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Oracle Project Managementユーザー・ガイド
リリース12
E06006-01
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懸案管理

この章では、プロジェクトまたはタスクに関連した懸案をOracle Projectsで管理する方法を説明します。

この章では、次のトピックについて説明します。

懸案管理の概要

懸案とは、プロジェクトまたはタスクに関する考慮事項、問題または未解決の質問です。懸案管理とは、懸案の記録、追跡および解決の処理です。この処理では、プロジェクトに関連付けられた様々なユーザーおよびその他の関係者からの入力の収集を必要とすることがよくあります。Oracle Projectsでは、この処理の管理と懸案の通知を一貫して適時に行える集中懸案管理システムが提供されています。

懸案管理には、次のような多くの機能が提供されています。

懸案により、プロジェクト完了から注意がそがれ資源が損なわれる場合があります。したがって、懸案を迅速に解決してクローズする必要があります。この目標を達成するために、懸案に関する処理を作成してプロジェクト・メンバーに割り当て、懸案の参加者全員が協力し情報を共有できるようにすることができます。この集中管理システムは処理担当者によって実行された注釈および処理を追跡し、関係者全員がすべての懸案解決処理を参照できるようにします。

懸案管理を使用するには設定が必要です。懸案管理の実装の詳細は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の懸案および変更管理に関する項を参照してください。

懸案への参加

プロジェクト・チーム・メンバーおよび非チーム・メンバーの両方が懸案の解決に参加できます。これらの参加者は、懸案のステータスおよび割当済処理のタイプの両方に基づいて、懸案および関連処理に対して異なるレベルのアクセス権を持つことができます。

次のリストに、可能な参加者とその参加のレベルを示します。

変数 摘要
作成者 懸案作成者とは、懸案を作成して所有者を指定するプロジェクト・チーム・メンバーです。作成者および適切なプロジェクト・セキュリティ・アクセス権を持つユーザー(責任者、組織のプロジェクト権限を持つユーザーおよびプロジェクト・マネージャなど)のみが、「草案」ステータスの懸案に対するアクセス権を持ちます。
所有者 懸案所有者とは、懸案の進捗、解決およびクローズを監視する責任を割り当てられているプロジェクト・チーム・メンバーです。このユーザーが処理を作成して、チーム・メンバーと非チーム・メンバーの両方に適宜割り当てます。その他、適切なプロジェクト・セキュリティ・アクセス権を持つユーザーが、項目のステータスおよび所有権を変更できます。懸案の所有者は、懸案が「草案」または「作業中」のいずれかのステータスの場合にのみ変更できます。
担当者 担当者とは、処理が割り当てられているユーザーです。担当者は、処理の応答、クローズまたは再割当ができます。
承認者 承認者は、懸案を検討して承認します。プロジェクト・マネージャがデフォルトの懸案承認者です。承認のために懸案を発行するユーザーがプロジェクト・マネージャの場合、懸案は発行した時点で自動的に承認されます。

懸案ステータス

懸案のステータスにより、懸案の可視性と更新の可否が決まります。懸案所有者および適切なプロジェクト・セキュリティ・アクセス権を持つユーザーのみが懸案のステータスを変更できます。

懸案ライフサイクル全体を通して、ステータス変更の進行を管理したり、ステータス変更の履歴を表示することができます。懸案に割り当てられるステータスは、懸案タイプに関連付けられた管理項目ステータス・リストによって決まります。Oracle Projectsでは、一連の事前定義のシステム・ステータスを含んだデフォルトの管理項目リストが提供されています。実装チームにより、組織のニーズを満たす追加のステータス・リストおよびステータスを定義できます。詳細は、『Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド』の管理項目ステータスおよびステータス・リストに関する項を参照してください。

次のリストに、事前定義のシステム・ステータスおよび各ステータスに関連付けられたビジネス・ルールを示します。

変数 摘要
草案 懸案およびその割当済処理は、その懸案を作成したユーザーおよび適切なプロジェクト・セキュリティ・アクセス権を持つユーザーのみが表示できます。「草案」ステータスの場合にのみ懸案を削除できます。
次回許容ステータス: 「作業中」
作業中 懸案は処理担当者およびチーム・メンバーに表示されます。懸案は更新できます。
次回許容ステータス: 「発行済」(承認が有効な場合のみ)、「取消済」、「クローズ済」(承認が無効な場合のみ)
発行済 懸案は承認待ちです。進捗および注釈を更新できますが、懸案は変更できません。その他の変更が必要な場合は、懸案を再処理する必要があります。
次回許容ステータス: 「承認済」、「棄却済」、「取消済」
承認済 承認者は懸案解決を承認しており、懸案はクローズできます。進捗および注釈を更新できますが、懸案は変更できません。
次回許容ステータス: 「クローズ済」、「取消済」
棄却済 承認者は懸案を棄却しました。進捗および注釈を更新できますが、懸案は変更できません。
懸案を再処理して修正してから再発行するか、懸案を取り消すことができます。懸案を再処理すると、ステータスは自動的に元の「作業中」に変更されます。
次回許容ステータス: 「作業中」、「取消済」
クローズ済 懸案は解決され、追加の作業は必要ありません。懸案は変更できません。
承認が有効な場合は、承認後いつでも懸案をクローズできます。承認が有効でない場合は、「作業中」ステータから懸案をクローズできます。
次回許容ステータス: 「作業中」
取消済 懸案はすでに考慮事項ではなくなり、これ以上の作業は必要ありません。懸案は変更できません。
次回許容ステータス: なし

懸案属性

懸案を作成する際、提供する情報が懸案の追跡と解決に役立ちます。この項では、懸案の属性の一部を説明します。

分類

各懸案に対して、分類を選択する必要があります。この分類により、懸案の追加的なカテゴリが提供されます。たとえば、資源、知識不足および依存関係というカテゴリを定義しているとすると、すべての「資源」懸案のパーソナライズ・ビューを作成することができます。分類を使用すると、重要な問題領域を識別するために懸案を意味のあるグループにカテゴリ化することができます。

期限

その日までに懸案を解決する必要がある日付を指定できます。この属性は、「期限までの日数」の値を計算するために使用され、懸案を解決してクローズするためにどれだけの時間が残されているかを示すことでチーム・メンバーに懸案の緊急度が示されます。

所有者

自分自身または別のプロジェクト・チーム・メンバーのいずれかに所有権を割り当てる必要があります。所有権は、デフォルトでプロジェクト・マネージャに設定されます。

タスク

懸案は、現在公開済の作業計画または財務体系のいずれかにある特定のタスクに割り当てることができます。

ソース

懸案タイプに対してソース情報が有効になっている場合、その懸案が由来するソースとその関連情報を指定することができます。

システム番号および懸案番号

各懸案には、すべてのプロジェクトにわたって一意のシステム生成の番号が割り当てられます。さらに、プロジェクト内で各懸案を識別するための番号も持っています。実装に応じて、この番号は自動生成されるか、あるいは手動で入力する必要があります。

懸案番号は、各プロジェクト内の各懸案タイプごとに一意である必要があります。異なるプロジェクトにまたがる同じ懸案タイプに対して重複した番号を持つことはできますが、1つのプロジェクト内に同じ番号で同じ懸案タイプの2つの懸案を持つことはできません。たとえば、内部懸案、クライアント懸案および環境懸案という懸案タイプがある場合、これらの各タイプの懸案の採番は各プロジェクトに対して1から始まります。

次の表に、プロジェクトAとBの懸案の例とそれぞれの採番を示します。

プロジェクト 懸案要約 懸案タイプ 懸案番号 システム番号
A サインオフ用文書がない クライアント懸案1 1
A タスクの完了がテスト結果に依存するクライアント懸案2 2
A テスト製品の納品が遅延した内部懸案1 3
B 文書化されたサインオフ処理が必要内部懸案1 4
B 拡張範囲の評価クライアント懸案1 5
B 別のスタッフ・コンサルタント用予算が必要クライアント懸案2 6

注意: この例では、表示された順番に懸案が作成されているものとします。

懸案タイプに対して自動採番が有効になっている場合、番号は懸案ステータスが「作業中」に変更されたときに表示されます。デフォルトでは、Oracle Projectsは懸案番号を順番に生成しますが、オプションの管理項目文書採番機能拡張を使用して独自の採番ロジックを定義できます。詳細は、『Oracle Projects API, クライアント拡張およびオープン・インタフェース・リファレンス』の管理項目文書採番機能拡張に関する項を参照してください。

懸案タイプに対して手動採番が有効になっている場合、ステータスを「草案」から「作業中」に変更する前に一意の番号を懸案に入力する必要があります。

懸案管理の使用

懸案管理は、次のステージで構成されます。

懸案の作成

懸案は、特定のプロジェクトまたはタスクに関連する問題、質問または考慮事項を記録して追跡するために作成します。各懸案は、事前定義の懸案タイプに基づいています。懸案タイプによって、そのタイプの懸案を作成できるユーザー、および懸案の全般的な特性が決まります。たとえば、懸案の番号付け方法や解決が必要かどうかなどが指定されます。懸案タイプはプロジェクト・タイプに関連付けられます。この関連付けによって、個々のプロジェクトで使用可能な懸案タイプのリストが提供されます。懸案タイプの詳細は、『Oracle Projects インプリメンテーション・ガイド』の懸案および変更管理に関する項を参照してください。

懸案を作成する手順は、次のとおりです。

  1. プロジェクトの「懸案」ページにナビゲートします。

  2. 適切な懸案タイプを選択します。

  3. 懸案の詳細および初期処理を必要に応じて入力します。

    注意: プロジェクト・チームが懸案や割り当てられた処理に取り掛かれるレベルの懸案をまだ作成していない場合は、最初に懸案を保存する前に、ステータスを「草案」に変更する必要があります。懸案を保存した後に、作業中の懸案のステータスを「草案」に戻すことはできません。

  4. 懸案を保存します。

  5. 追加処理を定義します。

  6. 懸案の当初のステータスが「草案」に設定されていた場合は、プロジェクト・チーム・メンバーおよび処理譲受人が懸案の処理と解決に取り掛かれるような懸案を作成できた時点で、懸案のステータスを「作業中」に変更します。

    各懸案には、チーム・メンバーと処理譲受人の間のやり取りを追跡するログがあります。処理に関するコメントと対応はこのログにすべて記録され、「対応履歴」ページで参照できます。

自分がチーム・メンバーであるプロジェクトについては、「チーム・メンバー・ホーム」ページから懸案を作成することもできます。

既存の懸案のコピー

懸案を迅速に作成するには、アクセス権があるプロジェクトから既存の懸案をコピーできます。また、既存の変更要求や変更オーダーから懸案を作成することもできます。変更文書の作成については、「変更管理の概要」を参照してください。

懸案への文書および関連項目の添付

懸案に関する追加情報を提供するために、文書を添付できます。添付できる文書は、プレーン・テキスト、URLアドレスまたは外部文書です。また、アクセス権があるプロジェクトからは、関連する懸案、変更要求、および懸案への変更オーダーを参照できます。文書の添付については、「文書管理の概要」を参照してください。

懸案に対する処理の作成および割当

処理とは、懸案に関連して割り当てられた質問または作業単位です。この処理は、要求と関連情報、およびその要求に対するすべての応答で構成されます。この処理によって、プロジェクト・チーム・メンバーや関係者は、懸案について協力できるので、懸案の解決に役立ちます。たとえば、懸案に対して提案された解決策について注釈を求める場合は、応答を要求する処理を作成できます。

ステータスが「草案」または「作業中」の懸案については、処理を作成し、その処理を任意のユーザーに割り当てることができます。ただし、処理内容が割当先に表示されるのは、懸案のステータスが「作業中」の場合のみです。

「検討」または「更新」の2タイプの処理を作成できます。検討処理の場合、譲受人は懸案を検討して応答を入力できます。更新処理の場合、譲受人は、処理がオープン状態にある間、懸案を更新できます。更新処理を作成できるのは、懸案の所有者またはプロジェクト・マネージャのみです。ただし、オープン状態の検討処理および更新処理を割り当てられたユーザーは、他のユーザー用に新規の検討処理を作成できます。

処理を定義するときは、「期限」フィールドに応答の期限を指定できます。この日付は、懸案の所有者が懸案に関する未処理の処理を管理するのに役立ちます。また、処理の応答を確認するために、処理譲受人からサインオフを要求できます。懸案の所有者は、すべての処理がクローズされた後でのみ、懸案を承認のために発行したり、クローズできます。

懸案の管理

懸案の詳細には、懸案リストからドリルダウンできます。プロジェクト・マネージャは、懸案リストの各ページで、プロジェクトに関連する懸案および処理を管理できます。プロジェクト・チーム・メンバーは、「チーム・メンバー・ホーム」ページで、所有する懸案や自分に割り当てられたオープン処理を管理できます。

懸案リストを使用すると、自分がチーム・メンバーであるすべてのプロジェクトの懸案を検索できます。懸案を検索するときは、少なくとも次の基準のいずれかを指定する必要があります。

懸案および進捗の表示

自分がチーム・メンバーのプロジェクト、または自分に適切なセキュリティ・アクセス権がある有効なプロジェクトには、懸案を表示して注釈を追加できます。懸案を管理するために、Oracle Projectsには、指定のプロジェクトの懸案リストを表示する次のビューが用意されています。

懸案の属性に基づいて、追加のパーソナライズ・ビューを作成できます。懸案の管理に役立つ追加情報を表示するために、ビューでは次の列を使用できます。

いずれの懸案リストからも、進捗、ステータス、処理および関連文書を表示できます。また、レポート作成や分析のために、懸案リストをMicrosoft Excelにエクスポートできます。エクスポートされたリストは、パーソナライズ・ビューで使用可能なすべての属性が含まれるように拡張されます。

懸案の進捗の更新

懸案の所有者は、問題の解決に向けて、定期的に進捗を更新できます。進捗には、現在日、進捗状況、および懸案について作成された進捗の説明テキストが含まれます。進捗状況は、オープン懸案の2種類の事前定義ビューに反映されます。プロジェクト・マネージャは、この進捗状況によって、注意が必要な懸案を迅速に識別できます。

懸案所有権の変更および表示

Oracle Projectsでは、懸案の所有者の変更と、完全な所有権履歴の表示が可能です。所有権変更の権限がない場合は、所有権履歴の表示のみを実行できます。

所有権の更新と所有権履歴の表示は、懸案のコンテキスト内および懸案リスト・ページから実行できます。また、Oracle Projectsでは、懸案リスト・ページから複数の懸案の所有権を同時に更新できます。複数の懸案の所有権は、プロジェクトの懸案リスト内および懸案の相互プロジェクト・リストから更新できます。

懸案の所有権が変更されると、Oracle Projectsによって新しい所有者にワークフロー通知が送信されます。

懸案に関する処理の解決およびクローズ

ユーザーは、ユーザー自身に割り当てられた処理のみ応答してクローズできます。作業中の懸案の処理には、「チーム・メンバー・ホーム」ページからアクセスできます。オープン処理を取り消すことができるのは、懸案の所有者またはプロジェクト・マネージャのみです。その際は、取消事由を入力する必要があります。

処理を別の個人に再割当できます。処理を再割当すると、そのユーザーを要求者とした処理のコピーが作成され、元の処理はクローズされます。再割当した処理について、「期限」に新しい値を指定する必要がありますが、処理タイプ、および処理でサインオフが必要かどうかは変更できません。

次の表は処理活動のリストで、指定された個人がそれぞれの活動を実行できるかどうかを示します。

活動懸案所有者プロジェクト・チーム・メンバー処理担当者
検討処理の作成Yes No Yes
更新処理の作成Yes No No
処理への応答の追加No No Yes
ステータスの変更Yes No Yes
処理のクローズNo No Yes
処理のサインオフNo No Yes
処理の再割当て(「検討」または「更新」処理)No No Yes
処理の取消しYes No No
処理の表示Yes Yes Yes
懸案への注釈の追加Yes Yes Yes

注意: 責任者などプロジェクト・セキュリティ・アクセス権を持つユーザー、組織に対してプロジェクト権限を持つユーザー、およびプロジェクト・マネージャは、懸案の所有者と同じ処理活動を実行できます。

懸案の解決

懸案所有者、プロジェクト・マネージャ、または更新処理の譲受人は、懸案の解決策を入力できます。懸案に解決策が必要な場合は、その懸案をクローズするか、承認のために懸案を発行する前に、解決策を入力する必要があります。

懸案の承認とは、承認者が懸案を検討した後、その解決策に同意することを示します。懸案タイプによって、懸案が承認を必要とするかどうかが決まります。懸案の承認者は、デフォルトではプロジェクト・マネージャですが、実装チームが別の承認者を定義することも可能です。

承認が必要な場合は、懸案をクローズする前に、承認者が懸案を検討して承認する必要があります。承認が不要な場合は、いつでも懸案をクローズできます。懸案が承認されると、懸案所有者は通知を受領し、ステータスを「クローズ済」に変更できます。承認者が懸案の解決策を棄却した場合は、ステータスが「棄却済」に変更され、懸案は再処理して承認のために再発行する必要があります。

注意: オープン処理がある懸案のクローズおよび承認のための発行はできません。

懸案の再処理および取消

懸案所有者は、発行済、承認済、または棄却済の懸案を再処理できます。「再処理」ボタンをクリックすると、懸案のステータスが「作業中」に戻るため、懸案を変更できます。

懸案所有者は、すでにクローズした懸案も再処理できます。再処理は、その懸案が再発した場合、または懸案の解決が不十分であると判断された場合に必要です。

懸案を取り消すと、オープン処理および保留ワークフローはすべて取り消されて、懸案のステータスは「取消済」に変更されます。