この章では、Sun JavaTM Communications Suite ソフトウェアをインストールする際に役立つ情報を提供します。このマニュアルで説明している作業を開始する前に、『Sun Java Communications Suite 5 配備計画ガイド』に従ってインストール計画を立てておいてください。また、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』に記載されているインストール関連の参考資料についても、よく理解しておくようにしてください。
この章の内容は次のとおりです。
Communications Suite は、多くの Sun サーバー製品とクライアント製品を統合して、分散型の通信アプリケーションやコラボレーションアプリケーションをサポートします。このマニュアルでは、これらの製品を「製品コンポーネント」と呼びます。Communications Suite インストーラは、Communications Suite および Java Enterprise System (Java ES) の製品コンポーネントと共有コンポーネントをさまざまな組み合わせで、一度に 1 台のホストに対してインストールします。これらのコンポーネント間には複雑な相互関係が存在するため、それらをインストールする際には、単一の製品コンポーネントをインストールする場合よりも多くのインストール前作業やインストール後作業が必要となります。
インストール後、インストーラのユーティリティー、ログ、およびデータファイルは次の場所に置かれています。
Solaris OS の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-comm-entsys5i
ここで説明する内容は、次のとおりです。
Communications Suite ソフトウェアは、一連の Sun サーバー製品とクライアント製品、およびそれらをサポートする共有コンポーネントで構成されています。これらは連携して、ネットワーク上に分散されたアプリケーションをサポートします。Communications Suite 5 release に含まれる選択可能なコンポーネントは、次のとおりです。(名前とバージョンの後に、このマニュアル内で使用する省略名を示す。)
Sun Java System Delegated Administrator 6.4 (Delegated Administrator)
Sun Java System Calendar Server 6.3 (Calendar Server)
Sun Java System Communications Express 6.3 (Communications Express)
Sun Java System Directory Preparation Tool 6.4 (Directory Preparation Tool)
Sun Java System Instant Messaging 7.2 (Instant Messaging)
Sun Java System Messaging Server 6.3 (Messaging Server)
また、Communications Suite 5 には Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 も含まれていますが、Connector for Microsoft Outlook は Communications Suite インストーラではインストールされません。Connector for Microsoft Outlook のインストール手順については、『Sun Java System Connector for Microsoft Outlook 7.2 Installation Guide』を参照してください。
Java ES ソフトウェアは、一連の Sun サーバー側製品およびそれらをサポートする共有コンポーネントで構成されています。これらは連携して、ネットワーク上に分散されたアプリケーションをサポートします。Communications Suite 5 release に含まれる選択可能な Java ES コンポーネントは、次のとおりです。(名前とバージョンの後に、このマニュアル内で使用する省略名を示す。)
Sun Java System 用 Sun Cluster エージェント (Sun Cluster エージェント)
Sun Java System Access Manager 7.1 (Access Manager)
Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 (Application Server)
Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.0 (Directory Server)
Sun Java System High Availability Session Store 4.4 (HADB)
Sun Java System Message Queue 3.7 UR1 (Message Queue)
Sun Java System Web Server 7.0 (Web Server)
インストーラに表示されるサービスおよびサブコンポーネントの完全な一覧については、付録 E 「このリリースの製品コンポーネント」 を参照してください。この付録では、今回のリリースで提供する共有コンポーネントの一覧も示します。Communications Suite 製品コンポーネントの中には、Communications Suite インストーラでインストールされない Java ES 製品と動作するものもあります。たとえば、Sun Java System Monitoring Console 1.0 (Monitoring Console) や Sun Java System Portal Server などです。これらの Java ES 製品のインストールについては、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』を参照してください。
Communications Suite インストーラは、Solaris pkgadd、Linux rpm のいずれかのユーティリティーを使ってCommunications Suite ソフトウェアをシステムに転送するためのインストールフレームワークです。Communications Suite のインストールは、対話形式で実行することも、再利用可能なスクリプトを使用して実行することもできます。
グラフィカルモード (対話式): グラフィカルワークステーションへのソフトウェアのインストール作業の手順を示す、対話式のグラフィカルウィザードを提供します。
テキストモード (対話式): グラフィカルモードと同じ機能を提供しますが、端末ウィンドウのコマンド行で 1 行ごとに応答が求められます。
サイレントモード: 入力を指定するために生成した状態ファイルを使用して、複数のホスト上でインストーラを実行する機能を提供します。
ソフトウェアをインストールせずにインストーラを実行することができます。これは、既存のホスト上の Communications Suite ソフトウェアを調査する場合に便利です。
対話式インストーラは、ホストのオペレーティングシステムのロケール設定で指定されている言語で実行されます。次の言語を利用できます。
英語
フランス語
ドイツ語
日本語
韓国語
スペイン語
簡体字中国語
繁体字中国語
オペレーティングシステムの言語がこのリストに含まれていない場合、インストーラは英語で実行されます。
インストーラにより、英語版のコンポーネントがすべて自動的にインストールされます。また、インストールするコンポーネントを選択するときに多言語パッケージを選択して、すべての言語用にローカライズされたパッケージをインストールすることもできます。
以前にインストールしたコンポーネントに対し、インストーラを使用して追加言語パッケージをインストールすることはできません。ただし、pkgadd、rpm、または swinstall ユーティリティーを使用することで、いつでも言語パッケージをインストールできます。言語パッケージの一覧は、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 5 章「インストール可能なパッケージの一覧」にあります。
インストール時に、インストーラは、インストールするホスト上にすでにインストールされているソフトウェアを調べ、次のコンポーネントを識別します。
インストールされている、互換性のある製品コンポーネント。
互換性のある製品コンポーネントは再インストールの必要がなく、またインストーラでは選択できません。
インストールされている、互換性のない製品コンポーネント。
インストーラが選択した製品コンポーネントとすでにローカルにインストールされている製品コンポーネントとで互換性がないことを確認した場合、すでにインストールされている互換性のない製品コンポーネントを削除またはアップグレードするよう求められます。これらの互換性のないコンポーネントが処理されるまで、インストーラを続けて実行することはできません。コンポーネントの選択時に、コンポーネントがアップグレード可能と表示される場合は、インストーラの最初のページに戻り、「インストール」ではなく「アップグレード」を選択することができます。互換性のない製品コンポーネントのアップグレードについて詳しくは、「アップグレードのしくみ」を参照してください。
インストールされている、互換性のない共有コンポーネント。
J2SE や NSS などのさまざまなバージョンの共有コンポーネントが、既存のホストにすでに存在している場合があります。インストーラがインストールしようとする Communications Suite のバージョンと互換性のない共有コンポーネントのバージョンを検出した場合、これらの共有コンポーネントがリスト表示されます。インストールを続行すると、インストーラにより共有コンポーネントが互換性のあるバージョンに自動的にアップグレードされます。
製品コンポーネントの多くは、主要な機能を提供するために、ほかのコンポーネントの存在に依存しています。インストール時に選択した製品コンポーネントが共同して正常に機能するように、インストーラは製品コンポーネント間のチェックを広範囲に行います。このため、インストーラは、ユーザーの選択に応じて、特定の製品コンポーネントをインストールに含めるよう求められます。
通常、インストーラは、次の規則を使用して製品コンポーネント間の依存性を処理します。
製品コンポーネントの選択: インストールする製品コンポーネントを選択すると、ほとんどの場合、インストーラはすべてのサブコンポーネントを自動的に選択します。
また、インストーラは、選択した製品コンポーネントが依存するコンポーネントとサブコンポーネントも選択します。たとえば、Application Server を選択すると、インストーラは Message Queue を自動的に選択します。
製品コンポーネントの選択の解除: 製品コンポーネントの選択を解除すると、ほとんどの場合、インストーラはすべてのサブコンポーネントの選択を自動的に解除します。
選択している別の製品コンポーネントがローカルまたはリモートに必要とする製品コンポーネントの選択を解除すると、インストール手順を進めるときに、インストーラはさまざまな警告メッセージを表示します。
サブコンポーネントの選択: サブコンポーネントを選択すると、インストーラはそのサブコンポーネントが属する製品コンポーネントを自動的に選択しますが、必ずしもその他のサブコンポーネントは選択しません。
選択したサブコンポーネントがほかのコンポーネントまたはサブコンポーネントに依存する場合、依存関係にあるこれらのコンポーネントは自動的に選択されます。
サブコンポーネントの選択の解除: サブコンポーネントの選択を解除すると、インストーラはそのサブコンポーネントの選択のみを解除します。その他のサブコンポーネントの選択は解除しません。
選択している別の製品コンポーネントがローカルまたはリモートに必要とするサブコンポーネントの選択を解除すると、インストール手順を進めるときに、インストーラはさまざまな警告メッセージを表示します。
選択したコンポーネントがインストール可能であると確認されたら、そのインストール先ディレクトリを指定すると、インストーラでシステムチェックが実行され、選択したコンポーネントに必要な条件をホストが満たしているかどうかが確認されます。
ディスク容量、メモリー、スワップ空間、オペレーティングシステム、そのコンポーネントのパッチとオペレーティングシステムリソース、および指定したインストールディレクトリが確認され、次のメッセージを使用してシステムの状態が通知されます。
インストールの準備ができました。このメッセージが表示されたときは、インストーラの処理を続けることができます。
インストールの準備ができました。メモリーが推奨レベルに対して不足しています。このメッセージが表示されたときは、インストーラの処理を続けることができますが、リソースを追加することを検討するべきです。
システムはインストールの準備ができていません: このメッセージが表示された場合は、インストーラで処理を続行することはできません。不足しているパッチをインストールするなどの対処が必要になります。
製品コンポーネントの多くは、インストール時にある程度の設定を行う必要があります。インストール時に実行する必要のある設定の範囲は、選択した製品コンポーネントおよびインストールタイプによって異なります。
インストーラで、次の設定タイプを使用できます。
あとで設定:インストール時は、インストールに必要な最小限の値だけを入力し、インストール後に詳細な設定を行います。
今すぐ設定:インストール時に、インストール中の設定が可能な製品コンポーネントを設定できます。指定する情報は、いくつかの共通パラメータだけの場合もあれば (共通サーバー設定)、コンポーネントに固有の詳細なパラメータを含む場合もあります (製品コンポーネント設定)。
インストール時の設定やインストール後の設定を行うときは、設定情報の値を記録しておくことが重要になります。多くの製品コンポーネントが正しく機能するかどうかは、ほかのコンポーネントの設定パラメータの値によって決まります。「今すぐ設定」インストールの終わりに表示される「インストールの要約」を見れば、指定した設定パラメータを確認できます。
「共通サーバー設定」は、複数の製品コンポーネントが使用するパラメータを設定します。たとえば、ほとんどの製品コンポーネントでは、管理 ID およびパスワードを指定する必要があります。これらの共通の値を設定することで、すべての製品コンポーネントの管理 ID のデフォルト値とパスワードのデフォルト値を設定できます。
製品コンポーネント設定は、特定の製品コンポーネントに適用するパラメータを設定します。これらの設定は、インストール時に「今すぐ設定」タイプを選択した場合にのみ要求されます。これらの設定の一部は、共通サーバー設定から取り込まれます。
グラフィカルインストーラを使用して、共有コンポーネントおよび一部の製品コンポーネントをアップグレードすることができます。グラフィカルインストールセッションでは、アップグレード可能な製品コンポーネントがホスト上に検出された場合、「アップグレードまたはインストールの選択」ページが表示されます。次の表は、インストーラでアップグレードできるコンポーネントの一覧です。該当する場合は、Solaris ゾーンの問題も説明しています。
表 1–1 Communications Suite インストーラ内でのアップグレードのサポート
製品コンポーネント |
インストーラでアップグレード可能な状況 |
Solaris ゾーンの問題 |
---|---|---|
Application Server |
Solaris 9 にバンドルされた Application Server 7.0 Solaris 10 にバンドルされた Application Server 8.0 Java ES 2005Q1 (リリース 3) とともにインストールされた Application Server 8.1.0 Java ES 2005Q4 (リリース 4) とともにインストールされた Application Server 8.1.2 |
Application Server を非大域疎ルートゾーンにインストールするには、その前に大域ゾーンから、バンドルされたバージョンを削除しておく必要があります。 |
HADB |
Java ES 2005Q1 (リリース 3) とともにインストールされた HADB Java ES 2005Q4 (リリース 4) とともにインストールされた HADB | |
Message Queue |
Solaris 9 にバンドルされた Message Queue Solaris 10 にバンドルされた Message Queue Java ES 2005Q1 (リリース 3) とともにインストールされた Message Queue Java ES 2005Q4 (リリース 4) とともにインストールされた Message Queue |
Message Queue は、大域ゾーンまたは完全ルート非大域ゾーンにのみインストールできます。 Message Queue は、常に大域ゾーンから非大域ゾーンに伝達されます。 |
Communications Express |
インストーラを使用し、ローカルの非大域疎ルートゾーンに UWC をインストールできません。代わりに、pkgadd を使用して UWC および Access Manager パッケージを手動で追加する必要があります。 |
これらの製品コンポーネントをどれもインストールしない場合は、「新しいソフトウェアのインストール」を選択できます。これらのコンポーネントのいずれかをインストールする場合は、「既存のソフトウェアのアップグレード」を選択してアップグレードセッションを開始します。アップグレードセッションの終了後に、新しいインストールセッションを開始できます。この機能は、テキストベースのインストール用にはサポートされていません。
インストール中に、互換性のないバージョンの製品コンポーネントがインストーラで検出され、それらをインストーラではアップグレードできない場合、上記以外のアップグレードの状況が発生することがあります。この場合、インストールを続行するにはまず特定の製品コンポーネントを削除するか手動でアップグレードする必要がある、というメッセージが表示されます。このようなアップグレードについて、Communications Suite 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』、Java ES 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』で詳しく説明されています。
共有コンポーネントは、選択された製品コンポーネントとともにインストーラによってアップグレードされます。共有コンポーネントは、専用のインストールセッションでアップグレードすることもできます。この場合、共有コンポーネントだけをインストールし、現在のリリースに一致させることができます。「共有コンポーネント」項目をインストールするように選択すると、Communications Suite に必要なすべての共有コンポーネントがインストールまたはアップグレードされます。
疎ルートファイルシステムを持つ Solaris 非大域ゾーンでインストーラを実行する場合、「共有コンポーネント」項目は選択できません。
インストールまたはアンインストールの実行中に、実行される処理のログレコードが生成されます。これらのレコードは、1 つのファイルに ULF (Unified Logging Format) 形式で保存されます。インストーラのログビューア (viewlog コマンド) は、これらのログレコードを調べるための使いやすいインタフェースを提供します。
インストールの完了後、ログビューアはインストーラとともに次の場所に置かれています。
Solaris SPARC の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i/Solaris_sparc
Solaris x86 の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5i/Solaris_x86
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-comm-entsys5i/Linux_x86
アンインストール後は、ログビューアはインストールおよびアンインストールのユーティリティーとともに削除されます。詳細については、「アンインストールのしくみ」を参照してください。
ログとログビューアの使用手順については、「インストールログファイルの検証」を参照してください。
Communications Suite には、インストーラを使用してローカルホストにインストールしたコンポーネント製品を消去するためのアンインストールユーティリティーが用意されています。アンインストーラは、アンインストーラが稼働しているホストで製品の依存関係をチェックし、他の製品への依存が検出された場合は警告メッセージを出力します。
アンインストーラは、グラフィカル、テキストベース、またはサイレントの各モードで実行できます。インストールの完了後、アンインストーラは次の場所に置かれています。
Solaris OS の場合: /var/sadm/prod/SUNWcomm-entsys5
Linux の場合: /var/sadm/prod/sun-comm-entsys5
アンインストール後は、ログビューアはインストールおよびアンインストールのユーティリティーとともに削除されます。ULF ログ自体は削除されず、次の場所に残ります。
Solaris OS の場合: /var/sadm/install/logs
Linux の場合: /var/opt/sun/install/logs
アンインストーラの使用手順については、第 9 章「Communications Suite 製品コンポーネントのアンインストール」を参照してください。
インストールの前に、ソフトウェアをインストールしようとするホストにどのようなコンポーネントが存在するかを把握することが重要です。既存のホストに各種バージョンの Communications Suite コンポーネントがすでにインストールされているバージョンを使用している場合、新しいリリースのインストーラを実行する前に、ソフトウェアの一部をアップグレードするか、削除する必要があります。
ここで説明する内容は、次のとおりです。
インストーラはインストール時に、ホストにすでにインストールされている Communications Suite コンポーネントがインストールする Communications Suite のリリースと互換性があるかどうかをチェックします。コンポーネントの一部に互換性がない場合、互換性がないことを示すエラーメッセージが表示され、インスールが中断する場合があります。したがって、インストール済みのソフトウェアを調べ、必要なアップグレードを行ってから、実際に Communications Suite ソフトウェアをインストールすることをお勧めします。
インストールを実行するときに、ホストにある互換性のないコンポーネントを確認できます。Application Server、Message Queue、または HADB をインストールする場合は、「ソフトウェアのアップグレード」を選択して、これらのコンポーネントがインストーラによって別のアップグレードセッションでアップグレードされるようにします。ほかの製品コンポーネントの場合は、インストーラを使用してアップグレードすることはできません。代わりに、互換性のないコンポーネントを削除するかアップグレードする必要があります。Java ES コンポーネントの場合は『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』、Communications Suite コンポーネントの場合は『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』の説明に従ってください。
インストーラは、インストールする製品コンポーネントで必要となるすべての共有コンポーネントを、アップグレードまたはインストールします。
Solaris コマンド prodreg と pkginfo または Linux コマンド rpm を使用して、インストール済みソフトウェアを調べることができます。また、インストーラそのものを使用して、この項で説明する手順に従って、パッケージベースのソフトウェアインストールを調べることもできます。
インストールされているソフトウェアに関する情報を得るために、インストーラだけを頼りにすることは、避けるべきです。インストール済みのソフトウェアについて、ホストを独自に調査して確認することも必要です。
次の表に、各 UNIX プラットフォームの基本的なパッケージコマンドの対応関係を示します。
表 1–2 UNIX のパッケージコマンドの対応関係
作業 |
Solaris |
Linux |
---|---|---|
インストール済みパッケージの表示 |
pkginfo |
rpm –qa |
パッケージのインストール |
pkgadd |
rpm -i |
パッケージの削除 |
pkgrm |
rpm –e |
DISPLAY 環境変数を設定します。
リモートホストにログインしているときには、DISPLAY 環境変数がローカルディスプレイに適切に設定されていることを確認します。DISPLAY 変数が正しく設定されていないと、インストーラはテキストベースモードで実行されます。
C Shell での例 (ホスト名は myhost):
setenv DISPLAY myhost:0.0 |
Korn Shell での例 (ホスト名は myhost):
DISPLAY=myhost:0.0 |
表示権限を付与します。
ローカルディスプレイでインストーラを実行するには、表示権限の付与が必要になる場合があります。たとえば、次のコマンドを使用して、myhost から serverhost のルートユーザーに表示権限を付与することができます。
myhost\> xauth extract - myhost:0.0|rsh -l root serverhost xauth merge - |
このような権限を安全に付与する手順については、『Solaris X Window System Developer's Guide』の「Manipulating Access to the Server」の章を参照してください。
ソフトウェアをインストールしないことを示す -no オプションを指定してインストーラを起動します。
グラフィカルインストーラの場合、次のとおり入力します。
./installer -no |
テキストベースのインストーラの場合、次のとおり入力します。
./installer -nodisplay -no |
コンポーネントの選択に進みます。
このホストにインストールする製品コンポーネントを選択します。
状態列は、選択した製品コンポーネントに必要な製品を示します。
インストーラが選択可能な製品コンポーネントのバージョンに互換性がないことを検出した場合、互換性のないバージョンのアップグレードまたは削除が求められます。
バンドル版の Application Server、Message Queue、および HADB の場合は、インストーラにアップグレードを実行させることができます。詳細については、「アップグレードのしくみ」を参照してください。
この問題を解決したら、選択リストを更新し、選択し、インストーラを先に進めます。
インストーラが共有コンポーネントのバージョンに互換性がないことを検出した場合、アップグレードの必要がある共有コンポーネントのリストが表示されます。
表示された各共有コンポーネントについて、「インストール済みのバージョン」と「必要なバージョン」を比較し、アップグレードする必要があるかどうかを確認します。共有コンポーネントの新しいバージョンと、ホストにインストールされているそのほかのアプリケーションとの間に互換性があるかどうかを確認する必要があります。
インストーラを終了し、必要なアップグレードを実行します。
Communications Suite 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』を参照してください。
Java ES 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』を参照してください。
共有コンポーネントの場合は、インストール時に大部分のアップグレードを実行できます。
各ホストに対して手順を繰り返します。
インストーラは Solaris OS によって配布される Directory Server のバージョンを検出し、この Solaris の配布の中に含まれている Directory Server のスクリプトの名前がインストーラによって変更されることを警告します。何の操作も必要ありません。
インストーラを起動する前に、以下の事項を調べて、システムの準備が整っているかどうかを確認します。
Communications Suite ソフトウェアをインストールするには、root としてログインするか、スーパーユーザーになる必要があります。
インストールする前に、配備内のホストがハードウェアとオペレーティングシステムの最小要件を満たしていることを確認します。サポートされているプラットフォーム、ソフトウェア要件、およびハードウェア要件に関する最新情報については、次のマニュアルを参照してください。
Communications Suite 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Communications Suite 5 リリースノート』を参照してください。
Java ES 製品コンポーネントの場合は、『Sun Java Enterprise System 5 リリースノート (UNIX 版)』の「プラットフォームの要件と問題点」を参照してください。
ホストに実装されているオペレーティングシステムが Communications Suite の要件を満たしていないことが判明した場合、インストーラは処理を中断します。インストール前に、この問題を解決する必要があります。
選択したコンポーネントが必要とするメモリーとディスク容量が十分であるかどうかについて、インストーラはホストを検証します。
ホストのメモリーが Communications Suite の要件を満たしていないことが判明した場合、インストーラは警告メッセージを表示します。インストールは続行可能ですが、あとでメモリーを追加するようにしてください。
ホストのディスク容量またはスワップ空間が不足している場合は、インストーラは処理を中断します。この問題を解決してからインストールを再開する必要があります。
Solaris 10 の非大域ゾーンにインストールする場合には、メモリーチェックは実行されません。
インストール中に、インストーラは不足しているソフトウェアパッチを検索します。これらのパッチをインストールするまでは、インストールを続行することはできません。
次の手順は、Solaris OS のパッチをインストールする例を示しています。
Sunsolve サイトに移動します: http://sunsolve.sun.com
(Linux パッチの場所: http://www.redhat.com)
「パッチやアップデート」をクリックします。
「PatchFinder」テキストボックスにパッチ番号を入力し、「Find Patch」をクリックします。
パッチの zip ファイルをダウンロードします。
zip ファイルを展開します。
次に例を示します。unzip 112785-44.zip
パッチファイルのディレクトリが作成されます。
パッチを適用します。
次に例を示します。patchadd 117885-44
パッチファイルのディレクトリが作成されます。
インストーラで、「再チェック」をクリックします。
すべてのシステム要件が再びチェックされます。パッチに関する追加情報は次のリリースノートに記載されています。
Communications Suite – 『Sun Java Communications Suite 5 リリースノート』
システムのホストに製品コンポーネントをインストールする順番は、インストールを成功させるためにきわめて重要です。第 2 章「インストールシーケンスの例」に含まれる 1 つ以上のシーケンス例を参考にできる可能性があります。これらのシーケンスには、いくつかの典型的なインストールで必要となる高レベルの作業が含まれています。
インストール計画の完全な手順については、『Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド』を参照してください。
次の表は、すべての種類のインストールを開始する前に必要なタスクを示しています。左の列は、タスクを実行すべき順序を示しています。右の列は、手順および有用な情報の参照先を示しています。すべてのインストールですべてのタスクが必要なわけではありません。
表 1–3 インストール前のチェックリスト
作業 |
便利な情報と参照先 |
---|---|
1. インストールの計画を立てます。 |
『Sun Java Enterprise System 5 インストール計画ガイド』を参照してください。 Sun Cluster ソフトウェアをインストールする場合は、「Sun Cluster ソフトウェアの例」を参照してください。 Monitoring Console のインストール手順については、『Sun Java Enterprise System 5 インストールガイド (UNIX 版)』を参照してください。 |
2. インストールに影響する問題がリリースノートに記載されていないか確認します。 |
インストールガイドの手順を実行する前に、『Sun Java Communications Suite 5 リリースノート』および『Sun Java Enterprise System 5 リリースノート (UNIX 版)』をお読みください。このリリースノートには、個別の配備に関係するインストール時の問題についての情報が記載されています。 |
3. ホスト上の既存ソフトウェアを調査します。 |
「既存ホストの調査」を参照してください。 Communications Suite 製品コンポーネントをアップグレードする必要がある場合は、『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』を参照してください。Java ES 製品コンポーネントをアップグレードする必要がある場合は、『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』を参照してください。 |
4. Communications Suite 5 release との互換性を持たない既存のコンポーネントをアップグレードします。 |
『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』 『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』 プラットフォームパッケージコマンドの使用方法については、それぞれのマニュアルページを参照してください。 |
5. システム要件が満たされていることを確認します。 |
「ホストの準備が整ったかどうかの確認」を参照してください。 『Sun Java Communications Suite 5 リリースノート』および『Sun Java Enterprise System 5 リリースノート (UNIX 版)』の「プラットフォームの要件と問題点」 |
6. 使用可能なインストールシーケンス例が存在するか確認します。 |
第 2 章「インストールシーケンスの例」を参照してください。 |
7. 「今すぐ設定」設定オプションでのインストールの場合、製品コンポーネントの設定情報を収集します。 |
製品コンポーネントの設定情報については、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 3 章「設定情報」を参照してください。 データ収集用ワークシートについては、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 4 章「設定ワークシート」を参照してください。 |
Solaris OS の場合: /var/sadm/install/productregistry Linux の場合: /var/opt/sun/install/productregistry |
|
9. ルート以外のユーザーとして Directory Server を実行するために、設定前にシステムアカウントを作成します。 |
ルート以外のユーザーに必要なシステムアカウントを作成します。 |
10. すでにインストールされているサーバーまたはサービスに依存する製品コンポーネントをインストールする場合は、既存のサーバーおよびサービスがアクセス可能であることを確認します。 | |
11. Directory Server をインストールする場合、Perl がインストールされていることを確認します。 |
Solaris: Perl パッケージ (SUNWperl5* ) Solaris メディアに入っています。 Linux の場合: インストールの前に /usr/bin/perl が存在していなければなりません。 Perl が存在しない場合は、pkgadd、rpm -i、または swinstall を使用してパッケージを追加します。 |
12. 通信製品コンポーネントをインストールする場合、Access Manager のインストール先ホストのドメイン名が設定されていることを確認します。 |
ドメイン名を設定するには、次のいずれかの操作を行います。
|
13. /etc/hosts ファイルの 2 番目の列の内容が、単純なホスト名ではなく完全修飾ドメイン名 (FQDN) であることを確認します。次に例を示します。 192.18.99.999 mycomputer.company.com mycomputer loghost |
|
14. ターゲットシステムに対する getent hosts コマンドから返された 2 番目の列の内容が、単純なホスト名ではなく完全修飾ドメイン名 (FQDN) であることを確認します。 |
次に例を示します。 getent hosts ip-address |
15. Apache Web Server とともにロードバランスプラグインをインストールするときは、インストールを開始する前に Apache Web Server をインストールおよび設定する必要があります。 Linux の場合は、まず Application Server をインストールし、次に Apache Web Server をインストールし、最後にロードバランスプラグインをインストールする必要があります。 |
Apache Web Server をまだインストールしていない場合は、インストールして設定します。詳細については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 高可用性 (HA) 管理ガイド』の第 4 章「負荷分散のための Web Server の設定」を参照してください。 |
16. サードパーティー製の Web コンテナに配備する目的で Access Manager をインストールする場合、「あとで設定」タイプを選択し、インストール後設定スクリプトを実行する必要があります。 |
詳細については、『Sun Java System Access Manager 7.1 Postinstallation Guide』を参照してください。 |
17. 再インストールを行う場合、Web Server のインストールディレクトリが存在「しない」ことを確認します。存在する場合、そのディレクトリを削除するか、名前を変更します。 |
Web Server のデフォルトインストールディレクトリ: Solaris OS の場合: /opt/SUNWwbsvr7 Linux の場合: /opt/sun/webserver7 |
18. J2SE ソフトウェアをアップグレードする場合は、アップグレードする J2SE コンポーネントに依存するその他の製品が停止されていることを確認します。 |
『Sun Java Enterprise System 5 アップグレードガイド (UNIX 版)』を参照してください。 |
19. Messaging Server を実装する場合、sendmail が無効になっていることを確認します。 |
必要に応じて、Solaris 9 および Linux 上の sendmail を次のようにして無効にします。 /etc/init.d/sendmail stop 必要に応じて、Solaris 10 上の sendmail を次のようにして無効にします。 svcadm disable sendmail |
20. ホストがインターネットに直接接続されていない場合は、HTTP プロキシを指定する必要があります。 |
Application Server の例については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.2 管理ガイド』を参照してください。 |
21. Linux の場合、/usr/share/bdb/db.jar リンクが存在しているときはそれを削除します。 | |
22. Linux の場合、ホストに Ant 1.5.2 が存在していないことを確認します。rpm –qa | grep ant |
これを削除するには、次を入力します。rpm –e ant-1.5.2-23 ant—libs-1.5.2-23 |
23. Linux の場合、Korn シェルがインストールされていることを確認します。 |
Korn シェルをインストールするには、RPM ディレクトリに移動し、rpm –i pdksh コマンドを実行します。 |
Communications Suite ソフトウェアは、次のいずれかの方法で入手できます。
Web ダウンロード
Sun Download Center (http://www.sun.com/download) から、Communications Suite ソフトウェアをいくつかの形式でダウンロードできます。次の形式が用意されています。
単一オペレーティングシステム用のすべてのインストールファイルを含む ISO CD セットイメージ
単一オペレーティングシステム用のすべてのインストールファイルを含む圧縮アーカイブ
スイート用のすべてのインストールファイルを含む圧縮アーカイブ
CD または DVD
http://www.sun.com/software/javaenterprisesystem/index.html またはご購入先から、CD または DVD を含むメディアキットを入手できます。各 CD セットには、単一オペレーティングシステム用のインストールファイル、インストーラプログラム、およびすべてのコンポーネントパッケージが収録されています。DVD には、オペレーティングシステム用のインストールファイル、インストーラプログラム、およびすべてのコンポーネントパッケージが収録されています。
ネットワーク上のファイルサーバー
各企業の操作手順によっては、社内ネットワークに Communications Suite のインストールファイルが用意されている場合があります。このような環境に該当するかどうかについて、システムを操作または管理する担当者に確認してください。
Communications Suite のインストールファイルを利用可能にする責任がある場合には、「インストールイメージの作成」を参照してください。
このリリースの配布バンドルの一覧については、『Sun Java Enterprise System 5 インストールリファレンス (UNIX 版)』の第 1 章「Java ES の配布内容」を参照してください。
Communications Suite の配布は、共有される場所にインストールファイルを簡単に格納できるように設計されています。この設計の利点は、インストールファイルをこの共有の場所から何度でも実行できることです。
ここでは、Solaris SPARC インストールイメージを作成してサイトのネットワークで公開するための手順を示します。
root としてログインするか、スーパーユーザーになります。
ネットワーク上に共有ディレクトリを作成します。次に例を示します。
mkdir shared-location/comms5 |
Web サイト、CD、または DVD に含まれるインストールファイルにアクセスし、インストールファイルの共有を準備します。
マウントされた ISO イメージからインストールを直接実行することはできません。代わりに、イメージをネットワーク上にコピーする必要があります。
マウントされた ISO イメージからインストールイメージを作成します。次に例を示します。
unzip compressed-file.zip lofiadm -a pathname/image.iso /dev/lofi/1 |
/dev/lofi/1 がすでに使用中である場合、lofiadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
mkdir mountpoint mount -F hsfs /dev/lofi/1 mountpoint cd mountpoint find . -print | cpio -pdum shared-location/comms5 |
コピーが完了したら、ISO イメージのマウントを解除します。
cd umount mountpoint lofiadm -d /dev/lofi/l |
残りの ISO イメージについても、この手順を繰り返します。
CD または DVD からインストールイメージを作成します。次に例を示します。
cd /cdrom/cdrom0 find . -print | cpio -pdum shared-location/comms5 |
残りの CD についても、この手順を繰り返します。
圧縮されたアーカイブからインストールイメージを作成します。
次に例を示します。
cd shared-location/comms5 unzip pathname/archive.zip |
残りの圧縮アーカイブファイルについても、この手順を繰り返します。
複数プラットフォームのファイルを共有の場所にコピーした場合、README ファイルと COPYRIGHT ファイルに関する次のようなプロンプトが表示されます。
File already exists. OK to overwrite?
Yes と入力します。これらのファイルはすべてのプラットフォームで共通です。