この章には、システム管理者が毎日、毎週、または不定期に LP 印刷サービスコマンドを使って実行する可能性のあるさまざまな印刷作業が含まれています。
概要については、第 1 章Oracle Solaris オペレーティングシステムでの印刷の概要を参照してください。
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
プリンタの状態をチェックします。 |
lpstat コマンドを使用すると、すべてのプリンタまたは特定のプリンタの状態を調べることができます。このコマンドでは、使用できるプリンタを特定したり、それらのプリンタの特性を確認したりできます。 | |
印刷スケジューラを停止します。 |
印刷スケジューラが印刷要求の受け入れを停止した場合、印刷スケジューラを停止し、再起動しなければならないことがあります。 | |
印刷スケジューラを再起動します。 |
印刷スケジューラを停止した場合は、プリンタが要求を受け入れられるようにするため、印刷スケジューラを再起動する必要があります。 | |
オプションを使用して、印刷スケジューラを起動します。 |
Solaris 管理機能 (SMF) において印刷スケジューラにオプションを渡すには、2 つの方法があります。1 回の呼び出し用にオプションを設定するか、システムブート後もオプションが残るように設定できます。 |
多くの日常的なプリンタ管理作業には、LP 印刷サービスや特定のプリンタの状態に関する情報が必要です。たとえば、どのプリンタが使用できるかを判別できます。また、そのプリンタの特性を調べることができます。lpstat コマンドを使用すると、LP 印刷サービスや特定のプリンタに関する状態情報を調べることができます。
PPD ファイルを使用して印刷待ち行列を作成したり変更したりした場合、その PPD ファイルが lpstat 出力に表示されます。印刷待ち行列の作成時に PPD ファイルを指定しなかった場合、lpstat 出力の PPD エントリは none になります。
ネットワーク上の任意のシステムにログインします。
プリンタの状態をチェックします。
ここには、もっとも一般的に使用するオプションだけを掲載してあります。その他のオプションについては、lpstat(1) のマニュアルページを参照してください。
$ lpstat [-d] [-p] printer-name [-D] [-l] [-t] |
システムのデフォルトプリンタが表示されます。
プリンタが使用可能かアイドル状態か、いつ使用可能または使用不可になったか、および印刷要求を受け付けているかどうかが表示されます。
このコマンドで複数のプリンタ名を指定できます。プリンタ名を区切るには空白またはコンマを使用します。空白を使用する場合は、プリンタ名のリストを引用符で囲みます。printer-name を指定しなければ、すべてのプリンタの状態が表示されます。
指定した printer-name の説明 (備考欄) が表示されます。
指定した printer-name の特性が表示されます。
すべてのプリンタの状態、使用可能かどうか、印刷要求を受け付けているかどうかなど、LP 印刷サービスに関する状態情報が表示されます。
次の例は、システムのデフォルトプリンタを表示する方法を示しています。
$ lpstat -d system default destination: luna |
次の例は、プリンタ luna の状態を表示する方法を示しています。
$ lpstat -p luna printer luna is idle. enabled since Jul 12 11:17 2001. available. |
次の例は、プリンタ asteroid とプリンタ luna の説明 (備考欄) を表示する方法を示しています。
$ lpstat -p "asteroid luna" -D printer asteroid faulted. enabled since Jan 5 11:35 2004. available. unable to print: paper misfeed jam Description: Printer by break room printer luna is idle. enabled since Jan 5 11:36 2004. available. Description: Printer by server room. |
次の例は、プリンタ luna の特性を表示する方法を示しています。
$ lpstat -p luna -l printer luna is idle. enabled since Thu Jul 12 15:02:32 PM PDT Form mounted: Content types: postscript Printer types: PS Description: Connection: direct Interface: /usr/lib/lp/model/standard PPD: none After fault: continue Users allowed: (all) Forms allowed: (none) Banner not required Character sets: (none) Default pitch: Default page size: 80 wide 66 long Default port settings: |
印刷スケジューラ lpsched は、印刷サーバー上の印刷要求を処理します。ただし、印刷スケジューラがシステム上で動作を停止したために、印刷要求の受け付けや印刷が停止されることがあります。lpadmin コマンドは、ローカルプリンタがシステムに追加されると、自動的に lpsched サービスを有効にし、すべてのローカルプリンタが削除されると、サービスを無効にします。次の手順は、印刷スケジューラを停止し、再起動する方法を解説します。印刷スケジューラが動作を停止するときに印刷要求が印刷中だった場合は、印刷スケジューラを再起動すると、その印刷要求全体が印刷されます。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
印刷スケジューラが動作しているかどうかを確認します。
# svcs application/print/server |
また、lpstat -r コマンドを使用しても印刷スケジューラが動作しているかどうかを確認できます。
印刷スケジューラが動作していない場合は、「scheduler is not running」というメッセージが表示されます。
印刷スケジューラが動作している場合は停止します。
# svcadm disable application/print/server |
また、lpshut コマンドを使用しても印刷スケジューラを停止できます。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
印刷スケジューラが動作しているかどうかを確認します。
# svcs application/print/server |
また、lpstat -r コマンドを使用しても印刷スケジューラが動作しているかどうかを確認できます。
印刷スケジューラが動作していない場合は、「scheduler is not running」というメッセージが表示されます。
印刷スケジューラが動作していない場合は起動します。
# svcadm enable application/print/server |
また、/usr/lib/lpsched コマンドを使用しても印刷スケジューラを起動できます。印刷スケジューラを /usr/lib/lpsched コマンドを使用して起動する方法と、svcadm enable application/print server コマンドを使用して起動する方法の違いについては、「オプションを使用して印刷スケジューラを起動する」を参照してください。
SMF を使用して印刷スケジューラにオプションを渡すには、2 つの方法があります。
1 回の呼び出しの間のみオプション値を変更する。
1 回の呼び出しの間のみ有効なオプションを印刷スケジューラに渡す場合は、/usr/lib/lpsched コマンドと適切なオプションを使用します。オプションを設定する前に lpsched(1M) のマニュアルページを参照し、デフォルト値とそれらを変更する理由を確認してください。
システムリブート後、または印刷スケジューラが再起動された場合にも、オプション値を維持する。
印刷サーバーに関する SMF の目録には、印刷サーバーの起動スクリプトによって使用される属性が含まれます。これらの属性値は印刷スケジューラに渡され、svccfg コマンドによって設定されるオプションとして機能します。
属性は次のとおりです。
lpsched/num_filters
lpsched/num_notifiers
lpsched/fd_limit
lpsched/reserved_fds
svccfg コマンドで設定されないオプションには、印刷スケジューラ内のデフォルト値が使用されます。svccfg コマンドの使用については、svccfg(1M) のマニュアルページを参照してください。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
オプション値を設定します。
# /usr/lib/lpsched option value |
印刷サーバーで並行的に実行可能な、スローフィルタの数を指定します。
印刷サーバーで並行的に実行可能な、通知プロセスの数を指定します。
lpsched プロセスのファイル記述子の資源制限を指定します。
スケジューラが、高負荷の状況下における内部通信に予約したファイル記述子の数を指定します。
この例では、フィルタの数を 2 に設定する方法を示します。残りのオプションでは、印刷スケジューラ内のデフォルトを使用します。
# /usr/lib/lpsched -f 2 |
印刷スケジューラ内のデフォルトオプションを使用するには、/usr/lib/lpsched コマンドをオプションなしで実行します。
/usr/lib/lpsched コマンドを使用して印刷スケジューラを起動する場合は、svccfg コマンドで設定された値は使用されません。
スーパーユーザーまたは lp になるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
1 つまたはすべてのオプションを設定します。
# svccfg svc:> select svc:/application/print/server svc:/application/print/server> setprop property = value . . . svc:/application/print/server> quit |
設定したいオプションごとに、setprop property = value コマンドを各行で繰り返します。
印刷サーバーの現在の属性値を表示し、オプションが正しく設定されているかどうかを確認します。
# svcprop svc:/application/print/server |
印刷スケジューラを再起動します。
印刷スケジューラが実行されていない場合は、次のコマンドを使用します。
# svcadm refresh svc:/application/print/server # svcadm enable svc:/application/print/server |
印刷スケジューラが実行されている場合は、次のコマンドを使用します。
# svcadm refresh svc:/application/print/server # svcadm restart svc:/application/print/server |
印刷スケジューラが実行されているかどうかを確認するには、svcs application/print/server コマンドを実行します。
この例では、フィルタの数を 1 に設定する方法を示します。このオプションは、システムをリブートしたあと、または印刷スケジューラを再起動したあとにも有効です。
# svccfg svc:> select svc:/application/print/server svc:/application/print/server> setprop lpsched/num_filters = count: 1 svc:/application/print/server> quit |
この例では、すべてのオプションを設定する方法を示します。
# svccfg svc:> select svc:/application/print/server svc:/application/print/server> setprop lpsched/num_filters = count: 1 svc:/application/print/server> setprop lpsched/num_notifiers = count: 1 svc:/application/print/server> setprop lpsched/fd_limit = count: 4096 svc:/application/print/server> setprop lpsched/reserved_fds = count: 2 svc:/application/print/server> quit |
次に、すべてのオプションを設定するスクリプト例を示します。
#!/bin/ksh svccfg <<-EOF select svc:/application/print/server setprop lpsched/num_filters = count: 1 setprop lpsched/num_notifiers = count: 1 setprop lpsched/fd_limit = count: 4096 setprop lpsched/reserved_fds = count: 2 EOF |
ユーザーが印刷クライアントから印刷要求を出すと、その印刷要求は印刷サーバー上の待ち行列に追加されてからプリンタに送信されます。印刷要求が待ち行列に入っている間は、クライアントシステムからの要求で取り消したり、その状態情報を取得したりできます。LP 印刷サービスコマンドで印刷要求の移動、停止、再開または優先順位の変更などを実行するには、印刷サーバーにログインする必要があります。これらの動作によって、印刷サービスを絶えずスムーズに機能させることができます。
次の表は、lp -H コマンドを使用して印刷要求の優先順位を変更する値を示しています。
表 8–1 印刷要求の優先順位を変更する値
-H change-priority の値 |
説明 |
---|---|
hold |
ユーザーが取り消すか、LP 印刷サービスに要求の印刷再開を指示するまで、印刷要求を停止します。 |
resume |
停止されていた印刷要求を待ち行列に戻します。印刷要求は、優先順位と待ち行列内での位置に従って印刷されます。すでに印刷中の印刷ジョブを停止すると、resume は印刷要求が次に印刷されるように待ち行列の先頭に配置します。 |
immediate |
印刷要求を待ち行列の先頭に配置します。要求がすでに印刷中であれば、次の要求をすぐに印刷できるように、印刷中の要求を停止します。 |
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
プリンタと印刷要求の状態をチェックします。
ここには、もっとも一般的に使用するオプションだけを掲載してあります。そのほかの有効なオプションについては、lpstat(1) のマニュアルページを参照してください。
$ lpstat -o [list] | -u [user-list] |
特定のプリンタの印刷要求の状態が表示されます。list には、1 つ以上のプリンタ名、プリンタクラス名、または印刷要求 ID を指定できます。
list に、複数のプリンタ名、クラス名、および ID を指定するには、空白またはコンマで値を区切ります。空白を使用する場合は、値のリストを引用符で囲みます。
list を指定しなければ、すべてのプリンタに送信された印刷要求の状態が表示されます。
特定のユーザーの印刷要求の状態が表示されます。user-list では複数のユーザー名を指定できます。
このコマンドで複数のユーザーを指定するには、空白またはコンマでユーザー名を区切ります。空白を使用する場合は、名前のリストを引用符で囲みます。
user-list を指定しなければ、すべてのユーザーの印刷要求の状態が表示されます。
lpstat コマンドを使用して印刷要求の状態をチェックすると、印刷要求ごとに 1 行ずつ表示されます。
各行には、左から右に、次の情報が表示されます。
要求 ID
ユーザー
出力バイト数
要求日時
「being filtered」など、要求に関する情報
次の例は、ユーザー fred にはプリンタ luna の待ち行列に入っている印刷要求が 1 つあることを示しています。
$ lpstat luna-1 fred 1261 Jul 12 17:34 |
次の例は、ユーザー paul には待ち行列に入っている印刷要求がないことを示しています。
$ lpstat -u paul |
次の例は、プリンタ moon の待ち行列に入っている印刷要求が 2 つあることを示しています。
$ lpstat -o moon moon-78 root 1024 Jul 14 09:07 moon-79 root 1024 Jul 14 09:08 |
enable コマンドおよび disable コマンドは、プリンタが待ち行列に入っている印刷要求を印刷するか停止するかを制御します。プリンタを使用不可にすると、プリンタは待ち行列内の要求の印刷を停止します。ただし、要求は待ち行列に追加され続けます。要求が待ち行列に追加されないようにするには、プリンタを設定して印刷要求を拒否させなければなりません。印刷要求の拒否については、「印刷要求の受け付けまたは拒否」を参照してください。
Solaris 印刷マネージャーを使用してプリンタを追加すると、プリンタは有効になり印刷要求を受け付けます。Solaris 印刷マネージャーは、それ以上のプリンタ管理は提供しません。
プリンタが使用不可になっている場合は、使用可能にしなければなりません。この状態は、プリンタ障害が起きると発生することがあります。プリンタを使用可能にすると、印刷サービスがそれ以後に印刷待ち行列の要求を拒否しても、待ち行列が空になるまで、印刷待ち行列からの要求が印刷されます。
次の図は、プリンタが使用不可になったときに印刷要求の処理が中断される様子を示しています。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
# disable [-c | -W] [-r "reason"] printer-name |
現在のジョブを取り消してから、プリンタを使用不可にします。現在のジョブは保存され、プリンタが使用可能になると、印刷が再開されます。
現在のジョブを取り消してから、プリンタを使用不可にします。現在のジョブが後から印刷されることはありません。
現在のジョブが終了するまで待ってからプリンタを使用不可にします。
プリンタが使用不可になった理由をユーザーに示します。理由は格納され、ユーザーが lpstat -p コマンドを使用してプリンタの状態をチェックすると表示されます。
印刷要求の印刷を停止するプリンタ名を指定します。
プリンタのクラスを使用可能または使用不可にすることはできません。個々のプリンタのみを使用可能または使用不可にすることができます。
# enable printer-name |
プリンタが使用可能になっていることを確認します。
# lpstat -p printer-name |
次の例は、プリンタ luna 上の現在のジョブを停止し、あとから印刷できるように保存して、プリンタが印刷要求の印刷を停止した理由を表示する方法を示しています。
# disable -r "changing the form" luna |
次の例は、プリンタ luna で印刷要求の印刷を開始する方法を示しています。
# enable luna printer "luna" enabled |
accept および reject コマンドを使用すると、プリンタの印刷待ち行列をオンまたはオフにできます。
reject コマンドを使用すると、プリンタの印刷待ち行列がオフになります。新しい印刷要求は印刷サーバーの待ち行列に入れません。ただし、その待ち行列に入っているすべての印刷要求は、そのまま印刷されます。すでに待ち行列に入っている要求の印刷を停止したい場合は、そのプリンタを使用不可にしなければなりません。次の表は、accept、reject、enable、disable の各コマンドの機能を比較したものです。
表 8–2 accept、reject、enable、disable の印刷コマンドの機能
コマンド |
機能 |
---|---|
accept |
印刷待ち行列に送信された印刷要求を受け付けます。 |
disable |
現在印刷待ち行列にある印刷要求を停止します。 |
enable |
印刷待ち行列にある要求を印刷します。 |
reject |
印刷待ち行列に送信された印刷要求を拒否します。 |
印刷要求が拒否されると、LP 印刷サービスはその要求を出したユーザーにメッセージを送信します。そのメッセージは、指定されたプリンタが印刷要求を受け付けていないことを通知します。
また、要求を受け付けない理由をコマンド行から指定できます。その理由は、ユーザーがプリンタの待ち行列をチェックしようとするとユーザーのシステムに表示されます。次の図は、印刷待ち行列に拒否されたときに印刷要求の処理が中断される様子を示しています。
プリンタの印刷要求の受け付けを停止します。
# reject [-r "reason"] printer-name |
プリンタが印刷要求を拒否している理由をユーザーに示します。理由は格納され、ユーザーが lpstat -p コマンドを使用してプリンタの状態をチェックすると表示されます。
印刷要求の受け付けを停止するプリンタ名を指定します。
待ち行列に入れられた要求は、プリンタが使用可能になっている限りそのまま印刷されます。印刷を停止するようにプリンタを使用不可にする手順については、「プリンタを使用可能または使用不可にする方法」を参照してください。
プリンタの印刷要求の受け付けを開始します。
# accept printer-name |
プリンタの状態が、印刷要求を受け付けているか、拒否しているかをチェックします。
$ lpstat -p printer-name |
次の例は、プリンタ luna の印刷要求の受け入れを停止する方法を示しています。
# reject -r "luna is down for repairs" luna destination "luna" will no longer accept requests |
次の例は、プリンタ luna が印刷要求を受け入れるように設定する方法を示しています。
# accept luna destination "luna" now accepting requests |
cancel コマンドを使用して、印刷待ち行列にある印刷要求を取り消したり、印刷中のジョブを取り消したりできます。
cancel コマンドには、次の 3 つの使用方法があります。
cancel コマンドを使用すると、要求が取り消されたことと、待ち行列内の次の要求が印刷されることを示すメッセージが表示されます。
次の条件に当てはまるユーザーだけが、印刷要求を取り消すことができます。
要求を出したユーザーで、かつ要求を出したシステムにログインしている場合。
任意のクライアントシステムから要求を出したユーザーで、かつ印刷サーバーの /etc/printers.conf ファイルでプリンタに user-equivalence オプションが構成されている場合。
印刷サーバーにスーパーユーザーまたは lp としてログインしているか、同等の役割になっている場合。
特定の要求を取り消すには、その要求 ID を知る必要があります。要求 ID は必ず、プリンタ名、ハイフン、印刷要求番号から構成されています。たとえば、luna-185 となります。
印刷要求を出すと、要求 ID が表示されます。印刷要求 ID を忘れた場合は、-o printer オプションを指定して lpstat コマンドを使用すると ID を調べることができます。
取り消す印刷要求の要求 ID を調べます。
# lpstat |
詳細については、「印刷要求の状態をチェックする方法」を参照してください。
印刷要求を取り消します。
# cancel request-id | printer-name |
印刷要求が取り消されていることを確認します。
$ lpstat -o printer-name |
次の例は、luna-3 と luna-4 の印刷要求を取り消す方法を示しています。
$ cancel luna-3 luna-4 request "luna-3" cancelled request "luna-4" cancelled |
次の例は、プリンタ luna 上で現在印刷中の印刷要求を取り消す方法を示しています。
# cancel luna request "luna-9" cancelled |
特定のユーザーからの印刷要求を取り消します。
$ cancel -u user-list [printer-name] |
特定のユーザーの印刷要求を取り消します。
user-list では複数のユーザー名を指定できます。ユーザー名を区切るには空白またはコンマを使用します。空白を使用する場合は、名前のリストを二重引用符で囲みます。
指定したユーザーの印刷要求を取り消すプリンタを指定します。
printer-name では複数のプリンタ名を指定できます。プリンタ名を区切るには空白またはコンマを使用します。空白を使用する場合は、プリンタ名のリストを引用符で囲みます。
printer-name を指定しなかった場合、指定されたユーザーの印刷要求がすべてのプリンタ上で取り消されます。
次の例は、プリンタ luna 上でユーザー george から依頼されたすべての印刷要求を取り消す方法を示しています。
# cancel -u george luna request "luna-23" cancelled |
次の例は、ユーザー george から依頼されたすべての印刷要求をすべてのプリンタ上で取り消す方法を示しています。
# cancel -u george request "asteroid-3" cancelled request "luna-8" cancelled |
プリンタの使用方法を変更する計画がある場合や、プリンタの使用を中止する場合は、LP 印刷サービスを設定して新たな印刷要求を拒否しなければなりません。さらに、現在印刷待ち行列に入っている要求があれば、移動するか取り消すかする必要があります。lpmove コマンドを使用すると、個々の印刷要求またはすべての印刷要求を別のローカルプリンタに移動できます。
要求 ID は印刷要求を移動しても変更されないので、ユーザーは引き続き各自の要求を調べることができます。新しく指定したプリンタでは満たせない要件 (特定のファイル内容形式やフォームなど) を持つ印刷要求は移動できません。この種の印刷要求は取り消さなければなりません。
あるプリンタから別のプリンタにすべての要求を移動する場合は、要求 ID がわからなくてもかまいません。ただし移動する前に、該当する印刷要求の数を調べておきます。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
# lpstat -o printer-name1 |
宛先プリンタが印刷要求を受け付けているかどうかをチェックします。
# lpstat -a printer-name2 |
-a printer-name2 と指定すると、印刷送信先が要求を受け付けているかどうかが報告されます。
元のプリンタから宛先プリンタにすべての印刷要求を移動します。
# lpmove printer-name1 printer-name2 |
すべての印刷要求の移動元となるプリンタ名を指定します。
すべての印刷要求の移動先となるプリンタ名を指定します。
詳細は、lpmove(1M) のマニュアルページを参照してください。
一部の要求を宛先プリンタ上で印刷できない場合は、元のプリンタの待ち行列内に残ります。要求 ID を使用すると、lpmove コマンドで特定の印刷要求を別のプリンタに移動することもできます。
元のプリンタ上で印刷要求の受け付けを開始します。
すべての印刷要求を別のプリンタに移動すると、lpmove コマンドは元のプリンタへの印刷要求の受け付けを自動的に停止します。そのプリンタへの新しい印刷要求の受け付けを開始したい場合は、この手順が必要です。
# accept printer-name1 |
移動元のプリンタの待ち行列に残っている印刷要求をチェックします。
# lpstat -o printer-name1 |
すべての指定した印刷要求が移動先のプリンタ待ち行列に移動されたことを確認します。
# lpstat -o printer-name2 |
次の例は、プリンタ luna からプリンタ terra に印刷要求を移動する方法を示します。その後、移動元プリンタ luna に印刷要求の受け付けを再開するよう指示します。
# lpmove luna terra # accept luna |
印刷要求を出し終わったら、その優先順位を印刷サーバーの待ち行列内で次のように変更できます。
印刷が終了していない印刷要求は保留できます。要求を保留すると、現在印刷中の場合は停止され、再開するまで印刷されません。他の印刷要求は、保留中の要求よりも先に印刷されます。
任意の印刷要求を待ち行列の先頭に移動できます。その場合、先頭の印刷要求は次に印刷されます。ジョブの印刷を即座に開始したい場合は、現在印刷中のジョブを保留して中断できます。
印刷待ちのジョブの優先順位を変更して、待ち行列内を移動させられます。この場合、このジョブは、優先順位が低い要求の前で、かつ、優先順位が同じか高い要求の後ろに移動できます。
スーパーユーザーになるか、同等の役割を引き受けます。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
優先順位を変更したい印刷要求の要求 ID を決めます。
# lpstat |
詳細については、「印刷要求の状態をチェックする方法」を参照してください。
印刷要求の優先順位を変更します。
# lp -i request-id -H change-priority |
このコマンドで複数の要求 ID を指定できます。要求 ID を区切るには空白またはコンマを使用します。空白を使用する場合は、要求 ID のリストを引用符で囲みます。
印刷要求の優先順位を変更する方法として、次の 3 つのどれかを指定します。 hold、resume、または immediate です。
change-priority の有効値については、表 8–1 を参照してください。
また、lp の -q コマンドを使用すると、指定した印刷要求の優先順位を変更できます。優先順位は、最上位の 0 から最下位の 39 までの間で変更できます。
次の例は、要求 ID が asteroid-79 の印刷要求を優先順位 1 に変更する方法を示しています。
# lp -i asteroid-79 -q 1 |