TCP/IP とデータ通信

PPP リンク用の IP アドレス指定の決定

PPP リンクを介した通信ができるようにするには、リンクの一端にあるマシンが、リンクの反対側にある対等ホストのホスト名と IP アドレスを認識していることが必要です。PPP 構成は、特定のアドレス指定方針を必要とすることがよくあります。この節では、各アドレス指定方針と、それぞれをどのような場合に使用するかについて説明します。

IP アドレスの指定

各エンドポイントマシンでは、次の場所にアドレス指定情報を指定します。

ローカルマシンの asppp.cf ファイルを編集するときに、リンク上に配置する各エンドポイントマシンについて、ホスト名と、場合によっては IP アドレスを指定する必要があります。たとえば、各エンドポイントの IP アドレスまたはホスト名を、構成ファイル内の ifconfig セクション内の引数として入力する必要があります。


ifconfig ipdptp0 plumb 192.99.44.01 192.99.44.02 up

/etc/asppp.cf の形式については、第 9 章「PPP の構成」を参照してください。

さらに、通信を可能にするには、/etc/inet/hosts を編集することにより、リモートエンドポイントの IP アドレスとホスト名を、ローカルエンドポイントの hosts データベースに追加する必要があります。このプロセスについては、「ネットワーククライアントの構成」に説明があります。

アドレス指定方針のタイプ

PPP 用のアドレス指定方針はいくつかあり、構成のタイプに応じてどれかを選択できます。asppp.cf ファイルと hosts データベースを編集する前に、使用する構成に適合するアドレス指定方針を決める必要があります。方針には次のものがあります。

一次ネットワークインタフェースと同じ IP アドレスの使用

このアドレス指定方針は、ポイントツーポイントリンクの場合に限り使用できます。この方針では、各エンドポイントについて一次ネットワークインタフェースのアドレスを指定します (一次ネットワークインタフェースについての詳細は、第 1 章「ネットワーク管理の概要」を参照してください)。この種のエンドポイントには次のようなものがあります。

ローカルエンドポイントの /etc/inet/hosts ファイルを編集するときに、一次ネットワークインタフェースの IP アドレスと、リンクの反対側の対等ホストのホスト名と IP アドレスを入力します。

一意な IP アドレスとホスト名の作成

この方式では、PPP ネットワークインタフェースに、一意なホスト名と IP アドレスを割り当てます (インタフェースを hostname-ppp と名付けるとよいでしょう)。このアドレス指定方針は次のものに使用します。

asppp.cf 構成ファイルの中で、PPP ネットワークの一意なアドレスとホスト名を指定する必要があります。

新しいホスト名と IP アドレスを作成するには、hosts データベース」の説明に従って、単にその名前とアドレスを /etc/inet/hosts ファイルに追加するだけです。

PPP リンクへのネットワーク番号の割り当て

PPP 構成用に新しいネットワーク番号を作成するのは、次のものが構成に含まれる場合です。

(ネットワーク番号については、第 3 章「ネットワークの計画」を参照してください)。

PPP リンクは、物理ネットワークメディアを含まないため、仮想ネットワークとなります。すべてのエンドポイントマシンの networks データベースに、その仮想ネットワークのネットワーク番号と、リンクするネットワークのネットワーク番号を入力する必要があります。

例 8-1 は、PPP を用いたインターネットワーク用の /etc/inet/networks ファイルのサンプルを示します。


例 8-1 PPP を用いたインターネットワーク用の /etc/inet/networks ファイル


kalahari      192.9.253
negev         192.9.201
nubian-ppp    192.29.15

このサンプルファイルの中で、kalaharinegev は 2 つのローカルエリアネットワークで、nubian-ppp は PPP リンクの名前です。