Solaris 2.x への移行

第 8 章 起動とシャットダウン

この章では、システムのブートとシャットダウン手順の変更について説明します。

ブート手順の詳細は、Solaris のシステム管理を参照してください。それぞれのコマンドのマニュアルページは『SunOS Reference Manual』のセクション 1M「Maintenance Commands」にオンラインで提供されています。

ブート

Solaris 2.6 のブートプロセスによってシステム管理が容易になりました。主な変更点は次のとおりです。

Solaris 2.6 の環境では、システムを停止、シャットダウン、リブートするには shutdowninit コマンドが望ましい方法です。reboot コマンドは Solaris 2.6 環境で使用できますが、通常のシャットダウンサービスなしで、システムをすぐに停止します。表 8-1 に、SunOS 4.x から変更された SunOS 5.6 のコマンドを示します。

表 8-1 SunOS 5.6 でのリブート用コマンドの変更 fastboot

SunOS 4.x コマンド 

SunOS 5.6 変更コマンド 

reboot

shutdown -i -6, init 6

fastboot

boot, init 6

boot コマンドの変更

SunOS 5.6 ソフトウェアには次のような boot コマンドのオプションが追加されています。

PROM からのブート

PROM からブートするときは、次の変更点に注意してください。

ブート処理の相違

表 8-2 にブート時の処理の相違をまとめます。

表 8-2 ブート時の相違

SunOS 4.x 

SunOS 5.6 

機能 

bootsd

bootblk

ディスクから ufsboot をロードする。

boot program

ufsboot

ディスクから unixをロードする。

/vmunix

/kernel/genunix

ブート可能なカーネルイメージ 

boot.sun4c.sunos.4.1

inetboot

ネットワークから unix をマウントおよびコピーする。

rc.boot rc.single

/etc/rcS

/usr をマウントし、ファイルシステムをチェックする。

rc.local

/etc/rc2 /etc/rc3

システム構成スクリプト 

/etc/config

modload /etc/system

必要に応じてシステムカーネルとロードモジュールをカスタマイズする。 

PROM モニタ、シングルユーザ、マルチユーザ 

実行レベル 0 - 6 と S 

システム実行レベル 

/dev/sd1g

/dev/dsk/c0t1d0s6

よりわかりやすい論理デバイス名。「デバイス命名規則」を参照。

MAKEDEV

boot -r, add_drv

デバイスノードを作成する。

init コマンドの使用

SunOS 4.x の fasthalt コマンドは、 SunOS 5.6 では init(1M) コマンドに変更されています。init(1M) コマンドは、シングルユーザシステムをシャットダウンするのに使用してください。init を使用して、システムをパワーダウン状態 (init 0)、またはシングルユーザ状態 (init 1) にすることができます。

init コマンドの変更

次の init コマンドの変更点に注意してください。

Solaris のシステム管理では、このコマンドについて詳しく説明しています。

システム実行レベルの変更

SunOS 5.6 の init コマンドにより、システムの実行レベル (初期設定状態) を制御し、各種の動作モードを容易に切り替えることができます。SunOS 5.6 はすべてのシステム状態を 1 つのファイルに書き込むのではなく、/sbin/rc スクリプトを使用してそれぞれの実行レベルを制御します。これにより、新しいスクリプトを作成したり、既存のものを修正する場合、それぞれのファイルを変更することができます。SunOS 4.x システムでは、/etc/rc/etc/rc.boot/etc/rc.local ファイルを使用して実行レベルを制御していました。

SunOS 4.x には、prom モニタ、シングルユーザ、マルチユーザの 3 つの実行レベルがありました。これらは、SunOS 5.6 の実行レベル 0、1、3 に相当します。

表 8-3 に各実行レベルの /sbin/rc スクリプトの動作の概要を示します。

表 8-3 SunOS 5.6 初期設定実行レベル

実行レベル 

デフォルトの SunOS 5.6 の機能 

電源を切っても安全なように、システムをシャットダウンする。システムサービスとデーモンを停止させる。実行中のプロセスをすべて終了させる。すべてのファイルシステムのマウントを解除する。 

システム上に 1 ユーザしか許さないシングルユーザ (システム管理者) 状態。システムサービスとデーモンを停止させる。 実行中のプロセスをすべて終了させる。すべてのファイルシステムのマウントを解除する。 

NFS システムをエクスポートしない通常のマルチユーザ状態。timezone 変数を設定する。/usr ファイルシステムをマウントする。/tmp/var/tmp ディレクトリ内を削除する。ネットワークインタフェースをロードしプロセスを起動する。cron デーモンを起動する。uucp tmp ファイルをクリーンアップする。lp システムを起動する。sendmail デーモンを起動する。

NFS システムをエクスポートするファイルサーバの通常のマルチユーザ状態。実行レベル 2 における作業をすべて実行する。NFS システムデーモンを起動する。 

代替マルチユーザ状態 (未使用)。 

ソフトウェアリブート。EEPROM デフォルト以外のブートデバイスの入力を要求する。 

リブート。アクティブなプロセスをすべて強制終了させる。ファイルシステムのマウントを解除し、/etc/inittab にある initdefault エントリに従ってリブートする。

S,s

シングルユーザ状態。ファイルシステムを一部マウントし、アクセス可能にする。

シャットダウン

複数のユーザがいるシステムをシャットダウンするときに、shutdown(1M) コマンドを使用します。shutdown(1M) コマンドは、ログインしているユーザすべてに警告を送り、60 秒後にシステムをシングルユーザ状態にシャットダウンします。

シャットダウン手順についての詳細は、Solaris のシステム管理を参照してください。

SunOS 5.6 では、shutdown コマンドはシステムを停止またはシャットダウンするのに推奨できる方法です。shutdowninitrc スクリプトを使用して、実行中のプロセスを終了します。halt コマンドは、 SunOS 5.6 で使用できますが、サービスを通常の手順でシャットダウンするのではなく、すぐにシステムを停止します。 表 8-4 に、SunOS 4.x から変更された SunOS 5.6 のコマンドを示します。

表 8-4 SunOS 5.6 のシャットダウンの変更 haltfasthalt

SunOS 4.x コマンド 

SunOS 5.6 変更コマンド 

halt

shutdown -i 0, init 0

fasthalt

shutdown -i 0, init 0

shutdown コマンドと init コマンドは、シャットダウンシーケンスを制御する数値の「実行レベル」引数を使用できます。実行レベルの番号についての詳細は shutdown(1M)init(1M) のマニュアルページを参照してください。

shutdown コマンドの変更

SunOS 5.6 の shutdown コマンドは、表 8-5 にあるオプションしか使用できません。このコマンドとそのオプションは、Solaris のシステム管理で説明しています。

表 8-5 SunOS 5.6 の shutdown コマンドオプション

オプション 

機能 

-g

shutdown が始まるまでの「猶予」期間を選択する。

-i [init state]

初期実行レベルを指定する。(表 8-3 を参照).

-y

確認の質問をせずに shutdownを実行する。

すべての質問に対し「yes」の応答を仮定する。 

-message

ユーザサポートのメッセージを指定する。語が複数の場合は、引用符でメッセージを囲む。 

デフォルトでは、SunOS 5.6 の shutdown コマンドは、実際の shutdown が始まる前に確認を要求しますが、オペレータの介在なしに実行できるオプション -y もあります。

shutdown オプションは、Solaris 2.6 システムの BSD ソース互換モードにおいてのみ使用できます。

変更の一覧については、付録 A 「コマンドリファレンス」 を参照してください。コマンドの機能に関する情報は、shutdown(1M) のマニュアルページを参照してください。

fasthalt コマンドと fastboot コマンドの使用

SunOS 4.x の fastboot コマンドと fasthalt コマンドは、Solaris 2.6 システムで SunOS/BSD ソース互換パッケージを実行している場合に使用できます。これらのコマンドのファイルシステムチェック機能は、Solaris 2.6 には対応していません。

halt コマンドと reboot コマンドの使用

halt コマンドと reboot コマンドは、/sbin にある rc スクリプトを実行しないため、お薦めできません。 SunOS 5.6 システムの halt コマンドと reboot コマンドは、他の AT&T SVR4 システムにはないため、shutdowninithaltreboot コマンドに相当する機能があります。