Oracle Warehouse Managementユーザー・ガイド リリース12.1 B70970-01 | 目次 | 前へ | 次へ |
この章の内容は次のとおりです。
クロスドックとは、インバウンド受入を使用してアウトバウンド需要を満たすことです。クロスドックを使用して、アウトバウンド出荷と計画済受入を事前に照合できます。これにより、フロー・スルー時間が短縮され、倉庫資源を最適化できます。Oracle Warehouse Managementでは、計画クロスドックと適時クロスドックの2タイプのクロスドックがサポートされています。計画クロスドックでは予測受入と需要ソースが照合され、適時クロスドックでは需要と受入済供給が照合されます。
クロスドックは、クロスドック計画範囲と呼ばれる期間内に発生します。クロスドック計画範囲は、予定出荷日がある需要がクロスドックの対象になる期間です。
最早クロスドック時間は、クロスドック計画範囲の始まりです。これは、計画済受入と予定出荷時間の間で許容される最大時間差です。たとえば、最早クロスドック時間が4時間で、予定出荷時間が午後6時の需要がある場合、計画済受入時間が午後2時より前の資材は対象になりません。
最遅クロスドック時間は、クロスドック計画範囲の終わりです。これは、計画済受入と予定出荷時間の間で許容される最小時間差です。たとえば、最遅クロスドック時間が1時間で、予定出荷時間が午後6時の需要がある場合、計画済受入時間が午後5時を超える資材は対象になりません。
クロスドック・ウィンドウは、最早クロスドック時間と最遅クロスドック時間の間の時間差です。たとえば、最早クロスドック時間が4時間で、最遅クロスドック時間が1時間の場合、クロスドック・ウィンドウは3時間になります。
計画クロスドックと適時クロスドックは、異なるシナリオで使用します。計画クロスドックは、事前に供給が判明している場合に最適です。ユーザーは倉庫のスループットを管理して、判明している需要と予測供給を照合できます。適時クロスドックは、不確定要素がある場合に役立ちます。ルール・エンジンを使用して、新規に到着した供給と既存の需要が照合されます。これは、供給ソースまたは需要ソースが変化、変更または取り消された場合に役立ちます。
関連項目
計画クロスドックは、ピック・リリース時に発生します。Oracle Warehouse Managementでは、リリース順序ルールを使用して需要ソースを順序付けし、ユーザーがピック・リリース時に指定する割当方法に基づいて需要が履行されます。ユーザーがピック・リリースを実行すると、システムでは割当方法を使用して、クロスドックを計画する必要があるかどうかが判断されます。クロスドックを計画する必要がある場合は、ユーザーが指定したクロスドック基準を使用して適格な供給が決まります。ユーザーがピック・リリース時にクロスドック基準を定義していない場合は、ルール・ワークベンチを使用して、需要に対して使用する適切な計画クロスドック基準が決まります。
システムで履行対象として在庫以外の供給ソースが識別されると、搬送明細の予定出荷時間が決定され、次のように予定出荷日時が搬送明細に割り当てられます。
アウトバウンド・トリップが存在する場合、出発時間はドック計画に基づきます。
受注が搬送に関連付けられている場合は、運送業者が存在するかどうかがチェックされます。運送業者が存在する場合、出発日は運送時間とドック・ドア・アポイントメントに基づきます。
運送業者のドック・ドア・アポイントメントが複数存在する場合は、予定出荷日時に最も近いドック・ドアとアポイントメントが選択されます。
受注に出荷方法が指定され、運送業者に同じ日のドック・ドア・アポイントメントがある場合は、運送業者および正確な運送時間が決定されます。アポイントメントが複数存在する場合は、予定出荷日時に最も近いアポイントメントが選択されます。
これらの条件に該当しない場合は、出発時間が受注の予定出荷時間として使用されます。ただし、クロスドック基準で柔軟な計画が許容されている場合、受注は同日中の任意の時間に出荷可能とみなされます。
計画クロスドックを実行するために、Oracle Warehouse Managementでは次の処理が実行されます。
供給の適格性の判断
ペギングの実行
搬送の作成
供給と需要への予約のリンク
クロスドック工程計画の割当
搬送明細ステータスを「クロスドック用に計画」に変更
計画クロスドックで使用可能な供給ソースは、承認済の発注、ASN、社内購買依頼、移動中出荷および受入中資材です。受入中資材をペグできるのは、資材が棚入提案に関連付けられていない場合のみです。受入中資材をペグするには、組織パラメータ「受入後事前生成」をオフにする必要があります。詳細は、Oracle Warehouse Management Implementation Guideの倉庫組織の設定に関する項を参照してください。システムで適格な供給明細が識別されると、次のチェックが実行されます。
供給品目と需要品目は同一である必要があります。代替品目は使用できません。
搬送明細がプロジェクトおよびタスクに関連付けられている場合、プロジェクトやタスクをまたいだ履行は許可されません。同じプロジェクトおよびタスク、または共通在庫に属する資材のみ対象になります。
注意: 組織でプロジェクトやタスクをまたいだ履行が許可されている場合、クロスドック計画では、供給ソースや需要ソースのプロジェクトおよびタスク情報が無視されます。
供給の計画済受入時間がクロスドック・ウィンドウ内である必要があります。すべての納期超過供給明細は、納期超過供給期限を満たす場合に、クロスドックで使用可能であると自動的にみなされます。システムでは、次のように、計画済受入明細の受入日時が割り当てられます。
インバウンド・トリップが存在する場合は、ドック・アポイントメントに基づいて到着時間が割り当てられます。
ASNが存在する場合は、ASNに基づいて到着時間が割り当てられます。
いずれの条件にも該当しない場合は、発注納期に基づいて受入日時が割り当てられます。クロスドック基準が柔軟な場合、受入は同日中の任意の時間に可能とみなされます。
Oracle Warehouse Managementで適格な供給リストが作成された後は、クロスドック・アルゴリズムを実行してペギングが実行されます。次に、クロスドック用の供給ソースが1つ以上選択されます。「クロスドック基準」ウィンドウで「文書の優先度付け」を選択した場合は、優先度が最も高い文書が最初に対象になります。
需要が供給にすでにペグされている場合は、予約済の供給のみがクロスドックの対象になります。クロスドック基準を使用して、供給がクロスドックに対して適格かどうか、および計画済受入日がクロスドック・ウィンドウ内かどうかがチェックされます。供給が基準を満たす場合は、以前の予約が対象になり、クロスドックが有効になるように予約レコードが変更されます。
Oracle Warehouse Managementでは、供給を既存の需要にリンクする予約が作成されます。予約の詳細は、『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』の品目予約に関する項を参照してください。
搬送明細が搬送またはクロスドック計画実行にリンクされている場合、Oracle Warehouse Managementでは搬送が作成されません。リンクが存在しない場合、搬送明細はアウトバウンド・クロスドック搬送(クロスドック・ウィンドウ内の場合)にマージされます。搬送がクロスドック・ウィンドウ外の場合は、クロスドック明細に対して新しい搬送が作成されます。
Oracle Warehouse Managementでは、搬送が作成された後に、適切な工程計画が資材に割り当てられます。工程計画の詳細は、「工程計画の設定」を参照してください。
Oracle Warehouse Managementでは、供給のペグ、予約と搬送の作成、および工程計画の割当が実行された後に、クロスドック明細のステータスが「クロスドック用に計画」に変更されます。これらの明細は、今後のピック・リリースおよび計画クロスドックの実行で無視されます。
関連項目
適時クロスドックは、供給から開始されます。ユーザーが「組織パラメータ」ウィンドウで適時クロスドックを有効にすると、Oracle Warehouse Managementでは需要を履行するために受入中資材が対象になります。Oracle Warehouse Management Implementation Guideの倉庫組織の設定に関する項を参照してください。Oracle Warehouse Managementでは、ルール・ワークベンチを使用して、供給に対して使用する適切なクロスドックが決まります。ユーザーが適時クロスドックで指定した適格な需要ソース、クロスドック目標およびタイム・フェンスに応じて、供給をクロスドックする需要が決まります。次に、資材の工程計画がスタンプされます。適時クロスドックを実行するために、システムでは次の処理が実行されます。
供給ソースの検証
適格プールの決定
ペギングの実行
予約の作成
搬送の作成
システムにより、受入明細に対するクロスドック基準が決まります。クロスドック基準に基づいて、ユーザーが受入資材をクロスドックできるかどうかが判断されます。
ユーザーが供給をクロスドックできる場合は、クロスドック基準に基づいて、クロスドックに対して適格な搬送明細が識別されます。使用可能な需要ソースは、予定済受注、バックオーダー済受注、予定済社内受注、バックオーダー済社内受注、およびバックオーダー済WIP構成部品需要です。Oracle Warehouse Managementでは、適格な需要を判別するために次のチェックが実行されます。
搬送明細品目と受入明細品目は同一です。
クロスドック基準で需要文書タイプが許可されます。
受入品目がプロジェクトおよびタスクに関連付けられ、組織でプロジェクトやタスクをまたいだ履行が許可されない場合、同じプロジェクトおよびタスク、または共通需要に属する需要のみがクロスドックに対して適格です。
注意: 組織でプロジェクトやタスクをまたいだ履行が許可されている場合、Oracle Warehouse Managementでは、クロスドック用の供給ソースや需要ソースのプロジェクトおよびタスクが無視されます。
搬送明細の予定出荷時間は、供給のクロスドック・ウィンドウ内である必要があります。ユーザーがバックオーダー明細に対して適時クロスドックを有効にしている場合は、予定出荷日から遅延しているすべてのバックオーダー明細が自動的にクロスドックの対象になります。Oracle Warehouse Managementでは、次のガイドラインに従って、搬送明細の予定出荷日時が割り当てられます。
アウトバウンド・トリップが存在する場合、到着時間はドック計画に基づいて決まります。トリップにドック・アポイントメントがある場合は、予定出荷日がアポイントメント・ウィンドウ内の最早予約時刻として使用されます。
受注が搬送に関連付けられている場合は、出荷方法または運送業者が関連付けられているかどうかがチェックされます。運送業者に同じ日のドック・アポイントメントがある場合、システムでは出荷方法を使用して、運送業者および正確な運送時間が決定されます。ドック・アポイントメントが複数存在する場合は、予定出荷日時に最も近いドック・アポイントメントが選択されます。
前述の状況に該当しない場合は、到着時間が受注の予定出荷時間として使用されます。
システムで適格な搬送明細のリストが作成された後は、クロスドック・アルゴリズムによってペギングが実行され、クロスドック用の需要ソースが1つ以上選択されます。文書優先度チェック・ボックスを選択した場合は、需要が最も高い文書タイプが最初に対象になります。
Oracle Warehouse Managementでは、需要を受入供給にリンクする予約が作成されます。予約の詳細は、『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』の品目予約に関する項を参照してください。
アウトバウンド搬送がクロスドック・ウィンドウ内の場合、搬送明細は既存の搬送にマージされます。クロスドック・ウィンドウ内の搬送がない場合は、クロスドック品目に対して新しい搬送が作成されます。
クロスドック実行により、受入時に次の検証が実行されます。
供給ソースがクロスドック用にすでに計画されているかどうかが検証されます。供給ソースがクロスドック用にすでに計画されており、有効な需要ソースがある場合は、品目の工程計画が選択されます。
供給ソースがクロスドックに対して適格でないか、またはクロスドックが許可されていない場合: 供給ソースが適格でないか、または組織に対してクロスドックが許可されていない場合、ユーザーは資材を棚入するように指示されます。
供給ソースが需要ソースに予約され、適時クロスドックが有効な場合: クロスドック基準を使用して、供給ソースおよび需要ソースが検証されます。両方ともクロスドックに対して適格である場合は、クロスドック用の受入資材が識別され、工程計画が割り当てられます。
供給ソースは予約されておらず、適時クロスドックが有効な場合: クロスドック基準を使用して、供給ソースが検証されます。供給ソースがクロスドック可能な場合は、適切な需要ソースが識別されます。次に、クロスドック・アルゴリズムを使用して、正しい需要ソースが識別されます。
関連項目
システムによって供給と需要がリンクされた後に、ユーザーは供給ソースと需要ソースを変更できます。次の表に、ユーザーが供給ソースと需要ソースを変更した場合にシステムで実行される変更を示します。
状況 | 需要ソースに対するマイナスの変更 | 需要ソースに対するプラスの変更 | 需要ソースの計画の変更 |
---|---|---|---|
受入前 | 予約数量の変更がトリガーされます。予約数量は、新しい需要にあわせて変更されます。 複数の供給ソースが複数の予約にリンクされている場合は、最初に最新の供給ソースが消費されます。 | 追加の数量は、別の搬送明細ステータスで、クロスドックで使用可能になります。 | 予約数量または既存のクロスドック・リンクは変更されません。ユーザーが例外管理を有効にしており、計画の変更によってクロスドックの実現可能性が損なわれる場合は例外が作成されます。 |
受入後、実行中 | 不可 | 追加の数量は、別の搬送明細ステータスで、クロスドックで使用可能になります。 | 予約数量または既存のクロスドック・リンクは変更されません。ユーザーが例外管理を有効にしており、計画の変更によってクロスドックの実現可能性が損なわれる場合は例外が作成されます。 |
ピック確認後 | 不可 | 追加の数量は、別の搬送明細ステータスで、クロスドックで使用可能になります。 | 予約数量または既存のクロスドック・リンクは変更されません。ユーザーが例外管理を有効にしており、計画の変更によってクロスドックの実現可能性が損なわれる場合は例外が作成されます。 |
状況 | 供給ソースに対するマイナスの変更 | 供給ソースに対するプラスの変更 | 供給ソースの計画の変更 |
---|---|---|---|
受入前 | 予約数量が変更されます。搬送明細が分割され、残高数量は「リリース準備完了」ステータスになるため、システムでは他のソースを使用して残りの需要を履行できます。 ユーザーが例外管理を有効にしている場合は、例外が作成され、計画担当に対して訂正処理を行うように通知されます。 | 追加の数量はクロスドックで使用可能になり、予約リンクは変更されません。 | 予約数量、または供給と需要間の既存の予約リンクは変更されません。ユーザーが例外管理を有効にしている場合は、例外が作成され、計画担当に対して訂正処理を行うように通知されます。 |
受入後、ロード前 | これは、マイナスの訂正または返品が存在する場合、または資材が検査に不合格になった場合に発生します。当初は「クロスドック」ステータスだった搬送明細が分割され、残数が「リリース準備完了」ステータスになり、工程計画が終了します。 | 使用可能数量はクロスドックに対して使用可能になり、既存の予約リンクは変更されません。 資材を混載解除する必要があるため、既存の工程計画は終了します。 | 該当なし |
受入およびロード後、ドロップ前 | ロード済LPNに対して、プラスまたはマイナスの訂正や検査は実行できません。 | ロード済LPNに対して、プラスまたはマイナスの訂正や検査は実行できません。 | 該当なし |
ドロップ後 | ドロップ済LPNに対して、プラスまたはマイナスの訂正や検査は実行できません。 | ドロップ済LPNに対して、プラスまたはマイナスの訂正や検査は実行できません。 | 該当なし |
ステージング後 | ステージ済LPNに対して訂正は実行できません。 | ステージ済LPNに対して訂正は実行できません。 | 該当なし |
状況 | 予約数量のマイナスの変更 | 予約数量のプラスの変更 | 予約の取消 |
受入前 | 搬送明細が分割され、残高数量は「リリース準備完了」ステータスになります。 | 供給ソースまたは需要ソースが超過予約されていないことが検証されます。 | 搬送明細が「リリース準備完了」に変わります。 |
受入後、ロード前 | 搬送明細が分割され、残高数量は「リリース準備完了」ステータスになります。 ユーザーに対して次のドロップで混載解除するように指示され、クロスドックで不要になった品目に新しい工程計画が割り当てられます。 | 供給ソースまたは需要ソースが超過予約されていないことが検証されます。 ユーザーに対して次のドロップで混載解除するように指示され、クロスドックで不要になった品目に新しい工程計画が割り当てられます。 | クロスドック・タスクが削除され、新しい工程計画が決まります。搬送明細は「リリース準備完了」に戻ります。 |
受入およびロード後、ドロップ前 | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
受入後、ドロップ後 | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
クロスドック後 | 予約の変更はできません。 | 予約の変更はできません。 | 予約の変更はできません。 |
受入後に供給に対するマイナスの変更が発生した場合、変更管理では次の処理が実行されます。
受入からマイナスの訂正: マイナスの訂正により、予約が分割されます。
在庫からマイナスの訂正: 予約レコードが減らされますが、訂正された数量の予約レコードは作成されません。
返品: 返品数量の予約が削除されます。
検査不合格: 予約数量が分割され、不合格数量の予約明細ステータスが変わります。
次の場合にクロスドック例外が発生します。
供給ソースが遅延し、文書が変更されていない場合
供給ソースが遅延し、文書が変更された場合
供給ソースが取り消されたり減らされた場合
供給ソースが検査に不合格の場合
資材がクロスドックで使用不可の場合
次のタイプのクロスドック例外が生成されます。
注意: 時間起動の例外は計画起動の例外より重大です。
時間起動の例外
計画起動の例外
Oracle Warehouse Managementでは、コンカレント・プログラムを使用して例外がチェックされ、各例外に例外コードが割り当てられます。「先読み時間」パラメータを使用して、受入供給がクロスドックで使用可能かどうかがチェックされます。コンカレント・プログラムでは、例外先読み時間ウィンドウ内に倉庫に到着予定のすべての供給がチェックされます。納期超過供給も対象になり、供給の計画済受入日時は現在のシステム日時とみなされます。供給ソースおよびクロスドック予約を使用して、対応する需要ソースが決まります。コンカレント・プログラムでは、供給の将来時間ウィンドウが4つのゾーンに分割されます。コンカレント・プログラムでは、これらのゾーンを使用して、様々な例外タイプがカテゴリ化されます。
クロスドック需要がゾーン1にある場合、クロスドックの残り時間は受注処理時間より少なくなります。システムではクロスドックを実行できず、エラーが記録されます。供給ソースが遅延の場合は、遅延例外が記録されます。供給ソースが遅延していない場合は、計画例外が記録されます。
クロスドック需要がゾーン2にある場合、クロスドックの残り時間は受注処理時間より多くなりますが、受注処理時間+バッファ時間より少なくなります。システムではクロスドックを実行できますが、ユーザーが供給を手動で実行する必要がある場合があります。この場合、システムでは警告例外コードが記録されます。供給ソースが納期超過の場合は、遅延例外が記録されます。供給ソースが遅延していない場合は、計画例外が記録されます。
クロスドック需要がゾーン3にある場合、クロスドックの残り時間は受注処理時間+バッファ時間より多くなりますが、受注処理時間+バッファ時間+クロスドック・ウィンドウより少なくなります。これは、手動で実行しなくてもクロスドックが可能であることを意味するため、例外は記録されません。
クロスドック需要がゾーン4にある場合、クロスドックの残り時間は受注処理時間+バッファ時間+クロスドック・ウィンドウより多くなります。クロスドックは可能ですが、受注を出荷する前にインバウンド資材を待機する不要な時間がかかるため、計画例外が警告のコードとともに記録されます。
次の表に、例外コードを示します。
例外コード | 重要度 | 説明 |
---|---|---|
LE | エラー | 遅延例外 |
LW | 警告 | 遅延例外 |
SE | エラー | 計画例外 |
SW | 警告 | 計画例外 |
コンカレント・プログラムでは、クロスドック受入を追跡して例外が生成されます。コンカレント・プログラムでは、すべての納期超過供給がチェックされ、資材が予定どおりに到着するかどうかが判別されます。受入供給が予定どおりに到着しないと、遅延例外が発生します。計画クロスドックの残り時間がバッファ時間より多いが、最遅クロスドック時間より少ない場合は、警告が生成されます。履行するための残り時間がバッファ時間より多い場合は、エラー例外が生成されます。
クロスドック・ウィンドウが違反している場合は、システム例外が生成されます。需要を履行するための残り時間がバッファ時間+受注処理時間+クロスドック・ウィンドウより多い場合は、計画例外が生成されます。
クロスドック例外が記録されると、次のいずれかの訂正処理がトリガーされます。
供給と需要の再計画: 供給と需要を変更するには、文書またはドック・ドア・アポイントメントのいずれかを変更します。
予約の削除: 予約を手動で削除して、供給と需要間のリンクを解消できます。
「クロスドック基準」ウィンドウを使用して、クロスドックに対して適格な供給と需要を決定できます。クロスドック基準を作成した後は、ルール・ワークベンチでそのクロスドック基準を有効にします。
クロスドック基準を作成する手順は、次のとおりです。
「クロスドック基準」ウィンドウにナビゲートします。
クロスドック基準の名称と摘要を入力します。
基準タイプを選択します。計画クロスドックでは、適格な供給ソースから供給が選択され、その供給が特定の需要ソースと照合されます。適時クロスドックでは、適格な需要ソースから需要が選択され、その需要が特定の供給ソースと照合されます。計画クロスドックと適時クロスドックの詳細は、「クロスドックの概要」を参照してください。
文書がクロスドックの対象になる期間バケットを入力します。クロスドック・ウィンドウは、日、時間または分単位で入力できます。
受注処理時間を入力します。これは、受注の処理に要する時間です。このフィールドに値を入力しないと、値は自動的に0(ゼロ)とみなされます。受注処理時間は、時間、日または分単位で入力できます。
バッファ時間を入力します。これは、受注を安全に履行するのに要する時間です。システムでは、受注処理時間とバッファ時間を使用して、例外がトリガーされます。クロスドックのバッファ・ゾーン内で発生する供給と需要は対象外です。このフィールドに値を入力しないと、値は自動的に0(ゼロ)とみなされます。バッファ時間は、時間、日または分単位で入力できます。
納期超過供給期限を入力します。これは、システムで納期超過供給期限タイム・フェンスを決定するのに使用されるオフセット時間です。このパラメータは、計画クロスドックに対して使用されます。クロスドックのこのタイム・フェンスを超えて発生する供給と需要は対象外です。
クロスドックを午前8時に計画する必要がある次の需要があるとします。受注処理時間は2時間、バッファ時間は1時間、クロスドック・ウィンドウは4時間です。出荷1は出荷時間が午後3時で、出荷2は予定出荷時間が午後4時です。需要ソースのタイム・フェンスは次のとおりです。
需要 | 受注処理時間 | バッファ時間 | クロスドック・ウィンドウ | 納期超過供給期限 |
---|---|---|---|---|
出荷1 | 午後1時 - 午後3時 | 午後12時 - 午後1時 | 午前8時 - 午後12時 | 午前7時 - 午前8時 |
出荷2 | 午後2時 - 午後4時 | 午後1時 - 午後2時 | 午前9時 - 午後1時 | 午前7時 - 午前8時 |
出荷1の場合、計画済受入時間が午後12時を超える供給ソース、または午前8時より前の供給ソースはクロスドックに対して不適格とみなされます。クロスドック計画から1時間を超えるすべての供給は自動的に除外されます。
クロスドック目標を入力します。「クロスドック最大化」、「待機時間最小化」またはカスタム・クロスドック・ロジックの作成を選択できます。
クロスドック中にルール・エンジンで文書優先度を考慮する場合は、「文書の優先度付け」を選択します。
「整数の数量のみ」チェック・ボックスを選択します。受入単位が需要単位と異なる場合、および受け入れるユニット全体をクロスドックする場合に、このオプションを使用します。
需要にドック・ドア・アポイントメントがない場合は、「出荷日の任意の時間に需要を予定」チェック・ボックスを選択します。これにより、受注は1日ウィンドウ内の任意の時間に予定されるとみなされます。
受入供給に対してインバウンド・ドック予定が存在しない場合は、「納期日の任意の時間に供給を予定」チェック・ボックスを選択します。これにより、発注は1日ウィンドウ内の任意の時間に予定されるとみなされます。
注意: このパラメータは、計画クロスドックに対してのみ使用できます。
ドック・ドア・アポイントメントがある文書について、クロスドックの需要および供給計画を選択します。選択肢は次のとおりです。
最早予約時刻: 予約が午後2時から4時の場合、クロスドックの計画済受入時間または出荷時間は午後2時と認識されます。
平均予約時刻: 予約が午後2時から4時の場合、クロスドックの計画済受入時間または出荷時間は午後3時と認識されます。
最遅予約時刻: 予約が午後2時から4時の場合、クロスドックの計画済受入時間または出荷時間は午後4時と認識されます。
「供給」タブを選択して計画クロスドックの供給ソースを入力するか、または「需要」タブを選択して適時クロスドックの需要ソースを入力します。
供給ソースを入力する手順は、次のとおりです。
「使用可能な供給ソース」リージョンから、計画クロスドックで使用可能な供給ソースを選択します。「>」ボタンをクリックすると、供給ソースが適格になります。「>>」ボタンをクリックすると、すべての供給ソースを計画クロスドックに対して適格にできます。使用可能な供給ソースは次のとおりです。
承認済発注
ASN
社内購買依頼
移動中出荷
受入中資材
需要ソースを入力する手順は、次のとおりです。
「使用可能な需要ソース」リージョンから、適時クロスドックで使用可能な需要ソースを選択します。「>」ボタンをクリックすると、需要ソースが適格になります。「>>」ボタンをクリックすると、すべての需要ソースをクロスドックに対して適格にできます。使用可能な需要ソースは次のとおりです。
受注(予定済)
受注(バックオーダー済)
社内受注(予定済)
社内受注(バックオーダー済)
WIP構成部品需要(バックオーダー済)
供給ソースまたは需要ソース情報を入力した後は、作業内容を保存します。
関連項目
供給と需要を識別した後に、クロスドック実行が発生します。Oracle Warehouse Managementでは、事前定義されたクロスドック工程計画を使用して、資材がアウトバウンド一時保管場所にステージングされます。中間ロードおよび中間ドロップが工程計画に定義されている場合は、資材をアウトバウンド一時保管場所にドロップする前に中間ロードおよび中間ドロップを実行できます。クロスドック・ドロップの後にシード済のアウトバウンド工程計画が続き、資材を一時保管場所にドロップするか、または資材を混載場所に混載します。工程計画の設定の詳細は、「工程計画の設定」を参照してください。オプションで、ステージング移動を実行して、混載場所と一時保管場所の間、または複数の一時保管場所の間で資材を移動できます。次の図に、クロスドック実行フローを示します。
資材の一時保管場所を決定するために、システムでは次の基準が使用されます。
一時保管場所に同じ搬送の明細が存在する場合は、現在のクロスドックを同じ一時保管場所にドロップするようにユーザーに指示します。搬送が複数の一時保管場所間で分割されている場合は、最後にドロップされた一時保管場所に資材をドロップするようにユーザーに提案します。
同じ搬送ドロップの保留中タスクが残っている場合は、保留中タスクおよびクロスドック明細の両方に対して同じ一時保管場所を提案します。
搬送にドック・ドア・アポイントメントが存在する場合は、搬送に関連付けられたドック・ドアの一時保管場所を提案します。
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