Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

ネットワーク構成手順

オペレーティングシステムのソフトウェアをインストールするときに、同時にネットワークのソフトウェアもインストールされます。そのときに、いくつかの IP 構成パラメータを対応するファイルに格納して、ブート時に読み取れるようにしておく必要があります。

ここで必要な手順は、ネットワーク構成ファイルを作成または編集するということです。構成情報がどのようにマシンのカーネルに対して使用可能にされるかは、構成ファイルがローカルに格納されているか (ローカルファイルモード)、それともネットワーク構成サーバーから構成ファイルを入手するか (ネットワーククライアントモード) によって異なります。

ネットワーク構成時に指定するパラメータには、次のものがあります。

ここでは、ローカル構成ファイルを作成および編集する手順を説明しています。ネームサービスデータベースの処理については、『Solaris ネーミングの管理』を参照してください。

ネットワークを構成するための作業マップ

表 6-3 ネットワークを構成するための作業マップ

作業 

説明 

参照先 

ホストをローカルファイルモード用に構成する 

nodename、hostname、hosts、 defaultdomain、 defaultrouter、および netmasks ファイルを編集する

「ローカルファイルモードの場合のホストの構成方法」

ネットワーク構成サーバーをセットアップする 

in.tftp daemon をオンにし、intetd.conf、hosts、 ethers、および bootparams ファイルを編集する

「ネットワーク構成サーバーの設定方法」

ホストをネットワーククライアントモード用に構成する 

hostname ファイルを作成し、hosts ファイルを編集する。また、nodename ファイルと defaultdomain ファイルがある場合はこれらを削除する

「ネットワーククライアントモードの場合のホストの構成方法」

ネットワーククライアントに対してルーターを指定する 

defaultrouter ファイルと hosts ファイルを編集する

「ネットワーククライアント用のルーターの指定方法」

ローカルファイルモードの場合のホストの構成方法

ローカルファイルモードで動作するマシン上の TCP/IP を構成するための手順は、次のとおりです

  1. スーパーユーザーになり、/etc ディレクトリに移動します。

  2. マシンのホスト名を /etc/nodename ファイルに入力します。

    たとえば、ホストの名前が tenere であるとすれば、このファイルに tenere と入力します。

  3. 各ネットワークインタフェースについて、/etc/hostname.interface という名前のファイルを作成します

    (一次ネットワークインタフェースについては、Solaris インストールプログラムが自動的にこのファイルを作成します)。「/etc/hostname.interface ファイル」を参照してください。IPv6 を使用している場合は、「IPv6 ネットワークインタフェース構成ファイル」を参照してください。

  4. /etc/hostname.interface ファイルに、インタフェース IP アドレスかインタフェース名を入力します。

    たとえば、hostname.ie1 という名前のファイルを作成し、ホストのインタフェースの IP アドレスかまたはホスト名を入力します。

  5. /etc/inet/hosts ファイルを編集して、以下の内容を追加します。

    1. ローカルマシンに増設したネットワークインタフェースに割り当てた IP アドレスと、各インタフェースのホスト名

      一次ネットワークインタフェースとループバックアドレスについてのエントリは、すでに Solaris インストールプログラムにより作成されています。

    2. /usr ファイルシステムを NFS マウントする場合は、ファイルサーバーの IP アドレス


      注 -

      Solaris インストールプログラムは、ローカルマシン用のデフォルトの /etc/inet/host を作成します。このファイルが存在していない場合は、「hosts データベース」の説明に従って作成してください。また、IPv6 を使用している場合は、「/etc/inet/ipnodes ファイル」を参照してください。


  6. 完全指定のドメイン名を /etc/defaultdomain ファイルに入力します。

    たとえば、ホスト tenere がドメイン deserts.worldwide.com に所属しているとします。その場合は、/etc/defaultdomain に deserts.worldwide.com を入力します。詳細は、 「/etc/defaultdomain ファイル」を参照してください。

  7. ルーターの名前を /etc/defaultrouter に入力します。

    詳細は、「/etc/defaultrouter ファイル」を参照してください。

  8. デフォルトのルーターの名前とその IP アドレスを /etc/inet/hosts に入力します。

    上記以外にも、使用できるルーティングオプションがいくつかあります。 「ネットワーククライアントモードの場合のホストの構成方法」中の、ルーティングオプションについての説明を参照してください。これらのオプションは、ローカルファイルモード構成にも適用できます。

  9. ネットワークをサブネット化する場合は、ネットワーク番号とネットマスクを /etc/inet/netmasks ファイルに入力します。

    NIS または NIS+ サーバーを設定してある場合は、サーバーとクライアントが同じネットワーク上にあれば、サーバー上の該当のデータベースにネットマスク情報を入力できます。

  10. ネットワーク上の各マシンをリブートします。

ネットワーク構成サーバーの設定方法

  1. スーパーユーザーになり、予定しているネットワーク構成サーバーのルートディレクトリに移動します。

  2. ディレクトリ /tftpboot を作成することにより、in.tftpd デーモンが動作するようにします。


    # mkdir /tftpboot
    

    これで、マシンは、TFTP、bootparams、RARP のサーバーに構成されます。

  3. 手順 2 で作成したディレクトリに対するシンボリックリンクを作成します。


    # ln -s /tftpboot/. /tftpboot/tftpboot
    
  4. inetd.conf ファイルにある tftp の行を有効にします。

    /etc/inetd.conf のエントリが次のようになっていることを確認してください。


    tftp dgram udp wait root /usr/sbin/in.tftpd in.tftpd -s /tftpboot

    これによって、/tftpboot に格納されたファイル以外のファイルを inettftpd() で検索できなくなります。

  5. hosts データベースを編集して、ネットワーク上のすべてのクライアントのホスト名と IP アドレスを追加します。

  6. ethers データベースを編集して、ネットワーククライアントモードで実行するネットワーク上のすべてのホストについてエントリを作成します。

  7. bootparams データベースを編集します。

    「bootparams データベース」を参照してください。ワイルドカードエントリを作成するか、または、ネットワーククライアントモードで実行するすべてのホストについてエントリを作成します。

  8. サーバーをリブートします。

インストールサーバー、ブートサーバーを設定する方法については、『Solaris 8 のインストール (上級編)』を参照してください。

ネットワーククライアントの構成

ネットワーククライアントは、各自の構成情報をネットワーク構成サーバーから入手します。したがって、あるホストをネットワーククライアントとして構成するときは、このネットワーク用として、ネットワーク構成サーバーが少なくとも 1 つは設定されていることを確認してください。

ネットワーククライアントモードの場合のホストの構成方法

ネットワーククライアントモードで構成する必要のある各ホストについて、次のことを行います。

  1. スーパーユーザーになります。

  2. ディレクトリを調べて、/etc/nodename ファイルがあるかどうかを確認します。ある場合は、このファイルを削除してください。

    /etc/nodename を削除すると、システムは hostconfig プログラムを使用して、ネットワーク構成サーバーから、ホスト名、ドメイン名、ルーターアドレスを入手するようになります。「ネットワーク構成手順」を参照してください。

  3. /etc/hostname.interface ファイルが存在していない場合は、それを作成します。

    そのファイルが空であることを確認してください。/etc/hostname.interface ファイルが空であれば、システムはネットワーク構成サーバーから IP アドレスを入手します。IPv6 を使用している場合は、「IPv6 ネットワークインタフェース構成ファイル」を参照してください。

  4. /etc/inet/hosts ファイルに、ループバックネットワークインタフェースのホスト名と IP アドレス以外の内容が入っていないことを確認します。

    (「ループバックアドレス」を参照してください)。このファイルには、ローカルマシン (一次ネットワークインタフェース) の IP アドレスとホスト名が入っていてはいけません。また、IPv6 を使用している場合は、「/etc/inet/ipnodes ファイル」を参照してください。

  5. /etc/defaultdomain ファイルがあるかどうかを調べます。ある場合は、このファイルを削除します。

    hostconfig プログラムは、自動的にドメイン名を設定します。hostconfig プログラムが設定したドメイン名を上書きしたいときは、/etc/defaultdomain に代わりのドメイン名を入力します。

  6. クライアントの /etc/nsswitch.conf の中の検索パスが、ネットワークのネームサービスの要件を満たしていることを確認します。

ネットワーククライアント用のルーターの指定方法

  1. ネットワーク上にルーターが 1 つしかなく、ネットワーク構成サーバーが自動的にそのルーターの名前を指定するようにしたい場合は、ネットワーククライアントが /etc/defaultrouter ファイルを持っていないことを確認します。

  2. 次の手順に従って、ネットワーク構成サーバーが設定したデフォルトのルーターの名前を上書きします。

    1. ネットワーククライアント上に /etc/defaultrouter を作成します。

    2. デフォルトのルーターとして指定してあるマシンのホスト名と IP アドレスを入力します。

    3. 指定したデフォルトのルーターのホスト名と IP アドレスを、ネットワーククライアントの /etc/inet/hosts に追加します。

  3. ネットワークに複数のルーターがある場合は、ネットワーククライアント上に /etc/defaultrouter を作成し、空のままにしておきます。

/etc/defaultrouter を作成し、それを空のままにしておくと、2 つの動的ルーティングプロトコル、つまり、ICMP RDISC (Router Discovery Protocol) か RIP (Routing Information Protocol) のどちらか一方が実行されます。システムは、まず in.rdisc プログラムを実行します。このプログラムは、ルーター検出プロトコルを実行しているルーターを捜します。該当するルーターが見つかった場合は、in.rdisc はそのまま実行を続け、RDISC プロトコルを実行するルーターを追跡し続けます。

RDISC プロトコルに応答しているルーターがないと判断した場合は、システムは RIP を使用し、in.routed デーモンを実行してルーターを追跡します。