Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

第 7 章 システムのシャットダウンとブート (概要)

この章では、システムのシャットダウンとブートについて概要を説明します。Solaris オペレーティングシステムは、電子メールとネットワーク資源をいつでも利用できるように停止することなく動作するように設計されています。しかし、システム構成の変更、定期保守、停電などの理由で、システムをシャットダウンまたはリブートしなければならない場合があります。

この章の内容は次のとおりです。

システムのシャットダウンとブートに関する新機能

この節では、Solaris におけるシステムのシャットダウンとブートに関する新機能について説明します。

DHCP によるネットワーク経由のシステムのブート

今回のリリースの Solaris には、ネットワーク経由でシステムをブートするための DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) 機能が追加されました。以前の RARP/bootparams に基づいたネットワークブートも利用できます。

DHCP ブートを使用するには、DHCP サーバーがネットワークにインストールされ、構成されていなければなりません。DHCP サーバーの設定については、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』の「DHCP サービスの設定」を参照してください。

SPARC システムをネットワーク経由でブートする方法については、「SPARC: システムをネットワーク経由でブートする方法」を参照してください。IA システムをネットワーク経由でブートブートする方法については、「IA: システムをネットワーク経由でブートする方法」を参照してください。

IA: Solaris ブートフロッピーディスクを使用しない CD-ROM からのブート

ブートフロッピーディスクを使用しないブート機能をサポートしている IA システムでは、Solaris ブートフロッピーディスクがなくても、ローカルに接続された CD-ROM から Intel 版 Solaris 8 を直接ブートできます。

この機能をサポートしていないシステムでは、Solaris ブートフロッピーディスクを利用できます。

ブートフロッピーディスクを使用するか使用しないかに関わらず、IA システムのブートについては、『Solaris 8 インストールガイド (Intel 版)』を参照してください。

シャットダウンとブートについての参照先

システムをシャットダウンおよびブートする手順については、次を参照してください。

手順 

参照先 

SPARC または IA のシステムのシャットダウン 

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

SPARC システムのブート 

第 10 章「SPARC: システムのブート (手順)」

IA システムのブート 

第 11 章「IA: システムのブート (手順)」

電源管理ソフトウェアによる SPARC システムの管理 

電源管理システム ユーザーマニュアル

シャットダウンとブートの用語

ここではシャットダウンとブートに関する用語について説明します。

システムのシャットダウンに関するガイドライン

システムをシャットダウンするときは次の点に注意してください。

システムのブートに関するガイドライン

システムをブートするときは、次の点に注意してください。

再構成用ブートの実行

再構成用ブートは、システムに新しいハードウェアを追加したときに行います。表 7-1 に、どの場合にどの再構成手順を使用するかを示します。

表 7-1 再構成手順

システム再構成の内容 

参照先 

ディスクの追加 

第 30 章「SPARC: ディスクの追加 (手順)」または第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」

周辺装置の追加 

「周辺デバイスを追加する方法」

システムをシャットダウンする場合

表 7-2 に、システム管理作業とそれに伴って必要となるシャットダウンの種類を示します。

表 7-2 システムのシャットダウン

管理作業 

以下の実行レベルに変更 

参照先 

停電のためシステムの電源を切断する。 

実行レベル 0。安全に電源を切れる状態。 

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

/etc/system ファイル内のカーネルパラメータを変更する。

実行レベル 6 (システムのリブート)。 

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

ファイルシステムを保守する (システムデータのバックアップや復元など)。 

実行レベル S (シングルユーザーモード)。 

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

/etc/system などのシステム構成ファイルを修正する。

「システムをブートする場合」を参照。

なし 

システムにハードウェアを追加する (または、システムからハードウェアを削除する)。 

再構成用ブート (ハードウェアを追加または削除したら電源を切断する)。 

第 24 章「デバイスの管理 (概要)」

ブート失敗の原因となっている重要なシステムファイルを修正する。 

「システムをブートする場合」を参照。

なし 

カーネルデバッガ (kadb) をブートして、システムの障害を調査する。

実行レベル 0 (可能な場合)。 

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

ハング状態から回復する。または、クラッシュダンプを強制する。 

「システムをブートする場合」を参照。

なし 

サーバーまたはスタンドアロンシステムのシャットダウンの例については、第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」を参照してください。

システムをブートする場合

表 7-3 に、システム管理作業とそれに伴って必要となるブートの種類を示します。

表 7-3 システムのブート

リブート前に実行した管理作業 

使用するブート種類 

SPARC のブート手順の参照先 

IA のブート手順の参照先 

停電のためシステムの電源を切断した。 

システムの電源を再投入する。 

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

第 9 章「システムのシャットダウン (手順)」

/etc/system ファイル内のカーネルパラメータを変更した。

システムを実行レベル 3 にリブートする (NFS 資源を共有できる状態のマルチユーザーモード) 

「SPARC: システムを実行レベル 3 (マルチユーザー状態) にする方法」

「IA: システムを実行レベル 3 (マルチユーザー状態) にする方法」

ファイルシステムを保守した (システムデータのバックアップや復元など)。 

実行レベル S で Ctrl-d を押して、システムを実行レベル 3 に戻す。 

「SPARC: システムを実行レベル S (シングルユーザー状態) にする方法」

「IA: システムを実行レベル S (シングルユーザー状態) にする方法」

/etc/system などのシステム構成ファイルを修正した。

対話式ブート。 

「SPARC: システムを対話式でブートする方法」

「IA: システムを対話式でブートする方法」

システムにハードウェアを追加した (または、システムからハードウェアを削除した)。 

再構成用ブート (ハードウェアを追加または削除したら電源を投入する)。 

「SPARC: 二次ディスクを接続してブートする方法」

第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」

カーネルデバッガ (kadb) をブートして、システムの障害を調査した。

kabd をブートする。

「SPARC: カーネルデバッガ (kadb) を使ってシステムをブートする方法」

「IA: カーネルデバッガ (kadb) を使ってシステムをブートする方法」

ブート失敗の原因となっていた重要なシステムファイルを修正した。 

回復ブート。 

「SPARC: システムを復元するためにブートする方法」

「IA: システムを復元するためにブートする方法」

ハング状態から回復した。または、クラッシュダンプを強制した。 

回復ブート。 

「SPARC: クラッシュダンプを強制してシステムをリブートする方法」

「IA: クラッシュダンプを強制してシステムをリブートする方法」

システムブートの例については、第 10 章「SPARC: システムのブート (手順)」または第 11 章「IA: システムのブート (手順)」を参照してください。