次の手順では、クラスのホップ単位動作を IPQoS 構成ファイルに追加して、トラフィック転送を定義する方法を示します。次の手順の前に、既存の IPQoS 構成ファイルにクラスおよびフィルタを定義してあるものとします。ここでは、例 3–1 に示した /var/ipqos/Goldweb.qos ファイルの構築を続けます。
次の手順では、dscpmk マーカーモジュールを使用してトラフィック転送を構成する方法を示します。dlcosmk マーカーを使用した VLAN システムでのトラフィック転送については、VLAN デバイスでの dlcosmk マーカーの使用を参照してください。
IPQoS 構成ファイルを開き、最後に定義したフィルタの末尾を探します。
たとえば、IPQoS 対応サーバー Goldweb 用の構成ファイル /var/ipqos/Goldweb.qos では、次のフィルタ句のあとから作業を始めます。
filter { name videoout sport videosrv direction LOCAL_OUT class video } } |
このフィルタは、ipgpc クラシファイアのアクション文の最後に位置します。このため、フィルタを終了させる閉じ括弧のあとに、アクション文を終了させる閉じ括弧が必要です。
action { module dscpmk name markAF11 |
エントリ |
説明 |
---|---|
module dscpmk |
dscpmk マーカーモジュールを呼び出す |
name markAF11 |
アクション文に markAF11 という名前を付ける |
以前に定義した goldweb クラスには next_action markAF11 という文が含まれています。この文は、クラシファイアによる処理が完了したトラフィックフローを、アクション文 markAF11 に送信します。
トラックフローに対してマーカーが取るアクションを定義します。
params { global_stats FALSE dscp_map{0-63:10} next_action continue } } |
エントリ |
説明 |
---|---|
global_stats FALSE |
マーカーアクション文 markAF11 の統計取得を可能にする。ただし、global_stats の値が FALSE であるため、統計取得は有効にはならない |
dscp_map{0–63:10} |
DS コードポイント 10 を、マーカーにより処理中の goldweb クラスのパケットヘッダーに割り当てる |
next_action continue |
goldweb クラスのパケットに対しこれ以上処理を行う必要がないこと、およびこれらのパケットをネットワークストリームに戻してもよいことを示す |
DS コードポイント 10 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 10 (バイナリ値 001010) に設定するよう指示します 。このコードポイントは、goldweb トラフィッククラスのパケットが AF11 ホップ単位動作 (PHB) に従うことを示します。AF11 は、DS コードポイント 10 を持つすべてのパケットが、低ドロップ、および高い優先順位のサービスを受けることを保証します。このため、Goldweb 上のプレミアム顧客用の発信トラフィックには、AF (相対的優先転送) PHB で指定可能なもっとも高い優先順位が与えられます。AF で利用可能な DS コードポイントについては、表 6–2 を参照してください。
別のマーカーアクション文を開始します。
action { module dscpmk name markEF |
エントリ |
説明 |
---|---|
module dscpmk |
dscpmk マーカーモジュールを呼び出す |
name markEF |
アクション文に markEF という名前を付ける |
トラフィックフローに対してマーカーが取るアクションを定義します。
params { global_stats TRUE dscp_map{0-63:46} next_action acct } } |
エントリ |
説明 |
---|---|
global_stats TRUE |
video クラスの統計取得を有効にする。このクラスはストリーミングビデオのパケットを選択する |
dscp_map{0–63:46} |
DS コードポイント 46 を、マーカーにより処理中の video クラスのパケットヘッダーに割り当てる |
next_action acct |
dscpmk モジュールに対し、dscpmk による処理が完了した video クラスのパケットを、アクション文 acct に渡すよう指示する。アクション文 acct は flowacct モジュールを呼び出す |
DS コードポイント 46 は、dscpmk モジュールに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを DS フィールド内で 10 進数値の 46 (バイナリ値 101110) に設定するよう指示します。このコードポイントは、video トラフィッククラスのパケットが EF ホップ単位動作 (PHB) に従うことを示します。
EF のコードポイントは 46 (バイナリ値 101110) にすることをお勧めします。 その他の DS コードポイントは、AF PHB をパケットに割り当てるときに使用します。
EF PHB は、DS コードポイント 46 を持つパケットが IPQoS および diffserv 対応システムによりもっとも高い優先度を与えられることを保証します。ストリーミングアプリケーションは、もっとも高い優先順位のサービスを必要とします。これが、QoS ポリシーでこれらのアプリケーションに EF PHB を割り当てる理由です。完全優先転送 PHB の詳細については、完全優先転送 (Expedited Forwarding、EF) PHBを参照してください。
作成したばかりの DS コードポイントを diffserv ルーターの適切なファイルに追加します。詳細については、IPQoS 対応ネットワーク上でルーターを構成する方法を参照してください。
作業 |
参照先 |
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トラフィックフローに関するフローアカウンティング統計の収集を開始する | |
マーカーモジュールの転送動作を定義する | |
メータリングモジュールのフロー制御パラメータを定義する | |
IPQoS 構成ファイルを有効にする | |
追加のフィルタを定義する | |
アプリケーションからのトラフィックフロー用のクラスを作成する |