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Oracle Approvals Managementインプリメンテーション・ガイド
リリース12
E06007-01
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Oracle Approvals Managementの実装

Oracle Approvals Managementの実装

概要

AMEには、組織に必要な承認プロセスをプログラム・コードを記述せずに作成する柔軟性が備わっています。AMEの機能と柔軟性を利用するには、承認プロセスが計画どおりに機能するように、実装時に細部まで十分に注意を払う必要があります。

次の図は、AMEの実装プロセスを表しています。組織の要件によっては、一部の実装ステップを省略できることがあります。一部のステップを省略すると思われる場合でも、すべての実装ステップを必ず理解するようにしてください。

本文の説明内容に関するイメージ

組織の承認プロセスの計画

AMEのトランザクション・タイプの使用を開始する前に、トランザクション・タイプで実装する必要がある承認プロセスを文書化することをお薦めします。トランザクション・タイプの要件文書では、次のことを指定します。

ビジネス・ケース

トランザクション・タイプの要件文書では、次の4種類のビジネス・ケースを考慮する必要があります。

承認ケース

最初のビジネス・ケースでは、一般的な承認要件を考慮します。このようなケースでは、組織で同じとみなされる属性値が設定されているトランザクションのセットに対して、必要な承認の種類を非形式的に指定します。たとえば、次のようなビジネス・ケースがあります。

合計額が、$1,000を超過し、かつ$5,000以下の旅費に関するすべての経費精算書は、発行者の直属の2人の管理者から承認を受ける必要があります。

承認のビジネス・ケースは通常、ルール使用、rulePriorityModes構成変数の値、および必須属性使用の組合せに直接変換されます。ビジネス・ケースで、権限チェーンではなく承認者グループからの承認が必要である場合、変換には承認者グループの定義も含まれる可能性があります。

繰返し承認者のケース

繰返し承認者のケースでは、承認ルールで、承認者が単一のトランザクションの承認者リストに複数回出現することが必要な場合のAMEの動作方法を示します(AMEでは、指定したケースでは繰返し承認者を抑制できます)。このビジネス・ケースは、repeatedApprovers構成変数に対する単一のトランザクション・タイプ固有の値に直接変換されます。

特別な転送のケース

特別な転送のケースとは、たとえば、承認者が承認者リスト内の上位の承認者、またはリストにすでに含まれていない下位の承認者に転送する場合などです。8つの特別なケースがあり、これらは、forwardingBehaviors構成変数に対する8つのトランザクション・タイプ固有の値に変換されます。

パラレル化のケース

パラレル化のケースでは、承認者リストを構成する承認者階層の同一レベルに位置する、同じ承認者サブセット内の承認者をAMEで処理する方法を示します。次の6つのレベルがあります。

要件文書で、各レベルの同じサブセット内の承認者が、順次またはパラレルのいずれで順序付けされるかを指定する必要があります。たとえば、「他の条件がすべて同じ場合、同じ処理タイプによって生成される承認者は、パラレルで順序付けされる必要があります。」のように記述します。

AMEでのビジネス・ケースの表現

通常、承認のビジネス・ケースをトランザクション・タイプに変換する方法は複数あります。たとえば、ルール優先順位を使用することによって、より少数または単純なルールを使用できる場合があります。一般的に、承認のビジネス・ケースをトランザクション・タイプに変換するには、複数のトランザクション・タイプ固有の構成変数に対する値の設定、項目区分使用の作成、複数の必須属性に対する使用の定義、承認者グループの定義およびルールとルール使用の作成などを実行します。

構成変数

承認のビジネス・ケースの実装時に考慮する必要がある構成変数は、次のとおりです。

項目区分使用

ビジネス・ケースの実装時に、所定のトランザクション・タイプに付属の項目区分以外の項目区分を使用する必要がある場合があります。考えられる理由は2つあります。1つは、新規項目区分内の各項目に対して、個別の値を持つ属性を定義する場合です。この結果、これらの属性に対する条件を定義することになるため、ルールでは項目ごとに異なる内容を考慮できます。もう1つは、項目区分内の各項目に対する承認者リストがAMEで生成されるようにする場合です。

必須属性

承認のビジネス・ケースの実装に関連する必須属性は、次のとおりです。

承認者グループ

承認者グループをトランザクション・タイプに作成するか、または組み込む必要があります。ビジネス・ケースで、AMEでサポートされている承認者階層の権限チェーンとして存在していない承認者グループの承認者が必要な場合は、その承認者を含む承認者グループを定義する必要があります。承認者グループを定義すると、AMEでは、AMEに付属のすべての処理タイプ内に、関連する承認グループ処理が自動的に作成されます。実装時に簡単に参照できるように、ビジネス・ケースに必要な承認者グループを要件文書にリストすると便利です。リストには、各グループの名称、摘要およびメンバーシップ・リストを含める必要があります。メンバーは順序付けされている必要がありますが、オーダー番号は一意である必要はありません。たとえば、グループのすべてのメンバーにオーダー番号1を割り当てた場合、そのグループは通常、パラレルで通知されます。

ルールとルール使用

組織で使用する承認ルールが多数ある場合、ルールを承認マトリックスまたは決定ツリーで表すと分かりやすくなることがあります。承認マトリックスは単なる表であり、1つのルールに1行を使用します。一番右の列には処理を1つ以上記述します。他の列には、所定の属性に対する許容値のセットを記述します。次に示す表は、経費精算書の承認マトリックスの一部です。この例では、ルールは、経費カテゴリと経費精算書の合計にのみ依存しています。

経費精算書 合計額 処理
旅費$1,000以下1人の管理者
旅費$1,000を超過かつ$5,000以下2人の管理者
事務用品$1,000以下1人の管理者
事務用品$1,000を超過かつ$5,000以下2人の管理者

(この表が一部であるのは、重要なビジネス・ケースが考慮されていないためです。たとえば、旅費の合計額が$5,000を超える経費精算書が考慮されていません。実際の承認マトリックスでは通常、承認が必要ない場合や依頼元の承認のみを必要とする場合も含めて、ビジネス・ケースがすべて列挙される必要があります。)

決定ツリーには通常、各属性に対して1つのノード列があり、各ブランチの先には、そのノードが表す属性に対する許容値のセットを表すノードがあります。最終(リーフ)ノードは処理を表し、ルート・ノードからリーフ・ノードへのパスはルールを表します。次の決定ツリーは、前述の承認マトリックスの一部と同じです。

本文の説明内容に関するイメージ

決定ツリーは承認マトリックスより柔軟性があります。これは、決定ツリーでは、ルート・ノードからリーフ・ノードへのすべてのパスに沿って同じ属性を同じ順序にする必要がないためです。この結果、決定ツリーは、承認ルールの条件が、同じ属性セットですべて定義されるとは限らない場合に適しています。また、決定ツリーがビジネス・ケースをすべて表しているかどうかの検証が複雑になります。決定ツリーを使用してルール・セットを表す場合は、ビジネス・ケースと、ルート・ノードからリーフ・ノードへのツリーのパスが1対1対応であることを確認してください。

ルール・セットの表現方法に関係なく、次の提案に留意してください。

テスト・ケース

テスト・ケースはビジネス・ケースを表す必要があります。トランザクション・タイプの有効な属性(つまり、トランザクション・タイプが使用するルールで使用される処理タイプで必要であるか、またはこのようなルールで使用される条件によって参照される必須の全属性)それぞれに対する値を指定してください。テスト・ケースでは、テスト・ケースの属性値に応じてAMEで生成される必要がある承認者リストも指定する必要があります。AMEでは、トランザクション・タイプを本番に移行する前に、テスト環境内のトランザクション・タイプのテスト・ケースすべてに対して、適切な承認プロセスを作成する必要があります。

テスト・ケースは、適切な統合アプリケーションでトランザクションとして作成すると便利な場合があります。この方法では、アプリケーションで承認者リストを表示することによってアプリケーションのAME統合をテストでき、AMEのテスト・ワークベンチに承認者リストを表示することによってAMEの動作をテストできます。また、テスト・ケースの属性値をテスト・ワークベンチのテスト・トランザクション・ページで繰返し入力することによる、単調な作業やエラーの可能性が回避されます。

パラレル承認プロセス

承認プロセスのパラレル化によって、トランザクションの承認プロセス時間が短縮されます。パラレル承認プロセスによって、トランザクションの承認者リストに階層(ツリー)構造が適用され、ツリーの特定レベルの各部分で、それぞれの通知-承認サイクルを非同期で進行できるようになります。この結果、トランザクション内の各項目の承認プロセスは、トランザクション内の他の項目の承認プロセスの進行に関係なく処理を続行でき、トランザクションの承認プロセス時間が短縮されます。

パラレル化の詳細な動作は、次のとおりです。

承認者リスト

単一のトランザクションの承認者リストは、階層(逆ツリー)構造であり、6つの下位レベルがあります。ルートから下位方向に向かって次のレベルがあります。

1つ上のレベルの単一オブジェクトに対して、特定のレベルのオブジェクトが多数存在する場合があります。

次の図は、パラレル承認プロセスの例を示しています。

本文の説明内容に関するイメージ

図の例の承認者リスト・ツリーでは、次の8つの承認が必要です。

たとえば、図からわかるように、「ヘッダー」項目区分の下のサブツリーは、「明細項目」項目区分の下のサブツリーの承認プロセスとは関係なく独立して進行します。これは、この2つの項目区分のオーダー番号が同じであるためです。承認者A、B、CおよびDの進行は、項目区分がパラレルであるため、承認者P、Q、RおよびSの進行とは関係ありません。パラレル承認プロセスは、次のように進行します。

各項目区分に対する承認プロセスと、引き続き各項目に対する承認プロセスを同時に開始することにした場合は、パラレルで実行されるサブプロセスが3つとなります。ヘッダーのプロセスはAから開始されます。明細項目1はPから、明細項目2はRから開始されます。

トランザクションの承認プロセスをさらに短縮するために、グループまたはチェーン内のすべての承認者に同時に通知できます。この結果、ヘッダーのプロセスはA、B、CおよびDへの通知で開始されます。これらの承認者がすべて承認すると、ヘッダーの承認プロセスは完了します。この方法では、トランザクションの承認プロセス全体の中で最も長いサブプロセスに必要となるのは、2つの通知-承認サイクルのみです。承認者のオーダー番号については、リストは次のようになります。

  1. 1 - A

  2. 1 - B

  3. 1 - C

  4. 1 - D

  5. 1 - P

  6. 2 - Q

  7. 1 - R

  8. 2 - S

例に戻ると、項目区分と項目レベルで承認をパラレル化するという決定は、オーダー番号1をすべての項目区分に割り当て、各項目区分のパラレル化モードをパラレルに設定することになります。同様に、トランザクションの承認者グループと権限チェーンをパラレル化するという決定は、承認者グループ1と2に対して合意投票制度を選択することになります。例での最終的な承認者リスト(前述のオーダー番号とオーダー・モードの決定と一致)は、次のようになります。

  1. 1 - A

  2. 1 - B

  3. 1 - C

  4. 1 - D

  5. 1 - P

  6. 2 - Q

  7. 1 - R

  8. 2 - S

抑制される繰返し承認者

承認者リストに繰返し承認者が含まれている場合、AMEでは、構成変数repeatedApproversに選択したオプションに基づいて、動的な方法で抑制されます。関連項目: 構成変数

繰返し承認者には、承認プロセス中の最初の出現時に通知されます。たとえば、承認がパラレルで進行する2つの項目の場合を考えてみます。項目1には、3人の承認者M、NおよびOが設定され、項目2には3人の承認者T、WおよびOが設定されています。承認者は、項目ごとに順次に通知されます。繰返し承認者機能を使用すると、項目2におけるOの出現が繰返しに設定されます。ただし、承認プロセス時に、項目2の承認の進行状況によっては、項目1におけるOの出現が繰返しになります。

承認プロセスをパラレル化する方法

この項では、承認者リスト・ツリーの各レベルおよび承認者リスト・ツリーと同じレベルで使用可能な承認プロセス・パラレル化オプションについて説明します。ツリーの特定のレベルに対してオプションを選択する方法については、対応するトピックを参照してください。

承認者リスト・ツリーの各レベルの承認プロセス・パラレル化オプションは、次のとおりです。

項目区分

項目区分のパラレル化は、項目区分オーダー番号を使用して明確に管理されます。このオーダー番号は、トランザクション・タイプによって、項目区分使用が設定されている項目区分に割り当てられます。

項目

項目区分使用のパラレル化モードによって、項目区分の項目の項目オーダー番号が決まります。モードがシリアルの場合、項目の項目オーダー番号は順次で、項目IDの昇順です。モードがパラレルの場合は、すべての項目に項目オーダー番号1が割り当てられます。

サブリスト

項目区分のサブリスト・モードによって、項目区分の項目の承認者リストにあるサブリストのサブリスト・オーダー番号が決まります。次の4つのオプションがあります。

これらのモードはすべて、シリアル・モードを除いて、前承認者/権限承認者/後承認者という命名体系が意味する順序とある程度一致します。つまり、いずれのサブリスト・モードの場合も、前承認者が権限承認者または後承認者の後に承認することはなく、権限承認者が後承認者の後に承認することもありません。

処理タイプ

処理タイプ・パラレル化は、トランザクション・タイプによって処理タイプに割り当てられた処理タイプ・オーダー番号を使用して、明確に管理されます。

承認者リスト・ツリーと同じレベルの承認プロセス・パラレル化オプションは、次のとおりです。

承認者グループと権限チェーン

承認者グループと権限チェーンは、承認者リスト・ツリーの同じレベルに存在するため、グループまたはチェーンのオーダー番号を共有します。

承認者グループと権限チェーンのメンバー

承認者グループのメンバーと権限チェーンのメンバーは、承認者リスト・ツリーの同じレベルに存在するため、グループまたはチェーン・メンバーのオーダー番号を共有します。

AMEのロールと職責

Oracle Approvals Managementでは、アクセス・レベルの定義にロールと職責が使用されます。次の2つのレベルでセキュリティが提供されています。

権限セット

独自のロールを作成する場合は、次の事前定義の権限セットを使用して、ユーザーによる各ページへのナビゲートを許可または禁止します。

注意: ユーザーが複数のページにアクセスできるようにするには、個々の権限セットを明示的に付与する必要があります。たとえば、ユーザーが更新ページにアクセスできるようにし、同時に詳細を表示できるようにするには、表示権限を明示的に付与する必要があります。

「属性」タブ
権限セット 機能
AME属性ビューワ「属性」タブ・アクセス権限および属性詳細の表示
AME属性作成属性の作成、コピーおよび既存の使用
AME属性更新属性更新
AME属性削除AME属性削除
AME属性モディファィアAME属性作成
AME属性更新
AME属性削除
AME属性ビューワ
「条件」タブ
権限セット 機能
AME条件ビューワ「条件」タブ・アクセス権限および条件詳細の表示
AME条件作成条件作成(標準およびリスト・モディファイア)
AME条件更新条件更新(標準およびリスト・モディファイア)
AME条件削除AME条件削除
AME条件モディファイアAME条件作成
AME条件更新
AME条件ビューワ
AME条件削除
処理タイプ
権限セット 機能
AME処理ビューワ「処理」タブ・アクセス権限および全詳細の表示
AME処理タイプ作成処理タイプ作成権限および処理タイプ構成作成
AME処理タイプ更新処理タイプ更新および処理タイプ構成作成
AME処理タイプ削除処理タイプ削除
AME処理タイプ・モディファイア処理タイプ作成
処理タイプ更新
処理タイプ削除
AME処理作成処理作成
AME処理更新処理更新
AME処理削除処理削除
AME処理モディファイアAME処理作成
AME処理更新
AME処理削除
AME処理ビューワ
AME処理タイプ構成作成処理タイプ構成の追加
AME処理タイプ構成更新処理タイプ構成更新
AME処理タイプ構成削除処理タイプ構成削除
AME処理タイプ構成モディファイアAME処理タイプ構成作成
AME処理タイプ構成更新
AME処理タイプ構成削除
AME処理ビューワ
「承認者グループ」タブ
権限セット 機能
AME承認者グループ・ビューワ「承認者グループ」タブ・アクセス権限および全詳細の表示
AME承認者グループ作成トランザクション・タイプ固有の作成ページでの承認者グループ作成
AME承認者グループ更新トランザクション・タイプ固有の更新ページおよびグローバル更新ページでの承認者グループ更新
AME承認者グループ削除承認者グループ削除
AME承認者グループ構成作成既存グループへの構成の追加
AME承認者グループ構成更新承認者グループ構成更新
AME承認者グループ構成削除AME承認者グループ構成削除
AME承認者グループ・モディファイアAME承認者グループ作成
AME承認者グループ更新
AME承認者グループ削除
AME承認者グループ・ビューワ
「テスト・ワークベンチ」タブ
権限セット 機能
AMEテスト・ビューワ「テスト・ワークベンチ」タブ、テスト詳細の表示、リアルおよび保存済テスト・ケースの実行、承認プロセス段階の表示のアクセス権限
AMEテスト作成テスト・ケース作成/保存
AMEテスト更新テスト・ケース更新
AMEテスト削除テスト・ケース削除
AMEテスト・モディファィアAMEテスト作成
AMEテスト更新
AMEテスト削除
AMEテスト・ビューワ
「ルール」タブ
権限セット 機能
AMEルール・ビューワ「ルール」タブ・アクセス権限、ルール詳細の表示、ダッシュボード・ページのルール表の表示
AMEルール作成ルール作成/複製/既存使用
AMEルール更新ルール更新
AMEルール削除ルール削除
AMEルール・モディファィアAMEルール作成
AMEルール更新
AMEルール削除
AMEルール・モディファイア
管理者ダッシュボード
権限セット 機能
AME管理者ダッシュボード・ビューワトランザクション・タイプの表示ページを含む管理者ダッシュボード・アクセス権限
AME管理者作成トランザクション・タイプ作成
AME管理者更新トランザクション・タイプ更新
AME管理者削除トランザクション・タイプ削除
AME管理者モディファイアAME管理者作成
AME管理者更新
AME管理者削除
AME管理者ダッシュボード・ビューワ
ビジネス・ダッシュボード
権限セット 機能
AMEビジネス・ダッシュボード・ビューワダッシュボード・ページの表示: ビジネス・ダッシュボードおよびトランザクション・タイプの表示ページを含む
その他
権限セット 機能
AME設定レポート・ビューワ詳細を表示する設定レポートへのアクセス権限
AME例外ログ・ビューワ詳細を表示し、権限をパージする「例外ログ」ページへのアクセス権限
AME構成変数トランザクション・タイプ固有の値を作成/変更する権限を含む構成変数ページへのアクセス権限
AME呼出しアプリケーションAMEトランザクション・タイプ・オブジェクトのデータ・セキュリティ付与に使用される権限セット

職責

Oracle Applicationsのユーザーには、AMEを使用するための2つの使用可能なAMEエンド・ユーザー職責のいずれかが必要です。1つは非技術(ビジネス)ユーザー用の職責、もう1つは技術(管理)ユーザー用の職責です。このマニュアルの残りの部分では、AMEユーザー・インタフェース機能に管理権限が必要な場合は示します。それ以外の場合、このマニュアルで説明する機能にはビジネス・ユーザー職責でアクセスできると判断してください。

AMEでは、次の職責が事前定義されています。

注意: 既存の利用者の場合は、これらの職責を既存ユーザーに割り当てていることを確認する必要があります。承認管理: アップグレード後処理を実行して、既存ユーザーを新規職責に移行する必要があります。関連項目: Oracle Approvals Managementの実装

ロール

次のロールが事前定義されています。

Oracle Approvals Managementの実装

AMEを実装するには、次のステップを実行する必要があります。

  1. アプリケーションをインストールします。

    AMEのインストール・ルーチンおよび管理機能によって、AMEを使用できるアプリケーションが決定されます。インストールと管理は通常、技術者の仕事です。インストールは一般的に1回のみ実施されます。管理タスク(AMEの管理者ダッシュボードを使用)が必要となるのは通常、新規アプリケーションでAMEを使用可能にする場合、またはトランザクションのエラー・ログにアクセスするか、エラー・ログを消去する場合のみです。

  2. 次の作業を完了してAMEのセキュリティを設定します。

    注意: 既存の利用者の場合は、既存のユーザーに承認管理ビジネス・アナリストおよび承認管理管理者の職責があることを確認する必要があります。承認管理: アップグレード後処理を実行して、既存ユーザーを新規職責に移行する必要があります。関連項目: 承認管理: アップグレード後処理の実行

  3. ユーザー・プロファイル「AME: インストール済」を設定します。

    このユーザー・プロファイルはAMEで事前定義されており、AMEを使用するInternet ExpensesやiProcurementなどの統合アプリケーションで使用できます。このプロファイルはアプリケーション・レベルで設定され、そのアプリケーションによって、AMEがインストールされているかどうか、およびインストールされている場合は実行する処理を判別するために使用されます。場合によっては、この判別は、そのアプリケーションの承認プロセスにAMEを使用するかどうかの判断に使用されますが、必ず使用されるわけではありません。統合アプリケーションでこのユーザー・プロファイルを使用するかどうかについては、そのアプリケーション固有のマニュアルを参照してください。

  4. トランザクション・タイプを構成します。

    アプリケーション管理者は、AMEがインストールされ、そのセキュリティが設定された後すぐに、AMEの構成変数の値を確認する必要があります。AMEには、次の種類の構成変数があります。

注意: 古いトランザクション・データを削除するには、コンカレント・マネージャからパージ・ユーティリティを毎日実行する必要があります。このタスクに失敗すると、結果的にパフォーマンスが低下し、特定のAMEデータベース表のサイズが無制限に大きくなります。関連項目: トランザクション・データのパージ

トランザクション・タイプの実装

トランザクション・タイプを実装するには、必要に応じて、承認プロセスの次のコンポーネントを指定または作成する必要があります。

  1. 項目区分使用を作成します(オプション)。

    トランザクション・タイプで実装する承認プロセスを文書化した後は、トランザクション・タイプの実装を開始できます。最初のステップは、トランザクション・タイプに必要なカスタムの項目区分使用を登録することです。

  2. トランザクション属性を作成します(オプション)。

    AMEでは、属性は、TRANSACTION_AMOUNTなどの名前付きのビジネス変数であり、その値は、実行時にAMEによって、トランザクションの承認者リストが構成されるときにフェッチされます。アプリケーション管理者職責のあるユーザーのみが(「属性」タブを使用して)属性を作成または変更できます。これは、この作業には通常、SQL問合せの入力または変更が必要であるためです。

    AMEには、AMEを使用できる各アプリケーションのトランザクション・タイプに通常必要となる属性が含まれています。組織でアプリケーションをカスタマイズしているか、またはアプリケーションでフレックスフィールドを定義していて、これらをアプリケーションの承認プロセスで使用する場合は、AMEアプリケーション管理者職責のあるユーザーが、カスタマイズまたはフレックスフィールドを表す新規属性名を作成し、これらの値を実行時にフェッチするSQL問合せを定義する必要があります。ビジネス・ユーザーがAMEルールに対する条件を作成する際に選択できるのは、既存の属性のみです。

  3. 条件を作成します(オプション)。

    AMEでは、条件によって、トランザクションへのルール適用に必要な属性値のリストまたは範囲が指定されます。次に例を示します。

    USD1000 < TRANSACTION_AMOUNT < USD5000

    条件は、「条件」タブを使用して作成および保守します。

  4. 承認者グループを作成します(オプション)。

    AMEルールを作成して、1つ以上の承認者グループをトランザクションの承認者リストに含めることができます。承認者グループは、「承認者グループ」タブを使用して作成および保守します。承認者グループを承認グループ・ルールで使用する前に、その承認者グループを作成する必要があります。また、既存の承認者グループを承認グループ・ルールに追加することもできます。

  5. 処理タイプを使用する準備をします。

    「処理タイプ」タブを使用して、処理タイプをトランザクション・タイプに追加します。使用可能な処理タイプは、次のとおりです。

  6. 承認ルールを定義します。

    項目区分使用、属性、条件、承認者グループ、処理タイプおよび処理の準備が完了すると、「ルール」タブを使用して承認ルールを作成できます。ここでも、承認マトリックスまたは決定ツリーが便利なチェックリストとして役立つ場合があります。

    AMEでは、承認ルールによって、1つ以上の条件が承認処理に関連付けられます。ルールがトランザクションに適用されるのは、ルールの条件すべてがトランザクションに該当する場合のみです。

    AMEを使用できる各アプリケーションでは、1つ以上のトランザクション・タイプが定義されます。各トランザクション・タイプには独自の承認ルール・セットがあります。複数のトランザクション・タイプで属性名を共有できますが、それぞれの属性名に対して別々の使用を定義できます。この結果、複数のトランザクション・タイプによる条件とルールの共有が可能になります。関連項目: 属性の使用

  7. 承認ルールをテストします。

    トランザクション・タイプにルール・セットを設定した後は、そのルールをテストして、適切なケースに適用されること、および論理的な欠落や矛盾がないことを確認することが重要です。これらのテスト・ケースは、後で再利用するために保存できます。

    トランザクション・タイプをテストする方法は、次の3通りあります。

  8. カスタム・トランザクション・タイプを作成します。

    たとえば、カスタム・アプリケーションに対する承認エンジンとしてAMEを使用する場合には、カスタム・トランザクション・タイプを新しく作成できます。トランザクション・タイプの作成については、このマニュアルでは説明しません。組織でカスタム・トランザクション・タイプを作成する必要がある場合は、Oracleサポートに連絡して、『Oracle Approvals Management Developer Guide』を入手してください。関連項目: トランザクション・タイプの作成

  9. AMEを使用するようにOracle Applicationsを構成します。

    AMEを使用するようにOracle Applicationを構成する作業は、そのアプリケーションのトランザクション・タイプに対して定義されているルール・セットをAMEで十分にテストした後で実施してください。AMEを使用するようにアプリケーションを構成する方法については、アプリケーションのユーザー・マニュアルまたは技術マニュアルを参照してください。

トランザクション・データのパージ

パージ・ユーティリティを実行して、古いトランザクション・データを削除できます。構成変数purgeFrequencyに必要な値を設定すると、トランザクション・データの保持日数を定義できます。関連項目: 構成変数

トランザクション・データをパージする手順は、次のとおりです。

「要求の発行」ウィンドウを使用します。

  1. システム管理者職責を使用して、「要求の発行」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 要求名に「承認管理トランザクション・データ・パージ」と入力します。

  3. 「パラメータ」ウィンドウがオープンしていない場合は、「パラメータ」フィールドをクリックします。デフォルトで「パラメータ」ウィンドウがオープンしている場合は、次のステップで指定されているパラメータ詳細を入力します。

  4. パージ対象の古いデータがあるトランザクション・タイプを選択します。

  5. パージするトランザクションを選択します。完了済、処理中、承認済および否認済のすべてのトランザクションをパージできます。

  6. 「OK」をクリックします。

  7. 「発行」をクリックして、古いトランザクション・データをパージします。

承認管理: アップグレード後処理の実行

既存の利用者の場合は、既存のユーザーに承認管理ビジネス・アナリストおよび承認管理管理者の職責があることを確認する必要があります。承認管理: アップグレード後処理を実行して、既存ユーザーをこれらの職責に移行する必要があります。

「要求の発行」ウィンドウを使用します。

承認管理: アップグレード後処理を実行する手順は、次のとおりです。

  1. システム管理者職責を使用して、「要求の発行」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 要求名に「承認管理: アップグレード後処理」と入力します。

  3. 「パラメータ」ウィンドウがオープンしていない場合は、「パラメータ」フィールドをクリックします。デフォルトで「パラメータ」ウィンドウがオープンしている場合は、次のステップで指定されているパラメータ詳細を入力します。

  4. 移行するために、次のいずれかを行います。

  5. 「OK」をクリックします。

  6. 「発行」をクリックして、既存ユーザーを承認管理ビジネス・アナリストおよび承認管理管理者の職責に移行します。