この節では、dhcpconfig を対話的に (コマンド行オプションを使用せずに) 使用して、DHCP サーバーまたは BOOTP リレーエージェントを構成または構成解除する手順について説明します。 dhcpconfig を対話的に使用したくない場合は、DHCP サーバーを構成する方法 (dhcpconfig -D)を参照してください。
dhcpconfig をコマンド行オプションを使用せずに起動すると、「DHCP Configuration」メニューが表示されます (次の図を参照)。
*** DHCP Configuration *** Would you like to: 1) Configure DHCP Service 2) Configure BOOTP Relay Agent 3) Unconfigure DHCP or Relay Service 4) Exit Choice: |
サーバーの構成前に必要な選択のガイドラインに従います。
データ、リースポリシー、ルーター情報について決定します。
サーバーの構成前に必要な選択のガイドラインに従います。
スーパーユーザーまたは DHCP 管理プロファイルに割り当てられたユーザーになります。
次のコマンドを入力します。
#/usr/sbin/dhcpconfig |
テキストベースの「DHCP Configuration」メニューが表示されます (図 3–5を参照)。
1 と入力し、Return をキー押して「Configure DHCP Service」を選択します。
以下の段落で説明する質問に答えます。
ここでは、第 2 章「DHCP サービスの使用計画」を読んで決定した事項を使用します。なお、各プロンプトにおけるデフォルト値は角括弧で囲まれています。デフォルト値を使用する場合には、そのプロンプトで Return キーを押します。
### DHCP Service Configuration ### ### Configure DHCP Database Type and Location ### Enter data store (SUNWbinfiles, SUNWfiles or SUNWnisplus) [SUNWnisplus]: |
使用することに決定したデータの名前 (SUNWbinfiles、SUNWfiles、または SUNWnisplus) を入力します。
データの詳細については、データストアの選択のガイドラインを参照してください。
Enter full path to data location [default-for-data-store]: |
データに使用したいディレクトリまたは NIS+ ドメインへのパスを入力します。 SUNWbinfiles または SUNWfiles を選択した場合、データのデフォルトの場所は /var/dhcp です。NIS+ を選択した場合、デフォルトでは、サーバーがすでに使用している NIS+ ドメイン (yourcompany.com など) が示されます。
Enter location for hosts data (none, files, dns, or nisplus) [none]: |
DHCP クライアントのホスト名を登録するときに DHCP が使用するネームサービスを入力します。 詳細については、クライアントホスト名の登録を参照してください。none を選択した場合、ホスト名を手動でネームサービスに追加する必要があります。
Enter default DHCP lease policy (in days) [3]: |
リース期間の日数を入力します。デフォルトは 3 日です。詳細については、リースポリシーの設定 を参照してください。
Do you want to allow clients to renegotiate their leases? ([Y]/N): |
デフォルトではリースネゴシエーションを有効にする Y です。リースネゴシエーションについての詳細は、リースポリシーの設定を参照してください。N と入力した場合、クライアントはリースの期限が切れた時点で IP アドレスを放棄し、新たなリースと IP アドレスを取得する必要があります。
Would you like to specify nondefault daemon options (Y/[N]): |
このプロンプトに対して N と入力した場合、デフォルト以外のデーモンオプションを指定しなくても、サーバーを正常に構成できます。
Y と入力した場合には、次のプロンプトが表示されます。
Do you want to enable transaction logging? (Y/[N]):Y |
トランザクションログを有効にしたい場合は、Y と入力します。トランザクションログについては、DHCP ログオプションの変更を参照してください。トランザクションログを有効に設定した場合にのみ、次のプロンプトが表示されます。
Which syslog local facility [0-7] do you wish to log to? [0]: |
トランザクションログのローカル機能については、DHCP ログオプションの変更を参照してください。
Would you like to specify nondefault server options (Y/[N]):Y |
このプロンプトに対して N と入力した場合、デフォルト以外のサーバーオプションを指定しなくても、サーバーを正常に構成できます。
Y と入力した場合には、次のプロンプトが表示されます。
How long (in seconds) should the DHCP server keep outstanding OFFERs? [10]: |
サーバーがクライアントに提供する IP アドレスをキャッシュに保持する秒数を入力します。デフォルトの秒数は 10 秒でほとんどのネットワークでは、これが適切な秒数です。秒数を増加することは可能ですが、ネットワークパフォーマンスが低下します。
How often (in minutes) should the DHCP server rescan the dhcptab? [Never]: |
デフォルトでは DHCP サーバーは起動時に、あるいは DHCP マネージャから読み込みの指示を受けた場合にのみ、dhcptab を読み込みます。DHCP マネージャを使用すると、構成データを変更した後で dhcptab をリロードすることにより、サーバーを更新できます。したがって、DHCP マネージャを使用している場合は、dhcptab の定期的な再走査は必要ありません。通常、再走査の間隔は次のような状況でのみ使用します。
データが NIS+ であり、ネットワーク上に複数の DHCP サーバーが存在する場合。定期的な再走査によって、すべてのサーバーが最新の情報を持っていることが保証されます。
DHCP マネージャではなく、dhtadm を使用して構成変更を行なった場合。dhtadm ユーティリティには、構成の変更後に dhcptab を再走査するオプションはありません。
dhcptab に対して自動再走査を実行する場合は、サーバーが dhcptab ファイル内にクライアントの構成情報をリロードするまでの待機時間間隔を分単位で入力します。
Do you want to enable BOOTP compatibility mode? (Y/[N]): |
デフォルトでは BOOTP 互換性は無効になっています。BOOTP 互換性を有効にする場合は、DHCP サービスによる BOOTP クライアントのサポートを参照してください。
デフォルト以外のデーモンおよびサーバーオプションに関する情報の入力が終了したら、次のプロンプトが表示されます。
Enable DHCP/BOOTP support of networks you select? ([Y]/N): |
この時点で、DHCP を使用するネットワークを構成できます。IP アドレスの管理に必要な選択を読んだ後に選んだ決定事項を参照してください。IP アドレスを構成する準備ができていない場合、N を入力して、初期メニューに戻ります。少なくとも 1 つのネットワーク上で DHCP または BOOTP のサポートを有効にしない限り、DHCP を使用することはできません。
IP アドレスを構成する準備が整っている場合は、Y と入力し 手順 4 へ進みます。
次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/dhcpconfig |
テキスト形式の「DHCP Configuration」メニューが表示されます。
2 と入力し、Return を押して「Configure BOOTP Relay Agent」を選択します。
プロンプトに対して次のように応答します。
### BOOTP Relay Agent Configuration ### Enter destination BOOTP/DHCP servers. Type '.' when finished. IP address or Hostname: |
要求の転送先となる BOOTP または DHCP サーバーの IP アドレスまたはホストネームを 1 つ入力し、Return を押します。プロンプトが再び表示され、アドレスおよびホスト名の入力が引き続き可能な状態になります。終了する場合はピリオド (.) を入力し、Return キーを押します。
### Common daemon option setup ### Would you like to specify nondefault daemon options (Y/[N]):Y |
このプロンプトに対して N と入力した場合、デフォルト以外のデーモンオプションを指定しなくても、サーバーを正常に構成できます。
Y と入力した場合には、次のプロンプトが表示されます。
Do you want to enable transaction logging? (Y/[N]):Y |
トランザクションログを有効にしたい場合は、Y と入力します。トランザクションログについては、DHCP ログオプションの変更を参照してください。トランザクションログを有効にした場合にのみ、次のプロンプトが表示されます。
Which syslog local facility [0-7] do you wish to log to? [0]: |
トランザクションログのローカル機能については、DHCP ログオプションの変更を参照してください。
「Configure DHCP Service」メニューが再表示されます。
dhcpconfig を終了するには、4 と入力します。
この節では、dhcpconfig ユーティリティを使用して、ネットワークを DHCP 管理下に置く手順について説明します。各手順では、サーバーの構成が完了しており、ネットワークを DHCP サービスに追加することを前提にしています。
DHCP サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。
次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/dhcpconfig |
テキスト形式の「DHCP Configuration」メニューが表示されます。
1 と入力し、Return を押して「Configure DHCP Service」を選択します。
プロンプトに対して次のように応答し、ローカルネットワークを構成します。
Enable DHCP/BOOTP support of networks you select? ([Y]/N):Y Configure BOOTP/DHCP on local LAN network: 102.31.0.0? ([Y]/N):Y |
クライアントホスト名の生成についての質問に答えます。
Do you want hostnames generated and inserted in the files hosts table? (Y/[N]): |
サーバーはホスト名を作成し、名前を IP アドレスに対応付けることができます。詳細については、クライアントホスト名の生成を参照してください。
Y と入力した場合は次のプロンプトに応答します。N と入力した場合は、手順 6 へ進みます。
What rootname do you want to use for generated names? [yourserver-]: |
生成されたクライアント名のデフォルトの接頭辞、つまりルート名 (rootname) がDHCP サーバーの名前になります。この名前はそのままクライアント名として使用しても、他の名前に変更してもかまいません。
Is Rootname name_you_typed- correct? ([Y]/N):Y |
入力に間違いがあった場合は、ここで N と入力し再度ルート名の入力を求めるプロンプトへ戻ります。
What base number do you want to start with? [1]: |
ベース番号はクライアント名の生成に用いられるルート名に付加される最初の番号です。たとえば、デフォルトのルート名とベース番号を使用した場合、クライアント名は、yourserver-1、yourserver-2 のようになります。
DHCP の管理下に置きたいネットワークの IP アドレスに関する次のプロンプトに応答します。
Enter starting IP address [102.21.0.0]: |
サーバーは管理対象とする IP アドレス範囲を生成する必要があります。DHCP の管理下に置きたい IP アドレス範囲の開始アドレスを入力します。詳細については、IP アドレスの数と範囲を参照してください。
Enter the number of clients you want to add (x < 65535): |
クライアント数はDHCP の管理下に置く IP アドレスの数に相当します。dhcpconfig プログラムはこの情報とベース番号を使用して、連続した IP アドレスブロックを DHCP の管理下に追加します。
The dhcp network table: 102.21.0.0 already exists. Do you want to add entries to it? ([Y]/N): |
すでにアドレス構成が完了しているネットワーク内にアドレスブロックを追加した場合、上記のプロンプトが表示されます。Y と入力してネットワークテーブルを変更しアドレスを追加します。
Would you like to configure BOOTP/DHCP service on remote networks? ([Y]/N): |
ネットワークの追加が終わったら、N を入力します。
他のネットワーク上にある IP アドレスを DHCP の管理下に置きたい場合は、このプロンプトに Y を入力して、手順 4に続きます。
DHCP サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。
次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/dhcpconfig |
テキスト形式の「DHCP Configuration」メニューが表示されます。
1 と入力し、Return キーを押して「Configure DHCP Service」を選択します。
プロンプトに対して次のように応答し、リモートネットワークを構成します。
Enable DHCP/BOOTP support of networks you select? ([Y]/N):Y Configure BOOTP/DHCP on local LAN network: 102.21.0.0? ([Y]/N):N Would you like to configure BOOTP/DHCP service on remote networks? ([Y]/N):Y Enter Network Address of remote network, or <RETURN> if finished: |
DHCP に構成したいネットワークの IP アドレスを入力します。ネットワークアドレスでは、IP アドレスのホスト部分に 0 が使用されます。
Do clients access this remote network via LAN or PPP connection? ([L]/P): |
L または P と入力することにより、ネットワークがローカルエリアネットワーク (LAN) またはポイントツーポイントプロトコルネットワーク (PPP) のいずれであるかを示します。
Do you want hostnames generated and inserted in the files hosts table? (Y/[N]): |
サーバーは IP アドレスごとにホスト名を作成し、/etc/inet/hosts ファイルまたは NIS+ の hosts テーブルにエントリを作成します。クライアントホスト名の生成を参照してください。
Enter Router (From client's perspective), or <RETURN> if finished. IP address: |
このネットワーク上のクライアントが使用するルーター (複数も可) の IP アドレスを入力します。なお、クライアントがこのネットワークでルーター検索機能を使用するようには指定できません。
Enter starting IP address [102.21.0.0] |
DHCP の管理下に置きたい IP アドレス範囲の開始 IP アドレスを入力します。デフォルト値は、ネットワークアドレスです。
Enter the number of clients you want to add (x < 65535): |
DHCP の管理下に置きたい IP アドレスの数を入力します。dhcpconfig ユーティリティは、この値と、直前に入力した開始 IP アドレスを基に、DHCP の管理下に置く一連の IP アドレスを決定します。入力する値は、プロンプトで示される値よりも小さい値にしてください。なお、プロンプトで表示される値は、ネットマスクを基に生成されたものです。上記の例の場合は、65535 未満の値を指定する必要があります。
dhcptab macro "102.21.0.0" already exists. Do you want to merge initialization data with the existing macro? ([Y]/N): |
このネットワークがすでに構成済みの場合は、上記のメッセージが表示されます。既存のマクロにデータをマージする必要があるのは、追加しているネットワーク上の全クライントに指定の情報を適用する場合だけです。
Disable (ping) verification of 102.21.0.0 address(es)? (Y/[N]): |
dhcpconfig ユーティリティは、追加しているアドレスに対して ping を実行し、それらのアドレスが使用されていないことを確認し、使用中のアドレスはスキップします。このプロンプトに対し Y と入力すると、dhcpconfig は、アドレスに対して ping を実行しません。
Network: 102.21.0.0 complete. Enter Network Address of remote network, or <RETURN> if finished: |
別のリモートネットワークを構成したい場合は、そのネットワークアドレスを入力し、ネットワークに関するプロンプトに応答します。構成するリモートネットワークが他にない場合は、上記のプロンプトに対して Return を押します。
DHCP サーバーを構成解除すると、サーバーデーモンは停止し、システムを再起動しても自動的に起動されません。 サーバー構成ファイルも削除されます。 DHCP サーバーの構成を解除する前に、DHCP データファイル (dhcptab と DHCP のネットワークテーブル) の扱いを決定する必要があります。 サーバー間でデータを共有している場合は、dhcptab と DHCP の各ネットワークテーブルを削除しないでください。DHCP サーバーの構成を解除することによって、ネットワーク全体に渡って DHCP を使用することができなくなるからです。データの共有は、NIS+ またはエクスポートしたローカルファイルシステムを使用して行うことができます。テーブルを削除しないことを選択した場合、データをそのままの形に残したままで、DHCP サーバーを構成解除できます。
次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/dhcpconfig |
テキスト形式の「DHCP Configuration」メニューが表示されます。
3 と入力し、Return を押して、「Unconfigure DHCP or Relay Service」を選択します。
プロンプトに対して次のように応答します。
Unconfigure will stop the DHCP service and remove /etc/inet/dhcpsvc.conf. Are you SURE you want to disable the DHCP service? ([Y]/N): |
Y と入力し、サーバーの構成を解除します。
Are you SURE you want to remove the DHCP tables? (Y/[N]): |
DHCP データが他の DHCP サーバーと共有されていないことが確実な場合にだけ、Y と入力します。N と入力すると、サーバーが使用できなくなりますが、データはそのままに保持されます。