この節では、Logical Domains ソフトウェアをすでに使用しているシステムで Solaris OS、ファームウェア、および Logical Domains Manager コンポーネントをアップグレードするプロセスについて説明します。
使用しているシステムですでに Logical Domains ソフトウェアが構成されている場合は、その制御ドメインをアップグレードする必要があります。LogicalDomains1.3 ソフトウェアのすべての機能を使用可能にする場合は、その他の既存のドメインもアップグレードする必要があります。
このバージョンの Logical Domains ソフトウェアで使用する必要のある Solaris 10 OS、および各種ドメインに必須および推奨されるパッチを調べるには、『Logical Domains 1.3 リリースノート』の「必須のソフトウェアとパッチ」 を参照してください。Solaris OS をアップグレードする詳細な手順については、Solaris 10 のインストールマニュアルを参照してください。
制御ドメインで Solaris OS を再インストールする場合、この節に示すとおり、Logical Domains の自動保存構成データおよび制約データベースファイルを保存および復元する必要があります。
Logical Domains 1.2 リリース以降では、制御ドメインでオペレーティングシステムを再インストールする前に、自動保存構成ディレクトリを保存および復元できます。制御ドメインでオペレーティングシステムを再インストールするたびに、Logical Domains の自動保存構成データを保存および復元する必要があります。このデータは、/var/opt/SUNWldm/autosave-autosave-name ディレクトリに格納されています。
tar または cpio コマンドを使用して、ディレクトリのすべての内容を保存および復元できます。
各自動保存ディレクトリには、関連する構成の前回の SP 構成更新のタイムスタンプが含まれています。自動保存ファイルを復元すると、タイムスタンプが同期しなくなることがあります。この場合、復元された自動保存構成は、以前の状態 ([newer] または最新) で表示されます。
自動保存構成の詳細は、「Logical Domains 構成の管理」 を参照してください。
この手順は、自動保存ディレクトリを保存および復元する方法を示します。
自動保存ディレクトリを保存します。
# cd / # tar -cvf autosave.tar var/opt/SUNWldm/autosave-* |
(省略可能) クリーンな復元操作を行えるように、既存の自動保存ディレクトリを削除します。
自動保存ディレクトリには、以前の構成によって残されたファイルなどの不要なファイルが含まれていることがあります。このようなファイルは、SP にダウンロードされた構成を破壊することがあります。このような場合、この例に示すとおり、復元操作の前に自動保存ディレクトリを削除します。
# cd / # rm -rf var/opt/SUNWldm/autosave-* |
自動保存ディレクトリを復元します。
これらのコマンドは、/var/opt/SUNWldm ディレクトリ内のファイルおよびディレクトリを復元します。
# cd / # tar -xvf autosave.tar |
制御ドメインでオペレーティングシステムをアップグレードするたびに、/var/opt/SUNWldm/ldom-db.xml で参照できる Logical Domains の制約データベースファイルを保存および復元する必要があります。
また、ディスクスワップなど、制御ドメインのファイルデータを破損するその他の操作を行うときは、/var/opt/SUNWldm/ldom-db.xml ファイルも保存および復元します。
制御ドメインで Live Upgrade を使用する場合は、/etc/lu/synclist ファイルに次の行を追加することを検討してください。
/var/opt/SUNWldm/ldom-db.xml OVERWRITE |
これによって、データベースがアクティブなブート環境から新しいブート環境に自動的にコピーされます。/etc/lu/synclist と、ブート環境間でのファイルの同期については、『Solaris 10 10/09 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の「ブート環境間でのファイルの同期」 を参照してください。
制御ドメインで Solaris 10 5/08 OS より前のバージョンの Solaris 10 OS (またはパッチ 127127-11 が適用されていない Solaris 10 OS) からのアップグレードを行う場合、およびボリュームマネージャーのボリュームが仮想ディスクとしてエクスポートされている場合は、Logical Domain Manager をアップグレードしたあとに、options=slice を指定して仮想ディスクバックエンドを再エクスポートする必要があります。詳細は、「ボリュームのエクスポートおよび下位互換性」 を参照してください。
この節では、LogicalDomains1.3 ソフトウェアにアップグレードする方法について説明します。
まず、Logical Domains Manager を制御ドメインにダウンロードします。「Logical Domains Manager のダウンロード」 を参照してください。
次に、プラットフォーム上で動作している制御ドメイン以外のすべてのドメインを停止します。
各ドメインで ok プロンプトに移行します。
制御ドメインから各ドメインに対して stop-domain サブコマンドを実行します。
primary# ldm stop-domain ldom |
制御ドメインから各ドメインに対して unbind-domain サブコマンドを実行します。
primary# ldm unbind-domain ldom |
この節では、LogicalDomains1.3 ソフトウェアにアップグレードする方法について説明します。
既存の LDoms 1.0 の設定を LogicalDomains1.3 ソフトウェアで使用する場合は、『Logical Domains 1.3 リリースノート』の「LDoms 1.0 ソフトウェアからのみアップグレードする」 に示す手順を実行してください。既存の LDoms 1.0 の設定は、LogicalDomains1.3 ソフトウェアでは機能しません。
より新しいバージョンの Logical Domains ソフトウェアからアップグレードする場合は、「Logical Domains 1.3 ソフトウェアにアップグレードする」 に示す手順を実行してください。このような既存の LDoms の設定は、LogicalDomains1.3 ソフトウェアでも機能します。
システムのファームウェアをフラッシュ更新します。
手順全体については、「システムファームウェアをアップグレードする」 または 「FTP サーバーを使用せずに、システムファームウェアをアップグレードする」 を参照してください。
Logical Domains Manager デーモン (ldmd) を無効にします。
# svcadm disable ldmd |
古い SUNWldm パッケージを削除します。
# pkgrm SUNWldm |
新しい SUNWldm パッケージを追加します。
-d オプションの指定は、パッケージが現在のディレクトリに存在することを前提としています。
# pkgadd -Gd . SUNWldm |
ldm list コマンドを使用して、Logical Domains Manager デーモンが実行中であることを確認します。
ldm list コマンドを実行すると、システム上で現在定義されているすべてのドメインが一覧表示されます。特に、primary ドメインが表示され、状態が active になっているはずです。次のサンプル出力は、システム上に primary ドメインのみが定義されていることを示します。
# ldm list NAME STATE FLAGS CONS VCPU MEMORY UTIL UPTIME primary active ---c- SP 32 3264M 0.3% 19d 9m |