TotalNET Advanced Server 5.2 の管理

一般的なトラブルシューティング

TAS システムで発生する問題を解決するには、考えられる原因を簡単なものから複雑なものへと順に突き止めていくシステマティックな方法が有効です。このような方法は、理論を構築してそれを試し、原因を特定して解決するのに役立ちます。

上記の方法で問題を解決するときの出発点となる質問を、次に示します。質問は次のように分類できます。

一般的な接続問題

ユーザーが有効な UNIX アカウントを持っているか

サーバーがユーザー名を識別できることを確認するには、そのユーザー名でクライアントから telnet セッションを開始できるかどうか試してください。

PC では完了できないプロセスを UNIX で完了できるか

PC では実行できないプロセスを UNIX で実行できる場合は、接続ポイントの構成かクライアント接続に誤りがある可能性があります (ただし、UNIX で実行できる操作がすべて PC で実行できるとはかぎらないことに注意してください)。telnet セッションを開いて同じプロセスを UNIX から実行できるか試してください。たとえば、印刷に問題がある場合は、telnet でサーバーに接続し、lpr コマンドを使用してファイルをプリンタに送信します。UNIX で問題なく印刷できる場合は、TotalAdmin スフィアからクライアントとサーバーの構成をチェックしてください。

トランスポートプロトコルが正しく構成されているか

この問題は別のプログラムを使用してチェックします。たとえば、TCP/IP 構成をチェックするには、UNIX から ping を実行します。

LM-NT-OS/2 レルムにおける接続問題

異なるサブネット上のクライアントとサーバーが NetBIOS-over-NetBEUI で接続しようとしていないか

このプロトコルは同一サブネット上でしか機能しないので、この場合はクライアントはサーバーに接続できません。異なるサブネット上のクライアントとサーバーを接続する場合は、NetBIOS-over-TCP/IP で接続しなければなりません。NetBIOS-over-NetBEUI はルーティングを行いません。

クライアントが NetBIOS-over-TCP/IP を使用して、ルーターを介した別のネットワーク上のサービスにアクセスしようとしていないか

クライアントがルーターを介して NetBIOS 名を見つけられるようにするには、その NetBIOS 名と IP アドレスをマッピングできなければなりません。そのためには、静的テーブル、WINS (Windows Internet Naming Service)、ENS (Enterprise Name Server) のいずれかを使用してサービス名をその IP アドレスにマッピングし、クライアント側で名前解決できるようにします。

クライアントがサーバーと同じ SMB ダイアレクトを使用しているか

古いクライアントソフトウェアの中には、サーバーと同じ方法で拡張 SMB プロトコルを使用しないものがあります。その場合は、次のリンクをたどります。

SMB dialect に対して、コアを選択します。

UNIX コマンドラインから、クライアントがコアプロトコルを使用するように強制するには、次のコマンドを実行します。


tnservice -M -r NB -s servicename -a smb-protocol-level=on

NetWare レルムにおける接続問題

IPX ネットワーク番号がインタフェースのフレームタイプと一致しているか

サーバー側のネットワークインタフェースで、フレームタイプと NetWare ネットワーク番号 (16 進で指定) が正しく対応付けられていることを確認します。フレームタイプとネットワーク番号の組み合わせを調べるには、Novell サーバー構成を見るか、IPXd をシャットダウンしてから ipxprobe を実行します。ネットワークに Novell サーバーが存在しない場合は、そのフレームタイプを一意に識別できる任意の 16 進値を使用できます。

TotalNET IPX は完全ルーティングをサポートしています。つまり、複数のネットワークインタフェースを使用し、それぞれのインタフェースで複数のフレームタイプをサポートできます。TAS では、複数のインタフェースフレームタイプを使用することで、1 つの物理ネットワークを複数の論理ネットワークの集合とみなし、論理ネットワーク間で物理ネットワーク間と同様のルーティングを行います。したがって、システム上で各フレームタイプをそれぞれ異なるネット番号に対応付ける必要があります。

1 つのインタフェースを、複数のフレームタイプ (および、それぞれが対応するネットワーク番号) で構成することができます。たとえば、interface_1 を frametype_x と netnumber_x、frametype_y と netnumber_y で構成し、interface_2 を frametype_x と netnumber_x、frametype_z と netnumber_z で構成します。このとき、NetWare レルム内の内部フレームタイプには一意のネット番号を使用しなければなりません。内部フレームタイプの値を削除してはいけません。

次のリンクをたどります。

UNIX コマンドラインからフレームタイプとネットワーク番号をチェックするには、次のコマンドを使用します。


tniface -R -n tnipx

"slist" でサーバーが表示できるか

ネットワーク上で現在アクティブな NetWare サーバーを一覧表示するには、「ネットワークコンピュータ」ウィンドウを開くか、DOS で slist コマンドを実行します。slist リストに必要な NetWare サーバーが表示されない場合は、サーバーからの通知が届いていません。サーバーが無効になっているか、SAP (Service Advertisement Protocol) 通知に問題があります。サーバーが有効になっているか確認するには、「Status at a Glance」をクリックします。

SAP 通知に問題があると考えられる場合は、ご購入先までお問い合わせください。

サーバーがクライアントユーティリティを処理しているか

NetWare で使用するログインプログラムにはさまざまなバージョンがあります。たとえば、Novell 3.12 のユーティリティを使用して NetWare レルムのサービスにアクセスする場合は、そのサービスに対するセキュリティ認証を有効にする必要があります。これは、バージョン 3.12 のユーティリティが暗号化したパスワードだけを送信するためです。これに対して、バージョン 3.12 以降のクライアントではセキュリティ認証を有効にする必要はなく、単純テキスト形式でパスワードを送信できます。

Syntax は、NetWare レルム用のログインユーティリティを $TNHOME/NW/sys/login に提供しています。これらのユーティリティは、NetWare で使用されるプログラムに同様の機能を提供します。セキュリティ認証を有効にするには、次のリンクをたどります。

「Passord encryption」オプションを選択します。

UNIX コマンドラインからセキュリティ認証を構成するには、tnservice コマンドを使用します。

AppleTalk レルムにおける接続問題

各ファイルを構成する 3 つの部分が存在しているか

UNIX では Macintosh ファイルを 3 つのフォーク (データフォーク、資源フォーク、finder 情報フォーク) に保存します。データフォークには、ファイルに入っている実データが保存され、資源フォークにはファイルを開くときに起動するアプリケーション情報が保存され、finder 情報フォークにはファイルの作成者、タイプ、デスクトップ上の位置、アイコンに関する情報が保存されます。

TAS ではこの 3 つの部分をそれぞれ別のディレクトリに保存します。TAS で Macintosh クライアントがファイルを作成すると、データフォークがカレントディレクトリに書き込まれ、資源フォークが .tnatr:reso-fork というサブディレクトリに書き込まれ、finder 情報フォークが .tnatr:intf というサブディレクトリに書き込まれます。TAS がこの 3 つの部分をすべて見つけ出せないときは、ファイルを正しく呼び出すことができません。バージョン 5.x 以前の TAS では、データフォークがカレントディレクトリに、資源フォークが .resource ディレクトリに、finder 情報フォークが .finderinfo ディレクトリに書き込まれます。

finder 情報マップファイルが存在し、正しい情報が入っているか

finder は、ファイルに関する情報 (ファイルの作成者、タイプ、デスクトップ上の位置、アイコン) を管理しています。サーバーは finder 情報を見つけられないと、マップファイルのデータに基づいて適切なデフォルト値を生成しますが、マップファイルに正しいデータが入っていない場合があります。

AppleTalk マップは、ファイル拡張子と Macintosh アプリケーションの関連付けを行います。クライアントオペレーティングシステムはこの関係付けを参照して、ファイルにアクセスするときにどのアプリケーションを起動するかを判定します。

マッピング構成をチェックするには、次のリンクをたどります。

マップが存在しない場合、「Modify」ボタンは表示されません。

UNIX コマンドラインからマッピング構成をチェックするには、tnsuffix コマンドを使用します。

Macintosh バージョンと PC バージョンのプログラムが同じデータ形式を共有できるか

場合によっては、これら 2 つのプラットフォーム上で同じプログラムのデータファイルが共有できないことがあります。