Sun Cluster Geographic Edition Oracle Data Guard 向けデータ複製ガイド

ProcedureOracle Data Guard 複製を使用するシステム上でフェイルバックスイッチオーバーを実行する方法

この手順は、元の主クラスタ cluster-paris のデータが現在の主クラスタ cluster-newyork のデータと再同期されたあとで、アプリケーションを元の主クラスタで再起動するときに実行します。

フェイルバックの手順はパートナーシップ内のクラスタにのみ適用されます。ここでの手順はパートナーシップごとに 1 回実行するだけで済みます。

始める前に

フェイルバックスイッチオーバーを実行する前に cluster-newyork でテイクオーバーが発生していたことがあります。 現在のクラスタの役割は次のとおりです。

  1. 元の主クラスタ cluster-paris に障害が発生した場合は、そのクラスタが再起動していることと、そのクラスタで Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーが有効であることを確認します。

    クラスタの再起動については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』「クラスタの起動」を参照してください。

  2. 障害が発生した Oracle Data Guard 主データベースを新しいスタンバイとして回復および復元します。

    この手順の実行方法についての詳細は、 Oracle のマニュアルを参照してください。

  3. 元の主クラスタ、cluster-paris が Oracle Data Guard 構成の一部分として正常に動作していることを確認します。


    oracle (phys-paris-1)$ dgmgrl sys/sysdba_password@sales-svc
    DGMGRL> show configuration;
    

    元の主クラスタ、cluster-paris が正常に動作していた場合、show configuration コマンドが、SUCCESS 状態を表示します。

    元の主クラスタが障害発生時に停止した場合、非アクティブな主クラスタとしてマークされます。元の主クラスタが障害時点時に起動した場合、非アクティブなセカンダリとしてマークされます。

  4. 元の主クラスタ cluster-paris を現在の主クラスタ cluster-newyork と再同期させます。

    この操作により、クラスタ cluster-paris の独自の構成は削除され cluster-newyork の構成がローカルに複製されます。 パートナーシップ構成と保護グループ構成の両方を再同期させます。

    1. cluster-paris で、パートナーシップを再同期させます。


      phys-paris-1# geops update partnershipname
      

      注 –

      パートナーシップ内の複数の保護グループに対してフェイルバックスイッチオーバーを実行している場合でも、この手順はパートナーシップごとに 1 回実行するだけで済みます。


      パートナーシップの同期については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』「パートナーシップの再同期」を参照してください。

    2. 元の主クラスタである cluster-paris 上の保護グループが有効であるかどうかを判定します。


      phys-paris-1# geoadm status
      
    3. 元の主クラスタ上の保護グループが有効である場合は、その保護グループを停止します。


      phys-paris-1# geopg stop -e local protectiongroupname
      
      -e local

      コマンドの範囲を指定します。

      範囲を local と指定すると、ローカルクラスタだけがコマンドの対象となります。


      注 –

      globallocal などのプロパティー値では、大文字と小文字は区別されません。


      protectiongroupname

      保護グループの名前を指定します。

      保護グループがすでに無効化されている場合、アプリケーションリソースグループが管理されてオフラインになっているため、保護グループ内のリソースグループの状態は Error になっている可能性があります。

      保護グループが無効化されている場合、アプリケーションリソースグループはすでに管理されていない状態であるため、Error 状態はクリアされます。

    4. 保護グループが停止したことを確認します。


      phys-paris-1# geoadm status
      
    5. cluster-paris で、各保護グループを再同期させます。

      cluster-newyork 上の保護グループのローカルの役割は、現在 primary であるため、この手順により cluster-paris クラスタ上の保護グループの役割は secondary になることが確認されます。


      phys-paris-1# geopg update protectiongroupname
      

      保護グループの同期については、「Oracle Data Guard 保護グループを再同期する」を参照してください。

  5. cluster-paris 上で、個々の保護グループのクラスタ構成を検証します。

    Error 状態の保護グループを起動することはできません。保護グループが Error 状態でないことを確認します。


    phys-paris-1# geopg validate protectiongroupname
    

    詳細は、「Oracle Data Guard 保護グループを検証する方法」を参照してください。

  6. cluster-paris で、各保護グループを有効にします。

    保護グループを有効にすると、そのアプリケーションリソースグループもオンラインになります。


    phys-paris-1# geopg start -e global protectiongroupname
    
    -e global

    コマンドの範囲を指定します。

    global スコープを指定すると、保護グループが配置されている両方のクラスタがコマンドの対象となります。


    注 –

    globallocal などのプロパティー値では、大文字と小文字は区別されません。


    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します。

  7. データが完全に同期したことを確認します。

    1. cluster-newyork 上の保護グループの状態が OK であることを確認します。


      phys-newyork-1# geoadm status
      

      出力の保護グループセクションを参照してください。

    2. 複製リソースグループ ODGprotectiongroupname-odg-rep-rg 内のすべてのリソースの状態が OK であることを確認します。


      phys-newyork-1# clresource status -v ODGprotectiongroupname-odg-rep-rs
      
  8. 両方のパートナークラスタ上で、保護グループが有効になったことを確認します。


    phys-paris-1# geoadm status
    …
    phys-newyork-1# geoadm status
  9. どちらかのクラスタで、各保護グループについて cluster-newyork から cluster-paris へのスイッチオーバーを実行します。


    phys-node-n# geopg switchover [-f] -m cluster-paris protectiongroupname
    

    詳細は、「Oracle Data Guard 保護グループを主クラスタからスタンバイクラスタにスイッチオーバーする方法」を参照してください。

    cluster-paris クラスタは元の役割である、保護グループの主クラスタに戻ります。

  10. スイッチオーバーが正常に実行されたことを確認します。


    phys-node-n# geoadm status
    

    保護グループが現在 cluster-paris で primary に、cluster-newyork で secondary になっており、Data replication および Resource groups プロパティーの状態が、両方のクラスタで OK と示されていることを確認します。

  11. 各 Oracle Data Guard 保護グループについて、アプリケーションリソースグループとデータ複製の実行時状態を検査します。


    phys-node-n# clresourcegroup status -v resourcegroupname
    # clresource status -v ODGConfigurationName-odg-rep-rs
    

    検査する Oracle Data Guard Broker 構成の Status フィールドと StatusMessage フィールドを参照してください。これらのフィールドの詳細は、表 2–1を参照してください。

    データ複製の実行時ステータスについては、「Oracle Data Guard データ複製の実行時状態の検査」を参照してください。