Solaris のシステム管理

PCMCIA メモリーカードのフォーマット

表 14-1 作業マップ: PCMCIA メモリーカードのフォーマット方法
  作業  説明  手順の説明
 

フォーマットされていない PCMCIA メモリーカードのロード 

 

PCMCIA メモリーカードをドライブに挿入し、volcheck コマンドを入力する。

 

「PCMCIA メモリーカードをロードする方法」

 
        
 

PCMCIA メモリーカードのフォーマット 

 

PCMCIA メモリーカードを、UFS 用または DOS 用にフォーマットする。 

 

「UFS PCMCIA メモリーカードをフォーマットする方法」

 
         

「DOS PCMCIA メモリーカードをフォーマットする方法」

          
 

UFS ファイルシステムの作成 

 

UFS の場合のみ。 

省略可能。PCMCIA メモリーカードをファイルの保存に使用する場合は、UFS ファイルシステムを作成する。文字用に使用する場合は、この手順は不要。 

 

「UFS ファイルシステムを PCMCIA メモリーカード上に作成する方法」

 
          
 

PCMCIA メモリーカードの取り出し 

 

PCMCIA メモリーカードのフォーマットを終了したら、すぐに使用する場合でも、必ずそれを取り出す。 

 

「PCMCIA メモリーカードを取り出す方法」

 
        

PCMCIA メモリーカードの名前について

PCMCIA メモリーカードを操作する場合は、名前、または次の表 14-2 の呼び名によってそれらを識別できます。説明を簡単にするために、作業の説明では pcmem0 を使用しますが、PCMCIA メモリーカード名または別の呼び名も使用できます。

表 14-2 PCMCIA メモリーカードを識別する方法

PCMCIA カード 

代替名 

最初の PCMCIA ドライブ 

pcmem0

2 番目の PCMCIA ドライブ 

pcmem1

3 番目の PCMCIA ドライブ 

pcmem2


注 -

名前の付いていない (つまり、「ラベル」がない) PCATA ドライブには、noname というデフォルト名が割り当てられます。


ハードウェアの考慮点

Solaris システムは、Solaris システム用と DOS システム用に PCMCIA メモリーカードをフォーマットできます。ただし、ハードウェアプラットフォームにいくつかの制限があります。次の表はこの制限を要約したものです。

プラットフォームの種類 

PCMCIA メモリーカードのフォーマット仕様 

SPARC 上の Solaris 

SPARC 上の Solaris (UFS) 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

x86 上の Solaris 

x86 上の Solaris (UFS) 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

UFS 用にフォーマットされた PCMCIA メモリーカードは、それらが形式されたハードウェアプラットフォームに制限されます。つまり、SPARC システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、x86 システム上の UFS には使用できません。x86 システム上でフォーマットされた PCMCIA メモリーカードの場合も同様です。これは、SPARC と x86 の UFS フォーマットが異なるためです。

UFS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、UFS ファイルシステムをサポートする構造からなります。DOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、MS-DOS または NEC-DOS のいずれかのファイルシステムをサポートする構造からなります。PCMCIA メモリーカードを準備するために必要な手順はファイルシステムによって異なります。したがって、PCMCIA メモリーカードをフォーマットする前には、どの作業が必要かを決めてください。「PCMCIA メモリーカードのフォーマット」 を参照してください。

fdformat コマンドのオプションについては、マニュアルページを参照するか、fdformat -z を入力してください。この -z オプションを使用すると、コマンドのすべてのオプションが表示されます。

UFS PCMCIA メモリーカードをフォーマットする方法

最初の説明にあるように、SPARC システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、SPARC システムでしか使用できません。また、x86 システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、Solaris を実行する x86 システムでしか使用できません。


注意 - 注意 -

PCMCIA メモリーカードをフォーマットすると、既存の内容はすべて消去されます。


  1. ファイルマネージャを終了します。

    ファイルマネージャは、フォーマットされていない PCMCIA メモリーカードを挿入すると、フォーマット用ウィンドウを自動的に表示します。ただし、以下で説明するフォーマット方法が、ファイルマネージャによるフォーマットよりも確実です。このウィンドウが表示されないようにするには、ファイルマネージャを終了してください。ファイルマネージャを開いておきたい場合は、フォーマットウィンドウが表示されたときに、それを終了してください。

  2. PCMCIA メモリーカードが書き込み可能になっていることを確認します。

    書き込み保護は、PCMCIA メモリーカードの端にある小さいスライドスイッチによって設定します。

  3. PCMCIA メモリーカードを挿入します。

    PCMCIA メモリーカードが完全に挿入されたことを確認してください。

  4. フォーマットを実行します。

        $ fdformat -v -U [convenience-options]

    -v

    PCMCIA メモリーカードが正しくフォーマットされたかどうかを確認する。 

    -U

    PCMCIA メモリーカードがマウントされている場合は、それを解除する。 

    convenience-options

     

     

    -e

    フォーマットが終了すると、PCMCIA メモリーカードを取り出す。 

     

    -f

    フォーマットの前に確認を要求しない。 

     

    -b label

    PCMCIA メモリーカードに名前を付ける。名前は、8 文字以下にする。大文字と小文字は区別されない。 

     

    -z

    fdformat コマンドのすべてのオプションを一覧表示するが、PCMCIA メモリーカードはフォーマットしない。

    fdformat コマンドは -f オプションを使用していなければ、確認メッセージを表示して実行されるフォーマットのタイプを示します。

        Formatting in /vol/dev/aliases/pcmem0
    
        Press return to start formatting pcmem0.
  5. 下記の表からいずれかのオプションを選択します。

    目的 

    使用するキー 

    フォーマットのタイプの確認 

    Return キー (前の手順で -f オプションを使用していない場合。使用した場合は、確認は不要。)

    フォーマットの取り消し 

    Ctrl-c キー 

    フォーマットの進行中は、ドットが連続して表示されます。検査の進行中は、ドットの後に V が連続して表示されます。表示が停止すると、フォーマットは完了です。

    これで PCMCIA メモリーカードを、tarcpio などの raw データ操作に使用できます。

例 - UFS PCMCIA メモリーカードをフォーマットする

次に、UFS フォーマットの例を示します。

$ fdformat -v -U
Formatting in /vol/dev/aliases/unformatted
Press return to start formatting pcmem0. [ Return キー ]
.........................................................
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

次の例では、同じジョブを実行していますが、PCMCIA メモリーカードに myfiles という名前を割り当てています。

$ fdformat -v -U -b myfiles
Formatting in /vol/dev/aliases/unformatted
Press return to start formatting pcmem0. [ Return キー ]
.........................................................
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

UFS ファイルシステムを PCMCIA メモリーカード上に作成する方法

UFS ファイルシステムを作成する手順は、x86 システムおよび SPARC システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードの場合と同じですが、SPARC システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、SPARC システムでしか使用できません。また、x86 システムでフォーマットされた UFS PCMCIA メモリーカードは、Solaris を実行する x86 システムでしか使用できません。

  1. UFS ファイルシステム用に PCMCIA メモリーカードをフォーマットします。

    ここでは、「UFS PCMCIA メモリーカードをフォーマットする方法」で説明した手順に従ってください。

  2. newfs コマンドと、ボリューム管理ディレクトリへのフルパス名を使用して、PCMCIA メモリーカード上に UFS ファイルシステムを作成します。

        $ /usr/sbin/newfs -v /vol/dev/aliases/pcmem0
    

    -v

    状態メッセージを出力する。 

    /vol/dev/aliases/pcmem0

    PCMCIA メモリーカードの位置を示す。 

    newfs コマンドは、ファイルシステムの作成を確認するメッセージを表示します。

  3. ファイルシステムの作成を確認します。

        newfs: construct a new file system  ¥
    
               /vol/dev/aliases/pcmem0:(y/n)? y
    

    状態メッセージが表示されて、ファイルシステムと PCMCIA メモリーカードのフォーマットの詳細を示します。

        mkfs -F ufs /vol/dev/aliases/pcmem0 2848 8 2 8192 1024 16 ¥
    
            10 60 2048 t 0 -1 8 -1
    
        /vol/dev/aliases/pcmem0:  2848 sectors in 128 cylinders of ¥
    
            2 tracks, 8 sectors
    
        1.0MB in 8 cyl groups (16 c/g, 0.12MB/g, 64 i/g)
    
        super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at:
    
            32, 304, 544, 816, 1056, 1328, 1568, 1840

    これで、PCMCIA メモリーカードを SPARC システムで使用できます。ただし、ボリューム管理が PCMCIA メモリーカードを認識する前に、次の手順で説明するように、volrmmount コマンドを使用する必要があります。

  4. メモリーカードが挿入されたことをボリューム管理に通知するために、-i オプションを指定して volrmmount コマンドを 使用します。

        $ volrmmount -i pcmem0
    

    PCMCIA メモリーカードは、これで /pcmem/pcmem0 にマウントされます。

  5. UFS ファイルシステムが PCMCIA メモリーカード上に作成されたかどうかを確認するには、/pcmem ディレクトリで ls コマンドを使用します。

    pcmem0 サブディレクトリが表示されれば、UFS ファイルシステムが PCMCIA メモリーカードに作成され、正しくマウントされたことになります。

        $ ls /pcmem
        pcmem0

例 - UFS ファイルシステムを PCMCIA メモリーカード上に作成する

$ volcheck -v
media was found
$ /usr/sbin/newfs -v /vol/dev/aliases/pcmem0
newfs: construct a new file system  ¥

       /vol/dev/aliases/pcmem0:(y/n)? y
mkfs -F ufs /vol/dev/aliases/pcmem0 ...

$ volrmmount -i pcmem0

media was found

DOS PCMCIA メモリーカードをフォーマットする方法

SPARC または x86 版 Solaris のいずれかのシステムで DOS PCMCIA メモリーカードをフォーマットできます。これらの手順は似ていますが、PCMCIA メモリーカード上に SunOS ファイルシステムが作成される代わりに、MS-DOS または NEC-DOS のいずれかの DOS ファイルシステムが作成される点が異なります。


注意 - 注意 -

PCMCIA メモリーカードをフォーマットすると、既存の内容はすべて消去されます。


  1. ファイルマネージャを終了します。

    ファイルマネージャは、フォーマットされていない PCMCIA メモリーカードを挿入すると、フォーマットウィンドウを自動的に表示します。ただし、以下で説明するフォーマット方法が、ファイルマネージャによるフォーマットよりも確実です。このウィンドウが表示されないようにするには、ファイルマネージャを終了してください。ファイルマネージャを開いたままにしておきたい場合は、フォーマットウィンドウが表示されてから、それを終了してください。

  2. PCMCIA メモリーカードが書き込み保護されていないことを確認します。

    書き込み保護は、PCMCIA メモリーカードの端にある小さいスライドスイッチによって設定します。

  3. PCMCIA メモリーカードを挿入します。

    PCMCIA メモリーカードが完全に挿入されたことを確認してください。

  4. フォーマットを実行します。

        $ fdformat -v -U [density-options convenience-options]

    -v

    PCMCIA メモリーカードが正しくフォーマットされたかどうかを確認する。 

    -U

    PCMCIA メモリーカードがマウントされている場合は、それを解除する。 

    density-options

    ドライブ密度が 1.44M バイトの場合、density-options は次のとおり。

     

    -d

    MS-DOS 用にフォーマットする。 

     

    -t nec -M

    1.2M バイトで NEC-DOS 用にフォーマットする。 

     

     

    密度オプションの全リストは、fdformat(1) のマニュアルページを参照。

    convenience-options

     

     

    -e

    フォーマットが終了すると、PCMCIA メモリーカードを取り出す。 

     

    -f

    フォーマットの前に確認を要求しない。 

     

    -b label

    PCMCIA メモリーカードに名前を付ける。名前は、8 文字以下にする。大文字と小文字は区別されない。 

     

    -z

    fdformat コマンドのすべてのオプションを一覧表示するが、PCMCIA メモリーカードはフォーマットしない。


    注 -

    720K バイト (DD) のフロッピーディスクを、1.44M バイト用にフォーマットしようとした場合、fdformat は、-v オプションが指定されないかぎり、処理を中止しない。-v オプションを使用すると、fdformat は、フロッピーディスクをフォーマットするが、検査でエラーが検出されて、次のメッセージによって通知される。fdformat: check diskette density, I/O error


    fdformat コマンドは、確認メッセージを表示して、実行されるフォーマットのタイプを示します。

        Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
    
        Press return to start formatting floppy.
  5. 下記の表からいずれかのオプションを選択します。

    目的 

    使用するキー 

    フォーマットのタイプの確認 

    Return キー (前の手順で -f オプションを使用していない場合。使用した場合は、確認は不要。)

    フォーマットの取り消し 

    Ctrl-c キー 

    フォーマットの進行中は、ドットが連続して表示されます。検査の進行中は、ドットの下に V が連続して表示されます。表示が停止すると、フォーマットは完了したことになり、DOS システム用に使用することができます。

  6. メモリーカードが挿入されたことをボリューム管理に通知するために、-i オプションを指定して volrmmount コマンドを使用します。

        $ volrmmount -i pcmem0
    

    ボリューム管理は、PCMCIA メモリーカードを /pcmem/pcmem0 の下にマウントします。