ホストマネージャは、ネットワーク上のサーバーおよびクライアントの追加と管理を行うためのグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) です。NIS+ のようなネームサービスで使用すると、一括してシステム情報を管理できるので、ホスト名のような重要な情報をネットワーク上の他のシステムにコピーする必要はありません。
ホストマネージャの機能は以下のとおりです。
システムサポートの追加と変更
システムタイプの変更
システムタイプの変換
OS サービスの追加と削除
リモートインストールサービスの設定
管理操作のキューイング
ルートパスワードの設定
スクリプトの実行
マルチホームホストの作成
ホストマネージャでは、以下のシステムタイプの追加や変更を行うことができます。
Solstice AutoClient システム
Solaris ディスクレス (Solaris Diskless) クライアント
JavaStation
Solaris データレス (Solaris Dataless) クライアント (Solaris 2.5.1 以降では、サポートされなくなる予定です)
Solaris スタンドアロン (Solaris Standalone) システム
Solaris OS サーバー (Solaris OS Server)
各システムタイプの詳細は、「システムタイプの概要」を参照してください。
表 6-3 に、Solstice AdminSuite 2.3 のホストマネージャでサポートされる、サーバーとクライアントの組み合わせを示します。
表 6-3 サポートされるサーバーとクライアントの構成
SunOS 4.x リリースは、Sun4、Sun4c、Sun4m プラットフォームグループの SPARC システムでのみサポートされます。将来、SunOS 4.x はサポートされなくなる予定です。
ホストマネージャは、以前に追加されたシステムのシステムタイプを、まず汎用 (generic) として認識します。その後、「ファイル」メニューで「システムタイプの更新」オプションを指定すると、ホストマネージャは以前に追加されたシステムを調べ、そのシステムタイプを識別します。ただし、システムタイプが識別できない場合、たとえばシステム上で Solaris ソフトウェアが実行されていない場合には、そのシステムは generic タイプとして認識されます。
システムが以前に追加されたものである場合は、Solaris 2.5 で動作していても、新たに AdminSuite ソフトウェアをインストールして、ホストマネージャでシステムの更新を行なってください。
システムタイプ情報は、ローカルの /etc ファイルの内の bootparams ファイルまたはネームサービスデータベースに格納されます。ホストマネージャは、既存の bootparams エントリを変更するか、またはスタンドアロンシステムの場合は、次のようなエントリを追加します。
mars boottype=:st |
ホストマネージャを使用して、あるシステムタイプを別のタイプに変換します。現在可能な変換を表 6-4 に示します。
表 6-4 システムタイプの変換
変換元 |
変換先 |
---|---|
スタンドアロンシステム |
AutoClient システムまたは OS サーバー |
データレスシステム |
AutoClient システムまたは OS サーバー |
AutoClient システム |
スタンドアロンシステム |
汎用 (generic) システム |
スタンドアロンシステム、AutoClient システム、OS サーバーのいずれか |
スタンドアロンから OS サーバーに変換する際に、Solaris 2.x OS サービスを追加できます。
Solaris OS サーバーとは、ディスクレスクライアントまたはデータレスクライアントをサポートするオペレーティングシステム (OS) の提供を行うサーバーです。ホストマネージャによって、OS サーバーのサポートを追加したり、システムタイプをスタンドアロンから OS サーバーへ変換したりできます。
デフォルトでは、OS サーバーは機種 (プラットフォーム) グループが同じで、必要な OS サーバーのリリースが同じクライアントをサポートできます。機種の異なるクライアントや、OS サーバーと異なる Solaris リリースを必要とするクライアントをサポートするには、OS サーバーに特別な OS サービスを追加する必要があります。OS サービスを追加するには、適切な Solaris CD イメージが必要です。
ホストマネージャでは、SunOS 4.x リリースを使用するディスクレスおよびデータレスクライアントのサポートを追加できますが、SunOS 4.x OS サービスは追加できません。まず install4x(1M) コマンドで OS サーバーに OS サービスを追加して、ホストマネージャで SunOS 4.x クライアントのサポートを追加してください。
OS サービスを OS サーバーに追加する際、サーバー上で実行している OS と、これから追加しようとする OS のバージョンが異なるというエラーメッセージが表示されます。このメッセージは、インストールされている OS が持つパッケージにはすでにパッチが当てられているが、これから追加する OS サービスの持つパッケージにはパッチが当てられていないことが原因です (パッチはパッケージに含まれているからです)。
たとえば、Solaris 2.5.1 を実行しているサーバーに、パッチを当ててある Solaris 2.5 sparc sun4m サービスを含む追加の OS サービスが読み込まれているとします。CD-ROM から Solaris 2.5 sparc sun4c サービスをこのサーバーのクライアントに追加しようとすると、次のようなエラーメッセージが表示されます。
Error: inconsistent revision, installed package appears to have been patched resulting in it being different than the package on your media. You will need to backout all patches that patch this package before retrying the add OS service option. |
この場合、エラーメッセージにリストされているパッケージ関連のパッチをすべて削除してから、再度 OS サービスを追加します。パッチの追加がある場合は、この処理を行なってからでないと OS を正しくインストールできません。
OS サービスを OS サーバーから除去する操作は、ホストマネージャを使用して行うことができます。たとえば、Solaris 2.4 を実行している SPARC Sun4m システムのサポートを取りやめる場合は、ホストマネージャを使用して、サーバーからこれらの OS サービスを除去できます。ホストマネージャでは、SunOS 4.x および JavaStation のサポートを除去できます。
ホストマネージャを使用して、ネットワーク上の他のシステムに Solaris 2.x インストールサービスを提供するシステムを設定できます。設定可能なシステムタイプは以下のとおりです。
インストールサーバー
ネットワーク上のシステムであり、他のシステムにインストールするための Solaris CD イメージを (CD-ROM ドライブまたはハードディスク上のコピーから) 提供。
ブートサーバー
ネットワーク上の他のシステムへのブート情報を提供するシステム。ブートサーバーとインストールサーバーは、通常は同じシステムです。
プロファイルサーバー
ブートサーバーとインストールサーバーは、通常は同じシステムです。ただし、インストールされるシステムがインストールサーバーとは異なるサブネット上にある場合、ブートサーバーはそのサブネット上に必要です。
システムタイプを変換したり、OS サーバーを追加するなどの操作をキューイングする (待ち行列に入れる) ことができます。これらの操作を処理するには数分かかることがあるため、ホストマネージャは操作が自動的に処理されるように設定します。このため、各操作が完了するのを待つことなく、次の操作の設定を開始できます。操作を設定し、「ファイル」メニューから「変更を保存」を選択してください。各操作の処理状態が、ホストマネージャのウィンドウ下部にあるバーの部分に表示されます。
ホストマネージャを使用して Solstice AutoClient または Solaris Diskless クライアントを追加する場合は、グループやユーザーのパスワードを設定するのと同じようにルートのパスワードを設定できます。
ホストマネージャを使用して Solstice AutoClient を追加する場合、サーバーに AutoClient を追加する前後や AutoClient をブートする前後に、用意しておいたスクリプトを実行できます。
スクリプトは AutoClient システムの追加や除去をカスタマイズするためのものです。AdminSuite ソフトウェアが正しく読み込めるよう、必ず /opt/SUNWadmd/Scripts ディレクトリに置いてください。
ホストマネージャでは、複数のホーム (マルチホーム) と複数のネットワークインタフェースを持つホストのエイリアスをサーバーに追加できます。たとえばサーバーが複数のネットワークに属するために複数の IP アドレスを持っているとすると、それはマルチホームホストとして認識されます。ホストマネージャでは、1 台のホストに対して複数の IP アドレスを指定し、それをマルチホームホストとすることができます。