この章では、TAS システムで発生するさまざまな問題を解決するための方法について説明します。ユーザーに表示されるエラーメッセージとその解決方法の一覧を示し、また trace や csr.tn を使用してカスタマサポートエンジニアのために診断情報を収集する方法についても説明します。この章の構成を次に示します。
「一般的なトラブルシューティング」- 問題の原因を特定するためのシステマティックな手順を示します。
「レルム固有のエラーログとアクティビティログ」- レルムレベルでエラーとアクティビティの記録を残す方法について説明します。
「エラーメッセージを伴う問題の解決方法」- エラーメッセージとその解決方法の一覧を示します。
「エラーメッセージを伴わない問題の解決方法」- エラーメッセージを伴うとはかぎらない問題に対処する方法を示します。
TAS システムで発生する問題を解決するには、考えられる原因を簡単なものから複雑なものへと順に突き止めていくシステマティックな方法が有効です。このような方法は、理論を構築してそれを試し、原因を特定して解決するのに役立ちます。
上記の方法で問題を解決するときの出発点となる質問を、次に示します。質問は次のように分類できます。
サーバーがユーザー名を識別できることを確認するには、そのユーザー名でクライアントから telnet セッションを開始できるかどうか試してください。
PC では実行できないプロセスを UNIX で実行できる場合は、接続ポイントの構成かクライアント接続に誤りがある可能性があります (ただし、UNIX で実行できる操作がすべて PC で実行できるとはかぎらないことに注意してください)。telnet セッションを開いて同じプロセスを UNIX から実行できるか試してください。たとえば、印刷に問題がある場合は、telnet でサーバーに接続し、lpr コマンドを使用してファイルをプリンタに送信します。UNIX で問題なく印刷できる場合は、TotalAdmin スフィアからクライアントとサーバーの構成をチェックしてください。
この問題は別のプログラムを使用してチェックします。たとえば、TCP/IP 構成をチェックするには、UNIX から ping を実行します。
このプロトコルは同一サブネット上でしか機能しないので、この場合はクライアントはサーバーに接続できません。異なるサブネット上のクライアントとサーバーを接続する場合は、NetBIOS-over-TCP/IP で接続しなければなりません。NetBIOS-over-NetBEUI はルーティングを行いません。
クライアントがルーターを介して NetBIOS 名を見つけられるようにするには、その NetBIOS 名と IP アドレスをマッピングできなければなりません。そのためには、静的テーブル、WINS (Windows Internet Naming Service)、ENS (Enterprise Name Server) のいずれかを使用してサービス名をその IP アドレスにマッピングし、クライアント側で名前解決できるようにします。
古いクライアントソフトウェアの中には、サーバーと同じ方法で拡張 SMB プロトコルを使用しないものがあります。その場合は、次のリンクをたどります。
「LM-NT-OS/2 Realm」->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」
SMB dialect に対して、コアを選択します。
UNIX コマンドラインから、クライアントがコアプロトコルを使用するように強制するには、次のコマンドを実行します。
tnservice -M -r NB -s servicename -a smb-protocol-level=on |
サーバー側のネットワークインタフェースで、フレームタイプと NetWare ネットワーク番号 (16 進で指定) が正しく対応付けられていることを確認します。フレームタイプとネットワーク番号の組み合わせを調べるには、Novell サーバー構成を見るか、IPXd をシャットダウンしてから ipxprobe を実行します。ネットワークに Novell サーバーが存在しない場合は、そのフレームタイプを一意に識別できる任意の 16 進値を使用できます。
TotalNET IPX は完全ルーティングをサポートしています。つまり、複数のネットワークインタフェースを使用し、それぞれのインタフェースで複数のフレームタイプをサポートできます。TAS では、複数のインタフェースフレームタイプを使用することで、1 つの物理ネットワークを複数の論理ネットワークの集合とみなし、論理ネットワーク間で物理ネットワーク間と同様のルーティングを行います。したがって、システム上で各フレームタイプをそれぞれ異なるネット番号に対応付ける必要があります。
1 つのインタフェースを、複数のフレームタイプ (および、それぞれが対応するネットワーク番号) で構成することができます。たとえば、interface_1 を frametype_x と netnumber_x、frametype_y と netnumber_y で構成し、interface_2 を frametype_x と netnumber_x、frametype_z と netnumber_z で構成します。このとき、NetWare レルム内の内部フレームタイプには一意のネット番号を使用しなければなりません。内部フレームタイプの値を削除してはいけません。
次のリンクをたどります。
「Transports」->「IPX/SPX Interfaces」-> [IPX/SPX インタフェースを選択] ->「Modify」
UNIX コマンドラインからフレームタイプとネットワーク番号をチェックするには、次のコマンドを使用します。
tniface -R -n tnipx |
ネットワーク上で現在アクティブな NetWare サーバーを一覧表示するには、「ネットワークコンピュータ」ウィンドウを開くか、DOS で slist コマンドを実行します。slist リストに必要な NetWare サーバーが表示されない場合は、サーバーからの通知が届いていません。サーバーが無効になっているか、SAP (Service Advertisement Protocol) 通知に問題があります。サーバーが有効になっているか確認するには、「Status at a Glance」をクリックします。
SAP 通知に問題があると考えられる場合は、ご購入先までお問い合わせください。
NetWare で使用するログインプログラムにはさまざまなバージョンがあります。たとえば、Novell 3.12 のユーティリティを使用して NetWare レルムのサービスにアクセスする場合は、そのサービスに対するセキュリティ認証を有効にする必要があります。これは、バージョン 3.12 のユーティリティが暗号化したパスワードだけを送信するためです。これに対して、バージョン 3.12 以降のクライアントではセキュリティ認証を有効にする必要はなく、単純テキスト形式でパスワードを送信できます。
Syntax は、NetWare レルム用のログインユーティリティを $TNHOME/NW/sys/login に提供しています。これらのユーティリティは、NetWare で使用されるプログラムに同様の機能を提供します。セキュリティ認証を有効にするには、次のリンクをたどります。
「NetWare Realm」->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Authentication and Service Mode Options」->「Local authentication」->「Submit」
「Passord encryption」オプションを選択します。
UNIX コマンドラインからセキュリティ認証を構成するには、tnservice コマンドを使用します。
UNIX では Macintosh ファイルを 3 つのフォーク (データフォーク、資源フォーク、finder 情報フォーク) に保存します。データフォークには、ファイルに入っている実データが保存され、資源フォークにはファイルを開くときに起動するアプリケーション情報が保存され、finder 情報フォークにはファイルの作成者、タイプ、デスクトップ上の位置、アイコンに関する情報が保存されます。
TAS ではこの 3 つの部分をそれぞれ別のディレクトリに保存します。TAS で Macintosh クライアントがファイルを作成すると、データフォークがカレントディレクトリに書き込まれ、資源フォークが .tnatr:reso-fork というサブディレクトリに書き込まれ、finder 情報フォークが .tnatr:intf というサブディレクトリに書き込まれます。TAS がこの 3 つの部分をすべて見つけ出せないときは、ファイルを正しく呼び出すことができません。バージョン 5.x 以前の TAS では、データフォークがカレントディレクトリに、資源フォークが .resource ディレクトリに、finder 情報フォークが .finderinfo ディレクトリに書き込まれます。
finder は、ファイルに関する情報 (ファイルの作成者、タイプ、デスクトップ上の位置、アイコン) を管理しています。サーバーは finder 情報を見つけられないと、マップファイルのデータに基づいて適切なデフォルト値を生成しますが、マップファイルに正しいデータが入っていない場合があります。
AppleTalk マップは、ファイル拡張子と Macintosh アプリケーションの関連付けを行います。クライアントオペレーティングシステムはこの関係付けを参照して、ファイルにアクセスするときにどのアプリケーションを起動するかを判定します。
マッピング構成をチェックするには、次のリンクをたどります。
「AppleTalk Realm」->「Suffixes for AppleTalk Map」-> [ファイル拡張子を選択] ->「Modify」
マップが存在しない場合、「Modify」ボタンは表示されません。
UNIX コマンドラインからマッピング構成をチェックするには、tnsuffix コマンドを使用します。
場合によっては、これら 2 つのプラットフォーム上で同じプログラムのデータファイルが共有できないことがあります。
TAS システムの監視と管理のためにまざまなログファイルを作成できます。ログファイルは、各レルムの起動時に生成され、そのレルムでエラーが発生するたびにエラーメッセージが追加されていきます。
また、ファイルサービスへの接続情報をすべて記録するアクティビティログを作成することもできます。そのためには、ファイルサービスの構成で「Log activity」属性を有効にします。アクティビティログの有効/無効はサービスごとに切り替えられます。csr.tn で作成されるレポート、または「Generate Support Info」をクリックして作成されるレポートには、アクティビティログが含まれています。
エラーログが保存される場所はレルムごとに異なります。NetWare レルムでは $TNHOME/NW/log に、LM-NT-OS/2 レルムでは $TNHOME/NB/log に、AppleTalk レルムでは $TNHOME/AT/log に作成されます。エラーログには、そのレルムの起動情報と起動時に生成されたメッセージが共通ログ形式で記録されます。クライアントがあるレルムのサービスに接続できない場合は、そのレルムのログファイルにアクセスして TAS 起動時のエラーメッセージを調べることができます。
TotalAdmin からエラーログにアクセスするには、次のリンクをたどります。
各レルム ->「View realm Log file」
各レルムへの接続アクティビティのログを保存するには、各ファイルサービスに対してアクティビティログ属性を有効にします。アクティビティログの有効/無効はサービスごとに切り替えられます。アクティビティログのファイル名は activity.tn で、各レルムのサービス終了時に次の統計情報が記録されます。
UNIXアカウント名
サーバーマシン名
サーバー起動時刻
ファイルサービスレルム
クライアントマシン名
クライアントのネットワークアドレス
要求されたトランザクション数
読み込まれたキロバイト数
書き込まれたキロバイト数
印刷されたキロバイト数
合計接続時間
クライアントがサーバーに接続するたびにアクティビティログが生成されるようにする手順を次に示します。
次のリンクをたどります。
各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」
「Log activity」オプションを選択します。
UNIX コマンドラインからするアクティビティログを有効にするには、サーバーに対して telnt セッションを開いて次のコマンドを実行します。
./tnservice -M -r NB -s service -a activity=on
この項では、エラーメッセージを伴うさまざまな問題を解決する方法について説明します。
tn ユーティリティで表示される終了コードとその意味を次の表に示します。以下の各項では、さまざまな共通エラーメッセージについてその原因と解決方法を示します。
0 |
成功 |
1 |
使用方法 |
2 |
非互換性 |
3 |
コマンドラインの誤り |
4 |
一般的なメモリー割り当て |
5 |
無効なシステム |
6 |
レルム、システム、サービスの誤り |
7 |
アプリケーションインタフェースのエラー |
8 |
システムコールのエラー |
9 |
C ライブラリのエラー |
10 |
特定レルムのボリュームに対する無効な文字 |
11 |
特定レルムのサービスに対する無効な文字 |
12 |
指定レルムに対して長すぎるサービス名 |
13 |
アクセスの拒否。スーパーユーザのみアクセス可。 |
ユーザーがファイルの読み込み、ファイルの書き込み、プログラムの実行、ディレクトリの検索に必要な権限を持っていません。
NetWare 互換クライアントが UNIX ディレクトリにアクセスできません。ディレクトリに実行のアクセス許可ビットが設定されており、そのディレクトリがボリュームの仮想ルートの下にあることを確認してください。
ネットワークの Windows インタフェースに次のどちらかの問題があります。
正しいドライバがロードされていません。クライアント側で Windows 設定プログラムを実行して「Network」オプションをチェックし、正しいネットワークドライバがロードされていることを確認してください。たとえば、Microsoft 互換クライアントでは、「Microsoft Network」と表示されるはずです。そのように表示されなければ、「Options」メニューの「Change System Settings」をクリックして、「Network」リストから正しいドライバを選択してください。
Windows のファイルマネージャを使用してドライブが接続されており、既存のファイルマネージャにその設定が保存されています。ユーザーは Windows のコントロールパネルの「ネットワーク」で起動時に再接続するよう選択しており、その結果 DOS のためのドライブ名が別の名前にリダイレクトされています。
TAS 起動時のシステムソケットコールが次のいずれかの理由で失敗しました。
NetBIOS がシャットダウンされていません。UNIX オペレーティングシステムに NetBIOS が含まれている場合は、TAS を起動する前に NetBIOS をシャットダウンしてください。
システムが自分のソケットをすべて使い切っています。
別のプロセスが予約されている NetBIOS ポートの 1 つを使用しています。
サーバーは UNIX オペレーティングシステムを使用してユーザーの認証を行うので、UNIX ホストに存在するユーザーアカウントでなければログインできません。Novell サーバーのシステム管理者はデフォルトでスーパーバイザーになっています。UNIX では root になります。一般に UNIX オペレーティングシステムを管理する場合は、root でログインする必要があります。
サーバーがユーザー名とパスワードを正当なものと認めませんでした。ユーザ名とパスワードが次の要件を満たしていることを確認してください。
正しいスペリング
大文字を入力するときの正しい形式。各大文字の前にチルド記号 (‾) を入力する必要があります。
次のシステム制限
NetBIOS では最大 14 文字
TAS の NetWare では最大 30 文字
AppleTalk では最大 8 文字
8 文字より長いアカウント名やパスワードを持つユーザーは、接続が難しい場合があります。多くの UNIX システムでは、パスワードの最初の 8 文字だけが有効なので、パスワードを入力するときは最初の 8 文字だけで接続できます。
パスワードの有効期限を設定できるシステムでは、パスワードの有効期限が切れていることがあります。その場合は、UNIX ホストのコンソールか telnet などの端末エミュレータでログインし、パスワードを更新してください。
ユーザー名リストによる制限。次のリンクをたどります。
各レルム ->「Manage File Services」-> [ファイルサービスを選択] ->「Administer」->「Authentication and Service Mode Options」
LM-NT-OS/2 レルムか NetWare レルムを選択した場合は、認証タイプを選択します。次に表示される画面で「User restrictions」をチェックします。「Allow」を選択した「Users」フィールドに目的のユーザー名が表示されていなければ、そのユーザー名を追加します。「Deny」を選択した「Users」フィールドに目的のユーザー名が表示されていれば、そのユーザー名を削除します。
名前検索フェーズには成功しましたが、次のいずれかの理由で接続要求がシステムで拒否されました。
クライアント PC のリブートなどが原因で接続が異常終了した直後に、同じユーザーが TAS ホストに再接続しようとしましたが、前回の接続定義ファイルがまだ残っています。tnck を実行してください。
ユーザーがサービスに接続しようとしましたが、サービス定義ファイルに不当なコマンドが含まれています。
TAS が新しい接続要求を拒否するように設定されています。TAS が接続要求を受け付けるようにするには、次のリンクをたどります。
「System」->「System Administration」->「Accept Service Connections」->「OK」
UNIX コマンドラインからサービスを受け付けるようにするには、tnaccept コマンドを使用します。
TAS の最大ユーザー数を超えています。1 つのクライアントが同名のサービスに複数の接続を行っても 1 ユーザーとカウントされますが、別のサービスへの接続は同じユーザーからでもそれぞれ 1 ユーザーとしてカウントされます。ライセンスを追加購入するには、Sun Microsystems の担当者に連絡してください。
評価版 TAS の使用期限を過ぎています。
tninfo の出力中に存在しない接続が表示されています。tninfo からの出力では、通常 1 つの Ethernet アドレスに対し 1 つの接続しか表示されないはずですが、サーバーが接続の終了を確認できないときは、複数の接続が表示されることがあります。一般にこの問題は、クライアントがログアウトせずに PC の電源を切ったりリブートしたときに、接続が正常に終了しなかったことが原因で発生します。
このような形だけ残っている接続を検出するには、LM-NT-OS/2 レルムまたは NetWare レルムのキープアライブ機能を有効にします。そうすると、サーバーは Novell のウォッチドッグパケットとよく似たキープアライブパケットを送信して、接続状態が続いているクライアントを検出します。サーバーは最初のキープアライブパケットを送信した後、10 分間隔で次のパケットを送信しますが、この間に応答がない接続は無効とみなして接続データベースを更新します。データベースが更新されると、存在しない接続は tninfo の出力から消えます。
キープアライブ機能を有効にするには、次のリンクをたどります。
各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」
「Keepalive」フィールドに、キープアライブパケットの送信間隔 (分単位) を入力します。
UNIX コマンドラインからキープアライブ機能を有効にするには、次のコマンドを実行します。ここで、n はサーバーが接続を確立してから最初のキープアライブパケットを送信するまでの待ち時間 (分単位) です。
tnservice -M -r NW -s nwhera:file -a keepalive=n |
クライアントコマンドで指定したドライブ名に誤りがあります。この問題は、クライアントがフロッピーディスクドライブやハードディスクドライブのパーティションなどのローカルドライブをリダイレクトしようとした場合に起こります。
ユーザーが、ドライブを印刷デバイスにリダイレクトしようとしたり、プリンタポートをディレクトリにリダイレクトしようとしました。
クライアントが NetBIOS 名への要求をブロードキャストしたときに、次のいずれかの理由でサーバーから応答を受け取れませんでした。
ユーザーが TAS ホストに接続しようとしたときに誤ったサービス名を使用しました。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Configuration and Control」->「LM-NT-OS/2 Realm Status」というリンクをたどるか、tnstat コマンドを使用して、サービスステータスに正しいサービス名が含まれていることを確認してください。
クライアントが TAS ホストに接続しようとしたときに、指定したサービスが実行されませんでした。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Configuration and Control」->「LM-NT-OS/2 Realm Status」というリンクをたどるか、tnstat コマンドを使用して、そのサービスが実行されているか確認してください。実行されていなければ、「5.1.2 LM-NT-OS/2 サービスのシャットダウン」と 「5.1.1 LM-NT-OS/2 サービスの起動」に示す手順に従ってサービスを再起動してください。
ユーザーが指定したサービス名のスペルが誤っています。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」というリンクをたどるか、tnservice -l を実行して、正しいスペリングを確認してください。
NetBIOS セッション数の上限に達しています。クライアントプロトコルソフトウェアの初期設定ファイルを調べて、システムで十分な数の NetBIOS セッションが許されていることを確認してください。
サーバーが NetBIOS を実行できません。
NBname デーモンが実行されていません。NBname デーモンは、同じ NetBIOS 名を持つ別のネットワークノードが検出された場合に存在します。その場合、TAS は名前要求を無視します。ホスト上の NetBIOS エラーログ ($TNHOME/NB/log) のエラーメッセージを調べてください。必要ならば NetBIOS 名を変更し、「4.1.2 TAS サービスのシャットダウン」と 「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか、tnshut と tnstart コマンドを使用して TAS を再起動してください。
サーバーとクライアントが、NetBIOS ブロードキャストが届かない異なるネットワーク (ルーターやブリッジを介して接続された別のネットワーク) 上に存在します。「6.1 TCP/IP 構成の変更」に示す方法で TAS の ENS (Enterprise Name Server) を使用するか、tntransport を使用してください。あるいは、p ノード NetBIOS 設定を使用してルーターがブロードキャストを伝えるように構成する方法もありますが、この方法を使用するとネットワークトラフィックが著しく増大し、その結果ネットワーク容量が減少することになります。
IP アドレスの形式または値が誤っています。tniface コマンドを使用するか、「Transports」->「TCP/IP Addresses」というリンクをたどって正しい IP アドレスを確認してください。サーバーでは、ifconfig コマンドを使用して IP アドレスを調べることができます。IP アドレスは次のようにピリオドで区切られた 4 つの部分で構成されます。ここで、A、B、C、D はそれぞれ 10 進数を表します。
A.B.C.D
次の表でアドレスを確認します。
A の値 |
ネットワーク番号 |
---|---|
< 128 |
A |
128 - 191 |
A.B |
> 191 |
A.B.C |
ネットワークマスクがクライアント側とサーバー側で一致していません。IP アドレスのデフォルトのネットワークマスクを次の表に示します。
A の値 |
ネットワークマスク |
---|---|
< 128 |
255.0.0.0 |
128 - 191 |
255.255.0.0 |
> 191 |
255.255.255.0 |
ブロードキャストアドレスが正しく機能していません。本来 TCP/IP ではインターネット上でパケットを送る方法が定義されていません。そのため各社がそれぞれ異なる方法を採用したので、互換性に問題があることがあります。PC で使用されているさまざまなブロードキャスト方法を試すには、クライアント側の TCP/IP のマニュアルを参照してください。
PC の net.cfg ファイルには、ネットワークカードで使用するいくつかのフレームタイプを指定できます。ネットワークでは、パケットの送信に最初のエントリだけを使用します。サーバーホストがクライアントと同じフレームタイプを使用するように構成されていなければ、クライアントからそのサーバーが見えません。そのサーバーは、slist ユーティリティでも Windows の NetWare インタフェースでも表示できません。
この問題は、NBdaemon プロセスがアクティブでないときに起こります。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Configuration and Control」->「LM-NT-OS/2 Realm Status」というリンクをたどるか、tnstat コマンドを使用して、TAS が起動されていることを確認してください。TAS が起動していなければ、「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか、tnstart コマンドを使用して起動してください。
NetWare サーバーは、RIP (Routing Information Protocol) を使用して 60 秒ごとにルーティング情報を送り、SAP (Service Advertising Protocol) を使用して 30 秒ごとにサービス情報を送ります。大規模なネットワーク相互接続や WAN の場合は、RIP や SAP のデータベースが非常に大きくなり、低速な WAN リンクの場合にはダウンロードに要する時間の方がダウンロード間隔よりも長くなってしまう場合があります。その場合は存在するはずのボリューム、プリンタ、サーバーが表示されなかったり、ノードが見つからない場合にパケットの再ルーティングが非常に遅くなったりします。
Novell はこの問題を解決するために、RIP と SAP の代わりに、NLSP (NetWare Link State Protocol) を使用するようにしています。NLSP では、複数のネットワークインタフェースを 1 つのネットワーク番号に関係付けて、複数のネットワークセグメント上にトラフィックを分散します。ノードが見つからなければ、NLSP はただちに代替パスを設定します。NLSP はネットワークの増分マップを構築し、必要な場合にだけ更新情報を送信します。NetWare 3.11、3.12、4.11、4.12 のサーバーは NLSP をサポートしています。これらのサーバーは、RIP と SAP を使用する既存のサーバーと共存できます。
名前検索フェーズには成功しましたが、次のいずれかの理由で要求された資源をサーバー上で見つけられませんでした。
ユーザーが TAS ホストに接続しようとしたときの UNIX 名が誤っています。各レルム ->「各レルム Connected Users」->「Connection Information」というリンクをたどって正しいユーザー名を確認してください。そのとき、スペリングだけでなく大文字小文字の区別にも注意してください。各大文字の前にはチルド記号 (‾) を入力する必要があります。
NetBIOS 名の有効範囲の設定が誤っています。NetBIOS 名の有効範囲は、「Transports」->「TCP/IP NetBIOS Configuration」の「NetBIOS Name scope」属性で指定したものと一致していなければなりません。この設定は、tntransport コマンドでも調べられます。NetBIOS 名の有効範囲はデフォルトで有効範囲なしに設定されているので、「NetBIOS Name scope」属性を指定しなければ、クライアントの NetBIOS 名有効範囲は無視されます。
ユーザーが TAS ホストに接続しようとしたときに、ユーザーのホームディレクトリにある TAS の構成ファイル (.profile.file) に定義されている接続ポイントが UNIX ユーザー名またはディレクトリと一致しています。各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Attach Points」というリンクをたどるか tnattach コマンドを使用して、接続ポイント名を変更してから再接続してください。
ユーザー数制限があり、その上限に達しているディレクトリに接続しようとしました。時間をおいて再接続してください。
ユーザーが、プリンタが存在しない印刷サービスに接続しようとしました。各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」->「Printer references」というリンクをたどるか、tnservice を実行して、そのプリンタへの参照が入っているサーバー構成を確認してください。あるいは、ユーザーの .profile.file に 問題のプリンタ用の prdefault または printer コマンドが含まれていることを確認してください。
存在しないディレクトリへのパスが含まれている拡張接続を実行しようとしました。ディレクトリが存在することを確認して再接続してください。ディレクトリ構成を変更した場合は、「4.1.2 TAS サービスのシャットダウン」と 「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか、tnshut と tnstart コマンドを使用して TAS を再起動してください。
ユーザーが、クライアントコンピュータのオペレーティングシステム、NetBIOS、TCP/IP で許される接続数を超えて接続しようとしました。リダイレクション数を増やすには、nb_sessions、tcp_sockets、udp_sockets のエントリを変更します。リダイレクション数を増やしたくなければ、リダイレクションのいずれかをキャンセルして、接続し直します。
ネットワークカードのドライバが古すぎて、物理的なネットワークボードに対応していません。ネットワークボードのインタフェースソフトウェアを最新バージョンに変更してください。
この項では、エラーメッセージを伴うとはかぎらないさまざまな問題を解決する方法について説明します。
サービスパック 3 (SP3) をインストールした Windows NT 4.0、または Windows 98 では、TAS 認証エラーが発生します。ユーザーが TAS サーバーの共有ボリュームを表示したり、TAS ボリュームに接続しようとすると、次の TAS エラーが表示されます。
Incorrect password or unknown username for ¥¥serverName. |
このエラーは、ユーザーが適切な UNIX ユーザー名とパスワードを使用している場合にも発生します。
Windows NT 4.0 + SP3 および Windows 98 のクライアントは、デフォルトでセキュリティ認証を使用します。PC と TAS サーバーは、「チャレンジ・応答」交換を行うことにより、パスワードそのものをネットワーク上に送信しなくても、パスワードの有効性を確認できます。
クライアントは、パスワードを使用して、サーバーから提供された無意味な文字列をコード化し、その結果をサーバーに返します。サーバー側でもこれと同じコード化を行い、そこで無意味な文字列が一致すれば、クライアントは認証されます。
このような認証スキームをサポートするために、TAS は UNIX のパスワードファイルとは別のプライベートパスワードファイルを必要とします。セキュリティ認証を可能にするには、TAS のプライベートパスワードファイルに UNIX のユーザー名とパスワードを登録しておかなければなりません。
TAS のセキュリティ認証を可能にし、上記のエラーが発生しないようにするための手順を次に示します。
「TNAS TAS Administration and Configuration」 スフィアアイコンをクリックして、「TAS administration and configuration」 オプションを表示します。
「LM-NT-OS/2 Realm」 をクリックします。
「LM-NT-OS/2 Realm」 パネルで、「Manage File Services->」 をクリックします。
目的のファイルサービスを選択して、「Administer」 をクリックします。
次に表示される画面で、「Authentication and Service Mode Options」 をクリックします。
「Local authentication」 を有効にして、「Submit」 をクリックします。
「Password encryption」 を有効にして、「Submit」 をクリックします。
「OK」をクリックします。
TAS のプライベートパスワードファイルにエントリを設定するには、TAS フレームの次のリンクをたどります。
「Passwords」 -> UNIX ユーザー名を入力 -> 「Create」
TAS のプライベートパスワードファイルにユーザー名を入力するには、有効な UNIX アカウントを持っていなければなりません。
フォームが表示されるので、このユーザーのパスワードを入力し、確認のために再入力してから「Submit」 をクリックします。これで、このユーザーが正しく認証されるようになります。
TAS のセキュリティ認証を必要とする UNIX ユーザーごとに手順 7 〜 9 を繰り返します。
TAS クライアントには、Solaris プリンタが使用可能であるように表示されます。Solaris プリンタがマウントでき、印刷ジョブも Solaris プリンタにスプールされたように見えますが、実際にはジョブが印刷されません。
TAS の PC クライアントが Solaris プリンタで印刷できるようにするには、次の手順に従って TAS の構成を変更しなければなりません。
TNAS のメインメニュー (左フレーム) で、「System」 をクリックします。
「System Configuration and Administration」 メニュー (右フレーム) で、「Printers」 をクリックします。
変更する Solaris プリンタを選択して、「Modify」 をクリックします。
「Spooler Options」 ボックスに -c と入力して、「Submit」 をクリックします。
これで、印刷ジョブが Solaris プリンタで印刷できるようになります。
次のいずれかの理由で、ユーザーが TAS ホスト上のアプリケーションを実行できません。
アプリケーションファイルのアクセス許可により、ユーザーのアクセスが拒否されています。アプリケーションが入っているディレクトリの所有者または root でログインして、各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」->「Umask」というリンクをたどるか、tnservice コマンドを使用して、アプリケーションファイルのアクセス許可を変更します。DOS プログラムには UNIX の読み取り許可が必要なことに注意してください。
アプリケーションの属性で DOS に指定しているドライブ名と、リダイレクトされたドライブが使用するドライブ名が一致していません。
ネットワークドライブ上のプログラムを Windows の DOS プロンプトウィンドウでコンパイルすると、データが壊れたり接続が切れたりします。Windows for Workgroups と Windows 3.1 を稼動する PC では、Windows の system.ini ファイルの [386Enh] セクションに次の行を追加してください。
InDOSPolling=True
ネットワークボードによっては、複数のケーブル接続を持つものと、トランシーバを持つものがあります。物理的なハードウェアジャンパ設定がソフトウェア設定と同じ接続方法を使用できることを確認してください。
ユーザーがクライアント PC の電源を切ったりリブートしたりすると、ネットワーク接続が切れます。これがデータ転送中に起こった場合、TAS はただちにその状態を検出して関連プロセスを終了します。ところが、クライアントとサーバー間にトラフィックが存在しないときは、TAS がセッションの切断を検出するのに数分かかります。タイムアウト値はホストシステムによって異なりますが、通常は 5 分程度です。TAS はタイムアウトが発生してから関連プロセスを終了します。
デフォルトでは、TAS はホストのトランスポート層のキープアライブ機能を使用して、セッションがアクティブかどうかを調べます。telnet などの別のアプリケーションでアクティブでないセッションが終了しない場合は、トランスポートのベンダーがキープアライブ機能を提供していないことが考えられます。その場合は、各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」というリンクをたどるか、tnservice を実行して、NetBIOS のキープアライブを使用するように TAS を構成しておきます。
PC クライアントがセッションを終了する (つまり、リダイレクトしたドライブを切断する) と、関連プロセスは通常の手順でセッションを終了しようとします。このとき、name.number というファイルを $TNHOME/TAS/tn/tndb ディレクトリから削除しようとします。ここで、name はクライアント PC のマシン名、number は関連プロセスの UNIX ID 番号です。
クライアントがこのファイルを削除できなければ、ファイルは存在したままとなり、エラーメッセージが表示されることはありません。この状態で接続状態を調べるか、tnwho や tninfo コマンドを実行すると、終了したはずのクライアントが接続中と表示されます。この問題が起こったときは、回線ディレクトリからエントリを削除する srm プログラムの所有者が totalnet であること、srm のモードが 4511 であること、totalnet が回線ディレクトリを所有していること、さらに回線ディレクトリのモードが 755 であることを確認してください。
ある種の DOS コマンドの動作が正常でない場合は、次の原因が考えられます。
ユーザーがルートディレクトリに対して書き込み権限を持っていないネットワークドライブは、DOS のパイプ機能 (| が含まれるコマンド) をサポートできません。これは、DOS のパイプ機能が、カレントドライブのルートに一時ファイルを作成しようとするためです。
edlin のような DOS アプリケーションは、ファイルを更新するときに一旦削除して書き直します。そのファイルが UNIX ファイルにリンクしている場合は、リンクが削除され、独立した新規ファイルに変わってしまいます。
DOS コマンドの中には、そのコマンドからのエラーメッセージとは思えないメッセージを返すものがあります。たとえば、DOS の type コマンドは、サーバーから Access denied というメッセージを受け取ると、Invalid path or filename: というメッセージを表示します。これは、DOS からはアクセスできないファイルに対して type コマンドを実行した場合のメッセージです。サーバー上のデバイス名、パス名、ファイル名が正しいかどうか、またユーザーがそのファイルにアクセスするための権限を持っているかどうかを確認してください。
クライアント PC がリブートするとファイルロックが解除されないために、ファイルのロックとアンロックが適切に実行されないことがあります。ロックを解除するには、tnck を実行します。
クライアント側のディスクの空き容量の計算には限界があります。DOS は、ディスクデバイスがネットワークドライブを割り当てたものかローカルなものかに関係なく、64 キロバイト以上のクラスタサイズを持つドライブには対応していません。大規模な UNIX システムや、何台もの CD-ROM ドライブがマウントされたマシンでは、4 ギガバイトを超えるドライブが使用されています。DOS は、そのような大きさのドライブを扱うことはできません。
NetBIOS を起動できないときは、すべての NetBIOS プロセスが完全にシャットダウンしているか確認してください。TAS サービスをシャットダウンした後も実行されている NBname プロセスや NBdaemon プロセスを見つけるには、ps コマンドを実行します。この問題は、プロセスが正常に終了しなかった場合にだけ起こります。UNIX の kill コマンドを使用して問題のプロセスを終了してから、「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか tnstart コマンドを使用して、TAS サービスを再起動してください。
ネットワークで割り当てたドライブ間のファイルのコピー、ネットワークを使用した印刷ジョブ、リモートコマンドの実行があまりにも遅い場合は、次の原因が考えられます。
ネットワークセグメントの負荷が過剰です。ネットワークを設計し直して負荷を軽減してください。
ネットワークで生成されるブロードキャストが多すぎます。LAN をいくつかの小さいセグメントに分割することを考慮してください。
NFS が非常に多くのネットワークトラフィックを生成しています。リモートファイルシステムが NFS マウントに大きく依存している場合は、リモートホストのいくつかに TAS をインストールしてください。クライアントが TAS ホストに接続し、そのファイルサービス要求が NFS 接続を通して別のコンピュータにルーティングされると、クライアントが目的のコンピュータに直接接続する場合の倍のネットワークトラフィックが発生します。
TCP パケットバッファまたはウィンドウサイズを変更する必要があります。クライアント側での変更方法は、インストールされている TCP/IP 製品によって異なるため、クライアント側の TCP/IP マニュアルを参照してください。TAS では、tntransport コマンドを実行して、recvbuf と sendbuf の属性値を調整します。
次の原因が考えられます。
構成ファイルで行っているソフトウェア設定と、物理的なハードウェア設定に矛盾があります。どちらかを変更して両方の設定を一致させてください。
ifconfig コマンドで設定したアドレスが間違っています。ネットワークマスクと、送信および受信用の IP アドレスを確認してください。
ターゲットの IP アドレスが無効であるか、TCP スタックが実行されていません。ターゲットのコンピュータが正しく機能しているか確認してください。
ネットワークコネクタを 2 つ持つネットワークカードで、ソフトウェアと異なるタイプのネットワークコネクタが使用されています。ハードウェアまたはソフトウェアの設定を変更して、正しいコネクタを使用してください。
ネットワーク上でターミネータが不足しています。ネットワークの末端にターミネータを装着してください。
次の原因が考えられます。
ネットワークドライバがロードされていません。クライアント側で Windows 設定プログラムを実行して「Network」オプションをチェックし、正しいネットワークドライバがロードされていることを確認してください。
UNIX スプーラは、Windows for Workgroups と Windows 3.1 クライアントから送られた PostScript ファイルを正しく解釈できません。PostScript ファイルを印刷する場合、クライアントは "CTRL-D" を先頭の文字として送信します。UNIX スプーラはこのコードを処理できないので、印刷処理を終了してスプールファイルを削除してしまいます。この問題を解決するには、クライアント側で Windows の win.ini ファイルの [PostScript Printer LPT1:] セクションに次の 1 行を追加します。
CTRL-D = 0:
DOS アプリケーションによっては、プログラムを終了しないと印刷ジョブが送信されないことがあります。これは、PC が印刷ジョブをバッファリングして、アプリケーションが終了するまでスプールしないためです。