この章では、フラッシュインストール機能の概要を述べるとともに、使用している環境におけるフラッシュインストールの計画に必要な情報を記載します。
フラッシュインストール機能を利用すると、マスターシステムと呼ばれる Solaris オペレーティング環境のアーカイブをシステム上に作成し、このアーカイブをクローンシステムと呼ばれる多数のシステムに複製できます。システムの全ファイルを上書きするフラッシュ初期インストール、または 2 つのシステムイメージの差分のみを更新する更新用フラッシュアーカイブでクローンシステムを複製できます。差分更新では、指定されたファイルだけが変更されます。また、更新の対象は、以前のマスターイメージとの一貫性を保持するソフトウェアを含むシステムだけになります。
初期インストールでは、Solaris Web Start、カスタム JumpStart、Solaris Live Upgrade のいずれかを使用して、フラッシュアーカイブをマスターシステムにインストールできます。すべてのファイルが上書きされます。フラッシュインストール処理は、5 つの部分に分けられます。
マスターシステムをインストールします。システムを 1 台選択し、Solaris の任意のインストール方法で Solaris オペレーティング環境およびその他のソフトウェアをインストールします。
(省略可能) カスタムスクリプトを用意して、インストールの前または後に、クローンシステムを再構成またはカスタマイズします。
フラッシュアーカイブを作成します。削除された不要なファイル以外は、フラッシュアーカイブにはマスターシステム上のすべてのファイルのコピーが含まれます。
フラッシュアーカイブをクローンシステムへインストールします。システムにフラッシュアーカイブをインストールすると、アーカイブのすべてのファイルがそのシステムにコピーされます。新しくインストールされたシステムのインストール構成は、オリジナルのマスターシステムと同じになります (このため、クローンシステムと呼ばれます)。スクリプトを使用してカスタマイズすることも可能です。
(省略可能) マスターイメージのコピーを保存します。差分アーカイブを作成する場合、マスターイメージが利用可能であり、クローンシステムにインストールされたイメージと同一でなければなりません。
手順については、マスターシステムへのインストールを参照してください。
図 17–1 に、初期インストールでのクローンシステムのインストール方法を示します。すべてのファイルが上書きされます。
保持しているクローン システムを更新する場合、更新前のマスターイメージと更新後のマスターイメージとの差異のみを含む差分アーカイブを作成できます。差分アーカイブを使用してクローンシステムを更新する場合、差分アーカイブ内のファイルだけが変更されます。フラッシュのカスタム JumpStart インストール方法を使用して、クローンシステムに更新をインストールします。更新では、次の 5 つのプロセスを実行します。
マスターシステムで変更の準備を行います。変更を加える前に、マスターシステムで元のアーカイブの複製を作成する必要があります。
マスターシステムで元のアーカイブの複製を作成していない場合、2 つのシステムイメージの相違部分により、大規模な差分アーカイブが生成されることがあります。このため、差分アーカイブのインストールにかなりの時間がかかります。この場合、フルアーカイブを使用して初期インストールを実行してください。
(省略可能) カスタムスクリプトを準備して、インストールの前または後にクローンシステムの再構成またはカスタマイズを実行します。
保存済みの更新前マスターイメージのコピーが存在するディレクトリをマウントします。この 2 番目のイメージは、2 つのシステムイメージの比較に使用します。以下の方法で、イメージにアクセスします。
Solaris Live Upgrade ブート環境からマウントする
NFS 経由でクローンシステムからマウントする
ufsrestore コマンドを使用して、バックアップから復元する
flar create コマンドで -A オプションを指定して、差分アーカイブを作成します。
カスタム JumpStart を使用して、クローンシステムに差分アーカイブをインストールします。
図 17–2 に、差分アーカイブの作成およびインストール手順を示します。更新により、マスターイメージにいくらかの変更が加えられます。変更には、いくつかのファイルの追加、再構成、または削除のような単純なものもあれば、パッチの適用のような複雑なものもあります。更新されたマスターイメージは、更新前のマスターイメージと比較されます。2 つのイメージの相違部分が、差分アーカイブになります。このアーカイブは、更新前のマスターイメージを現在使用している他のクローンシステムの更新にも使用できます。クローンシステムがすでに変更してあるか、更新前のマスターイメージを稼動していない場合、更新は失敗します。クローンシステムに多数の変更を加える場合には、いつでも初期インストールを実行できます。
フラッシュアーカイブの作成とインストールを行う前に、システムに Solaris オペレーティング環境をどのようにインストールするかについていくつか決定しておくべきことがあります。最初にシステムをインストールする場合、アーカイブ全体をインストールする必要があります。これが初期インストールとなります。アーカイブを使用してインストールを実行した後で、差分アーカイブを使用してシステムを更新できます。差分アーカイブでは、2 つのアーカイブの相違部分のみがインストールされます。
フラッシュインストールの最初の作業は、各クローンシステムで行いたい構成と同じ構成でマスターシステムにインストールすることです。アーカイブは、任意の Solaris のインストール方法でマスターシステムにインストールできます。インストールは、Solaris オペレーティング環境のサブセットであっても完全なインストールであってもかまいません。このインストールの完了後、ソフトウェアの追加または削除、構成ファイルの変更を行います。
マスターシステムとクローンシステムとで、カーネルアーキテクチャを同じにする必要があります。たとえば、sun4u アーキテクチャのマスターシステムから作成されたアーカイブを使用できるのは、sun4u アーキテクチャのクローンをインストールする場合だけです。
各クローンシステムと全く同じ構成で、マスターシステムをインストールする必要があります。マスターシステムへのインストールの設計は、次の要素で決まります。
クローンシステムにインストールするソフトウェア
マスターシステムとクローンシステムに接続されている周辺装置
マスターシステムとクローンシステムのアーキテクチャ
その後、システム上のソフトウェアをカスタマイズできます。アーカイブのファイルとディレクトリのカスタマイズを参照してください。マスターシステムは、クローンシステムの更新のために変更および設定が可能です。フラッシュアーカイブの作成の計画を参照してください。
Solaris の任意のインストール方法でマスターシステムに Solaris オペレーティング環境をインストールした後、必要に応じてソフトウェアの追加や削除、およびシステム構成情報の変更を行います。
ソフトウェアの削除 - クローンシステムにインストールする必要がないソフトウェアを削除することができます。マスターシステムにインストールされているソフトウェアのリストを表示するには、Solaris Product Registry を使用します。手順の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。
ソフトウェアの追加 - Solaris リリースに含まれるソフトウェアをインストールできます。また、Solaris オペレーティング環境の一部として提供されていないソフトウェアを追加することも可能です。マスターシステムにインストールされたすべてのソフトウェアはフラッシュアーカイブに含まれ、クローンシステムにインストールされます。
構成ファイルの変更 - マスターシステム上の構成ファイルを変更できます。たとえば、/etc/inet/inetd.conf ファイルを変更することにより、システムが実行するデーモンを制限できます。加えられた変更はすべてフラッシュアーカイブの一部として保存され、クローンシステムにインストールされます。
アーカイブの作成時に、さらにカスタマイズを行うことができます。たとえば、アーカイブに含める必要のない大規模なデータファイルを除外できます。この概要については、アーカイブのファイルとディレクトリのカスタマイズを参照してください。
クローンシステムを更新する場合、差分アーカイブを作成できます。フラッシュアーカイブの作成の計画を参照してください。
フラッシュインストールを使用して SPARC システムと x86 システムの両方に Solaris ソフトウェアをインストールしたい場合は、それぞれのプラットフォーム用のフラッシュアーカイブを個別に作成する必要があります。SPARC システムにインストールするには、SPARC マスターシステムから作成されたフラッシュアーカイブを使用します。x86 マスターシステムにインストールするには、x86 マスターシステムから作成されたフラッシュアーカイブを使用します。
マスターシステムにインストールするドライバの選択は、マスターシステムとクローンシステムの両方に取り付けられた周辺装置、およびインストールされたソフトウェアグループのタイプによって異なります。クローンシステムが、マスターシステムとは異なる周辺装置を保持している場合、アーカイブを作成する前に、マスターシステムに適切なドライバをインストールする必要があります。
Solaris ソフトウェアをインストールする場合、いくつかのハードウェア固有のドライバは、システム上でサポートするハードウェアが検出された場合にのみインストールされることがあります。
コアシステムサポート (Core) ソフトウェアグループ、エンドユーザーシステムサポート (End User) ソフトウェアグループ、開発者システムサポート (Developer) ソフトウェアグループ、または全体ディストリビューション (Entire) ソフトウェアグループをマスターシステムにインストールした場合、マスターシステムがサポートするのはインストール時にマスターシステムに接続されていた周辺装置だけです。マスターシステムに周辺装置が接続されていない場合でも、全体ディストリビューションとOEM サポート(Entire plus OEM) ソフトウェアグループをインストールすることにより、周辺装置のサポートをマスターシステムにインストールできます。システムに存在するハードウェアに関係なく、すべてのドライバがインストールされます。また、必要な周辺装置をサポートするパッケージを選択してインストールすることも可能です。
全体ディストリビューションとOEM サポート (Entire plus OEM) ソフトウェアグループ以外のソフトウェアグループをマスターシステムにインストールする場合は、クローンシステムにインストールする必要のある適切なドライバすべては保持していない可能性があります。たとえば、GX CG6 フレームバッファーを持つマスターシステムに全体ディストリビューション (Entire) ソフトウェアグループをインストールした場合、GX CG6 フレームバッファードライバだけがインストールされます。インストールするクローンシステムすべてが GX CG6 フレームバッファーを保持するか、フレームバッファーを一切保持しない場合、この状況で問題は発生しません。
Elite 3D など、他のフレームバッファーがインストールされたクローンシステムにアーカイブをインストールする場合、クローンシステムはフレームバッファーサポートを保持しません。このため、全体ディストリビューションとOEM サポート (Entire plus OEM) ソフトウェアグループをインストールしてすべてのフレームバッファーを含むアーカイブを作成するか、適切なフレームバッファードライバパッケージをマスターシステムに追加して該当するフレームバッファードライバをインストールする必要があります。
以下のいずれかの方法で、マスターシステムとは異なる周辺装置のサポートをクローンシステムにインストールできます。
全体ディストリビューションとOEM サポート(Entire plus OEM) ソフトウェアグループをインストールする – 全体ディストリビューションとOEM サポート(Entire plus OEM) ソフトウェアグループは、利用できる最大のソフトウェアグループです。このグループには、Solaris オペレーティング環境のすべてのパッケージが含まれています。マスターシステムにこのグループをインストールすると、マスターシステムには Solaris リリースに含まれるすべてのドライバが含まれることになります。全体ディストリビューションと OEM サポート (Entire plus OEM) ソフトウェアグループをインストールしたマスターシステムから作成されるフラッシュアーカイブは、インストールした Solaris オペレーティング環境のリリースがサポートする周辺装置を持つクローンシステムで機能します。
全体ディストリビューションと OEM サポート (Entire plus OEM) ソフトウェアグループをマスターシステムにインストールすると、ほかの周辺装置構成との互換性を保つことができます。しかし、全体ディストリビューションと OEM サポート (Entire plus OEM) ソフトウェアグループには、1G バイトを超えるディスク容量が必要です。クローンシステムの中には、全体ディストリビューションと OEM サポート (Entire plus OEM) ソフトウェアグループのインストールに必要な容量を確保できないものもあるでしょう。
パッケージを選択してインストールする: マスターシステムにインストールする際に、マスターシステムとクローンシステムに必要なパッケージを追加インストールできます。特定のパッケージを選択することにより、マスターシステムまたはクローンシステムに存在することが明らかな周辺装置のサポートだけをインストールすることができます。
マスターシステムからのアーカイブの作成または 2 つのシステムイメージからの差分アーカイブの作成が可能です。差分アーカイブでは、2 つのイメージの相違部分のみがインストールされます。
マスターシステムへのインストールの完了後、フラッシュインストールの次の作業として、フラッシュアーカイブを作成します。マスターシステム上のファイルは、さまざまな識別情報と共に フラッシュアーカイブにコピーされます。フラッシュアーカイブは、マルチユーザーモードまたはシングルユーザーモードでマスターシステムが稼働している間に作成できます。フラッシュアーカイブは、次のメディアのうちの 1 つからブートした後でも作成できます。
Solaris 9 DVD
Solaris 9 SOFTWARE 1 of 2 CD
Solaris 9 SOFTWARE と Solaris 9 LANGUAGES CD のイメージ
保持しているクローン システムを更新する場合、更新前のマスターイメージと更新後のマスターイメージとの変更点のみを含む差分アーカイブを作成できます。クローンにインストールされた元のソフトウェアが稼動しているシステムをイメージの 1 つにできます。これを使用しない場合は、保存された更新前のマスターイメージのコピーにアクセスする必要があります。このイメージに該当する変更を適用して、更新を行います。アクセスするもう 1 つのイメージは、比較に使用します。2 つのイメージの相違部分が、差分アーカイブになります。フラッシュのカスタム JumpStart インストール方法を使用して、クローンシステムに変更点をインストールします。差分アーカイブを使用してクローンシステムを更新すると、差分アーカイブ内に存在するファイルだけがクローンシステム上で変更されます。インストールの前または後に、スクリプトを使用してアーカイブをカスタマイズできます。再構成を行う場合、これは特に有効です。
次のいずれかの方法でアクセス可能にするため、初期インストールの実行後に更新前のマスターイメージを保存する必要があります。
lumount コマンドを使用してディレクトリにマウントされる、Solaris Live Upgrade ブート環境。Solaris Live Upgrade ブート環境の詳細は、第 30 章「Solaris Live Upgrade の概要」を参照してください。
ルートアクセス権を使用して NFS 経由でマウントされるクローンシステム
ufsdump コマンドを使用して復元可能なシステムのバックアップ
手順については、マスターイメージの更新と差分アーカイブの作成を参照してください。
フラッシュアーカイブの作成時に、マスターシステムからコピーされるファイルやディレクトリの一部分をアーカイブから除外することができます。アーカイブからディレクトリを除外する際に、そのディレクトリ内にある特定のファイルやサブディレクトリを除外せずにアーカイブに含めることも可能です。たとえば、/a/aa/bb/c にあるすべてのファイルやディレクトリを除外するアーカイブを作成できます。このアーカイブを作るときに、bb サブディレクトリの内容だけを除外せずにアーカイブに含めることができます。これにより、アーカイブに含められるのは bb サブディレクトリの内容だけになります。
flar create のファイル除外オプションは、注意して使用してください。一部のディレクトリを除外する際、気づかずにシステム構成ファイルなどの他のファイルがアーカイブに残ってしまう場合があります。この場合、システムの整合性が損なわれるため、インストールが失敗してしまいます。ディレクトリやファイルの除外は、大規模なデータファイルなど、システムを破綻させることなく容易に削除可能なデータに対して行うのが最善です。
次の表に、ファイルやディレクトリの除外および追加用の flar create コマンドのオプションを示します。
指定方法 |
除外用のオプション |
追加用のオプション |
---|---|---|
ディレクトリまたはファイルの名前を指定します。 |
-x exclude_dir/filename |
-y include_dir/filename |
対象のファイルやディレクトリのリストを含むファイルを使用します。 |
- X list_filename - z list_filename |
- f list_filename - z list_filename |
これらのオプションの詳細は、表 20–7を参照してください。
アーカイブのカスタマイズ例については、例 — 初期インストール用アーカイブの作成を参照してください。
マスターシステムへのソフトウェアのインストールが完了したら、作成、インストール、ポストインストール、および初回再起動時に特別なスクリプトを実行できます。これらのスクリプトを使用して、以下を実行できます。
クローンシステム上でアプリケーションを構成します。一部の複雑でない構成に対して、カスタム JumpStart スクリプトを使用できます。より複雑な構成では、特別な構成ファイルの処理がマスターシステム上で、あるいはインストールの前後にクローンシステム上で必要な場合があります。
クローンシステム上でのローカルなカスタマイズを保護します。ローカルのプリインストールおよびポストインストールスクリプトは、クローン上に存在し、ローカルのカスタマイズがフラッシュソフトウェアにより上書きされないように保護する働きをします。
クローン不可のホスト依存データを識別して、アーカイブをホスト非依存にできます。ホスト非依存を有効にするには、この種のデータを変更するか、アーカイブから除外します。ホスト依存データの例は、ログファイルです。
作成時に、アーカイブ内でソフトウェアの整合性を確認します。
クローンシステム上でインストールを検証します。
再起動スクリプト以外のスクリプトを作成する場合、スクリプトがオペレーティング環境やシステムを破壊してしまうことがないよう、以下のガイドラインに従ってください。これらのガイドラインに従うことで、Solaris Live Upgrade を使用して、オペレーティング環境インストール用の新規ブート環境が作成可能になります。新規ブート環境は、現行システムの稼働中にアーカイブを使用してインストールできます。
これらのガイドラインは、デーモンの実行やルート (/) ファイルシステムへの他のタイプの変更を実行可能にする再起動スクリプトに適用されるものではありません。
スクリプトは、稼働中のシステムに影響を与えてはいけません。現在稼働中のオペレーティング環境が、フラッシュアーカイブのインストール時に稼働しているオペレーティング環境ではない場合もあります。
スクリプトで、いかなるデーモンプロセスも開始または停止させないでください。
スクリプトで、オペレーティング環境に依存するコマンド ( ps、truss、uname など) の出力に依存しないでください。これらのコマンドは、稼働中のシステムに関する情報をレポートします。
スクリプトで、いかなるシグナルも送信しないでください。さもないと、現在稼働中のプロセスが影響を受けます。
スクリプトでは、シェルスクリプトの実行を円滑にする標準の UNIX コマンド (expr、cp、 ls など) を使用できます。
Solaris Live Upgrade の概要については、第 30 章「Solaris Live Upgrade の概要」を参照してください。
フラッシュアーカイブには、次のセクションが含まれます。一部のセクションを使用して、アーカイブの識別やカスタマイズ、およびインストールの状態情報の表示を実行できます。各セクションの詳細は、第 20 章「フラッシュに関するリファレンス情報」を参照してください。
表 17–1 フラッシュアーカイブのセクション
セクション名 |
情報提供のみ |
説明 |
---|---|---|
Cookie |
X |
最初のセクションには、ファイルをフラッシュアーカイブとして識別する cookie が含まれます。 |
識別 |
|
2 番目のセクションには、アーカイブについての識別情報を値に持つキーワードが含まれます。一部の識別情報は、アーカイブソフトウェアにより提供されます。その他の特定の識別情報は、flar create コマンドのオプションを使用して追加できます。 |
ユーザー定義 |
|
このセクションは、識別セクションの次に続きます。これらのセクションを定義および挿入して、アーカイブをカスタマイズできます。フラッシュアーカイブは、ユーザーが定義したセクションは処理しません。たとえば、このセクションには、アーカイブの説明や、アプリケーションの整合性をチェックするスクリプトなどを含めることができます。 |
マニフェスト |
X |
このセクションは、フラッシュ差分アーカイブに対して生成され、クローンシステムの検証に使用されます。マニフェストセクションには、クローンシステムに保持、追加または削除されるシステム上のファイルが一覧表示されます。このセクションは情報提供専用であり、内部形式でファイルをリスト表示します。スクリプトの記述には使用できません。 |
配置前、配置後、再起動 |
X |
このセクションには、オペレーティング環境イメージのインストール前または後にフラッシュソフトウェアが使用する内部情報が含まれます。指定したスクリプトはすべて、このセクションに含まれます。 |
サマリー |
|
このセクションには、アーカイブ作成に関するメッセージが含まれます。セクションには、配置前および配置後スクリプトのアクティビティも記録できます。このセクションに出力を送信するスクリプトを記述することにより、このセクション内でインストールの成功を確認できます。 |
アーカイブファイル |
X |
アーカイブファイルセクションには、マスターシステムから収集されたファイルが含まれます。 |
アーカイブは、システムができるだけ静的な状態である時に作成してください。
マスターシステムにソフトウェアをインストールした後でソフトウェアを構成する前にアーカイブを作成します。たとえば、Solaris Volume Manager は、ファイルシステム外部にメタ情報を格納します。起動ディスクをカプセル化およびミラー化してある場合、アーカイブは作成できません。アーカイブ作成ではファイルシステム外部のメタ情報にアクセスできないため、構成前にアーカイブを作成する必要があります。
フラッシュアーカイブを作成した後、そのアーカイブをマスターシステムのハードディスクまたはテープに保存できます。保存後は、任意のファイルシステムまたは媒体へそのアーカイブをコピーできます。
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
HTTP サーバー
FTP サーバー
テープ
CD、DVD
フロッピーディスク
インストールしたいクローンシステムのローカルドライブ
フラッシュアーカイブを作成する際は、compress(1) ユーティリティを使用して、そのアーカイブが圧縮ファイルとして保存されるように指定することができます。圧縮されたアーカイブはディスク容量が少なくてすみ、ネットワークを介してアーカイブをインストールする場合の負荷も減ります。
フラッシュインストールの最後の作業は、クローンシステムへのフラッシュアーカイブのインストールです。
クローンシステムへのフラッシュアーカイブのインストールには、次のインストール方法を使用できます。
Solaris 9 DVD または Solaris 9 INSTALLATION CD に含まれている Solaris Web Start では、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブのインストールが可能です。
ディスク (DVD または CD)
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
HTTP サーバー
FTP サーバー
ローカルテープ
インストール方法の詳細は、SPARC: Solaris Web Start プログラムによるインストールまたはアップグレードまたは x86: Solaris Web Start によるインストールまたはアップグレードを参照してください。
Solaris 9 SOFTWARE 1 of 2 CD に含まれている Solaris suninstall プログラムでは、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブのインストールが可能です。
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
HTTP サーバー
FTP サーバー
ローカルファイル
ローカルテープ
CD を含むローカルデバイス
インストール方法の詳細は、SPARC: Solaris suninstall プログラムによるインストールまたはアップグレード または x86: Solaris suninstall プログラムによるインストールまたはアップグレード を参照してください。
カスタム JumpStart インストールプログラムでは、以下の媒体に格納されているフラッシュアーカイブのインストールが可能です。
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
HTTP サーバー
FTP サーバー
ローカルテープ
ローカルデバイス (DVD または CD)
ローカルファイル
インストール方法の詳細は、カスタム JumpStart インストールを使用して フラッシュアーカイブをインストールする方法を参照してください。
Solaris Live Upgrade を利用すると、次の場所に保存されているフラッシュアーカイブをインストールできます。
HTTP サーバー
FTP サーバー
ネットワークファイルシステム (NFS) サーバー
ローカルファイル
ローカルテープ
ローカルデバイス (DVD または CD)
インストール方法の詳細は、ブート環境へのフラッシュアーカイブのインストールを参照してください。