この項では、エラーメッセージを伴うさまざまな問題を解決する方法について説明します。
tn ユーティリティで表示される終了コードとその意味を次の表に示します。以下の各項では、さまざまな共通エラーメッセージについてその原因と解決方法を示します。
0 |
成功 |
1 |
使用方法 |
2 |
非互換性 |
3 |
コマンドラインの誤り |
4 |
一般的なメモリー割り当て |
5 |
無効なシステム |
6 |
レルム、システム、サービスの誤り |
7 |
アプリケーションインタフェースのエラー |
8 |
システムコールのエラー |
9 |
C ライブラリのエラー |
10 |
特定レルムのボリュームに対する無効な文字 |
11 |
特定レルムのサービスに対する無効な文字 |
12 |
指定レルムに対して長すぎるサービス名 |
13 |
アクセスの拒否。スーパーユーザのみアクセス可。 |
ユーザーがファイルの読み込み、ファイルの書き込み、プログラムの実行、ディレクトリの検索に必要な権限を持っていません。
NetWare 互換クライアントが UNIX ディレクトリにアクセスできません。ディレクトリに実行のアクセス許可ビットが設定されており、そのディレクトリがボリュームの仮想ルートの下にあることを確認してください。
ネットワークの Windows インタフェースに次のどちらかの問題があります。
正しいドライバがロードされていません。クライアント側で Windows 設定プログラムを実行して「Network」オプションをチェックし、正しいネットワークドライバがロードされていることを確認してください。たとえば、Microsoft 互換クライアントでは、「Microsoft Network」と表示されるはずです。そのように表示されなければ、「Options」メニューの「Change System Settings」をクリックして、「Network」リストから正しいドライバを選択してください。
Windows のファイルマネージャを使用してドライブが接続されており、既存のファイルマネージャにその設定が保存されています。ユーザーは Windows のコントロールパネルの「ネットワーク」で起動時に再接続するよう選択しており、その結果 DOS のためのドライブ名が別の名前にリダイレクトされています。
TAS 起動時のシステムソケットコールが次のいずれかの理由で失敗しました。
NetBIOS がシャットダウンされていません。UNIX オペレーティングシステムに NetBIOS が含まれている場合は、TAS を起動する前に NetBIOS をシャットダウンしてください。
システムが自分のソケットをすべて使い切っています。
別のプロセスが予約されている NetBIOS ポートの 1 つを使用しています。
サーバーは UNIX オペレーティングシステムを使用してユーザーの認証を行うので、UNIX ホストに存在するユーザーアカウントでなければログインできません。Novell サーバーのシステム管理者はデフォルトでスーパーバイザーになっています。UNIX では root になります。一般に UNIX オペレーティングシステムを管理する場合は、root でログインする必要があります。
サーバーがユーザー名とパスワードを正当なものと認めませんでした。ユーザ名とパスワードが次の要件を満たしていることを確認してください。
正しいスペリング
大文字を入力するときの正しい形式。各大文字の前にチルド記号 (‾) を入力する必要があります。
次のシステム制限
NetBIOS では最大 14 文字
TAS の NetWare では最大 30 文字
AppleTalk では最大 8 文字
8 文字より長いアカウント名やパスワードを持つユーザーは、接続が難しい場合があります。多くの UNIX システムでは、パスワードの最初の 8 文字だけが有効なので、パスワードを入力するときは最初の 8 文字だけで接続できます。
パスワードの有効期限を設定できるシステムでは、パスワードの有効期限が切れていることがあります。その場合は、UNIX ホストのコンソールか telnet などの端末エミュレータでログインし、パスワードを更新してください。
ユーザー名リストによる制限。次のリンクをたどります。
各レルム ->「Manage File Services」-> [ファイルサービスを選択] ->「Administer」->「Authentication and Service Mode Options」
LM-NT-OS/2 レルムか NetWare レルムを選択した場合は、認証タイプを選択します。次に表示される画面で「User restrictions」をチェックします。「Allow」を選択した「Users」フィールドに目的のユーザー名が表示されていなければ、そのユーザー名を追加します。「Deny」を選択した「Users」フィールドに目的のユーザー名が表示されていれば、そのユーザー名を削除します。
名前検索フェーズには成功しましたが、次のいずれかの理由で接続要求がシステムで拒否されました。
クライアント PC のリブートなどが原因で接続が異常終了した直後に、同じユーザーが TAS ホストに再接続しようとしましたが、前回の接続定義ファイルがまだ残っています。tnck を実行してください。
ユーザーがサービスに接続しようとしましたが、サービス定義ファイルに不当なコマンドが含まれています。
TAS が新しい接続要求を拒否するように設定されています。TAS が接続要求を受け付けるようにするには、次のリンクをたどります。
「System」->「System Administration」->「Accept Service Connections」->「OK」
UNIX コマンドラインからサービスを受け付けるようにするには、tnaccept コマンドを使用します。
TAS の最大ユーザー数を超えています。1 つのクライアントが同名のサービスに複数の接続を行っても 1 ユーザーとカウントされますが、別のサービスへの接続は同じユーザーからでもそれぞれ 1 ユーザーとしてカウントされます。ライセンスを追加購入するには、Sun Microsystems の担当者に連絡してください。
評価版 TAS の使用期限を過ぎています。
tninfo の出力中に存在しない接続が表示されています。tninfo からの出力では、通常 1 つの Ethernet アドレスに対し 1 つの接続しか表示されないはずですが、サーバーが接続の終了を確認できないときは、複数の接続が表示されることがあります。一般にこの問題は、クライアントがログアウトせずに PC の電源を切ったりリブートしたときに、接続が正常に終了しなかったことが原因で発生します。
このような形だけ残っている接続を検出するには、LM-NT-OS/2 レルムまたは NetWare レルムのキープアライブ機能を有効にします。そうすると、サーバーは Novell のウォッチドッグパケットとよく似たキープアライブパケットを送信して、接続状態が続いているクライアントを検出します。サーバーは最初のキープアライブパケットを送信した後、10 分間隔で次のパケットを送信しますが、この間に応答がない接続は無効とみなして接続データベースを更新します。データベースが更新されると、存在しない接続は tninfo の出力から消えます。
キープアライブ機能を有効にするには、次のリンクをたどります。
各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」
「Keepalive」フィールドに、キープアライブパケットの送信間隔 (分単位) を入力します。
UNIX コマンドラインからキープアライブ機能を有効にするには、次のコマンドを実行します。ここで、n はサーバーが接続を確立してから最初のキープアライブパケットを送信するまでの待ち時間 (分単位) です。
tnservice -M -r NW -s nwhera:file -a keepalive=n |
クライアントコマンドで指定したドライブ名に誤りがあります。この問題は、クライアントがフロッピーディスクドライブやハードディスクドライブのパーティションなどのローカルドライブをリダイレクトしようとした場合に起こります。
ユーザーが、ドライブを印刷デバイスにリダイレクトしようとしたり、プリンタポートをディレクトリにリダイレクトしようとしました。
クライアントが NetBIOS 名への要求をブロードキャストしたときに、次のいずれかの理由でサーバーから応答を受け取れませんでした。
ユーザーが TAS ホストに接続しようとしたときに誤ったサービス名を使用しました。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Configuration and Control」->「LM-NT-OS/2 Realm Status」というリンクをたどるか、tnstat コマンドを使用して、サービスステータスに正しいサービス名が含まれていることを確認してください。
クライアントが TAS ホストに接続しようとしたときに、指定したサービスが実行されませんでした。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Configuration and Control」->「LM-NT-OS/2 Realm Status」というリンクをたどるか、tnstat コマンドを使用して、そのサービスが実行されているか確認してください。実行されていなければ、「5.1.2 LM-NT-OS/2 サービスのシャットダウン」と 「5.1.1 LM-NT-OS/2 サービスの起動」に示す手順に従ってサービスを再起動してください。
ユーザーが指定したサービス名のスペルが誤っています。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」というリンクをたどるか、tnservice -l を実行して、正しいスペリングを確認してください。
NetBIOS セッション数の上限に達しています。クライアントプロトコルソフトウェアの初期設定ファイルを調べて、システムで十分な数の NetBIOS セッションが許されていることを確認してください。
サーバーが NetBIOS を実行できません。
NBname デーモンが実行されていません。NBname デーモンは、同じ NetBIOS 名を持つ別のネットワークノードが検出された場合に存在します。その場合、TAS は名前要求を無視します。ホスト上の NetBIOS エラーログ ($TNHOME/NB/log) のエラーメッセージを調べてください。必要ならば NetBIOS 名を変更し、「4.1.2 TAS サービスのシャットダウン」と 「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか、tnshut と tnstart コマンドを使用して TAS を再起動してください。
サーバーとクライアントが、NetBIOS ブロードキャストが届かない異なるネットワーク (ルーターやブリッジを介して接続された別のネットワーク) 上に存在します。「6.1 TCP/IP 構成の変更」に示す方法で TAS の ENS (Enterprise Name Server) を使用するか、tntransport を使用してください。あるいは、p ノード NetBIOS 設定を使用してルーターがブロードキャストを伝えるように構成する方法もありますが、この方法を使用するとネットワークトラフィックが著しく増大し、その結果ネットワーク容量が減少することになります。
IP アドレスの形式または値が誤っています。tniface コマンドを使用するか、「Transports」->「TCP/IP Addresses」というリンクをたどって正しい IP アドレスを確認してください。サーバーでは、ifconfig コマンドを使用して IP アドレスを調べることができます。IP アドレスは次のようにピリオドで区切られた 4 つの部分で構成されます。ここで、A、B、C、D はそれぞれ 10 進数を表します。
A.B.C.D
次の表でアドレスを確認します。
A の値 |
ネットワーク番号 |
---|---|
< 128 |
A |
128 - 191 |
A.B |
> 191 |
A.B.C |
ネットワークマスクがクライアント側とサーバー側で一致していません。IP アドレスのデフォルトのネットワークマスクを次の表に示します。
A の値 |
ネットワークマスク |
---|---|
< 128 |
255.0.0.0 |
128 - 191 |
255.255.0.0 |
> 191 |
255.255.255.0 |
ブロードキャストアドレスが正しく機能していません。本来 TCP/IP ではインターネット上でパケットを送る方法が定義されていません。そのため各社がそれぞれ異なる方法を採用したので、互換性に問題があることがあります。PC で使用されているさまざまなブロードキャスト方法を試すには、クライアント側の TCP/IP のマニュアルを参照してください。
PC の net.cfg ファイルには、ネットワークカードで使用するいくつかのフレームタイプを指定できます。ネットワークでは、パケットの送信に最初のエントリだけを使用します。サーバーホストがクライアントと同じフレームタイプを使用するように構成されていなければ、クライアントからそのサーバーが見えません。そのサーバーは、slist ユーティリティでも Windows の NetWare インタフェースでも表示できません。
この問題は、NBdaemon プロセスがアクティブでないときに起こります。「LM-NT-OS/2 Realm」->「Configuration and Control」->「LM-NT-OS/2 Realm Status」というリンクをたどるか、tnstat コマンドを使用して、TAS が起動されていることを確認してください。TAS が起動していなければ、「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか、tnstart コマンドを使用して起動してください。
NetWare サーバーは、RIP (Routing Information Protocol) を使用して 60 秒ごとにルーティング情報を送り、SAP (Service Advertising Protocol) を使用して 30 秒ごとにサービス情報を送ります。大規模なネットワーク相互接続や WAN の場合は、RIP や SAP のデータベースが非常に大きくなり、低速な WAN リンクの場合にはダウンロードに要する時間の方がダウンロード間隔よりも長くなってしまう場合があります。その場合は存在するはずのボリューム、プリンタ、サーバーが表示されなかったり、ノードが見つからない場合にパケットの再ルーティングが非常に遅くなったりします。
Novell はこの問題を解決するために、RIP と SAP の代わりに、NLSP (NetWare Link State Protocol) を使用するようにしています。NLSP では、複数のネットワークインタフェースを 1 つのネットワーク番号に関係付けて、複数のネットワークセグメント上にトラフィックを分散します。ノードが見つからなければ、NLSP はただちに代替パスを設定します。NLSP はネットワークの増分マップを構築し、必要な場合にだけ更新情報を送信します。NetWare 3.11、3.12、4.11、4.12 のサーバーは NLSP をサポートしています。これらのサーバーは、RIP と SAP を使用する既存のサーバーと共存できます。
名前検索フェーズには成功しましたが、次のいずれかの理由で要求された資源をサーバー上で見つけられませんでした。
ユーザーが TAS ホストに接続しようとしたときの UNIX 名が誤っています。各レルム ->「各レルム Connected Users」->「Connection Information」というリンクをたどって正しいユーザー名を確認してください。そのとき、スペリングだけでなく大文字小文字の区別にも注意してください。各大文字の前にはチルド記号 (‾) を入力する必要があります。
NetBIOS 名の有効範囲の設定が誤っています。NetBIOS 名の有効範囲は、「Transports」->「TCP/IP NetBIOS Configuration」の「NetBIOS Name scope」属性で指定したものと一致していなければなりません。この設定は、tntransport コマンドでも調べられます。NetBIOS 名の有効範囲はデフォルトで有効範囲なしに設定されているので、「NetBIOS Name scope」属性を指定しなければ、クライアントの NetBIOS 名有効範囲は無視されます。
ユーザーが TAS ホストに接続しようとしたときに、ユーザーのホームディレクトリにある TAS の構成ファイル (.profile.file) に定義されている接続ポイントが UNIX ユーザー名またはディレクトリと一致しています。各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Attach Points」というリンクをたどるか tnattach コマンドを使用して、接続ポイント名を変更してから再接続してください。
ユーザー数制限があり、その上限に達しているディレクトリに接続しようとしました。時間をおいて再接続してください。
ユーザーが、プリンタが存在しない印刷サービスに接続しようとしました。各レルム ->「Manage File Services」-> [サービスを選択] ->「Administer」->「Configuration」->「Printer references」というリンクをたどるか、tnservice を実行して、そのプリンタへの参照が入っているサーバー構成を確認してください。あるいは、ユーザーの .profile.file に 問題のプリンタ用の prdefault または printer コマンドが含まれていることを確認してください。
存在しないディレクトリへのパスが含まれている拡張接続を実行しようとしました。ディレクトリが存在することを確認して再接続してください。ディレクトリ構成を変更した場合は、「4.1.2 TAS サービスのシャットダウン」と 「4.1.1 TAS サービスの開始」に示す手順に従うか、tnshut と tnstart コマンドを使用して TAS を再起動してください。
ユーザーが、クライアントコンピュータのオペレーティングシステム、NetBIOS、TCP/IP で許される接続数を超えて接続しようとしました。リダイレクション数を増やすには、nb_sessions、tcp_sockets、udp_sockets のエントリを変更します。リダイレクション数を増やしたくなければ、リダイレクションのいずれかをキャンセルして、接続し直します。
ネットワークカードのドライバが古すぎて、物理的なネットワークボードに対応していません。ネットワークボードのインタフェースソフトウェアを最新バージョンに変更してください。