この節では、PXE を使用してネットワークからシステムをブートし Solaris OS をインストールする方法について説明します。
Solaris 10 1/06 以降のリリースから、x86 ベースのシステムの Solaris OS にオープンソースの GNU GRand Unified Bootloader (GRUB) が実装されています。GRUB は、カーネルモジュールおよび構成ファイルが含まれているブートアーカイブをシステムのメモリーに読み込む役割を果たします。Solaris カーネルは、メモリー内ブートアーカイブの内容に基づいて起動します。そのあと、カーネルが Solaris インストールプログラムを起動します。もっとも注目すべき変更点は、Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が GRUB メニューに置き換えられた点です。システムをブートすると、GRUB メニューが表示されます。このメニューから、上下矢印キーを使用してインストールする OS インスタンスを選択できます。選択しない場合は、デフォルトの OS インスタンスがブートされインストールされます。
この機能のため、Solaris OS のブートとインストールには、システムに少なくとも 256M バイトの RAM が必要です。
一部のバージョンの PXE ファームウェアでは、Solaris OS をブートすることができません。これらのバージョンを搭載したシステムでは、PXE ネットワークブートストラッププログラムをブートサーバーから読み込むことはできても、ブートストラップがパケットを転送しません。この問題を回避するには、ネットワークアダプタの PXE ファームウェアをアップグレードしてください。ファームウェアのアップグレードに関する情報は、アダプタの製造業者の Web サイトから入手してください。詳細は、elxl(7D) および iprb(7D) のマニュアルページを参照してください。
ネットワーク経由でシステムをインストールするには、ネットワーク経由でブートするようにクライアントシステムに指示する必要があります。システム BIOS またはネットワークアダプタ BIOS のどちらか一方、またはその両方の BIOS 設定プログラムを使うことによって、クライアントシステム上でネットワークブートを使用できるようにします。いくつかのシステムでは、ほかのデバイスからのブートよりも先にネットワークブートが実行されるように、ブートデバイスの優先順位を調整する必要があります。各設定プログラムに関しては、製造業者のマニュアルを参照するか、またはブート中に表示される設定プログラムの指示を参照してください。
Solaris 10 1/06 OS 以降では、x86 ベースのシステムで GRUB ベースのブートが実装されています。この手順には、GRUB を使用してネットワーク経由でクライアントをブートする際の情報が含まれています。もっとも注目すべき変更点は、システムのブート時の Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) が GRUB メニューに置き換えられた点です。GRUB の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。
この手順では、次の作業が完了していることを前提としています。
インストールサーバーを設定する。CD または DVD メディアからインストールサーバーを作成する手順については、「x86 CD メディアを使ってインストールサーバーを作成する方法」または 「x86 DVD メディアを使ってインストールサーバーを作成する方法」を参照してください。
必要に応じて、ブートサーバーまたは DHCP サーバーを設定する。インストール対象であるシステムがインストールサーバーとは異なるサブネット上にある場合は、ブートサーバーを設定するか、DHCP サーバーを使用する必要があります。ネットワークインストールをサポートするように DHCP サーバーを設定する方法については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』のパート III「DHCP」を参照してください。
インストールを実行するために必要な情報の収集または事前構成を行う。この作業は、次の方法のいずれか 1 つ、あるいは両方を組み合わせて実行できます。
sysidcfg ファイルを作成する (sysidcfg ファイルを使用してシステム構成情報を事前設定する場合)。sysidcfg ファイルの作成方法については、「sysidcfg ファイルによる事前設定」を参照してください。
プロファイルサーバー上の JumpStart ディレクトリにプロファイルを作成する (カスタム JumpStart インストールを使用する場合)。「JumpStart ディレクトリをサーバー上に作成する方法」を参照してください。
システムの電源を入れます。
適切な組み合わせでキーを押して、システム BIOS に入ります。
PXE 対応ネットワークアダプタの中には、ブート時にしばらく表示されるプロンプトに対して特定のキーを押すと、PXE ブートを実行する機能を持つものがあります。
ネットワークからブートするようにシステム BIOS で指定します。
ブートの優先順位を BIOS で設定する方法については、ハードウェアのマニュアルを参照してください。
BIOS を終了します。
システムがネットワークからブートします。GRUB メニューが表示されます。
使用しているネットワークインストールサーバーの構成によっては、システムに表示される GRUB メニューが次の例と異なる場合があります。
GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory) +-------------------------------------------------------------------------+ | Solaris 11 /sol_11_x86 | | | | | +-------------------------------------------------------------------------+ Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted. Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the commands before booting, or 'c' for a command-line. |
ネットワーク経由で Solaris OS をインストールするには、メニューから適切な Solaris エントリを選択して Enter キーを押します。
「x86 CD メディアを使ってインストールサーバーを作成する方法」または 「x86 DVD メディアを使ってインストールサーバーを作成する方法」で設定したネットワークインストールサーバーからインストールする場合は、このエントリを選択します。
特定のブート引数を指定してネットワーク経由で Solaris OS をインストールする場合は、次の手順に従います。
インストール中にデバイス構成を変更する場合は、「add_install_client を実行してネットワークからインストールするシステムを追加する方法」 に説明されているように add_install_client コマンドを使用してあらかじめブート引数を設定していないと、特定のブート引数の設定が必要になる場合があります。
GRUB メニューで、編集するインストールオプションを選択してから、e キーを押します。
ブートコマンドを編集して、使用するブート引数またはオプションを追加します。
GRUB 編集メニューでは、次のコマンド構文を使用します。
grub edit>kernel /image-directory/multiboot[kernel-name] install [url|ask] [-B prop=value[,prop=value]...] install_media=media-type |
たとえば、次のように指定します。
kernel /I86pc.Solaris_11/multiboot kernel/unix -B install_media=192.168.2.1:/export/sol_10.1_x86/boot module /platform/i86pc/boot_archive |
ブートするカーネルを指定します。
構成情報の入力を求めるプロンプトを表示します。
システムをシングルユーザーモードでブートします。
再構成用ブートを指定します。接続されているすべてのハードウェアデバイスを検索してから、実際に見つかったデバイスだけに、ファイルシステムのノードを割り当てます。
詳細メッセージを有効にした状態でシステムをブートします。
クラスタモードではブートしません。
カーネルデバッガを有効にした状態でシステムをブートします。
サービス管理機能 (Service Management Facility、SMF) のブート動作を制御します。復元オプションとメッセージオプションという、2 種類のオプションがあります。
代替実行可能ファイルを原始プロセスとして指定します。 altinit は実行可能ファイルへの有効なパスです。
マルチブートプログラムによって構文解析されます。構文解析後、引数はプロパティーに変換されます。
Esc を押して GRUB メニューに戻ります。
GRUB メニューが表示されます。
インストールを開始するには、GRUB メニューに b と入力します。
Solaris インストールプログラムによって、デフォルトのブートディスクがシステムのインストール要件を満たしているか検査されます。プログラムがシステム構成を検出できない場合は、不足している情報の入力を求めるプロンプトが表示されます。
検査が完了すると、インストールの選択画面が表示されます。
インストールの選択画面には、次のオプションが表示されます。
Select the type of installation you want to perform: 1 Solaris Interactive 2 Custom JumpStart 3 Solaris Interactive Text (Desktop session) 4 Solaris Interactive Text (Console session) 5 Apply driver updates 6 Single user shell Enter the number of your choice followed by the <ENTER> key. Alternatively, enter custom boot arguments directly. If you wait 30 seconds without typing anything, an interactive installation will be started. |
Solaris OS をインストールするには、次のいずれかの操作を行います。
デスクトップセッションの対話式テキストインストーラを使ってインストールするには、3 を入力し、Enter キーを押します。
このインストールの種類を選択すると、デフォルトの GUI インストーラを無効にしてテキストインストーラを実行します。
コンソールセッションの対話式テキストインストーラを使ってインストールするには、4 を入力し、Enter キーを押します。
このインストールの種類を選択すると、デフォルトの GUI インストーラを無効にしてテキストインストーラを実行します。
無人のカスタム JumpStart インストール (オプションの 2) を実行する場合は、『Solaris 10 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の詳しい手順を参照してください。
システムでデバイスとインタフェースが構成され、構成ファイルが検索されます。kdmconfig ユーティリティーでは、システムのキーボード、ディスプレイ、およびマウスの構成に必要なドライバが検出されます。インストールプログラムが開始します。手順 7 に進んでインストールを続行してください。
インストールする前にシステム管理作業を実行する必要がある場合は、次のいずれかのオプションから選択します。
ドライバを更新するか、インストール時更新 (ITU) をインストールする場合は、更新するためのメディアを挿入して 5 を入力し、Enter キーを押します。
使用するシステム上で Solaris OS を実行するために、ドライバの更新または ITU のインストールが必要になる場合があります。ドライバの更新または ITU のインストールを行う手順に従ってください。
システム管理作業を実行する場合は、6 を入力してから、Enter キーを押します。
ソフトウェアをインストールする前にシステム管理作業を実行する必要がある場合には、シングルユーザーシェルを起動します。インストールする前に実行できるシステム管理作業については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。
これらのシステム管理作業が完了すると、前の手順で表示されたインストールオプションのリストが表示されます。インストールを続行する場合は、適切なオプションを選択してください。
システム構成の質問に答えます。
すべてのシステム情報が事前設定されている場合は、構成情報の指定は求められません。詳細は、「sysidcfg ファイルによる事前設定」を参照してください。
インストール GUI を使用している場合は、システム構成情報の確認が終わると、「ようこそ (Welcome)」画面が表示されます。
システムがネットワーク経由でブートし、インストールされたら、次回以降はディスクドライブからブートするようにシステムに指示します。
使用するマシンに複数のオペレーティングシステムをインストールしようとする場合、ブートするためには、それらのオペレーティングシステムを GRUB ブートローダーに認識させる必要があります。詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の「GRUB ベースのブート (概要)」を参照してください。