を参照してください。
マーカー action 文を追加して、ネットワークニュースのトラフィック用のホップ単位動作を定義します。
action { module dscpmk name markAF21 params { global_stats FALSE dscp_map{0-63:18} next_action continue } } |
action 文に markAF21 という名前を付ける
DSCP 18 を、マーカーにより処理中の nntp クラスのパケットヘッダーに割り当てる
DSCP 18 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 18 (バイナリ値 010010) に設定するよう指示します。DSCP 18 は、AF21 のホップ単位の動作を設定します。マーカーは、DS フィールドの DSCP 18 で news トラフィッククラスのパケットをマークします。
AF21 は DSCP 18 を持つすべてのパケットに低いドロップ優先度を保証しますが、優先順位は Class 2 にとどまります。よって、ネットワークニューストラフィックが振り落とされる可能性は低くなります。
Web サーバーの構成情報を追加するには、「IPQoS 構成ファイルを作成し、トラフィッククラスを定義する方法」を参照してください。
メータリングモジュールを使用してフロー制御を設定するには、「IPQoS 構成ファイル内でフロー制御を構成する方法」を参照してください。
フローアカウンティングを設定するには、「IPQoS 構成ファイル内でクラスのアカウンティングを有効にする方法」を参照してください。
ルーターで転送動作を設定するには、「IPQoS 対応ネットワーク上でルーターを構成する方法」を参照してください。
IPQoS 構成ファイルをアクティブにするには、「新規構成を IPQoS カーネルモジュールへ適用する方法」を参照してください。