この節では、トランスメタデバイスを設定して、ロギングデバイスを共有する方法について説明します。
トランスメタデバイスを設定したら、ロギングデバイスをファイルシステム間で共有できます。
ロギングデバイスを共有する場合、ロギングデバイスをミラー化することをお勧めします。
システム内に使用できるスライスが多くない場合、またはロギングデバイスを共有するファイルシステムがほとんど読み取りアクセスされる場合、ロギングデバイスをファイルシステム間で共有することを検討してください。
共有されたロギングデバイスの 1 つのマスターデバイスがエラー状態になった場合、ロギングデバイスはその変化をロールフォワードできません。そのため、そのロギングデバイスを共有するすべてのマスターデバイスが、ハードエラー状態になります。
この作業では、他のファイルシステム用のロギングデバイスにより、すでにトランスメタデバイスが設定されているものと想定します。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを変更するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「ロギングデバイスを共有するための予備情報」) を読んだことを確認する。
ファイルシステムを含むスライスまたはメタデバイスを識別する。
マスターデバイスを作成するときに、これが必要となります。
必要ならば、「スライス」をクリックして「スライスブラウザ」ウィンドウを表示して、ファイルシステムによって使用されるスライスを識別します。
トランスメタデバイスのテンプレートをクリックする。
キャンバスには、未割り当てで未確定のトランスメタデバイスオブジェクトが表示されます。メタデバイス名は自動的に割り当てられます。
[オプション] デフォルトのメタデバイス名を変更する。
オブジェクトリストから、既存のトランスメタデバイスオブジェクトをダブルクリックする。
オブジェクトがキャンバスに表示されます。新しいトランスメタデバイスは、このオブジェクトとログを共有します。
このトランスメタデバイスによって使用されるロギングデバイス名をメモする。
ログに記録されるファイルシステムを含んだスライスやメタデバイスを、それぞれ「スライスブラウザ」ウィンドウやオブジェクトリストから、新しいトランスメタデバイスのマスター矩形にドラッグする。
警告ダイアログボックスが表示されたら「継続」をクリックします。
/etc/vfstab ファイルにファイルシステムのエントリが存在し、そのファイルシステムが現在マウントされている場合、DiskSuite ツールはこれを自動的に更新して、トランスメタデバイスの名前を使用します。
新しいトランスメタデバイスの「情報」ウィンドウを表示し、既存のトランスメタデバイスについてメモした (手順 6) スライス名またはメタデバイス名を、「ログ」テキストフィールドに入力する。
「接続」をクリックする。
評価に対する警告ダイアログボックスが表示されることがあります。その場合は、「適用」をクリックします。「情報」ウィンドウの「閉じる」をクリックして、「情報」ウィンドウを終了する。
トランスメタデバイスオブジェクトの先頭の矩形をクリックし、「確定」をクリックする。
表示される警告ダイアログボックスの「確定」をクリックします。これによって、新しいトランスメタデバイスが作成され、既存のトランスメタデバイスのロギングデバイスを共有します。
コンフィグレーションログを表示して、トランスメタデバイスが確定されたことを確認する。
システムをリブートし、ファイルシステムのロギングを有効にする。
それ以降のリブート時には、ファイルシステムをチェックする代わりに、ログに記録されたファイルシステムごとに fsck(1M) が次のようなメッセージを表示します。
/dev/md/rdsk/trans: is logging. |
この作業では、他のファイルシステム用のログにより、すでにトランスメタデバイスが設定されているものと想定します。
「DiskSuite オブジェクトを変更するための前提条件」の前提条件と 「ロギングデバイスを共有するための予備情報」の予備情報をチェックしてから、metainit(1M) を使用してログを共有します。詳細については、 metainit(1M) のマニュアルページを参照してください。
# umount /xyzfs # metainit d64 -t c0t2d0s4 d10 d64: Trans is setup (/xyzfs 用のエントリがトランスメタデバイス d64 を参照するよう、/etc/vfstab ファイルを編集する) # mount /xyzfs # metastat ... d10: Logging device for d63 d64 ... |
この例では、前のトランスメタデバイス用のログとして定義されたロギングデバイス (d10) を、新しいトランスメタデバイス (d64) と共有します。マスターデバイスとして設定されるファイルシステムは /xyzfs であり、スライス /dev/dsk/c0t2d0s4 を使用しています。metainit -t は、設定がトランスメタデバイスであることを指定します。/etc/vfstab ファイルを編集して、ファイルシステムがトランスメタデバイスを参照するように変更 (または新規に入力) しなければなりません。たとえば、次の行は、
/dev/dsk/c0t2d0s4 /dev/rdsk/c0t2d0s4 /xyzfs ufs 2 yes - |
次のように変更してください。
/dev/md/dsk/d64 /dev/md/rdsk/d64 /xyzfs ufs 2 yes - |
metastat コマンドは、ログが共有されていることを確認します。システムをリブートすると、ファイルシステムのロギングが有効になります。
それ以降のリブート時には、ファイルシステムをチェックする代わりに、 fsck(1M) が 2 つのファイルシステムに対して次のメッセージを表示します。
/dev/md/rdsk/d63: is logging. /dev/md/rdsk/d64: is logging. |