Sun Java System Portal Server 7.2 管理ガイド

Portal Server コミュニティーの概要

この節の内容は、次のとおりです。

アクセス制御の管理

「コミュニティー」の概念は、広く公開されていてすべての人が情報にアクセスできる、というように一般的には理解されていますが、コミュニティーの周辺にアクセス制御を確立することへのニーズは大きなものがあります。企業ベースのコミュニティーの場合のように、特定のコミュニティーへの参加に制限を設けることが必要な場合があります。また、このようなコミュニティーに投稿されるデータについて、非公開でセキュリティー保護された状態を維持することが必要な場合もあります。この節では、使用可能なアクセス制御設定と、それらの設定の一般的な構成について説明します。

使用可能な設定

次に示すコミュニティーの 3 つの側面には、コミュニティーの要件に応じてアクセス制御を設定することができます。

メンバーシップアクセス
  • 制限なしのメンバーシップ (公開): メンバーシップ制限のないコミュニティーには、すべての人が自由に参加できます。

  • 制限付きメンバーシップ (非公開): メンバーシップ制限付きのコミュニティーでは、ユーザーは (コミュニティーの所有者に) 参加要求を出し、メンバーシップの付与または拒否の判断を受ける必要があります。また、1 人以上のユーザーを所有者がコミュニティーに招待、または明示的に追加することもできます。

コミュニティーリスト
  • リスト対象 (公開): コミュニティーはコミュニティーカテゴリに登録され、すべての人が参照および検索できます。

  • リスト対象外 (非公開): コミュニティーは検索できず、コミュニティーカテゴリで参照されません。

セキュリティー保護コンテンツ
  • セキュリティー保護なし (公開): コミュニティーに投稿されるデータは、メンバー以外にも検索およびアクセスされる可能性があります。

  • セキュリティー保護 (非公開): コミュニティーに投稿されるすべてのデータは厳重に保護され、メンバーのみが検索およびアクセス可能です。

一般的な構成

コミュニティー所有者またはシステム管理者は、コミュニティーの作成中または作成後に、アクセス制御のさまざまな側面を制御できます。「使用可能な設定」で説明されている各設定は互いに独立しています。ある設定に対して何らかのオプションを選択しても、ほかの設定の動作または選択には影響が及びません。たとえば、(制限なしの) メンバーシップを持つコミュニティーをリスト対象外にしたり、そのコンテンツをセキュリティー保護したりすることができます。コミュニティーの所有者は、コミュニティーの性質に基づいてアクセス制御をカスタマイズできます。ここでは、最も一般的な 2 つの構成について説明します。

公開コミュニティー

公開コミュニティーは、すべての人が自由に参加したり、メンバーシップを取得したりできます。コミュニティーはコミュニティーカテゴリにリストされ、すべての人が参照および検索できます。コミュニティーに投稿されたコンテンツも、すべての人が検索およびアクセス可能です。

以前のリリースの Portal Server ソフトウェアで作成されたコミュニティーは公開コミュニティーとみなされ、システムをこのリリースの Portal Server ソフトウェアにアップグレードしたとき、公開コミュニティーと同様に扱われます。

非公開コミュニティー

非公開コミュニティーは、セキュリティー保護が最も強固なコミュニティーです。非公開コミュニティーはコミュニティーカテゴリに表示されないため、参照も検索もできません。非公開コミュニティーは、リスト対象外で、セキュリティー保護さ れ、制限付きのメンバーシップを持つコミュニティーです。コミュニティー所有者はユーザーをコミュニティーに招待、または手動で追加できます。コミュニティーのコンテンツはメンバー以外から保護され、メンバー以外は投稿されたコンテンツを表示または検索できません。

メンバーシップの管理

ユーザーにはコミュニティー内で複数の異なるロールを割り当てることができます。2 つの主要ロールは OWNER (所有者) と MEMBER (メンバー) です。MEMBER ロールのユーザーは、通常のメンバー権限のすべてを持ちます。そのユーザーに OWNER ロールをさらに割り当てた場合、ユーザーにはコミュニティーを管理するための追加権限も付与されます。権限およびユーザーに表示されるコンテンツは、ユーザーに割り当てられたロールのそれぞれに対応するディスプレイプロファイルをマージすることによって制御されます。各コミュニティーロールのディスプレイプロファイルテンプレートを設計する際、システム管理者は細心の注意を払う必要があります。詳細については、コミュニティーテンプレートに関する章を参照してください。

メンバー以外のユーザーに対しては VISITOR ロールが暗黙的に想定され、結果として、メンバー以外のユーザーが特定のコミュニティーページを訪れるたびに visitor.xml がマージされます。ユーザーが明示的ロールを持っていない、または BANNED、INVITED、PENDING、REJECTED などの一時的ロールを持っているとき、そのユーザーはメンバーでないとみなされます。

制限付きメンバーシップのワークフロー

非公開またはメンバーシップ制限付きのコミュニティーにユーザーが参加するためには、そのコミュニティーに興味のあるユーザーがメンバーシップ要求を出す必要があります。要求を受けたコミュニティー所有者は、その要求を承認または拒否します。要求が承認されると、ユーザーはただちにコミュニティーのメンバーになります。一方、要求が拒否されたユーザーは、ポータルにログインしたときに拒否の通知を受け取り、拒否を確認した時点でビジター状態に戻ります。拒否されたユーザーは、あとで再び要求を送信することができます。ユーザーがメンバーシップ要求を送信することも望ましくない場合、所有者は特定のユーザーを禁止することができます。

VISITOR	--メンバーシップを要求-->	PENDING/VISITOR-->	承認-->	MEMBER
VISITOR	--メンバーシップを要求-->	PENDING/VISITOR-->	拒否
																							|
																	-->REJECTED/VISITOR	--確認-->	V
																	ISITOR

ユーザーの招待

コミュニティーの所有者は、コミュニティーへの参加招待をユーザーに送信できます。招待を受けたユーザーは、ポータルにログインしたときに招待を確認できます。その時点で、招待を受け入れるか拒否するかを選択できます。

VISITOR-->		招待-->	INVITED/VISITOR-->	承認-->	MEMBER
VISITOR-->		招待-->	INVITED/VISITOR-->	拒否-->	VISITOR

システムが適切に設定されていれば、招待メッセージは、招待を受けるユーザーに電子メールで送信されます。ユーザーが電子メールで招待を受け取るためには、そのユーザーのポータルで適切に設定された電子メールアドレスが必要です。

ユーザーの禁止

禁止とは、特定のユーザーによるコミュニティーへのアクセスを所有者が禁止できるプロセスのことです。メンバーおよびメンバー以外のユーザーに加えて、所有者についてもコミュニティーへの参加を禁止することができます。メンバーシップ制限付きのコミュニティーの場合、禁止されたユーザーはコミュニティーへの参加要求を送信することもできません。

所有者は禁止されたユーザーの禁止状態を取り消すことができ、その際にそのユーザーの以前の権限が回復されます。禁止される前にユーザーがコミュニティーのメンバーであった場合、ユーザーは禁止を取り消されたあとでメンバーになります。同様に、コミュニティーから禁止されていた所有者が禁止を取り消されると、再びそのコミュニティーの所有者になります。

MEMBER-->				禁止-->	BANNED/VISITOR-->		禁止取り消し-->	MEMBER
OWNER/MEMBER-->		禁止-->	BANNED/VISITOR-->		禁止取り消し-->	OWNER/MEMBER

コミュニティー状態の管理

この節では次の内容について説明します。

コミュニティーの有効化と無効化

ポータル管理者は、Portal Server 管理コンソールまたは psadmin CLI を使用して、コミュニティーを無効にすることができます。同様に、ポータル管理者だけが、無効にされたコミュニティーを有効にできます。無効化されたコミュニティーには、メンバーおよび所有者を含めすべてのユーザーがアクセスできなくなります。無効化されたコミュニティーに投稿されたコンテンツを検索しても、結果は返されません。デフォルトでは、新しく作成されたコミュニティーは有効な状態です。

無効化されたコミュニティーのユーザーへの表示形式を指定するには、disabled.xml テンプレートを使用します。コミュニティーテンプレートのディスプレイプロファイルについて理解するには、「コミュニティーテンプレートについて」を参照してください。

コミュニティーの削除と復元

コミュニティー所有者またはシステム管理者はコミュニティーを削除できます。コミュニティーが削除されると、コミュニティー自体、およびそのコミュニティーに付随するデータにアクセスできなくなります。ただし、バックエンドの記憶領域にはまだデータが残っているため、必要に応じてコミュニティーを復元することができます。削除したコミュニティーの復元タスクはポータル管理者が実行します。この復元機能は、悪意による、または意図しないコミュニティーの削除を取り消す目的で提供されています。削除は永続的なものではないため、同じ名前で新しいコミュニティーを作成することはできません。現時点で、コミュニティーの永続的かつ持続的な削除はサポートされていません。ただし、psadmin サブコマンド destroy-community を使用することでコミュニティーを永続的に削除できます。

削除されたコミュニティーのユーザーへの表示形式を指定するには、deleted.xml テンプレートを使用します。コミュニティーテンプレートのディスプレイプロファイルについて理解するには、「コミュニティーテンプレートについて」を参照してください。

カテゴリの管理

コミュニティーの作成および参照で使用されるカテゴリツリーは、検索サーバーの分類によって提供されます。カテゴリの管理方法については、「カテゴリの管理」を参照してください。