Sun Java Enterprise System (Java ES) は、多くの Sun のサーバー側製品を 1 つのソフトウェアシステムに統合し、分散型のエンタープライズアプリケーションのサポートに必要なサーバーソフトウェアを提供します。このマニュアルでは、これらの製品を「Java ES 製品コンポーネント」と呼びます。1 つのインストーラで、Java ES 製品コンポーネントおよび共有コンポーネントをさまざまな組み合わせでインストールできます。これらのコンポーネント間には複雑な相互関係が存在するため、それらをインストールする際には、単一の Java ES コンポーネントをインストールする場合よりも多くのインストール前作業やインストール後作業が必要となります。
このリリースの Java ES ソフトウェアに含まれる、選択可能な Java ES コンポーネントは次のとおりです。名前とバージョンのあとに、このマニュアルで使用する省略名を示します。
Access Manager 7.1
Application Server 8.2 Enterprise Edition (Application Server)
Directory Proxy Server 6.0
Directory Server Enterprise Edition 6.0 (Directory Server)
High Availability Session Store 4.4 (HADB)
Message Queue 3.7 UR1
Monitoring Console 1.0
JavaDB 10.2
Portal Server 7.1
Portal Server Secure Remote Access 7.1
Service Registry 3.1
Web Proxy Server 4.0.4
Web Server 7.0
Java ES インストーラに表示されるサービスおよびサブコンポーネントの完全な一覧については、付録 A 「このリリースの Java ES コンポーネント」を参照してください。この付録では、今回のリリースで提供する共有コンポーネントの一覧も示します。
Java ES Windows インストーラでは、MSI (Microsoft Windows Installer) フレームワークを使用して、Java ES システムをホスト上にインストールします。Java ES ソフトウェアのインストールは、対話的に実行することも、再利用可能なスクリプトを使用して実行することもできます。
グラフィカルモード (対話式): グラフィカルワークステーションへの Java ES ソフトウェアのインストール作業の手順を示す、対話式のグラフィカルウィザードを提供します。
サイレントモード: 複数のホスト上でインストーラを実行するオプションを提供します。インストーラへの入力を指定するために作成した応答ファイルを毎回使用します。サイレントモードでのインストールの場合、まずウィザードによりインストーラを実行しながら、名前と値のペアのセットを応答ファイルに保存します。サイレントモードインストールの詳細については、第 4 章「サイレントモードでのインストール」を参照してください。
Java ES インストーラでは、Java ES の多言語パッケージをインストールできます。次の言語を利用できます。
英語
フランス語
ドイツ語
日本語
韓国語
スペイン語
簡体字中国語
繁体字中国語
インストーラのデフォルトでは、Java ES が英語で自動的にインストールされます。
Java ES インストーラでは、次のいずれかのセットアップタイプを選択できます。
デフォルト: 「デフォルト」セットアップタイプを選択すると、すべての Java ES コンポーネントがインストールおよび設定されます。
カスタム: 「カスタム」セットアップタイプを選択すると、インストールする Java ES コンポーネントを選択できます。
多くの Java ES コンポーネントでは、選択する Java ES コンポーネントおよびインストールタイプによって、インストール時にある程度の設定が必要になります。
インストーラで、次の設定タイプを使用できます。
インストール中に自動的に設定: 単一のホスト上でコンポーネントを評価する場合に使用します。インストール時に、インストール中の設定が可能なコンポーネントを設定できます。
このモードでは、ポート番号などの設定パラメータは、事前に決定されたデフォルト値になり、インストール終了時に提示されます。これらのデフォルト値が、コンポーネントの設定に使用されます。
管理者ユーザー ID とパスワードには特殊文字を使用できません。また、パスワードは 8 文字以上にするようにしてください。
インストール後に手動で設定: このオプションでは、ソフトウェアコンポーネントを所定のディレクトリに配置するために必要な最小限の値のみをインストール中に指定します。設定は、インストール後に実行されます。
このオプションの場合は、管理者設定ダイアログボックスは表示されません。インストール時にはファイルのコピーのみが行われます。適切な値を使用して、プロパティーファイルを手動で編集します。プロパティーファイルの編集方法の詳細については、第 5 章「インストール後の設定の実行」を参照してください。
コンポーネントがほかのコンポーネントに依存する場合は、依存するコンポーネントを先に設定するようにします。
選択する設定オプションによっては、インストール中に管理者 ID とパスワードの入力を要求される場合があります。たとえば、ほとんどのコンポーネントには管理者ユーザー ID およびパスワードを指定する必要があります。これらの共通の値を設定することにより、すべてのコンポーネントの管理者ユーザー ID とパスワードのデフォルト値を設定することになります。
Java ES コンポーネントのマルチセッションインストールでは、最初のセッションインストールで選択した設定モード (「インストール中に自動的に設定」または「インストール後に手動で設定」) が後続のセッションのデフォルトとして採用され、設定選択モード画面は表示されません。
Java ES コンポーネントの多くは、主要な機能を提供するために、ほかのコンポーネントの存在に依存しています。インストール時に選択した Java ES コンポーネントが共存して正常に機能するように、インストーラはコンポーネント間のチェックを広範囲に行います。このため、コンポーネントを選択する際に、特定の Java ES コンポーネントをインストールに含めるようにインストーラから求められる場合があります。
Java ES インストーラでは、次の規則を使用して Java ES コンポーネント間の依存性を処理します。
Java ES コンポーネントの選択: インストールする Java ES コンポーネントを選択すると、ほとんどの場合、インストーラはすべてのサブコンポーネントを自動的に選択します。
また、インストーラは、選択したコンポーネントが依存するコンポーネントとサブコンポーネントも選択します。たとえば、Application Server を選択すると、インストーラは Message Queue を自動的に選択します。
Java ES コンポーネントの選択の解除: Java ES コンポーネントの選択を解除すると、ほとんどの場合、インストーラはすべてのサブコンポーネントの選択を自動的に解除します。
選択している別のコンポーネントがローカルまたはリモートに必要とするコンポーネントの選択を解除すると、インストール手順を進めるときに、インストーラはさまざまな警告メッセージを表示します。
サブコンポーネントの選択: サブコンポーネントを選択すると、インストーラはそのサブコンポーネントが属する Java ES コンポーネントを自動的に選択しますが、その他のサブコンポーネントは選択しません。
選択したサブコンポーネントがほかのコンポーネントまたはサブコンポーネントに依存する場合、依存関係にあるこれらのコンポーネントは自動的に選択されます。
サブコンポーネントの選択の解除: サブコンポーネントの選択を解除すると、インストーラはそのサブコンポーネントの選択のみを解除します。そのほかのサブコンポーネントの選択は解除しません。
選択している別のコンポーネントがローカルまたはリモートに必要とするサブコンポーネントの選択を解除すると、インストール手順を進めるときに、インストーラはさまざまな警告メッセージを表示します。
Java ES インストーラを使用してコンポーネントの新規インストールを実行することによって、Java ES コンポーネントはアップグレードされます。この場合の新規インストールは、最初に以前のバージョンのパッケージを削除してから、同じパスに Release 5 をインストールすることで実行されます。
同じホストに 2 つの異なるバージョンの Java ES をインストールしないでください。
以前のバージョンの設定データを新しいインストールに移行するか、新規に設定するか、両方を組み合わせて行うことにより、コンポーネントを再設定します。一部の Java ES コンポーネントには、コンポーネントの再設定または設定データの移行を行うユーティリティーが提供されています 。
Java ES 5 Windows インストーラでは、以前のバージョンのコンポーネントのインプレースアップグレードをサポートしていません。その代わりに、Java ES 4 との共存はサポートされています。Java ES 5 のインストール後、Java ES コンポーネントをアップグレードするには、『Sun Java Enterprise System 5 Upgrade Guide for Microsoft Windows 』で説明されているアップグレード手順に従う必要があります。個々のコンポーネントのアップグレードシナリオについては、それぞれのアップグレードガイドを参照してください。
Java ES 5 をインストールしようとすると、インストーラは最初に、システムに Java ES 4 が存在するかどうかを調べます。Java ES 4 が検出されると、インストーラは、Windows SYSTEM ディレクトリに Java ES 4 共有コンポーネントが以前から存在しているかどうかチェックします。これは、それらのコンポーネントが Java ES 5 との間で非互換性の問題を引き起こすからです。それら共有コンポーネントのいずれかが Java ES 4 のサービスで使用されている場合は、実行中の Java ES 4 サービスを停止するように求められます。
さらに、インストーラは Java ES 4 共有コンポーネントの名前を自動的に変更します。名前の変更情報は、インストーラのログファイルに格納されます。Java ES 4 のサービスを開始する必要がある場合は、共有コンポーネントの名前を手動で復元するようにしてください。
Java ES 4 と Java ES 5 のサーバーを同時に起動することはできません。
インストールまたはアンインストールの実行中に、実行される処理のログレコードが生成されます。これらのレコードは、%Temp%\SUNJavaES.log にある単一のファイルに保存されます。
Java ES レポータは、対話式の Java ES インストールセッションが正常に完了後、匿名の製品登録を実行するコマンド行ユーティリティーです。Java ES コンポーネントがインストールされるとすぐに、レポータのインストールが開始されます。コマンド行で、レポータがインターネット経由で Sun にアクセスするために使用するプロキシの URL または IP アドレスを入力することを求められます。インストールはメッセージを表示せずに続行され、それ以上の操作は必要ありません。
レポータをインストールしない場合は、Java ES インストールセッションの起動時に、インストーラコマンドに -noreporter オプションを指定できます。-noreporter オプションの使用後、または Java ES のサイレントインストール後に、レポータのみをインストールします。
レポータのインストール後、設定ファイルを編集してレポータを有効または無効にすることができます。これらの手順は、「Java ES レポータのインストール後の設定」に記載されています。レポータはインストーラの Java ES コンポーネントではないため、Java ES アンインストーラを使用してアンインストールできません。レポータをアンインストールする手順は、「Java ES レポータのアンインストール」に記載されています。
すべての製品の設定は、製品がアンインストールされる前に削除されます。設定を削除するために使用されるスクリプトは、アンインストールプログラムに組み込まれています。「スタート」>「設定」>「コントロール パネル」>「プログラムの追加と削除」を選択するか、アンインストールプログラムをサイレントモードで実行すると、Java ES システムをアンインストールできます。