Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)

ディスク管理の新機能

この節では、Solaris リリースの新しいディスク管理機能について説明します。

Solaris の新機能の一覧および Solaris リリースについての説明は、『Oracle Solaris 10 9/10 の新機能』を参照してください。

Solaris OS のインストール時およびブート時における 2T バイトディスクのサポート

Solaris 10 10/09: 以前の Solaris リリースでは、1T バイトを超えるディスクに Solaris OS をインストールしてブートすることはできませんでした。この Solaris リリースでは、最大 2T バイトのサイズのディスクに Solaris OS をインストールしてブートできます。以前のリリースでは、1T バイトを超えるディスクには EFI ラベルを使用する必要がありました。このリリースでは、任意のサイズのディスクに VTOC ラベルを使用できますが、VTOC でアドレス指定可能な容量は 2T バイトに制限されています。

Solaris ディスクドライバおよびディスクユーティリティーが更新され、次のサポートが提供されるようになりました。

1T バイトを超えるレガシー MBR またはレガシー VTOC ディスクを、以前の Solaris リリースに移動することはできないことに留意してください。EFI ラベルの付いたディスクは、以前の Solaris リリースの場合と同様に引き続き動作します。

このリリースでの EFI ラベルの変更の詳細は、「EFI ディスクラベル」を参照してください。

Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータでの iSNS のサポート

Solaris 10 8/07: この Solaris リリースでは、Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータソフトウェアで iSNS (Internet Storage Name Service) プロトコルがサポートされます。iSNS プロトコルによって、TCP/IP ネットワーク上での iSCSI デバイスの発見、管理、および設定を自動化できます。

この Solaris リリースでは、iscsitadm コマンドを使って既存の他社製 iSNS サーバーへのアクセスを追加したり、Solaris iSNS サーバーを使ってネットワーク内の iSCSI デバイスを自動的に発見したりすることができます。iSNS サーバーはホスト名または IP アドレスで指定できます。iSNS サーバーの情報を追加したあと、サーバーへのアクセスを有効にする必要があります。

詳しい手順については次の情報を参照してください。

Solaris iSCSI ターゲットのサポート

Solaris 10 8/07: この Solaris リリースでは、iSCSI ターゲットデバイス (ディスクまたはテープデバイス) がサポートされます。以前の Solaris リリースでは、iSCSI イニシエータがサポートされます。Solaris iSCSI ターゲットを設定する利点は、ファイバチャネル HBA の費用をかけずに、クライアントに接続できる既存のファイバチャネルデバイスを持てることです。また、専用のアレイを持つシステムが、複製されたストレージを ZFS または UFS ファイルシステムでエクスポートすることも可能になりました。

iscsitadm コマンドを使用して、iSCSI ターゲットデバイスを設定および管理できます。iSCSI ターゲットとして選択したディスクデバイスでは、iSCSI デーモン用のバッキングストアとして、同サイズの ZFS または UFS ファイルシステムを提供する必要があります。

ターゲットデバイスの設定後に、iscsiadm コマンドを使って iSCSI ターゲットを識別します。これにより、iSCSI ターゲットデバイスが検出および使用されます。

詳細は、第 14 章Oracle Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータの構成 (手順)iscsiadm(1M) のマニュアルページ、および iscsitadm(1M) のマニュアルページを参照してください。


注 –

このマニュアルの以前のバージョンでは、Solaris 10 11/06 リリースで Solaris iSCSI ターゲットがサポートされると記述されていましたが、それは誤りです。この機能は、Solaris 10 8/07 リリースから使用できるようになりました。


Solaris iSCSI イニシエータのサポート

Solaris 10 1/06: iSCSI は、データストレージサブシステムを接続するための、インターネットプロトコル (Internet Protocol、IP) ベースのストレージネットワーク標準です。SCSI コマンドを IP ネットワーク経由で伝送するため、iSCSI プロトコルにより、ネットワーク上でローカルシステムにディスクデバイスをマウントできます。ローカルシステム上では、デバイスをブロックデバイスのように使用できます。

詳細は、第 14 章Oracle Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータの構成 (手順)を参照してください。

Solaris iSCSI イニシエータサポートの機能拡張

Solaris 10 6/06: Solaris iSCSI イニシエータサポートに次の拡張機能が追加されました。

Solaris iSCSI イニシエータの構成の詳細は、第 14 章Oracle Solaris iSCSI ターゲットおよびイニシエータの構成 (手順)および iscsiadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

x86: GRUB ブート環境でのディスク管理

Solaris 10 1/06: x86 システムの従来のブート方式が GRUB ブートメニューに置き換わっています。ディスク管理の領域では、システムディスクを置き換えるための代替デバイスからブートするとき、またはブートブロックをインストールするときは、GRUB インタフェースを使用します。

GRUB ブート環境は次の機能を提供します。

GRUB 環境では、x86 システム上で動作しているときに、fmthard コマンドを使用してブートブロックを自動的にインストールすることはできません。ブートブロックは別個にインストールする必要があります。

x86 システム上で新しい GRUB ベースのブートを使用するときの機能説明および手順の詳細については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「GRUB を使用して x86 システムをブートする (作業マップ)」を参照してください。

GRUB ブート環境でディスクを管理する手順については、次の項目を参照してください。

この機能は、SPARC システムでは使用できません。

2T バイトを超える SCSI ディスクのサポート

Solaris 10 1/06: SCSI ドライバ ssd または sd は、2T バイト以上をサポートします。以前の Solaris リリースでは、SCSI ドライバ ssd または sd が 2T バイトに制限されています。

format ユーティリティーを使用して、これらの大容量ディスクのラベル作成、構成、およびパーティション作成を行うことができます。大容量ディスクで EFI ディスクラベルを使用する方法および fdisk ユーティリティーの制限事項については、 「EFI ディスクラベルの制限」を参照してください。