Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

15.5 カレンダの作成

ここでは、カレンダの作成方法についての概念情報と手順について説明します。

次の各項目について説明します。

15.5.1 cscal ユーティリティーを使用したユーザーカレンダの作成

ここで説明する内容と例は次のとおりです。

次の例は、前の例と似たカレンダを作成しますが、グループスケジュール機能のアクセス制御設定が適用されます。

cscal -n Hobbies -o jsmith -a "@@o^a^sfr^g" create Personal

文字列 -a "@@o^a^sfr^g" は、このカレンダのコンポーネントとカレンダの両方のプロパティーに対するグループスケジュール機能のスケジュール権限、空き/ 予定ありの設定権限、読み取りアクセス権限を、ほかの所有者に与えます。

15.5.1.1 新規カレンダ作成の概要

新しいカレンダを作成するには、cscal ユーティリティーの create コマンドを使用します。ユーザーまたはリソースのエントリは、LDAP ディレクトリ内にすでに存在している必要があります。LDAP ディレクトリへのユーザーやリソースの追加については、第 14 章「ユーザー、グループ、およびリソースの管理」を参照してください。

サイトで LDAP カレンダ検索データベース (CLD) プラグインを使用している場合、ユーザーまたはリソースのエントリの icsDWPHost LDAP 属性で指定されているのと同じバックエンドサーバー上で特定のユーザーまたはリソースのすべてのカレンダを作成する必要があります。別のバックエンドサーバーにカレンダを作成しようとすると、cscal ユーティリティーはエラーを返します。LDAP CLD プラグインについては、第 5 章「Calendar Server バージョン 6.3 での複数のマシンへのカレンダデータベースの分散の設定」を参照してください。

15.5.1.2 新しいカレンダの作成

新しいカレンダを作成するために最低限必要なコマンドは次のとおりです。

cscal -o uid  create calid

たとえば、jsmith というカレンダ ID と一意の ID を持つ John Smith というユーザーに対して、コマンドは次のようになります。

cscal -o jsmith create jsmith

コマンドの構成要素は、次のようになります。

cscal

ユーティリティーの名前。

-o

このカレンダの一次所有者の一意の ID (uid)

create

新しいカレンダを作成するためのコマンド。

calid

このカレンダに割り当てられるカレンダ ID。

cscal ユーティリティーの詳細については、本書にある 「D.5 cscalを参照してください


ヒント –

デフォルトのアクセス制御設定は、ics.conf ファイルの calstore.calendar.default.acl によって定義されます。


15.5.1.3 ユーザーの別のカレンダの作成

どのユーザーに対しても複数のカレンダを作成できます。ただし、それらは常にデフォルトカレンダのサブカレンダとして認識されます。新しいカレンダの完全修飾名では、コロンの区切り記号の左側がデフォルトカレンダ名、コロンの区切り記号の右側が新しいカレンダ名になります。

次の例は、ユーザー John Smith に対して Personal という新しいカレンダ名を持つ別のカレンダ (デフォルト以外) の作成方法を示しています。

cscal -o jsmith@sesta.com create Personal

コマンドの構成要素は次のとおりです。

cscal

ユーティリティーの名前。

-o jsmith@sesta.com

このカレンダの一次所有者の一意の ID (uid)

create

新しいカレンダを作成するためのコマンド。

Personal

このカレンダに割り当てるカレンダ ID (calid) の2 番目の部分。

完全修飾カレンダ ID は jsmith@sesta.com:Personal になります。

15.5.1.4 表示名のあるカレンダの作成

この例は、前の例で作成した Personal というデフォルト以外のカレンダに「Hobbies」という別の表示名を付ける方法を説明します。

cscal -o jsmith@sesta.com -n Hobbies create Personal

-o

jsmith@sesta.com は、一次所有者のユーザー ID を指定します。

-n

Hobbies は、カレンダの表示名を指定します。

Personal

John Smith のこの新しい追加カレンダの名前。

calid 全体は次のようになります。jsmith@sesta.com: Personal

15.5.1.5 他のプロパティーを持つカレンダの作成

次の例は、前の例に似た Personal というカレンダを新規作成しますが、カレンダを sports というカテゴリに関連付け、複数のユーザーからの予約を有効にして Ron Jones というもう一人の所有者を指定します。

cscal -n Hobbies -o jsmith - g sports -k yes -y rjones create Personal

コマンドの構成要素は、次のようになります。

cscal

ユーティリティーの名前。

-o jamsith@sesta.com

このカレンダの一次所有者の一意の ID (uid)

-g sports

このオプションはカレンダ Personal を sports という名前のカテゴリに関連付けます。

-y

rjones@sestas.com という値はカレンダのもう一人の所有者を指定します。

-k yes|no

このオプションは、同一時間帯に複数のユーザーからの予約を有効または無効にします。

yes という値は、複数のユーザーからの予約を有効にします。 no という値は、複数のユーザーからの予約を無効にします。

create

新しいカレンダを作成するためのコマンド。

Personal

このカレンダに割り当てられるカレンダ ID。

15.5.2 リソース用の Calendar Server の設定

リソースカレンダは、スケジューリングが可能な会議室、ノートパソコン、OHP、その他の機器などに関連付けられます。リソースカレンダにはアクセス制御リストが必要です。

表 15–3 に示すように、ics.conf ファイルの 2 つの構成パラメータがリソースカレンダに適用されます。

resource.default.acl

デフォルトのアクセス制御リスト

resource.allow.doublebook

複数のユーザーからの予約を許可または禁止するパラメータ

表 15–3 に示すように、これらのパラメータのデフォルト値を変更するには、ics.conf ファイルを編集します。デフォルト値の変更は、新しいリソースカレンダだけに適用されます。既存のリソースの値は変更されません。

Schema バージョン 1 の場合は、Calendar Server ユーティリティー cscal を使用して、既存のリソースカレンダの値を変更します。csresource ユーティリティーには modify コマンドはありません。

Schema バージョン 2 の場合は、Delegated Administrator ユーティリティーコマンド commadmin resource modify を使用します。Delegated Administrator コンソールでは、カレンダリソースについてのこれらの値を変更することはできません。


注 –

Calendar Server の通知ソフトウェアは、リソースに通知を送信するようにプログラミングされていません。通知を受け取るのはユーザーだけです。


表 15–3 ics.conf ファイルに指定できるリソースカレンダの構成パラメータ

パラメータ 

説明とデフォルト値 

resource.default.acl

このパラメータには、リソースカレンダの作成時にデフォルトで適用されるアクセス制御設定を特定します。デフォルトのアクセス許可は、次の ACL (アクセス制御リスト) によって指定されます。 

"@@o^a^r^g;@@o^c^wdeic^g;@^a^rsf^g"

この ACL は、コンポーネントとプロパティーの両方に対する読み取り、スケジュール、空き/予定ありの設定アクセス権をすべてのカレンダユーザーに付与します。 

リソースに対するアクセス権を変更するには、csresource ユーティリティーの create コマンドを使用してカレンダを作成するときに -a オプションを指定します。

resource.allow.doublebook

このパラメータには、リソースカレンダが複数のユーザーからの予約を許可するかどうかを指定します。複数のユーザーからの予約が許可される場合、リソースカレンダでは同時に複数の予定をスケジュールできます。 

デフォルト値は "no"— で、複数のユーザーからの予約は許可されません。

リソースカレンダの複数のユーザーからの予約を許可するには、csresource ユーティリティーの create コマンドを使用してカレンダを作成するときに -k オプションを指定します。

resource.invite.autoprovision

デフォルト値は "yes" です。

resource.invite.autoaccept

デフォルト値は "yes" です。

15.5.3 リソースとリソースカレンダの作成


ヒント –

ics.conf パラメータ resource.invite.autoprovision の値が "yes" の場合、リソースカレンダは最初の出席依頼時に作成されます。つまり、このリソースがデフォルトカレンダを持っていない場合、初めて出席依頼がスケジュール設定された時にリソースカレンダが作成されます。


次のいずれかの方法でリソースを作成します。

Calendar Server ユーティリティー (Schema バージョン 1)

csresource create コマンドを使用します。

このユーティリティーは、リソースの LDAP エントリとデフォルトカレンダの両方を作成します。

リソースの LDAP エントリがすでに存在する場合、csresource ではカレンダのみが作成されます。LDAP エントリは重複して作成されません。

たとえば、カレンダ ID が aud100、表示名が Auditorium、およびデフォルトの設定を持つリソース LDAP エントリを作成するには、次のコマンドを実行します。

csresource -m aud100@siroe.com -c aud100 create Auditorium

Delegated Administrator ユーティリティーと Calendar Server ユーティリティー

2 つのコマンドを組み合わせて使用します。

  • LDAP エントリを作成するには、Delegated Administrator ユーティリティーコマンド commadmin resource create

  • デフォルトカレンダを作成するには、Calendar Server ユーティリティーコマンド csresource create

Delegated Administrator コンソール

Delegated Administration Console で LDAP リソースを作成するには、組織リストからこのリソースを配置する組織を選択します。該当する組織の「カレンダリソース」ページで、「新規」をクリックして「新規カレンダリソースを作成」ウィザードを起動します。

Delegated Administrator ユーティリティーについては、『Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Delegated Administrator Guide 』を参照してください。

Delegated Administrator Console については、オンラインヘルプを参照してください。

csresource については、付録 D 「Calendar Server のコマンド行ユーティリティーのリファレンス」を参照してください。

15.5.4 リソースカレンダでの複数のユーザーからの予約の許可

デフォルトでは、Calendar Server はリソースカレンダでの複数のユーザーからの予約 (resource.allow.doublebook パラメータ) を許可しません。このデフォルト設定は、部屋や装置などのリソースで予定の競合が生じることを防ぎます。ただし、リソースカレンダでの複数のユーザーからの予約を可能にするには、カレンダの作成時に csresource -k オプションを “yes” に設定します。

次のコマンドは、リソースの LDAP エントリとカレンダを作成しますが、-k オプションによってカレンダでの複数のユーザーからの予約が許可され、-o オプションによってカレンダの 所有者が bkamdar に設定されます。また、-y オプションによってもう一人の所有者が jsmith@sesta.com に設定されます。

csresource -m aud100@siroe.com -c aud100 -k yes
    -o bkamdar -y jsmith@sesta.com create Auditorium

15.5.5 リソースカレンダに対するアクセスの制限

特定のリソースの予定を指定できるユーザーを制御するには、リソースカレンダに対して書き込みアクセス権を持つユーザーを制限してください。たとえば、会議室の予定設定や機器の使用予約を特定のユーザーに限定することができます。

リソースカレンダの所有者を指定しない場合、ics.conf ファイルの service.siteadmin.userid パラメータの値が適用されます。