Sun WorkShop TeamWare ユーザーズガイド

構築のカスタマイズ

make オプションの変更、構築モードの指定、メークファイルマクロの使用、または環境変数の使用により、構築をカスタマイズできます。構築をカスタマイズするには、「構築」⇒「ターゲットを編集」を選択して、リストから TeamWare ターゲットを 1 つ選択します。「ターゲットの編集」ダイアログが開きます。必要な変更を加えたら、「構築」ボタンをクリックして、新しい設定で TeamWare ターゲットを再構築します。

make オプションの指定

make オプションの指定には、「オプション」ダイアログ (図 16-3 参照) を使用します。

図 16-3 「オプション」ダイアログ

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「カテゴリ」リスト 

make オプションのカテゴリを選択します。 

「了解」ボタン 

変更内容を適用してダイアログを終了します。 

「適用」ボタン 

変更内容を適用するだけでダイアログは終了しません。 

「取消し」ボタン 

変更内容を適用せずにダイアログを終了します。 

「ヘルプ」ボタン 

このダイアログに関するオンラインヘルプが表示されます。 

表 16-1 に、「オプション」ダイアログを使用して設定できるオプションについて説明します。

表 16-1 「オプション」ダイアログで設定できるオプション

カテゴリ 

オプション 

基本 

コマンド行への入力を表示するだけで実行はしません (-n)。

 

エラーが発生した場合は、依存関係のツリーのうち、そのターゲットに依存しない分岐について実行を継続します (-k)。

コマンドの実行と 表示 

make でそのターゲットを再構築する理由を表示します。選択されたターゲットよりも新しい依存ファイルがあれば、それらもすべて表示されます。make の表示オプションは、MAKEFLAGS 環境変数からも読み込まれます (-d)。

 

依存関係の検査および処理に関する詳細情報を表示します (-as)。

 

読み込まれたメークファイルのテキストを表示します (-D)。

 

メークファイルのテキスト、make.rules ファイル、状態ファイル、およびすべての隠し依存関係レポートを表示します (-DD)。

 

サイレントモード。実行前にコマンド行を表示しません。特殊関数ターゲット .SILENT: と同義です (-s)。

実行せず表示する だけのオプション 

マクロ定義とターゲット記述の完全セットを印刷します (-p)。

依存関係のレポートだけを作成し、構築は行いません (-P)。

 

クエスチョンモード。ターゲットファイルが最新の状態であるかどうかに応じて、ゼロまたはゼロ以外のステータスコードを返します (-q)。

その他 

規則に従わずにターゲットファイルを操作します (ターゲットを外見上だけ最新の状態にします)。ファイルを複数のユーザーが管理している場合にこの処理を行うと危険です。このオプションは、メークファイルに .KEEP_STATE: ターゲットが現れたとき、規則に従っているかのように、状態ファイルを更新します (-t)。

 

デフォルトのメークファイル /usr/share/lib/make/make.rules にあるデフォルトの規則を使用しません (-r)。

 

メークファイル内のマクロ変数を環境変数で上書きします (-e)。

 

コマンドから返されたエラーコードを無視します。特殊関数ターゲット .IGNORE: と同義です (-i)。

分散メーク 

モード: 実行する make プロセスの種類を逐次、並列、または分散の中から選択します (「構築モードの指定」を参照) (-m)。

 

最大ジョブ数: 構築サーバーに分散する最大ジョブ数を指定します (-j)。

 

実行時の構成ファイル: 実行時の構成ファイルを指定します。 

 

構築サーバーグループ: ジョブを分散する構築サーバーグループの名前を指定します。 

 

一時出力ディレクトリ: 一時的な出力を書き込むディレクトリの名前を指定します。 

make オプションを指定するには:

  1. 「オプション」ボタンをクリックして「オプション」ダイアログを開きます。

  2. 「オプション」ダイアログで、使用するオプションを選択します。

    「カテゴリ」リストをクリックして make オプションを選択します。「オプション」ダイアログには、make および dmake のすべてのオプションを指定できます。分散メークオプションについての詳細は、「構築モードの指定」を参照してください。

  3. 「了解」ボタンをクリックして、指定したオプションを適用します。「ターゲットの編集」ダイアログで「構築」ボタンをクリックして構築を開始します。

    make オプションは、「構築」メニューの「新規ターゲット」を選択すると表示される「ターゲットの新規定義」ダイアログでも指定できます。

構築モードの指定

dmake のデフォルトの構築モードを逐次から並列または分散に変更するには:

  1. 「オプション」ボタンをクリックして「オプション」ダイアログを開きます。

  2. 「カテゴリ」リストから「分散メーク」カテゴリを選択します。

  3. 使用する構築モードをクリックし、必要に応じてフィールドに値を入力します (図 16-4 参照)。

  4. 「了解」ボタンをクリックして、指定したオプションを設定します。「ターゲットの編集」ダイアログで「構築」ボタンをクリックして構築を開始します。

    図 16-4 構築モードの「オプション」ダイアログ

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逐次モード

逐次モードで構築を実行するには、「逐次」ラジオボタンをクリックします。フィールドへの入力は必要ありません。

並列モード

並列モードで構築を実行するには、「並列」ラジオボタンをクリックします。「最大ジョブ数」フィールドに、実行する構築ジョブの最大数を入力します。最大ジョブ数を指定しない場合、dmake はデフォルト値の 2 を使用します。

分散モード

分散モードで構築を実行するには、「分散」ラジオボタンをクリックします。「最大ジョブ数」フィールドに、実行する構築ジョブの最大数を入力します。最大ジョブ数を指定しない場合、グループ内の各サーバーに対して指定された最大ジョブ数の合計を使用します。

「実行時の構成ファイル」フィールドに表示されているデフォルトのファイル名およびディレクトリを使用しない場合は、このフィールドに、使用する .dmakerc ファイル (「.dmakerc ファイル」を参照) の名前またはパスを入力します。

「構築サーバーグループ」フィールドにグループ名を入力しない場合、dmake.dmakerc ファイルにリストされている最初のグループを使用します。分散モードで実行する際、dmake は次の順番で各グループにジョブを分散します。

  1. コマンド行で -g オプションに対する引数として指定されたグループ

  2. DMAKE_GROUP メークファイルマクロによって指定されたグループ

  3. DMAKE_GROUP 環境変数によって指定されたグループ

  4. 実行時構成ファイルで最初に指定されたグループ

「一時出力ディレクトリ」フィールドに表示されているデフォルトのディレクトリ名および位置を使用しない場合は、このフィールドに、出力ディレクトリの名前を入力します。

分散構築についての詳細は、「分散構築の実行」を参照してください。

メークファイルマクロの使用

メークファイルマクロを使用すると、1 つの記述ファイル内で複数回使用されるファイルまたはコマンドオプションの参照に便利です(マクロ定義についての詳細は、『Sun WorkShop 入門』の付録 B を参照してください)。

「メークのマクロ」ダイアログ (図 16-5) を使用すると、TeamWare ターゲットの「持続的構築マクロ」リスト内のメークファイルマクロを追加または削除したり、リスト内のメークファイルマクロに値を再割り当てしたりすることができます。現在メークファイルに定義されているマクロをリストに追加し、それらの値に上書きすることもできます。

「持続的構築マクロ」リスト内のすべてのマクロがワークセットとともに保存されます。

「メークのマクロ」ダイアログを開くには、「ターゲットの編集」ダイアログの「マクロ」ボタンをクリックします。

図 16-5 「メークのマクロ」ダイアログ

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「持続的構築マクロ」 リスト 

ワークセットとともに保存するマクロがリストされます。 

「詳細/隠す」ボタン 

「詳細」ボタンをクリックすると「フィルタ」フィールドおよび「メークファイル中のマクロ」リストの区画が開き、「隠す」ボタンをクリックするとこの区画が閉じます。「詳細」ボタンと「隠す」ボタンはクリックで切り替わります。 

「<<追加」ボタン 

「メークファイル中のマクロ」リスト内のマクロを「持続的構築マクロ」リストに追加します。 

「名前」フィールド 

新しいマクロに名前を割り当てたり、「持続的構築マクロ」リスト内の選択されたマクロの名前を変更したりすることができます。 

「値」フィールド 

「名前」フィールドで名前を指定したマクロに値を割り当てます。 

「追加」ボタン 

「名前」フィールドおよび「値」フィールドで定義したマクロを「持続的構築マクロ」リストに追加します。 

「変更」ボタン 

「名前」フィールドおよび「値」フィールドの値を、「持続的構築マクロ」リスト内の選択されたマクロに適用します。 

「削除」ボタン 

「持続的構築マクロ」リスト内の選択されたマクロを削除します。 

「すべてを削除」ボタン 

「持続的構築マクロ」リスト内のすべてのマクロを削除します。 

「消去」ボタン 

「名前」フィールドおよび「値」フィールドをクリアします。 

「フィルタ」フィールド 

「持続的構築マクロ」リストの内容に対するフィルタに使用する検索パターンを入力します。 

「メークファイル中のマクロ」リスト 

現在のワークセットのメークファイルに定義されているマクロがリストされます。 

「了解」ボタン 

変更内容を適用してダイアログを終了します。 

「適用」ボタン 

変更内容を適用するだけでダイアログは終了しません。 

「取消し」ボタン 

変更内容を適用せずにダイアログを終了します。 

「ヘルプ」ボタン 

このダイアログに関するオンラインヘルプが表示されます。 

マクロの追加

「持続的構築マクロ」リストにマクロを追加するには:

  1. 「名前」フィールドにマクロ名を入力します。

  2. 「値」フィールドに、追加するマクロに対する値を入力します。

    入力を誤った場合は、「消去」ボタンをクリックすると、「名前」フィールドおよび「値」フィールドの内容がクリアされます。

  3. 「追加」ボタンをクリックすると、新しいマクロがリストに追加されます。

  4. 必要に応じて、上の 3 つの手順を繰り返してほかのマクロも追加します。

  5. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

マクロの削除

「持続的構築マクロ」リストからマクロを削除するには:

  1. リストからマクロを選択します。

  2. 「削除」ボタンをクリックします (リスト内のすべてのマクロを削除するには「すべてを削除」ボタンをクリックします)。

  3. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

マクロの変更

「持続的構築マクロ」リスト内のマクロの値を変更するには:

  1. リストからマクロを選択します。

  2. 「値」フィールドに新しい値を入力して、「変更」ボタンをクリックします。

  3. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

  4. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい値を使用して構築が開始されます。

メークファイルマクロの表示および上書き

「持続的構築マクロ」リスト内のマクロ定義は、メークファイル内の同名のマクロに上書されます。

現在のマクロ定義を表示するには、「詳細」ボタンをクリックして「メークファイル中のマクロ」リストを開きます。このリストには、現在の構築ターゲットに対するメークファイルに定義されているすべてのマクロが表示されます。「フィルタ」フィールドを使用してリストにフィルタをかけることができます。

メークファイルマクロの値を上書きするには:

  1. 「メークファイル中のマクロ」リストからマクロを選択します。

  2. 「<<追加」ボタンをクリックすると、選択したマクロが「持続的構築マクロ」リストに追加されます。

  3. 「値」フィールドに新しい値を入力して、「変更」ボタンをクリックします。

  4. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

    「持続的構築マクロ」リスト内のマクロ定義が、メークファイル内の同名のマクロに上書きされ、ワークセットとともに保存されます。

  5. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい値を使用して構築が開始されます。

環境変数の使用

構築に使用する環境変数を指定できます。構築の開始時に、指定した環境変数に対する setenv コマンドが構築コマンドに付加されます。

「環境変数」ダイアログを使用すると、TeamWare ターゲットの「持続的環境変数」リスト内の環境変数を追加または削除したり、リスト内の環境変数に対して値を割り当てたりすることができます。

「持続的環境変数」リスト内のすべてのマクロがワークセットとともに保存されます。


注 -

プログラム構築用の「持続的環境変数」リストは、『Sun WorkShop 入門』の第 5 章に記述されている、プログラム実行用の「持続的環境変数」リストと異なります。


「環境変数」ダイアログを開くには、「ターゲットの編集」ダイアログの「環境変数」ボタンをクリックします。

環境変数の追加

「持続的環境変数」リストに環境変数を追加するには:

  1. 「名前」フィールドに環境変数名を入力します。

  2. 「値」フィールドに変数の値を入力します。

    入力を誤った場合は、「消去」ボタンをクリックすると、「名前」フィールドおよび「値」フィールドの内容がクリアされます。

  3. 「追加」ボタンをクリックすると、入力した環境変数が「持続的環境変数」リストに追加されます。

  4. 必要に応じて、上の 3 つの手順を繰り返してほかの環境変数も追加します。

  5. 「了解」ボタンをクリックしてダイアログを終了します。

環境変数の削除

「持続的環境変数」リストから環境変数を削除するには:

  1. リストから変数を選択します。

  2. 「削除」ボタンをクリックします (リスト内のすべての環境変数を削除するには「すべてを削除」ボタンをクリックします)。

  3. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

環境変数の値の変更

「持続的環境変数」リスト内のマクロの値を変更するには:

  1. リストから環境変数を選択します。

  2. 「値」フィールドに新しい値を入力して、「変更」ボタンをクリックします。

  3. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

  4. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい構築環境で構築が開始されます。

環境変数の表示および上書き

「持続的環境変数」リスト内の環境変数定義は、現在の TeamWare プロセス環境の同名の環境変数に上書きされます。

現在の TeamWare プロセス環境変数の定義を表示するには、「詳細」ボタンをクリックして「現在の環境」リストを開きます。このリストには、現在 TeamWare プロセス環境で定義されているすべての環境変数が表示されます。「フィルタ」フィールドを使用してリストにフィルタをかけることができます。

環境変数の値を上書きするには:

  1. 「現在の環境」リストから環境変数を選択します。

  2. 「<<追加」ボタンをクリックすると、選択した環境変数が「持続的環境変数」リストに追加されます。

  3. 「値」フィールドに新しい値を入力して、「変更」ボタンをクリックします。

  4. 「了解」ボタンをクリックして、変更内容を適用してダイアログを終了します。

    「持続的環境変数」リスト内の環境変数定義が、現在の TeamWare プロセス環境の環境変数定義に上書きされ、ワークセットとともに保存されます。

  5. 「ターゲットの編集」ダイアログの「構築」ボタンをクリックすると、新しい値を使用して構築が開始されます。