この章では、ブート環境のファイルシステムを最新の状態に維持したり、ブート環境を削除するなど、さまざまな管理作業について説明します。この章では、次の内容について説明します。
作業 |
説明 |
参照先 |
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(省略可能) ステータスの表示 |
ブート環境の状態 (アクティブ、アクティブ化の処理中、アクティブになるようにスケジュールされている、比較処理中) を表示します 。 | |
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アクティブブート環境と非アクティブブート環境を比較します。 | |
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アクティブブート環境の名前を表示します。 | |
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ブート環境の構成を表示します。 | |
(省略可能) 非ブアクティブート環境の更新 |
ファイルシステムの構成を変更することなく、アクティブブート環境からファイルシステムを再度コピーします。 | |
(省略可能) その他の作業 |
ブート環境を削除します。 | |
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ブート環境の名前を変更します。 | |
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スケジュールされているジョブを取り消します。 |
ブート環境についての情報を表示するには、「Status」メニューまたは lustatus コマンドを使用してください。ブート環境を指定しない場合は、システム上のすべてのブート環境のステータス情報が表示されます。
各ブート環境について、次の詳細情報が表示されます。
Name – 各ブート環境の名前
Complete – スケジュールされたコピー処理または作成処理がすべて完了し、ブート環境をブートする用意ができているかどうかを示します。作成処理またはアップグレード処理が進行中であったり失敗した場合などは、ステータスは未完了として示されます。 たとえば、あるブート環境のコピー処理が進行中であるか、コピー処理がスケジュールされている場合は、そのブート環境は未完了とみなされます。
Active – アクティブブート環境であるかどうかを示します。
ActiveOnReboot – システムの次のリブート時にそのブート環境がアクティブになるかどうかを示します。
CopyStatus – ブート環境の作成またはコピーの状態 (作成またはコピーがスケジュールされている、アクティブ、またはアップグレード中) を示します。ステータスが SCHEDULED の場合、Solaris Live Upgrade のコピー、名前変更、アップグレードの各処理を行うことはできません。
メインメニューから「Status」を選択します。
次のような表が表示されます。
BE_name Complete Active ActiveOnReboot CopyStatus ------------------------------------------------------------------------ disk_a_S7 yes yes yes - disk_b_S7database yes no no SCHEDULED disk_b_S8 no no no - |
この例では、disk_b_S8 は未完了の状態で、disk_b_S7database は CopyStatus が SCHEDULED になっています。このためこれらの環境では、コピー、名前変更、アップグレードの各処理を行うことはできません。
スーパーユーザーとしてログインします。
次のように入力します。
# lustatus BE_name |
BE_name |
ステータスを表示する非アクティブブート環境の名前を指定します。BE_name を省略すると、lustatus によりシステム内のすべてのブート環境のステータスが表示されます。 |
この例では、すべてのブート環境のステータスが表示されます。
# lustatus |
BE_name Complete Active ActiveOnReboot CopyStatus ------------------------------------------------------------------------ disk_a_S7 yes yes yes - disk_b_S7database yes no no SCHEDULED disk_b_S8 no no no - |
この例では、disk_b_S8 は未完了の状態で、disk_b_S7database は CopyStatus が SCHEDULED になっています。このためこれらの環境では、コピー、名前変更、アップグレードの各処理を行うことはできません。
「Copy」メニューまたは lumake(1M) を使用して、以前に構成されたブート環境のコンテンツを更新できます。アクティブ (ソース) ブート環境のファイルシステムがターゲットブート環境にコピーされ、ターゲット上にあったデータは破棄されます。コピー元のブート環境のステータスは、「complete」である必要があります。ブート環境のステータスを確認する方法については、すべてのブート環境のステータスの表示を参照してください。
コピー作業は後で行われるようにスケジュールできます。スケジュールできるのは一度に 1 つのジョブだけです。スケジュールされたコピー処理を取り消す方法については、スケジュールされた処理 (作成/アップグレード/コピー) の取り消しを参照してください。
メインメニューから「Copy」を選択します。
更新する非アクティブブート環境の名前を入力します。
Name of Target Boot Environmet:solaris8 |
コピー処理を継続するか、または後でコピーが実行されるようにスケジュールします。
コピーを継続するには、Return キーを押します。
非アクティブブート環境が更新されます。
後でコピーが実行されるようにスケジュールするには、「y」と入力し、時刻 (at コマンドの書式を使用) と、結果の送信先電子メールアドレスを指定します。
Do you want to schedule the copy?y Enter the time in 'at' format to schedule copy:8:15 PM Enter the address to which the copy log should be mailed: someone@anywhere.com |
時刻の書式については、at(1) のマニュアルページを参照してください。
以上の手順で、非アクティブブート環境が更新されます。
スケジュールされたコピー処理を取り消す方法については、スケジュールされた処理 (作成/アップグレード/コピー) の取り消しを参照してください。
この手順では、以前に作成されたブート環境上の古いファイルを上書きしてソースファイルをコピーします。
スーパーユーザーとしてログインします。
次のように入力します。
# lumake -t time -s source_BE -n BE_name -m email_address |
-t time |
(省略可能) 指定されたブート環境上のファイルを指定された時刻に上書きするバッチジョブを設定します。時刻は、at(1) のマニュアルページに指定されている書式で入力します。 |
-n BE_name |
ファイルシステムを書き換えるブート環境の名前を指定します。 |
-s source_BE |
ターゲットブート環境にコピーするファイルシステムがあるソースブート環境の名前を指定します。このオプションを省略すると、lumake は現在のブート環境をソースとして使用します。 |
-m email_address |
コマンドが完了した時点で、ここで指定する電子メールアドレスに lumake の出力を送ります。email_address はチェックされません。このオプションは、-t と併用する必要があります。 |
この例では、8:15 p.m に first_disk のファイルシステムが second_disk にコピーされます。処理が完了した時点で、電子メールが anywhere.com の Joe に送信されます。
# lumake -t 8:15 PM -s first_disk -n second_disk -m joe@anywhere.com |
8:15 PM にコピーが行われ、通知の電子メールが送られます。スケジュールされた処理を取り消す方法については、スケジュールされた処理 (作成/アップグレード/コピー) の取り消しを参照してください。
ブート環境のスケジュールされた処理 (作成、アップグレード、コピー) は、その処理の開始前に取り消すことができます。GUI では、「Create a Boot Environment」、「Upgrade a Boot Environment」、または「Copy a Boot Environment」メニューを使用して、特定の時間に処理が実行されるようにスケジュールすることができます。CLI では、lumake(1M) コマンドを使用して、処理をスケジュールできます。スケジュールできる処理は、1 つのシステムにつき一度に 1 つだけです。
メインメニューから「Cancel」を選択します。
取り消しが可能なブート環境の一覧を表示するには、F2 を押します。
取り消すブート環境を選択します。
これで、指定されている時刻に処理は実行されなくなります。
アクティブブート環境とその他のブート環境の相違を確認するには、「Compare」メニューまたは lucompare コマンドを使用します。比較をするためには、非アクティブブート環境は完了状態で、コピー処理がスケジュールされていない必要があります。すべてのブート環境のステータスの表示を参照してください。
指定するブート環境には、lumount(1M) または mount(1M) を使用してマウントされたパーティションが含まれていてはなりません。
メインメニューから「Compare」を選択します。
「Compare to Original」または「Compare to an Active Boot Environment」を選択します。
F3 を押します。
次に示すように、元の (アクティブ) ブート環境の名前、非アクティブブート環境の名前、およびファイルのパスを入力します。
Name of Parent:solaris8 Name of Child:solaris8-1 Full Pathname of the file to Store Output:/tmp/compare |
F3 を押してファイルに保存します。
「Compare」メニューに以下の属性が表示されます。
モード
リンクの数
所有者
グループ
チェックサム - 指定されたブート環境内のファイルとこれに対応するアクティブブート環境内のファイルが、前述したすべてのフィールドにおいて一致する場合だけ、チェックサムを計算します。すべて一致するがチェックサムは異なるという場合には、異なるチェックサムが比較対象ファイルのエントリに付加されます。
サイズ
1 つのブート環境だけに存在するファイル
F3 を押して「Compare」メニューに戻ります。
スーパーユーザーとしてログインします。
次のように入力します。
# /usr/sbin/lucompare -i infile または -t -o outfile BE_name |
-i infile |
infile ファイル中に指定されたファイルを比較します。比較するファイルは、絶対パスで指定する必要があります。ファイルのエントリがディレクトリである場合、比較はディレクトリに対して再帰的に行われます。このオプションまたは - t のいずれか一方を使用できます (両方は使用できません)。 |
-t |
バイナリ以外のファイルだけを比較します。この比較は、ファイルシステム内の各テキストファイルに対して file(1) コマンドを使用します。ユーザーは、このオプションまたは -i のいずれか一方を使用できます (両方は使用できません)。 |
-o outfile |
相違についての出力を outfile にリダイレクトします。 |
BE_name |
アクティブブート環境と比較するブート環境の名前を指定します。 |
この例では、first_disk ブート環境 (ソース) と second_disk ブート環境が比較され、結果がファイルに出力されます。
# /usr/sbin/lucompare -i /etc/lu/compare/: -o \ /var/tmp/compare.out second_disk |
「Delete」メニューまたは ludelete を使用してください。アクティブブート環境および次のリブートでアクティブになるブート環境は、削除できません。 削除するブート環境は完了状態でなければなりません。完了状態のブート環境とは、ステータスを変更する処理が終了している環境を指します。ブート環境のステータスの確認方法については、すべてのブート環境のステータスの表示を参照してください。 また、lumount(1M) を使用してファイルシステムをマウントしているブート環境も削除できません。
メインメニューから「Delete」を選択します。
削除する非アクティブブート環境の名前を入力します。
Name of boot environment:solaris8 |
指定された非アクティブブート環境が削除されます。
スーパーユーザーとしてログインします。
次のように入力します。
# ludelete BE_name |
BE_name |
削除する非アクティブブート環境の名前を指定します。 |
この例では、ブート環境 second_disk が削除されます。
# ludelete second_disk |
現在動作しているブート環境の名前を表示するには、「Current」メニューまたは lucurr コマンドを使用してください。システム上に構成されたブート環境がない場合は、「No Boot Environments are defined」というメッセージが表示されます。lucurr で表示されるのは現在のブート環境の名前だけです。次のブート時にアクティブになるブート環境の名前は表示されません。ブート環境のステータスを確認する方法については、すべてのブート環境のステータスの表示を参照してください。
次のように入力します。
# /usr/sbin/lucurr -m mount_point |
-m mount_point |
mount_point を所有しているブート環境の名前を返します。この名前は、現在のブート環境のマウントポイントまたは別のブート環境のマウントポイントです。後者の場合、このオプションを使用する前に lumount(1M) または mount(1M) によってブート環境のファイルシステムがマウント済みである必要があります。 |
この例では、現在のブート環境の名前が表示されます。
# /usr/sbin/lucurr -m / |
ブート環境の名前変更は、ブート環境の Solaris リリースを別のリリースにアップグレードする場合などに便利です。たとえば、オペレーティングシステムのアップグレード処理においてブート環境 solaris7 を solaris8 に変更できます。非アクティブブート環境の名前を変更する場合は、「Rename」メニューまたは lurename コマンドを使用してください。
新しい名前に使用できるのは、シングルバイトの 8 ビット文字だけです。また、新しい名前の設定は、以下の規則に従う必要があります。
長さが 30 文字を超えない
英数字または ASCII 文字 (UNIX シェルで特別な意味を持つ文字を除く) で構成されている。sh(1) の「クォート」の節を参照してください。
シングルバイトの 8 ビット文字だけ含む
システム上に 1 つしか存在しない
ブート環境の名前を変更するためには、そのステータスが「complete」である必要があります。ブート環境のステータスを確認する方法については、すべてのブート環境のステータスの表示を参照してください。lumount(1M) または mount(1M) を使用してファイルをマウントしているブート環境の名前は、変更できません。
スーパーユーザーとしてログインします。
次のように入力します。
# lurename -e BE_name -n new_name |
-e BE_name |
変更する非アクティブブート環境の名前を指定します。 |
-n new_name |
非アクティブブート環境の新しい名前を指定します。 |
この例では、second_disk が third_disk に変更されます。
# lurename -e second_disk -n third_disk |
ブート環境の構成を表示するには、「List」メニューまたは lufslist コマンドを使用してください。出力される情報は、各ブート環境マウントポイントのディスクスライス (ファイルシステム)、ファイルシステムの種類、およびファイルシステムサイズです。
メインメニューから「List」を選択します。
構成を表示したいブート環境の名前を入力します。
Name of Boot Environment:solaris8 |
F3 を押します。
以下に表示例を示します。
Filesystem fstype size(Mb) Mounted on ------------------------------------------------------------------ /dev/dsk/c0t0d0s1 swap 512.11 - /dev/dsk/c0t4d0s3 ufs 3738.29 / /dev/dsk/c0t4d0s4 ufs 510.24 /opt |
F6 を押して「List」メニューに戻ります。
スーパーユーザーとしてログインします。
次のように入力します。
# lufslist BE_name |
BE_name |
ファイルシステムの詳細を表示するブート環境の名前を指定します。 |
以下に表示例を示します。
Filesystem fstype size(Mb) Mounted on ------------------------------------------------------------------ /dev/dsk/c0t0d0s1 swap 512.11 - /dev/dsk/c0t4d0s3 ufs 3738.29 / /dev/dsk/c0t4d0s4 ufs 510.24 /opt |