IPQoS の管理

ベストエフォート Web サーバー用の IPQoS 構成ファイルを作成する方法

ベストエフォート Web サーバー用の IPQoS 構成ファイルは、プレミアム Web サーバー用の IPQoS 構成ファイルとは若干異なります。次の手順を通して、異なるレベルの Web サービス用の構成ファイル間に見られる、類似点および相違点を知ることができます。次の手順では、例 3–2 に示した構成ファイルを使用します。

  1. ベストエフォート Web サーバーにログインします。

  2. 新規 IPQoS 構成ファイルを拡張子 .qos を付けて作成します。


    fmt_version 1.0
    
    action {
        module ipgpc
        name ipgpc.classify
        params {
            global_stats TRUE
       }
    

    /var/ipqos/userweb.qos ファイルは、ipgpc クラシファイアを呼び出す部分アクション文から始める必要があります。このアクション文には、統計取得を有効にする params 句も含めています。このアクション文については、IPQoS 構成ファイルの開始方法およびトラフィッククラスの定義方法を参照してください。

  3. ベストエフォート Web サーバーに向かうトラフィックを特定するクラスを定義します。


    class {
            name userweb
            next_action markAF12
            enable_stats FALSE
        }
    

    エントリ 

    説明 

    name userweb

    userweb クラスを作成して、ユーザーから Userweb サーバーに向かうトラフィックを特定する

    next_action markAF12

    ipgpc モジュールに対し、ipgpc による処理が完了した userweb クラスのパケットを、アクション文 markAF12 に渡すよう指示する。アクション文 markAF12 は、dscpmk マーカーを呼び出す

    enable_stats FALSE

    userweb クラスの統計取得を可能にする。ただし、enable_stats の値が FALSE であるため、このクラスの統計取得は有効にはならない

    クラス句の作業については、IPQoS 構成ファイルの開始方法およびトラフィッククラスの定義方法を参照してください。

  4. userweb クラスのトラフィックフローを選択するフィルタ句を定義します。


       filter {
           name webout
           sport 80
           direction LOCAL_OUT
           class userweb
       }
    }
    

    エントリ 

    説明 

    name webout

    フィルタに webout という名前を付ける

    sport 80

    ソースポート 80 のトラフィックを選択する。これは、既知の HTTP (Web) トラフィック用ポート 

    direction LOCAL_OUT

    ローカルシステムから発信されるトラフィックを選択する 

    class userweb

    フィルタが所属するクラス (このインスタンスでは userweb クラス) を特定する

    フィルタ句の作業については、IPQoS 構成ファイル内でフィルタを定義する方法を参照してください。

  5. dscpmk マーカーを呼び出すアクション文を開始します。


    action {
        module dscpmk
        name markAF12
    

    エントリ 

    説明 

    module dscpmk

    dscpmk マーカーモジュールを呼び出す

    name markAF12

    アクション文に markAF12 という名前を付ける

    以前に定義した userweb クラスには next_action markAF12 という文が含まれています。この文は、クラシファイアによる処理が完了したトラフィックフローを、アクション文 markAF12 に送信します。

  6. トラフィックフローの処理に使用する、マーカーのパラメータを定義します。


        params {
            global_stats FALSE
            dscp_map{0-63:12}
            next_action continue
        }
    }
    

    エントリ 

    説明 

    global_stats FALSE

    マーカーアクション文 markAF12 の統計取得を可能にする。ただし、global_stats の値が FALSE であるため、統計取得は有効にはならない

    dscp_map{0–63:12}

    DS コードポイント 12 を、マーカーにより処理中の userweb クラスのパケットヘッダーに割り当てる

    next_action continue

    userweb クラスのパケットに対しこれ以上処理を行う必要がないこと、およびこれらのパケットをネットワークストリームに戻してもよいことを示す

    DS コードポイント 12 は、マーカーに対し、dscp マップ内のすべてのエントリを 10 進数値の 12 (バイナリ値 001100) に設定するよう指示します。このコードポイントは、userweb トラフィッククラスのパケットが AF12 ホップ単位動作 (PHB) に従うことを示します。AF12 は、DS フィールド内に DS コードポイント 12 を持つすべてのパケットが、中程度のドロップ、および高い優先順位のサービスを受けることを保証します。

IPQoS 構成ファイルの作成が完了したら、新規構成の IPQoS カーネルモジュールへの適用方法の記述に従って構成を適用します。

次に進む手順

作業 

参照先  

アプリケーションからのトラフィックフロー用のクラスおよび他の構成を追加する 

アプリケーションサーバー用 IPQoS 構成ファイルの作成方法

ルーターのホップ単位動作を構成する 

IPQoS 対応ネットワーク上でルーターを構成する方法

IPQoS 構成ファイルを有効にする 

新規構成の IPQoS カーネルモジュールへの適用方法