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Oracle Approvals Managementインプリメンテーション・ガイド
リリース12
E06007-01
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処理

処理

概要

処理はAMEに対する指示です。これによって、トランザクションの承認プロセスが指定の方法で変更されます。承認ルールの「then」部分(その結果)は、1つ以上の処理で構成されます。トランザクションの承認者リストを変更する処理は、「承認」処理または単純な「承認」です。作業(変数名/値のペア)を生成する処理は「作業」処理です。

次の図は、承認ルールにおける処理を示しています。

本文の説明内容に関するイメージ

通常、AMEには、実装に必要なすべての処理タイプと処理が用意されています。選択対象の処理タイプは多数あるため、新しい処理タイプまたは処理を作成する予定がない場合でも、ビジネス・ルールを適切な処理に変換する方法を確実に理解するために、これらの処理タイプの摘要を確認する必要があります。

処理タイプ

すべての処理は処理タイプに属しています。処理タイプは、類似した機能を持つ処理の集合です。たとえば、「絶対役職レベル」処理タイプの処理では、HR管理階層の特定の役職レベルに至るすべての承認が必要です。各処理の主要な違いは、それぞれの処理に必要な役職レベルです。

AMEに事前定義されている一連の処理タイプの多くは、一般に使用されている組織階層をさかのぼるために使用できます。事前定義のいずれの処理タイプも組織の要件を満たさない場合は、カスタム処理タイプが必要です。新しい処理タイプは、管理者権限を持つAMEユーザーが「処理」タブを使用して定義する必要があります。詳細は、『Oracle Approvals Management Developer's Guide』の第2章を参照してください。

処理タイプのプロパティ

処理タイプには、次のプロパティがあります。

名称

処理タイプ名は、最大50バイトの長さの文字列です。

処理タイプ・ハンドラ

処理タイプ・ハンドラは、処理タイプの機能を実装するPL/SQLパッケージです。AMEは、実行時に、このパッケージのプロシージャをコールして、対応する処理タイプの適切な処理の処理方法を決定します。

作業処理タイプ以外のすべての処理タイプには、実行時に使用するハンドラを指定します。作業処理タイプにはハンドラ名を指定する必要がありますが、実行時には使用されません。ハンドラ名はAMEでは使用されません。

処理タイプ・ハンドラの詳細は、『Oracle Approvals Management Developer's Guide』の第2章を参照してください。

ルール・タイプ

処理タイプの許可されたルール・タイプとは、その処理タイプの処理を使用できるルールのタイプです。すべての処理タイプには許可されたルール・タイプが必ず1つあります。

処理タイプ摘要

処理タイプ摘要は、最大100バイトの長さの文字列です。処理タイプの処理で共有される機能を説明します。

許可された承認者タイプ

代替または作業以外の処理タイプで、許可されたルール・タイプを持つ処理タイプには、1つ以上の許可された承認者タイプがあります。このタイプは処理タイプで生成できる承認者のタイプです。承認者グループを使用する処理タイプでは、すべての承認者タイプが許可されます。

オーダー番号

処理タイプにはオーダー番号があります。この番号は常に自然数です。許可された所定のルール・タイプに対する一連の処理タイプはすべて、その処理タイプのオーダー番号順に並べられます。オーダー番号は1から開始し、最大の場合、許可されたルール・タイプに対する処理タイプの数まで昇順で割り当てられます。オーダー番号は必ずしも一意ではないため、最大オーダー番号が処理タイプの数より小さい場合があります。

AMEでは、処理タイプのオーダー番号を使用して、所定のルール・タイプの適用可能なルールの処理タイプを実行時に処理する順序を決定します。この順序は、承認者への通知順序に影響を与えます。詳細は、「パラレル承認プロセス」を参照してください。

権限チェーンのオーダー・モード

権限チェーンの許可されたルール・タイプが指定された処理タイプは、その処理タイプの処理によって生成された権限チェーンのオーダー・モードを指定します。このオーダー・モードは、単一の処理タイプによって1つのトランザクションに対する複数の権限チェーンが生成された場合、AMEに対して権限チェーンの順序を設定する方法を指示します。この順序は、権限チェーンの承認者への通知順序に影響を与えます。詳細は、「パラレル承認プロセス」を参照してください。

注意: 権限チェーン・ルール・タイプには、リスト作成ルール・タイプとリスト作成例外ルール・タイプの両方が含まれます。

投票方法

権限チェーンの許可されたルール・タイプが指定された処理タイプは、その処理タイプの処理によって生成された権限チェーンの投票方法を指定します。この投票方法は、権限チェーンの承認者への通知順序と、その応答に対するAMEでの処理方法に影響を与えます。詳細は、「パラレル承認プロセス」を参照してください。

処理タイプの必要属性

一部の処理タイプでは、そのタイプの処理をルールで使用するために、トランザクション・タイプに1つ以上の属性の使用を定義する必要があります。これらの属性が処理タイプの必要属性です。通常、処理タイプでは、その必要属性の値を使用して、トランザクションの承認プロセスに対する処理タイプの処理の使用方法が計画されます。「承認」タブには、各承認タイプの必要属性がリストされます。

処理のプロパティ

処理には、次のプロパティがあります。

処理摘要

処理摘要は、最大100バイトの長さの文字列です。摘要には、トランザクションの承認プロセスに対する処理の影響を表現する完結した命令文形式を指定する必要があります。事前定義の処理タイプに対して処理を作成する場合、新しい摘要は、既存の同じタイプの処理摘要にできるかぎり則して記述してください。たとえば、権限チェーンで管理階層の15人の承認者までさかのぼる必要がある管理レベル処理には、「最初の上司15人までの承認が必要」という摘要が必要です。

処理摘要には2つのタイプがあります。

処理パラメータ

処理のパラメータは、処理の方法をその処理タイプのハンドラに示します。各処理タイプには独自の承認パラメータ構文規則があります。事前定義の処理タイプに対して新しい処理を作成する場合は、これらの規則に準拠する必要があります。

事前定義の処理タイプ

ここでは、各処理タイプについて次の情報を提供します。

処理タイプは許可されたルール・タイプ別にソートされ、ほぼ次のように分類されます。

権限チェーン(リスト作成およびリスト作成例外)処理タイプ

権限チェーンを生成する事前定義の処理タイプは、HR管理階層またはHR職階階層をさかのぼるか、承認者グループを権限チェーンとして処理することで、権限チェーンを生成します。ほとんどの場合は、1つ以上の必要属性によってチェーンの最初の承認者が決定し、特定の処理によってチェーンの終了位置が決定します。

HR管理階層に対する処理タイプ

HR管理階層をさかのぼるすべての処理タイプには、TOP_SUPERVISOR_PERSON_ID属性が必要です。この属性の値は、階層の最上位に位置する従業員(通常は企業のCEO)の個人IDである必要があります。この属性に適切な値を指定すると、ルールでさらに長いチェーンを要求しても、AMEでは例外が発生せず、権限チェーンは最上位の管理者で終了します。一方、TOP_SUPERVISOR_PERSON_ID属性によって最上位の管理者が識別されない場合や、従業員が最上位の管理者ではなく、最上位の管理者も割り当てられていない場合は、階層の許容範囲を超えるチェーンの生成が必要になると例外が発生します。

「絶対役職レベル」処理タイプ

「絶対役職レベル」処理タイプは、所定の承認者から始まるHR管理階層をさかのぼり、十分な役職レベルの承認者が見つかるまで続行することで、権限チェーンを生成します。管理階層は、HRMSのper_all_assignments_f、per_jobsおよびper_all_people_f表およびビューで定義します。

最初の承認者

デフォルトでは、絶対役職レベル・チェーンの最初の承認者(開始ポイント)は、必要な数値属性TRANSACTION_REQUESTOR_PERSON_IDで識別された個人の上司です。必要な数値属性JOB_LEVEL_NON_DEFAULT_STARTING_POINT_PERSON_IDに、NULL以外の値が指定されている場合は、その値によってチェーンの最初の承認者が識別されます。

注意: 統合アプリケーションでは、AMEのプログラミング・インタフェースを介してこれらの最初の承認者を両方とも上書きできます。詳細は、『Oracle Approvals Management Developer's Guide』の付録Aを参照してください。

最終承認者

「絶対役職レベル」処理タイプは管理階層をさかのぼり、十分な役職レベルを持つ1人以上の承認者に到達したときに停止します。役職レベルはオラクル人事管理システムのper_jobs表のauthority_level列の値です。「十分」の意味は、次の内容によって異なります。

適切な管理チェーンの1人以上の承認者に、必要な役職レベルが備わっている場合、チェーンの最終承認者は、処理が最大処理か最小処理かに影響されません。この場合、INCLUDE_ALL_JOB_LEVEL_APPROVERSがfalseに設定されていると、必要な役職レベルを持つ最初の承認者がチェーンに挿入されて終了します。INCLUDE_ALL_JOB_LEVEL_APPROVERSがtrueに設定されていると、必要な役職レベルを持つ最終承認者がチェーンに挿入されて終了します。

適切な管理チェーンに、必要な役職レベルを持つ承認者が存在せず、処理が最大処理である場合は、必要な役職レベルを上回る役職レベルを持つ最初の承認者の前に位置する最後の役職レベルがチェーンに挿入されて終了します。処理が最小処理の場合、チェーンは、必要な役職レベルを上回る最初の役職レベルで終了します。いずれの場合も、最終役職レベルですべての承認者が挿入されるかどうかは、INCLUDE_ALL_JOB_LEVEL_APPROVERSの値に依存します。

2つの役職レベルの処理は、有益な方法で組み合せることができます。たとえば、あるルールには最小で役職レベル5までの承認者が必要で、他のルールには最大で役職レベル6までの承認者が必要と想定します。役職レベル4から役職レベル7までの階層が抜けている場合、AMEでは、役職レベル7の承認者の1人または全員(INCLUDE_ALL_JOB_LEVEL_APPROVERSの値に従って)を権限チェーンに挿入するのみで両方のルールを満たすことができます。この場合、最大処理にはさらに高い名目の役職レベルが必要ですが、最小処理は最大処理よりも切迫しています。AMEでは、常に、最も切迫している処理が履行されるため、役職レベルのギャップが予期しない結果となる場合があることに注意してください。

必要属性

この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

絶対役職レベル処理のパラメータ構文は、次のとおりです。

n{+,-}

nは役職レベルを表すプラスの整数を、プラス記号は最小処理を、マイナス記号は最大処理をそれぞれ示します。たとえば、「最小でレベル1までの承認必須。」という摘要がある処理のパラメータは「1+」です。

最小と最大の相違

最大は、階層をさかのぼって、「多くとも」指定のレベルまでの承認者が戻ることを要求する処理を指定します。たとえば、階層には、役職レベルが2、3、5、6の承認者が存在し、ルールで、絶対役職レベルには最大でレベル 4までの承認者が要求されている場合、役職レベル2と3の承認者は戻されますが、レベル5の承認者は最大でレベル4の指定では戻されません。ただし、最小でレベル4と定義されている場合は、レベル2、3、5の承認者が戻されます。これは、「少なくとも」レベル4までの承認者が必要なためであり、レベル5の承認者が戻されたのは、レベル4の役職レベルが存在していないためです。

「相対役職レベル」処理タイプ

「相対役職レベル」処理タイプは、その処理のパラメータが承認者の役職レベルと依頼元の役職レベルとの相違を表すこと以外は、「絶対役職レベル」処理タイプとまったく同様に動作します。たとえば、「3+」というパラメータの相対役職レベル処理では、依頼元の役職レベルより少なくとも3レベル高い役職レベルに達するまで権限チェーンをさかのぼります。依頼元の役職レベルが2の場合、この処理では少なくとも役職レベル5までさかのぼります。

必要属性

この処理タイプには、「絶対役職レベル」処理タイプと同じ必要属性があり、同様の方法で使用されます。この処理タイプの必要属性は、次のとおりです。

処理パラメータ

これらの処理パラメータには、前に説明したように、整数値を使用する同様の構文があります。

「マネージャ、次に最終承認者」処理タイプ

「マネージャ、次に最終承認者」処理タイプは、「絶対役職レベル」処理タイプの変形です。管理階層をさかのぼって各個人の承認を求めるかわりに、この処理タイプには最初と最終の承認者のみが含まれます。

必要属性

この処理タイプの必要属性は、「絶対役職レベル」処理タイプの必要属性と同じです。この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

この処理タイプの処理パラメータ構文規則は、「絶対役職レベル」処理タイプの構文規則と同じです。

「最終承認者のみ」処理タイプ

「最終承認者のみ」処理タイプも、「絶対役職レベル」処理タイプの変形です。管理階層をさかのぼって各個人の承認を求めるかわりに、この処理タイプには最終の承認者のみが含まれます。

必要属性

「最終承認者のみ」処理タイプの必要属性は、「絶対役職レベル」処理タイプの必要属性と同じです。この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

この処理タイプの処理パラメータ構文規則は同じです。構文は、次のとおりです。

{A,R}n{+,-}

たとえば、「A3+」は、最終承認者には、依頼元より少なくとも3レベル高い絶対役職レベルが必要であることを意味します。

「権限デュアル・チェーン」処理タイプ

一部のトランザクションには、それぞれが管理階層の異なる承認者で開始する2つの権限チェーンによる承認が必要です。たとえば、従業員の異動には、その従業員の新旧の上司で開始する権限チェーンによる承認がそれぞれ必要な場合があります。「権限デュアル・チェーン」処理タイプは、このような場合に使用します。

最初の承認者

「権限デュアル・チェーン」処理タイプには、2つの属性(FIRST_STARTING_POINT_PERSON_IDとSECOND_STARTING_POINT_PERSON_ID)が必要です。これらの属性の値は、この処理タイプによって生成された各権限チェーンの最初の承認者を識別します。したがって、この処理タイプを使用するルールをトランザクションに適用するときは、必ずNULL以外の値を指定する必要があります。

チェーンごとに少なくとも1つの処理

「権限デュアル・チェーン」処理タイプは、複数(この処理タイプによって生成された各権限チェーンに対して少なくとも1つ)の処理を1つのトランザクションに適用する必要がある点で他の処理タイプと異なります。通常、デュアル・チェーン処理は、ペアの状態でトランザクションに適用します。ペア内の1つの処理は第1のチェーンに、別の処理は第2のチェーンに適用されます。このような場合、処理の各ペアは同じルールの一部となります。次に例を示します。

If
		TRANSACTION_CATEGORY in {TRANSFER}
then
	Require approvals at most 3 levels up in the first chain.
	Require approvals at least 2 levels up in the second chain.

最終承認者

同じチェーンに対して複数のデュアル・チェーン処理を適用すると、AMEでは、通常の様に、そのサブチェーンに対する最も厳しい要件を判断して実施します。

必要属性

この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

デュアル権限チェーン承認のパラメータ構文は、次のとおりです。

{1,2}{A,R}n{+,-}

最初の整数(1または2)は、チェーン(第1または第2)を識別します。文字(AまたはR)は、n(プラスの整数)を絶対役職レベルと解釈するか、相対役職レベルと解釈するかを示します。プラスまたはマイナスの記号は、絶対または相対の役職レベル処理タイプに応じて適切に解釈されます。たとえば、「第2チェーンの最大で8レベル上の承認必須。」という摘要がある処理のパラメータは「2R8-」です。

「明細項目役職レベル権限チェーン」処理タイプ

「明細項目役職レベル権限チェーン」処理タイプは、下位互換性を確保する目的で現行のAMEバージョンに含まれています。この処理タイプは、明細項目ごとに1つの権限チェーンを生成します。これらの権限チェーンは、トランザクションの承認者リストのヘッダー項目(明細項目ではなく)に関連付けられます(これは、下位項目区分の項目に対して個別の承認者リストを生成しなかった以前のAMEバージョンと同じです)。

最初の承認者

明細項目レベルの必要属性LINE_ITEM_STARTING_POINT_PERSON_IDは、各権限チェーンの最初の承認者を識別します。この属性には、明細項目ごとに個別の値があるため、各チェーンを一意にし、個別の役職レベルで開始できます。

最終承認者

「明細項目役職レベル権限チェーン」処理タイプは、「絶対役職レベル」処理タイプと同じ方法でチェーンを生成します。同じ処理ですべてのチェーンが生成されるため、チェーンはすべて同じ役職レベルで終了します。必要属性INCLUDE_ALL_JOB_LEVEL_APPROVALSには、この処理タイプの機能と同様の機能があります。

必要属性

この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

「明細項目役職レベル権限チェーン」処理タイプの処理パラメータの構文と意味は、「絶対役職レベル」処理タイプと同じです。

「管理レベル」処理タイプ

「管理レベル」処理タイプでは、HR管理階層をさかのぼって、一定数の承認者を保持するチェーンを生成します。さかのぼる管理者の数と役職レベルの間に相関関係はありません。管理権限チェーンでは、複数の役職レベルが抜けていたり、同じレベルが複数回出現する場合があります。

最初の承認者

デフォルトでは、チェーン内の最初の承認者は、必要属性TRANSACTION_REQUESTOR_PERSON_IDで識別される従業員の上司です。ただし、必要属性SUPERVISORY_NON_DEFAULT_STARTING_POINT_PERSON_IDがNULL以外の場合は、かわりに、この属性によって識別された承認者でチェーンが開始します。(統合アプリケーションでは、いつものようにAMEのプログラミング・インタフェースを介して、これらの最初の承認者を両方とも上書きできます。詳細は『Oracle Approvals Management Developer's Guide』の付録Aを参照してください。)

最終承認者

多数の承認者で構成されたHR管理階層をさかのぼることができる場合、所定の処理に対して生成される権限チェーンには、処理のパラメータで指定された人数の承認者が含まれます。階層内の承認者が処理に必要な承認者数より少ない場合、その結果は処理が最大処理かどうかで異なります。最大処理であり、最終承認者が必要属性TOP_SUPERVISOR_PERSON_IDで識別されている場合、チェーンはこの承認者で終了します。ただし、この属性の値がNULLの場合や処理が最大処理でない場合は、例外が発生します。

必要属性

この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

管理レベル処理には、次の形式でパラメータを指定します。

n[-]

nはチェーンに含める必要がある承認者数を示すプラスの整数です。オプションのマイナス記号(ある場合)によって、この処理は最大処理になります。

HR職階階層の処理タイプ

HR職階階層(per_pos_structure_elements、per_pos_structure_versionsおよびper_position_structuresにある)には2つの処理タイプがあります。これらの階層の違いは、権限チェーンの終了位置の決定方法です。

「HR職階レベル」処理タイプには、TOP_POSITION_ID属性が必要です。この属性は、HR管理階層をさかのぼる処理タイプのTOP_SUPERVISOR_PERSON_ID属性とまったく同じです。

両方の処理タイプともNON_DEFAULT_POSITION_STRUCTURE_ID属性が必要です。デフォルトでは、権限チェーンは、トランザクション依頼元のビジネス・グループのプライマリ職階階層をさかのぼります。ただし、NON_DEFAULT_POSITION_STRUCTURE_IDがNULL以外の場合、チェーンは、その値によって識別された職階階層に従います。

「HR職階」処理タイプ

「HR職階」処理タイプは、指定の職階で終了する権限チェーンを生成します。職階処理には動的摘要があることに注意してください。

最初の承認者

デフォルトでは、権限チェーンは、必要属性TRANSACTION_REQUESTOR_POSITION_IDによって識別された職階の上の職階から開始します。ただし、必要属性NON_DEFAULT_STARTING_POINT_POSITION_IDがNULL以外の場合、チェーンはこの職階から開始します。

最終承認者

最終承認者は、処理のパラメータで指定された職階です。

必要属性

この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

職階処理のパラメータは、チェーンを終了する必要がある職階のwf_roles.name値です。現在、wf_rolesの職階には、POS:471などの名称値があります。この値のコロンに続くプラスの整数が職階IDです。

「職階レベル」処理タイプ

職階処理タイプは、特定の長さの権限チェーンを生成します。

最初の承認者

「職階レベル」処理タイプは、職階処理タイプと同様の方法でチェーンを開始します。

最終承認者

「職階レベル」処理タイプでは、職階階層で一定数の職階をさかのぼります(HR管理職階の「管理レベル」処理タイプに類似しています)。

必要属性

この処理タイプには、次の必要属性があります。

処理パラメータ

職階レベル処理のパラメータ構文は、次のとおりです。

n+

nは処理に必要な職階数を表すプラスの整数です。

承認者グループに対する処理タイプ

承認者グループを使用する3種類の処理タイプが、項目の承認者リストの各サブリストに対して1つずつ事前定義されています。これら3種類のすべての承認者グループ処理タイプには、ALLOW_EMPTY_APPROVAL_GROUPS属性が必要です。この属性がfalseのときに、グループにメンバーがいない場合は、実行時に例外が発生します。

「承認者グループ権限チェーン」処理タイプ

「承認者グループ権限チェーン」処理タイプは、承認者グループを権限チェーンとして処理します。承認者グループの投票制度は無視され、かわりに処理タイプの投票制度が使用されます。シリアル投票制度が処理タイプで使用される場合、そのシリアル・オーダーはグループ・メンバーのオーダー番号と一致します。

必要属性

この処理タイプの必要属性は、ALLOW_EMPTY_APPROVAL_GROUPSです。

「権限チェーン前」処理タイプと「権限チェーン後」処理タイプ

「権限チェーン前」処理タイプは、項目の承認者リストの権限サブリストの前に、承認者グループを挿入します。「権限チェーン後」処理タイプは、項目の承認者リストの権限サブリストの後に、承認者グループを挿入します。通知の順番は、承認者リストと同じ順番にする必要はありません。これら2つの処理タイプでは、承認者グループの投票制度が使用されます。

必要属性

この処理タイプの必要属性は、ALLOW_EMPTY_APPROVAL_GROUPSです。

「リスト変更」処理タイプ

2種類のリスト変更処理タイプが事前に定義されており、それぞれに対照的な機能があります。一方のタイプは、通常は署名権限がない個人に署名権限を付与します。もう一方のタイプでは、通常は署名権限がある個人から署名権限を取り消します。

「最終権限」処理タイプ

「最終権限」処理タイプは、通常は権限が付与されていない状況で、対象の承認者に署名権限を効果的に付与します。これは、対象の承認者が指定されている各権限チェーンを、その承認者の後ろで切り捨てることによって実現します(対象の承認者が承認せずに転送した場合、権限チェーンは、その承認者に続く最終転送先の後ろで切り捨てられます)。この処理タイプの処理は1つのみで、そのパラメータはNULLです。

「非最終権限」処理タイプ

「非最終権限」処理タイプは、通常は権限が付与されている状況で、対象の承認者の署名権限を効果的に取り消します。これは、対象の承認者で終了する権限チェーンを、特定の処理の要件に従い、所定の絶対役職レベルまたは相対役職レベルまで、対象の承認者を超えて拡張することで実現します。処理は役職レベルに依存しているため、対象の承認者はHR従業員であることが必要であり、HR実装では役職レベルを使用する必要があります。

非最終権限処理のパラメータ構文は、次のとおりです。

{A,R}n{+,-}

AまたはRは、n(プラスの整数)が絶対役職レベルを表すか、相対役職レベルを表すかを識別します。プラスまたはマイナスの記号は、役職レベル処理タイプに応じて解釈されます。たとえば、「最大で2レベル上の承認必須。」の摘要がある処理のパラメータは「R2-」です。

「代替」処理タイプ

事前定義の「代替」処理タイプは1つのみです。この処理タイプは、対象の承認者を、この代替処理で識別した承認者で置換します。代替承認のパラメータは、wf_roles.nameの値です。代替処理を作成または編集する際は、承認者タイプの選択と承認者の問合せにAMEユーザー・インタフェースを使用できるため、パラメータや処理の摘要を直接作成したり、編集する必要はありません。

「作業」処理タイプ

事前定義の「作業」処理タイプは1つのみです。各作業処理によって、AMEでは、処理のパラメータにある変数名/値のペアが、統合アプリケーションに対して出力されます。変数名と値は50バイトまでの文字列です。

作業レベル

作業処理が、承認者生成処理が1つ以上指定されているルールで使用されると、その作業は、ルールの承認者生成処理によって生成された各承認者に関連付けられます。このような処理が承認者レベルの作業です。作業ルール内の生成処理は、全体としてトランザクションに関連付けられます。トランザクション・レベルの作業も同様に処理されます。

処理の選択

ルールに対して正しい処理を選択するには、3つの選択が必要です。次に、これらの選択の詳細を説明します。

  1. ルール・タイプの選択

    ルール・タイプの詳細は、「ルール・タイプ」を参照してください。ここでは、各タイプを使用する時期について簡単に説明します。

  2. 承認者タイプの選択

    ほとんどのルール・タイプには、そのルール・タイプで使用できる処理タイプが1つのみ事前定義されています。リスト変更ルールに対して使用できる処理タイプは2つあり、どちらを使用するかは、署名権限を付与するか、取り消すかによって決まります。リスト作成ルールには、そのルールで使用できる多数の処理タイプがあります。これらの処理タイプの1つを選択するには、その前に、リスト作成ルールで生成する権限チェーンに出現する承認者タイプを決定する必要があります。AMEでは、現在、HR従業員(AME UIでは個人/HR個人情報とも呼ばれる)、HR職階およびFND(Oracle Applications)ユーザーの3つの承認者タイプをサポートしています。

  3. 処理タイプの選択

    リスト作成ルールに対して承認者タイプを選択した後は、処理タイプを選択できます。この処理タイプは、選択した承認者タイプが含まれた必要な構造の権限チェーンを生成します。次の表に、権限チェーンを生成する処理タイプを承認者タイプ別にリストし、生成される権限チェーンの構造を示します。

    処理タイプHR従業員(個人)承認者タイプのチェーン構造
    絶対役職レベルチェーンは、固定の役職レベル以下、またはそのレベルを超える1人以上の承認者で終了します。
    相対役職レベルチェーンは、依頼元の役職レベルより一定のレベル分高いレベル以下、またはそのレベルを超える1人以上の承認者で終了します。
    マネージャ、次に最終承認者チェーンには、類似した絶対または相対役職レベル処理によって生成されたチェーンの最初と最終の承認者が含まれます。
    最終承認者のみチェーンには、類似した絶対または相対役職レベル処理によって生成されたチェーンの最終承認者のみが含まれます。
    権限デュアル・チェーン2つの権限チェーンがあり、それぞれに、独自の最初の承認者があり、絶対または相対役職レベルの構造があります。
    明細項目役職レベル権限チェーン明細項目ごとに1つの権限チェーンがあります。すべてのチェーンはヘッダー項目の承認者リストにあります。明細項目の承認者リスト内で明細項目固有の権限チェーンを生成するには、HR従業員に対して他のいずれかの処理タイプを使用し、ルールを明細項目の項目区分に関連付けます。
    管理レベルチェーンには、一定数のHR従業員が含まれます。
    処理タイプHR職階承認者タイプのチェーン構造
    HR職階チェーンは、固定の職階の承認者で終了します。
    HR職階レベルチェーンには、一定数の職階が含まれます。
    処理タイプ使用可能なすべての承認者タイプのチェーン構造
    承認グループ権限チェーン承認者グループは使用可能なすべての承認者タイプを許可します。

処理タイプの作成

処理タイプの作成には、新しい処理タイプをAMEに登録することに加え、重要なプログラミング課題が含まれます。これらのタスクについては、このマニュアルでは説明しません。詳細は、『Oracle Approvals Management Developer's Guide』の第2章を参照してください。

処理タイプを作成する手順は、次のとおりです。

「新規処理タイプの作成」ページを使用します。

  1. 「処理タイプ」タグをクリックして、「処理タイプ」ページを表示します。ビジネス・ダッシュボードからナビゲートしている場合は、ビジネス・ダッシュボードにある「承認プロセス設定」で、必要なトランザクション・タイプを選択し、「処理タイプ」リンクをクリックします。

  2. 「既存処理タイプの使用」をクリックして「既存処理タイプの使用」ページをオープンします。

  3. 「作成」をクリックして「新規処理タイプの作成」ページをオープンします。

  4. 名称を入力します。

  5. 処理タイプのハンドラを入力して、処理タイプの機能を実装します。AMEでは、このハンドラ情報を使用して、対応する処理タイプの適切な処理の処理方法が判断されます。

  6. ルール・タイプを選択して、処理タイプの処理を使用できるルールの許可されたタイプを指定します。

  7. 処理タイプ摘要を入力して、処理タイプの処理が共有する機能を説明します。

  8. 許可された承認者タイプを選択して、処理タイプが指定の承認者タイプを生成できるようにします。

  9. 動的処理摘要を選択します。問合せの生成を選択した場合は、処理摘要問合せを入力し、「検証」をクリックして問合せが適切な書式であることを確認します。

  10. 「適用」をクリックして、処理タイプをすべてのトランザクション・タイプで使用できるようにします。

処理タイプの編集

処理タイプを更新する手順は、次のとおりです。

  1. 「処理タイプ」タブをクリックして「処理タイプ」ページをオープンします。

  2. 「既存処理タイプの使用」をクリックして、使用可能な処理タイプを表示します。

  3. 処理タイプを選択し、「更新」アイコンをクリックして編集します。

  4. 処理タイプのプロパティを適切に変更します。

  5. 「適用」をクリックして、変更内容を発行します。

    注意: 事前定義処理タイプのプロパティは編集できません。追加および削除できるのはユーザー定義の処理のみです。

処理タイプの削除

処理タイプを削除する手順は、次のとおりです。

  1. 「処理タイプ」タブをクリックして「処理タイプ」ページをオープンします。

  2. 「既存処理タイプの使用」をクリックして、使用可能な処理タイプを表示します。

  3. 処理タイプを選択し、「削除」アイコンをクリックします。

  4. プロンプトに従って削除を確認します。

    1度に複数の処理タイプを削除できます。

    注意: 事前定義処理タイプは削除できません。

既存処理タイプの使用

既存処理タイプを現行のトランザクション・タイプに使用する手順は、次のとおりです。

「既存処理タイプの使用」ページを使用します。

  1. 「既存処理タイプの使用」をクリックして「既存処理タイプの使用」ページをオープンします。

  2. 処理タイプを選択し、「続行」をクリックします。

  3. 表示された属性を確認します。

    注意: 「既存処理タイプの使用: レビュー」ページには、現在は使用不可の状態で、後でトランザクション・タイプに表示されるようになる必要属性が、選択した処理タイプに基づいて表示されます。

  4. 「終了」をクリックして、選択した既存の属性を現行のトランザクション・タイプで使用します。

処理の作成

既存処理タイプの処理を作成する手順は、次のとおりです。

「処理の作成」ページを使用します。

  1. 処理タイプのパラメータ構文規則と意味規則を確認します。

  2. 「処理タイプ」タブをクリックします。

  3. 処理を追加する処理タイプを選択します。

  4. 「作成」をクリックして「処理の作成」ページをオープンします。

  5. 新しい処理のパラメータと摘要を入力します。

  6. 「適用」をクリックして、選択した処理タイプに処理を追加します。

    注意: 承認者グループ処理タイプには、処理を追加する必要はありません。これらの処理は、承認者グループの作成時に自動的に作成されます。

処理の編集

処理を編集する手順は、次のとおりです。

「処理の更新」ページを使用します。

  1. 「処理タイプ」タブをクリックして「処理タイプ」ページをオープンします。

  2. 編集する処理の処理タイプを選択します。

  3. 処理を選択し、「更新」アイコンをクリックして編集します。

  4. 処理のプロパティを適切に変更します。

  5. 「適用」をクリックして、変更内容を発行します。

    注意: 事前定義処理または承認者グループ処理は編集できません。承認者グループ処理は自動的に保守されます。

処理の削除

処理を削除する手順は、次のとおりです。

「処理タイプ」ページを使用します。

  1. 「処理タイプ」タブをクリックして「処理タイプ」ページをオープンします。

  2. 削除する処理の処理タイプを選択します。

  3. 処理を選択し、「削除」アイコンをクリックします。

  4. プロンプトに従って削除を確認します。

    1度に複数の処理を削除できます。

    注意: 事前定義処理は削除できませんが、事前定義処理タイプに追加した処理は削除できます。承認者グループ処理も削除できません。これらの処理は、承認者グループを削除すると自動的に削除されます。