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Oracle Warehouse Managementユーザー・ガイド
リリース12.1
B70970-01
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Oracle Warehouse Managementルール・エンジン

この章の内容は次のとおりです。

ルール・エンジンの概要

ルール・エンジンは、制限およびビジネス・ポリシーのリポジトリを提供します。Oracle Applicationsの標準的なウィンドウからルールを直接定義し、実装できます。ルールを構成するには、値リストの要素から選択します。また、ルール・エンジンでは、現在使用されているルールは変更できません。

定義する制限に基づいて、ルール・エンジンは次のことを実行します。

ルールは、ユーザー定義のフレックスフィールドも含めて、データベースのほとんどの属性に基づいて設定できます。次のルール・タイプに基づいてルールを作成できます。

棚入ルール

指示付き棚入は、新規に受け入れた資材を適切な場所に入れるように、オペレータに指示します。ルールは実質的にあらゆるビジネス・プロセスに基づいて設定可能で、ルール・エンジンは資材の棚入場所を合理的に提案します。棚入ルールでモデル化できる典型的な処理には、次のものがあります。

ルール・エンジンを使用して、倉庫内の任意の場所に品目を棚入するように提案することもできます。

ピッキング・ルール

指示付きピッキングは、資材割当を作成し、特定の場所から資材をピックするように、オペレータに指示します。適切な在庫ローテーションを確保するために、FIFO(先入れ先出し)またはFEFO(先に使用期限が切れるものから先出し)を使用して、資材を割り当てるピッキング・ルールを設定できます。また、在庫の状況や品質など、顧客の要件を満たすようにルール・エンジンを設定できます。別のルールを設定し、特定の保管棚から使い切って追加の倉庫スペースを確保したり、特定の顧客の原価グループ所有権に従ってピックすることも可能です。

タスク・タイプ割当ルール

ルール・エンジンでは、ソース保管場所、保管棚、品目属性など、ユーザー定義の基準に基づいて、システムで生成される各タスクのタスク・タイプを識別できます。

タスク・タイプ割当により、倉庫タスクに必要なスキル・セットと機材が取得され、タスクが適切なオペレータに確実に割り当てられます。オペレータは、モバイル無線周波数(RF)デバイスにサインオンし、使用している機材を指定します(オプション)。オペレータのスキル・セット、機材要件、機材容量に基づいて、ルール・エンジンでタスクがオペレータに割り当てられます。場合によっては、タスクが発生する保管場所に基づいてタスクが割り当てられます。

たとえば、危険なタスクは、危険資材の取扱研修の修了者に割り当てられます。タスク割当の別の例として、最上部ラックへの棚入はハイリーチ・フォークリフトにサインオンしたオペレータに限定して割り当てられることがあります。

原価グループ・ルール

原価グループは、在庫価額を追跡するために必要な直接材料費評価勘定を取得します。たとえば、再生品と新品、または所有会社に関係する原価グループが確保された委託商品には、異なる勘定科目を設定することがあります。倉庫への資材の受入時に、ルール・エンジンにより、所有原価グループが自動的に判断されます。

原価グループ割当の決定がルール・エンジンで自動化されるため、この決定を倉庫の現場で行う複雑さが排除されます。たとえば、インターネット経由の受注とストア内の受注に異なる原価グループを割り当てることで、販売チャネルに基づいた原価グループ割当を作成できます。ルール・エンジンでは、検査結果に基づいて原価グループ割当を作成することもできます。検査で不合格となった品目は「保留」原価グループに割り当てることができます。ルール・エンジンでは、仕入先サイト、品目カテゴリ、品目別に原価グループを割り当てることもできます。特定の品目の原価グループ・ルール割当がない場合は、品目が存在する保管場所のデフォルト原価グループが使用されます。

ラベル書式割当ルール

ルール・エンジンは、ビジネス・ニースに適したラベル書式と内容を選択します。準拠ラベル作成機能を使用して、各品目とコンテナについて必要な情報、バーコード記号およびレイアウトが記載されたラベルを生成できます。

工程計画選択ルール

混載は、倉庫の様々な部分から資材を一緒に移動するプロセスです。工程計画選択ルールは、LPN、保管棚、LPNと保管棚の3つの混載モードに対応します。工程計画には、インバウンド、クロスドックおよびアウトバウンドの3タイプがあります。これらの計画を使用して、工程計画選択ルールを作成します。工程計画選択ルールを使用して、アウトバウンド搬送全体で資材を混載できるかどうかを判断することもできます。Oracle Warehouse Managementを使用して、インバウンドおよびクロスドックの工程計画を作成できます。詳細は、「工程計画の設定」を参照してください。アウトバウンドの工程計画は作成できません。Oracle Warehouse Managementには、次のアウトバウンド工程計画がシードされています。

指定のタスクに対して選択する工程計画を判断するルールを設定します。これは、オプションのステップです。工程計画選択ルールを設定しなかった場合は、組織レベル計画が使用されます。

たとえば、特定のカテゴリの品目は混載ステップを経由し、他のカテゴリの品目は一時保管場所に直接ドロップする場合は、品目カテゴリに基づいて工程計画を明確に選択する工程計画選択ルールを作成します。

関連項目

ルール・エンジンの機能とルール・タイプ

ルール・エンジンの構成要素

ルール・エンジンには、次の構成要素があります。

オブジェクト

オブジェクトは、ルール内で使用するエンティティです。表とその属性(または列)に相当します。Oracle Warehouse Managementには、定数値(定数文字と定数数字)の指定に使用できる2つのオブジェクトも含まれています。

オブジェクトに対して特定のパラメータ値を指定する場合は、定数文字または定数数字を選択します。たとえば、23454の定数数字に相当するパラメータ品目番号を設定できます。この場合、定数値は23454で、品目番号を表します。

ルール

ルールは、ビジネスや顧客の要件を満たすために履行する必要がある1つ以上の制限です。ピッキング・ルールおよび棚入ルールには、割当を提案するためにシステムがルールを使用する順序を判断するソート基準を定義します。また、ピッキング・ルールおよび棚入ルールには、ピッキングに使用可能な資材、または棚入に使用可能なスペースの判断に使用する数量的な考慮を指定する数量機能があります。原価グループ、タスク・タイプ、ラベル割当および工程計画選択のルールには、戻り値があり、定義するルールのタイプに基づいて値が戻ります。すべての制限が、特定の原価グループ、タスク・タイプ、ラベル割当または工程計画選択のルールを満たす場合は、戻り値により、タスク・タイプ、ラベル書式、原価グループまたは工程計画の名称が提供されます。

数量機能の例

戻り値の例

戻り値は、原価グループ、タスク・タイプ、ラベル書式および工程計画選択のルールで使用されます。ルールの制限を満たすと、ルール・エンジンから指定の値が戻ります。たとえば、品目にHAZMATコードがある場合、タスク・タイプの戻り値は「Hazardous」となります。この場合、危険資材の取扱資格があるオペレータにタスクが割り当てられます。同様に、「EACH PICK」保管場所の全品目を同じ原価グループに割り当てる必要がある場合は、「EACH PICK」保管場所に関連付けられた原価グループを戻すルールを指定できます。たとえば、原価グループ値が「EP100」の場合は、品目が「EACH PICK」保管場所に棚入されるたびに、「EP100」の原価グループ値が戻ります。その後、この原価グループは、保管場所に棚入する品目に割り当てられます。

次の図に、ピッキング・ルールの例を示します。この例で、ルールを構成する様々な構成要素を確認できます。

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ストラテジ

ストラテジは、複雑なビジネス需要を満たすためにシステムが使用する順序付けられた一連のルールです。ストラテジのルールは、ピッキングまたは棚入のタスクが完全に割り当てられるまで、または制限を満たす原価グループが見つかるまで、順番に選択されます。ストラテジを定義する場合は、ストラテジが有効になる日付または日付範囲も指定します。ストラテジの設定では、あるルールによって割当に必要な資材またはスペースの一部のみを割り当てることができる場合に、そのルールを使用するかどうかも指定します。

注意: ストラテジは、タスク・タイプ、ラベル書式および工程計画選択のルールには使用されません。

ストラテジの例

次の図に、空の保冷庫への品目の棚入を指定するルールと任意の保冷庫に品目を棚入するルールの2つのルールが含まれている単純なストラテジの例を示します。

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ルール設定の概要

Oracle Warehouse Managementの一連のルール・タイプを使用して、倉庫の様々なルールを設定します。ルールはすべて同じウィンドウを使用して設定しますが、原価グループ、ピッキングおよび棚入のルールに必要な設定と、タスク・タイプ、ラベル書式および工程計画選択のルールに必要な設定は異なります。タスク・タイプ、ラベル書式および工程計画選択のルールはストラテジには割り当てません。これらのタイプのルールは、ルールを有効にすると、ルール・エンジンによって自動的に組織に直接リンクされます。検索順序は適用される加重で決まります。数字が大きいほど、高い加重を示します。加重はタスク・タイプ割当、ラベル書式および工程計画選択のルールにのみ割り当てることができます。

次のウィンドウを使用して、ルールを設定します。

WMSルールの定義

ルールは、「WMSルール」ウィンドウで定義します。

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「WMSルール」ウィンドウを使用して、次の6種類のルール・タイプのいずれかを設定します。

ピッキング・ルールと棚入ルールの設定は、原価グループ、タスク・タイプ、ラベル割当および工程計画選択のルールの設定とは異なります。ピッキング・ルールと棚入ルールには数量機能が必要であり、オプションのソート基準を使用するのに対し、割当タイプのルールには戻り値が必要です。ピッキング・ルールには、割当モードの選択に加え、オプションの一貫性要件があります。

Oracle Warehouse Managementのルール・ウィンドウのヘッダー・セクションで、定義するルールのタイプを選択します。ルールの名称と摘要および数量機能または戻り値も指定します。ピッキング・ルールを作成している場合は、ルールの割当モードも指定します。

すべてのルールは、使用する前に有効化する必要があります。したがって、ストラテジで使用するルールがシステムによって検討される前に、ルールを有効にしておく必要があります。ルール・ワークベンチでルールを割り当てる場合も、事前にルールを有効にしておく必要があります。ルールを有効にすると、ルールの有効性を確認するためにルール構文が評価されます。

注意: ルールを有効にすると、そのルールは変更できなくなります。また、ストラテジに割り当てたルールは無効にできません。ストラテジに割り当てたルールを変更するには、ストラテジを無効にしてから、関連するルールを無効にする必要があります。有効にしたルールがストラテジに割り当てられていない場合、そのルールを変更する必要があるときは、「使用可」チェック・ボックスの選択を解除します。

「ルール・ワークベンチ」ウィンドウで、ストラテジに割り当てられていないルールを有効にすることもできます。(ルールは、ストラテジに割り当てられていない場合も使用できます。)たとえば、「オブジェクト」フィールドで、「手持在庫」を選択し、次に「資材ステータス」パラメータを選択して、手持在庫に影響を与えるルール制限を作成できます。

必要な場合は、社内の全組織に使用可能なルールを作成できます。ピッキング・ルールまたは棚入ルールを全組織に有効にすると、他の組織がそのルールをストラテジに組み込めるようになります。タスク・タイプ、ラベル書式および工程計画選択のルールを全組織で使用できるようにすると、これらのタイプのルールはストラテジに割り当てられないため、すべての組織がルールを使用することになります。

ルール・エンジンには複数の基本的なルールがシードされています。シード・ルールの場合は、「ユーザー定義」チェック・ボックスの選択が解除されています。シード・ルールは編集できませんが、「ツール」メニューのルール・コピー機能を使用してルールをコピーできます。

既存のルールを検索するには、「ルールの検索」ウィンドウを使用します。検索を絞り込むには、次のいずれかのフィールドを使用します。

「制限」タブ

ビジネス・オブジェクト、その関連パラメータおよびルールの制限を指定します。各行は、「制限」タブの1つの制限に相当します。複数行の制限を結合するには、AND演算子とOR演算子を使用します。複雑な複合文を作成するには、かっこを使用します。このウィンドウの「連番」フィールドで、制限を結合する連番を指定できます。

注意: 制限連番を設定する際は、採番方式(10、20、30など)を考慮してください。これにより、制限の行を必要に応じて簡単に追加できます。

たとえば、「オブジェクト」フィールドで、「手持在庫」を選択し、次に「資材ステータス」パラメータを選択して、手持在庫に影響を与えるルール制限を作成できます。

「ソート基準」タブ

「ソート基準」タブでは、ルールの制限を満たして戻される基準に対して順序を強制的に適用できます。次の図に、ソート基準をピッキング・ルールに適用した結果の例を示します。この例では、在庫にある品目のケースをピックするとします。ここでは品目のケースが在庫に複数あると仮定します。ルールの制限を満たす品目をどのようにピックするかを決定するために、FEFO(先に使用期限が切れるものから先出し)に基づいてソート基準を指定することにしました。

星が付いたブロックは次の週内に期限切れになる品目のケースを表し、星が付いていないブロックは月末に期限切れになるケースを表す場合、ソート基準に指定した順序に基づいてピッキングが提案されます。

この例で、1セット目のブロックは、ルールの制限を満たし、ソートが適用されていない品目を示します。2セット目のブロックは、同じ品目のセットですが、ソート基準が適用されている品目です。3ケースをピックする必要があるピック・タスクの場合は、期限切れが近い2ケースと期限切れが遅い(月末)1ケースが提案されます。

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複数のソート基準を指定できます。あるレベルで発生する可能性のある関係性を解除するために、後続のソート基準が昇順で考慮されます。

「一貫性」タブ

一貫性要件は、特定の行のすべての割当に共通の基準が必要であることを示すために使用されます。一貫性要件を使用する最も典型的な例としては、特定の品目に対して単一のロットのみを受け入れる顧客がいます。このシナリオでは、混合ロットの数量は認められません。一貫性要件は、ロット属性および割当のその他多くの属性にも使用できます。

「一貫性」タブを使用して、割当のすべての行に対して、特定の属性を同じ値にする必要があることを指定できます。たとえば、品目の1000個の注文が厳密に単一のロットになる場合は、顧客に固有のロットを割り当てることが重要でないと判断する可能性があります。一貫性要件を指定することは、倉庫の最適化に役立ちます。たとえば、単一の保管棚のみ、単一の改訂のみ、単一の保管場所などに対してピックを割り当てる一貫性要件を設定できます。

次の図に、一貫性オプションを使用することで影響を受ける3つの部分の例を示します。

Business World社という顧客は、優良等級のイチゴより優秀等級のイチゴを優先するが、注文のイチゴがすべて単一ロットになることをより重視すると仮定します。また、Business World社は3ケースのイチゴの注文を発行したとします。次の図は、この例に関連するルールと、優秀、優良、標準の3つの各等級カテゴリで使用可能な数量を示しています。

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Oracle Warehouse Managementでは、最初にルール制限を使用可能なイチゴに適用します。Business World社は標準等級のイチゴを受け入れないため、これらの数量は考慮されません。第1の制限ルールには、優秀のみ、および単一ロットの一貫性要件が記載されています。第1の制限を満たすには、単一ロットの優秀等級のイチゴが足りないため、Oracle Warehouse Managementルール・エンジンは、ストラテジの次のルールに進みます。

第2のルールには、優良のみ、および単一ロットの一貫性要件が指定されています。第2のルールの制限を満たす単一ロット(ロットC)の優良等級のイチゴは十分な量があります。

したがって、ルール・エンジンは、ロットCの3ケースを割り当てます。次の図は、この割当結果を示しています。

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この例で、Business World社は、優秀等級のイチゴの受入よりも単一ロットの受入を高く評価しました。一方、別の優先策をモデル化することもできます。たとえば、別のシナリオとして、Business World社が優良等級のイチゴを受け入れる前に、優秀等級のイチゴを混合ロットで受け入れることを優先するように記載できます。Oracle Warehouse Managementルール・エンジンを使用して、このすべてをモデル化できます。

タスク・タイプ、ラベル書式および工程計画選択のルール

「WMSルール」ウィンドウを使用して、タスク・タイプ、ラベルおよび工程計画選択のルールを設定できます。これらのタイプのルールはストラテジを必要としません。一方で、加重を割り当てる必要があります。その後、システムがこの加重を使用して、最初に実行するルールを評価します。数字が大きいほど、高いルール加重を示します。これらのタイプのルールでは、「ソート基準」タブと「一貫性」タブが無効になります。

ピッキング・ルール割当

「割当モード」フィールドは、ピッキング・ルールにのみ有効になります。ピッキング・ルールには、次のように、使用可能な4つの割当モードがあります。

LPN割当なし

この割当モードでは、梱包済資材と未梱包資材の両方を割り当てますが、LPNレベルでは資材を割り当てません。未梱包資材と梱包済資材は、同等とみなされます。システムでは、タスクを実行するオペレータにLPNを提案しません。提案した保管棚に使用可能な未梱包資材と梱包済資材の両方がある場合、どのようにピックを実行するかについては、オペレータが判断することになります。

注意: LPNが特定の受注に対して予約されている場合は、割当モードが「LPN割当なし」の場合も、ルール制限および一貫性要件を満たすかぎり、割当はLPN詳細レベルに対して実行されます。

LPN割当なし、ピック単位の優先度付け

「LPN割当なし」モードで作成されるルールと同様に、この割当モードはLPN詳細レベルには割り当てません。システムでは、ソート基準および制限に従って未梱包は同等とみなされ、オペレータは、提案された保管棚から未梱包資材と梱包済資材をどのような組合せで割り当てるかを判断します。さらに、この割当モードは、ルールのソート基準を考慮する前に、保管場所のピック単位が尊重されます。次の図に、ピッキング・ルールに対してこの割当モードを選択した結果の例を示します。

注意: この割当モードは、資材がロット管理または改訂管理の対象外で、LPNが使用されない場合、またはすべてのLPNがピック単位として定義された標準梱包サイズのLPNである場合に最適です。また、LPNが特定の受注に対して予約されている場合は、割当モードがLPN割当なし、ピック単位の優先度付けの場合も、ルール制限および一貫性要件を満たすかぎり、割当はLPN詳細レベルに対して実行されます。

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たとえば、ロット管理および失効日管理された品目を23ユニット必要とするピッキング・タスクを仮定します。ルールのソート基準には、先に使用期限が切れるものから先出しする(FEFO)方法でピッキングすることが指定されています。

この例では、ピックを実行する2つの保管場所(CASE保管場所とFORWARD PICK保管場所)が存在します。LPN割当なし、ピック単位の優先度付けの割当方法を選択した場合、ルール・エンジンは、保管場所で指定されているピック単位に従ってピッキング・タスクを優先度付けします(結果1)。結果1(LPN割当なし、ピック単位の優先度付けが選択されていると仮定)では、システムは、CASE保管場所から2ケース、EACH保管場所から3個をピッキングすることを提案します。

結果2(LPN割当なし、ピック単位の優先度付けが選択されていないと仮定)では、ルール・エンジンが、ルールに定義されたソート基準に基づいてピック・タスクを優先度付けします。この結果では、システムは、ロットBの前に期限が切れるロットAからすべての注文をピッキングすることを提案します。

LPNおよび未梱包の割当

この割当モードは、システムによって特定のLPNの割当が提案されるようにする場合に便利です。この割当モードを使用すると、未梱包資材と梱包済資材は両方とも同等とみなされます。ただし、割り当てた資材がLPNにある場合、そのLPNは、割当レコードで指定されることになり、タスクは、その特定のLPNに対するタスクとなります。つまり、必要な品目が含まれている、潜在的に数が多いLPNの1つを選択することをオペレータに任せるのではなく、ルール・エンジンで特定のLPNを選択します。

ルール制限は、たとえば、特定のコンテナ品目に関連付けられたLPNのみを特定の顧客に割り当てたり、混合品目、改訂の混在またはロットの混在がないLPNのみを割り当てるように、LPNの詳細に基づいて作成できます。また、ソート基準を使用して、システムが梱包済または未梱包の資材を優先することを示すのに使用できます。この割当モードは、ソート基準と制限およびLPNの可用性に従って、未梱包資材、部分LPN、複数の部分LPNまたは全LPNを割り当てます。

品目が含まれている最内部LPNのみが割り当てられるため、LPNがネストされている場合、割当は最内部LPNのみに適用されます。

LPN全体のみ割当

この割当モードは、割当によって完全に消費されるLPNのみを割り当てます。これは、特にLPNにロットが混在している場合に、倉庫内ですでに梱包された資材を完全に活用できる方法です。この割当モードを使用して、ロット属性または他の制限に基づく顧客による除外事項または包含事項を尊重しながら、顧客の要件を満たす単一(または複数)の最適なLPNを選択します。

この割当モードでは梱包済資材のみが考慮されます。また、単一の移動オーダー明細に完全に割り当てることができないLPNは考慮されないため、混合品目が含まれているLPN、他の要件に対する部分的な予約や割当が存在するLPN、または割当数量より大きい数量を持つLPNは即時に破棄されます。

ルール・エンジンは最も適切なアルゴリズムを実行しないため、この割当方法はLPNのすべてが標準サイズの場合に最も使用されます。

次の例を考えてみます。

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ある品目を5個求める受注があり、3つのLPNの9個が使用可能と仮定します。LPNは、L4A(2個)、L5A(3個)およびL6A(4個)です。

ルール・エンジンは、偶然最初に検出したLPNであるという理由で、あるいはルールに記載されたソート基準に従って、最初にLPN L6Aを割り当てたとします。残る割当数量は1ですが、L4AもL5Aもこのタスクによって完全には消費されないため、残る数量である1はバックオーダーされます。

ルール・エンジンでは、L4AとL5Aが完全に適合するかどうかを確認できません。ソート基準により決定された順序で単に割り当てるか、異なる資材またはLPNを区別するソート基準がない場合は任意の順序になります。この例では、手持数量の昇順でLPNの順序を決定することを示すソート基準が正しい結果を生成しますが、このソート基準では正しい結果を生成しない別の例があります。

一貫性要件は、割当に関して全か無かの要件を強制します。前述の例の品目がロット管理品目で、9個すべてが同じロットであり、LPN全体のみ割当の割当モードが設定されたルールも一貫したロットを示す場合、前述の例のようにルール・エンジンは必要な5個すべてを割り当てることができないため、何も割り当られません。

品目が含まれている最内部LPNのみが割り当てられるため、LPNがネストされている場合、割当は最内部LPNのみに適用されます。

厳密ピック単位

ピック単位およびピッキング・ルールを有効にすると、品目に対して厳密なピック単位割当を有効にできます。「厳密ピック単位」割当を有効にすると、標準パック(ピック単位)は分割されません。残数量は以降の補充で割り当てることが前提となります。たとえば、49個の需要があり、倉庫には、ピック単位パレット(1パレットは10個)が設定されたBULK保管場所にパレットがあります。次の表は、「厳密ピック単位」割当を選択した場合に、資材がどのように割り当てられるかを示しています。

保管場所 ピック単位 手持数量 厳密ピック単位による結果
バルク パレット=(10 EA) 90 EA(9パレット) 40
EA 6 EA 6
46 EAが割り当てられます。残りの数量3は、割当ルールのために未割当のままです。

プロセス割当ロジック

ルールを作成し、特定のプロセス製造割当要件(等級、ロット、二重単位など)に従って資材を割り当てることができます。次の表に、プロセス製造割当基準を示します。

ルール・タイプ 摘要
FEFO / FIFO 最も早いロット作成日(FIFO)またはロットの失効日(FEFO)に基づいてロットをピックするようにユーザーに指示します。
ロット部分化不可 品目マスターで「ロット部分化可能」属性を「No」に設定すると、必要な数量が満たされるまでロット全体のみの割当が試行されます。割当は、受注の出荷許容範囲内である必要があります。製造オーダーでは、製造に対する超過ピックを有効した場合のみ、超過割当が実施されます。
保管期限日数 期限切れになる前に、資材を割り当てるように指示します。たとえば、プロセス生産で、原料ロットの失効日が取引日+保管期限日数より大きい場合、ロットはバッチに割り当てられます。
部分割当 要求された数量を満たす十分な在庫が使用可能でない場合は、要求数量の一部を部分的に割り当てることができます。
等級一致 優先ロット等級に従って資材を割り当てることができます。受注明細に優先等級を指定すると、この等級のロットが割り当てられます。
顧客仕様一致 品質結果が顧客仕様に一致する場合にのみ在庫を割り当てます。

二重単位割当

品目が二重単位(UOM)管理されている場合は、割当に基準単位が使用されます。たとえば、品目FG1に基準単位EA、第2単位LBが設定されていて、品目を2KG要求する受注がある場合は、KGの数量がEAに換算され、必要な数量がEAで割り当てられます。第2数量は、EAとLB間の換算に基づいて割り当てられます。品目に対してロット固有の単位換算がある場合は、第2単位での実際の割当数量が標準の換算とは異なる可能性があります。

関連項目

『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』のATP、ピック、調達先パラメータの定義に関する項

『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』の在庫属性グループに関する項

『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』のロット固有の単位換算に関する項

ロジスティクス・サービス・プロバイダ(LSP)に対するWMSルールの定義

クライアント固有のWMSルールを定義して、ピック、棚入、ラベル印刷およびタスク管理を実行できます。特定のクライアント・カテゴリを定義して、カテゴリを品目に関連付け、このカテゴリを使用してクライアント固有のルールを定義できます。ピッキングおよび棚入の場合は、クライアント参照を格納するLSPの設定時に作成されたキー・フレックスフィールドを使用して、クライアント固有のルールまたはストラテジを定義できます。ピッキング・ルールを作成するには、品目オブジェクトとキー・フレックスフィールドをパラメータの1つとして使用します。ルールまたはストラテジを定義した後は、ルール・ワークベンチで品目またはカテゴリごとにルールまたはストラテジを割り当てることができます。

Oracle Warehouse Managementが使用可能なプロジェクト製造組織のピッキング・ルール

プロジェクトを跨るピッキングが必要で、インテリジェントな割当が望まれる環境をサポートするために、Oracle Warehouse Managementには4つのピッキング・ルールと1つのピッキング・ストラテジがシードされています。既存のOracle Warehouse Management組織でプロジェクト製造が使用可能な場合、またはプロジェクト製造組織でOracle Warehouse Managementが使用可能な場合は、シード・ストラテジ「プロジェクト製造割当環境」が組織に割り当てられます。それにより、ピッキングはデフォルトでこのストラテジに従って機能します。

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作業指示または受注を割り当てる際は、このストラテジにより、次の順序で資材が検索されます。

このストラテジではシード済の4つのピッキング・ルールが使用されます。これらのルールは、ユーザー定義ストラテジ内でそのまま使用できます。次に定義されているように、これらのルールが制限として機能するために必要な変更はありません。4つのルールはすべてプロジェクト製造組織にのみ適用できます。

ピック・ウェーブ・ルールの設定

ピック・ウェーブ・ルールの設定には、次のタスクが含まれます。

「ピック・スリップ・グループ化ルール」ウィンドウを使用して、ピック方法を設定します。

ピック・スリップ・グループ化ルールの設定の詳細は、『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』のピック・スリップ・グループ化ルールの定義に関する項を参照してください。

「リリース順序ルール」ウィンドウを使用して、システムでピック明細リリースが考慮される優先度を指定するルールを設定します。次の基準に従って、ピック明細を優先度付けできます。

リリース・ルールを設定し、ピック・リリース時にシステムで考慮されるようにするリリース基準を指定します。リリース・ルールでは、次のリリース基準を指定します。

リリース・ルールの設定

  1. 「リリース・ルール」ウィンドウにナビゲートします。

  2. リリース・ルールの名称を入力します。

  3. リリース基準リージョンの「オーダー」タブで、このルールを適用するオーダーのタイプ(すべて、バックオーダー、未リリース)を選択します。

  4. このタブの残りのフィールドで、オプションのオーダー情報(オーダー・タイプなど)を指定します。

  5. 「出荷」タブを選択します。

  6. 「出荷」タブで、オプションの出荷情報(運送業者、出荷元事業所など)を入力します。

  7. 「在庫」タブを選択します。

  8. 「在庫」タブで、オプションの在庫情報(出荷元倉庫、ピック・スリップ・グループ化ルールなど)を入力します。

    注意: これらの指定はオプションですが、倉庫およびピック・スリップ・グループ化ルールがシステムで考慮されるようにする場合は、「在庫」タブで、少なくともこれらのフィールドを完了してください。

  9. 作業内容を保存します。

関連項目

『Oracle Shipping Executionユーザーズ・ガイド』のリリース順序ルールの定義に関する項

Oracle Warehouse Managementのストラテジ・ウィンドウ

ルールを定義した後は、ストラテジを設定して、適用可能なルールに関連付ける必要があります。ルールをストラテジに割り当てると、ルール・エンジンが、ストラテジを適用したオブジェクトでストラテジを実行できます。ルール・エンジンは、割当がすべて完了するまでストラテジ内の後続する各ルールを実行します。

ルール・エンジンがストラテジを検出した後、最初のストラテジに基づいてタスクが完了しない場合、別のストラテジに進むことはありません。したがって、特定の制限が満たされなかった場合にストラテジが失敗とならないようにするには、ルール・ストラテジの最後のルールを、制限が含まれないデフォルトのルールにする必要があります。ストラテジは、Oracle Warehouse Managementのストラテジ・ウィンドウで設定します。

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ストラテジを定義するときは、「ユーザー定義」チェック・ボックスが選択されていることを確認します(シード・ストラテジの場合は、「ユーザー定義」チェック・ボックスの選択が解除されています)。システム定義のストラテジは変更できませんが、ウィンドウのツールバーにあるストラテジ・コピー機能を使用してコピーできます。

ストラテジは、後でルール・ワークベンチで割り当てることができるように、有効にしておく必要があります。ルール・ストラテジを追加するには、(ストラテジで)考慮する必要があるルールの順序番号を指定し、「ルール名」フィールドの値リストを使用して追加するルールを選択します。

「一部成功許可」チェック・ボックスを使用すると、ルールの割当要件の一部のみを満たした後、ストラテジの次のルールに移動できます。

注意: 有効にしたストラテジは変更できません。ストラテジを変更するには、「ストラテジ使用可」チェック・ボックスの選択を解除して、ストラテジを無効にする必要があります。

ルール・ワークベンチ

ルール・ワークベンチでは、割当マトリックスの多数のオブジェクトに、ストラテジ、ルールおよび原価グループの値を直接割り当てることができます。

ルール・ワークベンチには、次の機能があります。

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ルール・ワークベンチは、2つのリージョンで構成されます。

ルール・エンジンの動作

ルール・エンジンは、使用不可または現在有効でない割当を除外した後、ルール・ワークベンチ内の割当を評価します。残りの割当はユーザー定義の順序で評価され、割当のすべての値がルール・エンジンのレコードの属性と一致した最初の戻りタイプが戻ります。

ルール・エンジンがルールではなくストラテジを戻した場合は、ストラテジ内のルールが順番に評価されます。ルール・エンジンがストラテジのすべてのピッキング・ルールまたは棚入ルールを評価した後も、割当が完全に割り当てられていない場合、残りの数量は未割当のままになります。ストラテジ内で原価グループ・ルールを検出できなかった場合は、保管場所のデフォルトの原価グループが使用されます。ルール・エンジンがルール・ワークベンチから2つ目のストラテジを取得することはありません。一致を検出できなかった場合は、組織のデフォルトのピッキング・ルールと棚入ルール、および保管場所のデフォルトの原価グループが使用されます。

ルール・エンジン・シミュレータおよびルール実行トレース

ルール・エンジン・シミュレータおよびルール実行トレースのウィンドウでは、それぞれのウィンドウにルール・ワークベンチを表示して、選択された行を強調表示することで、ルール・エンジンによって選択されたストラテジ割当がリストされます。

ルール・ワークベンチの使用方法

  1. ルール・ワークベンチにナビゲートします。

  2. 割当の表示に使用するルール・タイプを選択します。

    使用可能なタイプは、ピック、棚入、原価グループ、適時クロスドックおよび計画クロスドックです。

  3. ルール・ワークベンチはフォルダ方式のため、ストラテジをより簡単に割当できるように、組織に適用できないオブジェクトを非表示にできます。たとえば、プロジェクト製造組織でのみ使用されるプロジェクトとタスクにできます。

    注意: フォルダを定義する際は、ルール・タイプにすでに割り当てたフィールドが非表示にならないようにする検証が有効化されます。たとえば、搬送先保管場所オブジェクトにストラテジ割当を作成できない場合は、「搬送先保管場所」列が非表示になります。

  4. 順序を入力します。

    順序は、ストラテジの割当が評価される順序を制御します。順序は、ルール・タイプおよび組織内で一意である必要があります。

  5. 戻りタイプを入力します。ストラテジ、ルールまたは値を入力できます。

  6. 戻り値を入力します。これはルール、ストラテジまたは原価グループの名称です。

  7. 次の値の組合せを入力し、ルールまたはストラテジを割り当てます。これらのパラメータにより、ルール・エンジンが割当の提案を戻す方法が決まります。使用可能な値は次のとおりです。

  8. 日付タイプを入力します。これにより、ルールまたはストラテジがアクティブである期間が決まります。常時以外を選択した場合は、ルールまたはストラテジがアクティブになる開始日と終了日を必要に応じて入力します。

  9. 「使用可」チェック・ボックスを選択します。各戻りタイプを使用可能または使用不可にできます。ルール・エンジンでは使用可能な行のみが評価され、ユーザーは使用不可の行のみを変更または削除できます。

  10. 作業内容を保存します。

Oracle Warehouse Managementルール・エンジン・シミュレータの説明

Oracle Warehouse Managementルール・エンジン・シミュレータでは、ルール・エンジンのピッキングおよび棚入の設定を作成してデバッグできます。個々のルールやストラテジ、またはストラテジの選択を含むプロセス全体について、ピッキング資材の割当、棚入スペースの割当、またはその両方を実行できます。シミュレータでは、ルール、ストラテジまたはプロセス全体を選択した後、シミュレーションする移動オーダー明細を選択できます。既存の移動オーダーは、シミュレーションに適格です。どのロット番号、改訂番号、シリアル番号が割り当てられたかなど(該当する場合)、出力は表形式で表示されます。

ルール・エンジン・シミュレータには、複数のモードがあります。これらのモードは、ルール・エンジン・プロセスのどの部分をシミュレートするかを判断し、どのタイプの移動オーダーが有効かを順番に判断します。次のことをシミュレートできます。

資材を割り当てる任意の移動オーダーをピッキング・ルール、ピッキング・ストラテジまたはピッキング・プロセスのシミュレート対象として選択できます。移動オーダー転送、移動オーダー出庫および受注からの明細のピックも含まれます。また、移動オーダー転送、受注からの明細のピック、WIPからの棚入または受入について、棚入ルール、棚入ストラテジまたは棚入プロセスをシミュレートすることもできます。シミュレートできる移動オーダーのタイプは、シミュレーションのタイプによって異なります。次の3タイプのシミュレーションがあります。

シミュレーションを実行するために、ルール・エンジン・シミュレータには、未割当の移動オーダーが必要です。未割当移動オーダーは、次の方法を含めて様々な方法で取得できます。

ルール・エンジン・シミュレータの出力は、提案のリストになります。ピッキングの場合やプロセス全体のシミュレートでは、次のデータが表示されます。

棚入の場合やプロセス全体のシミュレートでは、次のデータが表示されます。

シミュレーションの実行

シミュレータのウィンドウには、4つの固有のガイダンス・ツールがあります。最初のツールは「指示」です。ウィンドウの左上隅に「指示」というタイトルのアイコンがあります。ウィンドウのこの領域では、シミュレーションの実行に必要な必須ステップが案内されます。2つ目のツールは、ウィンドウ上部の中央から右側にわたって表示されます。これらのアイコンには、「1.プロセス全体」、「2.移動オーダー」および「3.シミュレーション完了」のラベルが付いています。これらのアイコンは、各タスクを完了したときに赤色のXから緑色のチェック・マークに変わります。たとえば、シミュレートするプロセスのタイプを選択すると、「プロセス全体」アイコンが緑色のチェック・マークに変わります。移動オーダーを選択すると、「移動オーダー」アイコンが緑色のチェック・マークに変わります。

  1. 「ルール・シミュレーション」ウィンドウにナビゲートします。

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  2. ツリーの適切なノードを選択することで、使用するシミュレーション・モードを選択します。(無効になっているルールまたはストラテジはシミュレート不可で、異なるアイコンでツリーに表示されます。)

  3. 「移動オーダーの検索」を選択します。これにより、選択した基準と一致する移動オーダーをすべて検索できます。(未割当の移動オーダーのみが対象となります。)

  4. 問合せ基準に従って戻された移動オーダーの中で、シミュレートするオーダーを選択します。(一度にシミュレートできる移動オーダーは1つのみです。)

  5. 「シミュレート」を選択します。シミュレーション・プロセスが開始します。

    シミュレーションの結果は、次のような複数のタブに表示されます。

    当初の「移動オーダー」タブは引き続き表示されるため、シミュレートする別の移動オーダーに切り替えることができます。または、倉庫の状況が変化した場合は、「シミュレート」を再度選択し、シミュレータのウィンドウをリセットせずに移動オーダーを再シミュレートできます。たとえば、追加の資材を倉庫に受け入れた場合や、ルール定義が変更された場合などが該当します。「移動オーダー」タブに表示されるデータは、割当が実行される前に移動オーダーに記載されたすべてのデータです。このデータがシミュレータによって変更されることはなく、ルール・エンジンによって提供されるすべての提案は、移動オーダーにすでに存在するデータと必ず一致します。

    注意: シミュレータの出力は、ルール・エンジンが資材を割り当てたのと同じ順序で表示されます。様々な表の明細の間には1対1の関連があります。たとえば、移動のシミュレートで、「ソース保管棚」タブの明細1が保管棚Aからの数量100の移動である場合、「搬送先保管棚」タブの明細1はその数量全体に対する明細で、「ロット」タブの明細1はその資材移動に対する明細です。

ルール・トレースの説明

シミュレーションが正常に完了した後は、ルール・エンジン実行のトレース詳細で、特定の資材が考慮対象外になった理由に関する詳細情報を確認できます。トレース出力では、簡単に使用できる形式で情報が提供されます。

  1. ルール・シミュレーションを完了します。

  2. ルール・エンジン・シミュレータ・ウィンドウで、ツリーの最上部にあるトレース・ノードを選択します。

  3. 次に、ルールのシミュレーション、ストラテジのシミュレーションおよびプロセス全体のシミュレーションで実行される各トレースの相違を示します。

    シミュレーションに使用された(チェック・マークが表示された)ルールをツリーで強調表示すると、割当の作成時にルール・エンジンが使用した事前提案が表示されます。事前提案は、ルール制限を満たす手持レコードですが、ルール・エンジンによる割当として実際に確定される前に追加の検証を実施する必要があります。

    右側の「制約」セクションには一連のチェックが表示されますが、制約はピッキング・ルールと棚入ルールでは異なります。合格した検証にはチェック・マークが付き、不合格となった検証にはXが付きます。特定の割当に適用できない検証にはマークは付きません。フォームの事前提案を強調表示すると、その検証の結果が表示されます。追加の検証に合格した事前提案は選択済としてマークされ、その行に提案数量が表示されます。

    次に、ピッキング・ルールに使用される各検証について簡単な説明を示します。

    次に、ピッキング・ルールに使用される各検証について簡単な説明を示します。

    トレース出力の「注釈」リージョンには、これらの説明に類似するメッセージが表示されます。検証チェックが失敗するのは、その理由のために数量全体が失敗となる場合のみであることに注意してください。たとえば、一部のみが使用可能なために事前提案の数量全体の割当が行われない場合、事前提案は使用可能数量チェックに失敗したとはみなされません。

    注意: 資材ステータス・チェックは、ピッキング・ルールのトレース出力の一環ではありません。ピッキング・ルールの資材ステータス検証は、事前提案の生成前に実行されるため、資材ステータスのために資材が使用可能でない場合、その資材は事前提案としても表示されません。棚入に対する資材ステータス・チェックは、事前提案の実行後に実施されます。

ランタイム実行トレース

ルール・エンジン・シミュレータを使用すると、実装時にルール設定を調整するのに便利です。シミュレータは、それぞれの各移動オーダーに対してルール・エンジンがどのように動作するかを検証する際に有用です。一方、マネージャは、移動オーダーが潜在的に割り当てられた後(取引の後でも)、ルール・エンジンがピッキングに対して特定のロットを割り当てた、または棚入に対して特定の保管棚を割り当てた理由を理解できます。ランタイム・ルール実行トレース機能では、移動オーダー割当後の特定の時点で、ルール・エンジン・シミュレータが提供する詳細をすべて表示できます。

ランタイム・トレースに必要なデータの取得にはコストがかかるため、必要な場合にのみ有効にしてください。データ取得を有効にするには、ツールバーから「ヘルプ」->「診断」->「作業環境」の順にナビゲートし、ランタイム・ロギングのチェック・ボックスが有効になっていることを確認し、作業環境を保存します。デバッグが完了した後は、パフォーマンスが不必要に低下しないように、同じウィンドウを使用してランタイム・ロギングを無効にします。

ルール・エンジンが起動されたときに、ピッキング・ルールおよび棚入ルールに対して生成されるトレース・データは、次の取引の移動オーダー割当によって提供されます。

  1. 「ルール・エンジン実行トレース」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 「ルール・エンジン実行トレース」ウィンドウの上部に「移動オーダー明細の検索」ウィンドウが表示されます。トレースする移動オーダーを検索します。

    注意: 移動オーダーを検索するには、受注番号、品目番号、バッチ番号、発注番号などを使用できます。

  3. 「移動オーダー明細の検索」ウィンドウに入力した検索基準(たとえば、バッチ番号)では、複数の移動オーダーが戻る可能性があります。トレースする移動オーダーを選択します。

    注意: 「ルール・エンジン実行トレース」ウィンドウには、この機能を使用する際に役立つ指示が表示されます。トレース・プロセス全体にわたって、これらの指示に従うことができます。

  4. 移動オーダーを選択した後、「提案」を選択します。

  5. ウィンドウの左側にツリーの一部として表示されている「ピック/棚入」ノードを拡張します。

  6. 「トレース」ノードを拡張します。

  7. 特定のトレースに基づいて、ピック選択基準または棚入選択基準のノードを拡張します。

  8. チェック・マークの付いたノードを選択します。

  9. ツリーを拡張して表示されたチェック・マーク付きのノードを引き続き選択します。

  10. これで、トレースで生成された事前提案を検査できるようになりました。

    「トレース」タブには、ルールで定義された制約に基づいて事前提案が表示されます。「トレース」タブでは、ルールの制約も使用できます。「トレース」タブの「事前提案」領域には、選択した行に対して割り当てられたスペースおよび数量が表示されます。「ロット」タブと「シリアル」タブには、ロットおよびシリアルの情報が表示されます。「トレース」タブの「注釈」領域には、割当できない理由について詳細が記載されます。

    また、トレース出力を分析した後は、移動オーダー明細をパージできます。デバッグで取得されるすべてのデータは、データベースの複数の表に格納されます。すでに必要のない移動オーダーからのデータが無用に格納されないように、このデータは定期的にパージしてください。「パージ」ボタンで、特定の移動オーダー・バッチ、または特定のデータ範囲に割り当てられたすべての移動オーダーの移動オーダー・トレース・データをすべてパージできます。このパージでは、ランタイム・ロギングが有効になっているときに作成されたトレース・データのみがパージされ、移動オーダー明細または移動オーダー割当はパージされません。

ルール・プロパティの要約

次の表に、各ルール・タイプに関連付けられたプロパティの要約を示します。

プロパティ ピック 棚入 原価グループ タスク ラベル 工程計画
制限の使用 Yes Yes Yes Yes Yes Yes
ソート基準の使用 Yes Yes No No No No
一貫性制限の使用 Yes No No No No No
戻り値の有無 No No Yes Yes Yes Yes
ストラテジへの割当 Yes Yes Yes No No No
加重の割当(非ストラテジ) No No No Yes Yes Yes
数量機能の使用 使用可能数量 使用可能許容量 該当なし 該当なし 該当なし 該当なし
部分数量の許可 Yes Yes No No No No
有効日の使用 Yes Yes Yes No No No
割当モードの使用 Yes No No No No No

関連項目

Oracle Warehouse Managementルール・エンジンの設定ウィンドウ

「一貫性」タブの説明